ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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UA10000突破しました。

驚きを隠せません…

皆さま楽しく読んで頂けていれば幸いです。

では、駄文ですがお付き合いください。


第八話

私はあの呪いに反逆する。

 

そして、必ずあのお方にこの想いを伝えてみせる。

その為ならば、永遠の刹那に存在し続ける事など苦でもない。

恋する女の行動力を甘く見てもらっては困る。

 

…私は、たとえ振られる運命なのだとしても、ちゃんと振られたいのだ。

そうでなければ、次の恋を始める事すら出来ないではないか…

 

だから、たとえ世界全てを敵に回そうと、私はあの呪いに反逆するのだ。

 

***

 

久しぶりに我が家の敷居を跨ぐ。

あぁ、愛しのマイホーム、マイシスター。

 

正直、色んな事がありすぎて限界なのだ。

早く小町に会って癒されなければ!

 

雪音?そういやさっきから静かだな?

何かもじもじしてるが…トイレか?

 

そういう事なら挨拶とか早めに済ましてやらんといかんな。

 

「およ?お兄ちゃんお帰り、誘拐されたって聞いてたけど、大丈夫だっ……た?」

 

小町がその場に崩れ落ちる。

小町ちゃん?一体どうしたの?

 

「お兄ちゃん!!いくら誘拐されたからって腹いせに関係無い美少女を誘拐してくるなんて小町悲しいよ!今ならまだ間に合うから早く警察行こ?」

 

うん、泣いていいかな?いいよね?

 

「は、八幡?この子が…」

 

雪音が恐る恐る聞いて来る。

トイレ…そろそろ限界なのかな?

 

「あぁ、妹の小町だ」

 

「そっか!じゃあ、あたしにとっても義妹だな!よろしくな!小町!」

 

雪音さん?今、妹のニュアンスがおかしくなかった?

小日向に毒され過ぎじゃないですかね?

あれは猛毒だから近寄らない方がいいよ?マジで

 

「え?え?お兄ちゃんどういう事?」

 

いけね。小町ほったらかしにしてた。

 

***

 

「えぇー!?まさかのお義姉ちゃん!?」

 

小町ちゃん?違うからね?

 

「不束な兄ですが、よろしくお願いします」

 

「おう!あたしの方こそ、よろしくな!」

 

君ら、打ち解けるの早いね?

後小町ちゃん、速攻で兄を売るのやめてね?

お兄ちゃん悲しくなっちゃうから。

 

「お兄ちゃん!!小町、お兄ちゃんはヤればデキルお兄ちゃんだと信じてたよ!」

 

小町ちゃん?お下品な言葉使うのやめようね?

絶対言ってる意味違うよね?

後、最初誘拐犯扱いしてたよね?

何その手のひら返し?

 

「おう!子供はあたしの勘違いだったけど、その…は、八幡が望むなら、あたしも…」

 

雪音さん?君、ぼっちのメンタル削るの好きだね?

 

「ぐはっ!!」

 

こ、小町?

 

「お兄ちゃん!!ヤバいよ!!クリスお義姉ちゃん超可愛いよ!!」

 

「いや、結婚して無いからね?」

 

「はぁ…またこのごみぃちゃんは…まぁでもわかったよ、お兄ちゃんがしたいようにすればいいと思うよ?」

 

ありがとな、小町。

 

「でもでも?小町はお兄ちゃんに幸せになって貰いたいから、色々と応援はさせて貰うよ?あ、今の小町的にポイント高い!」

 

あぁ、お兄ちゃん的にもポイント高ぇよ。

元々振り切ってるけどな!

 

「それじゃあ、八幡!早速、夫婦の営みを…」

 

おい!ちょっと待て!

小日向!お前ほんと何してくれてんだよ!?

中途半端な性知識のせいでむしろ悪化してんじゃねぇか!?

 

「あ、お兄ちゃん?小町2時間くらい買い物してくるから、その間に終わらせてね?」

 

小町待って!行かないで!

お兄ちゃん雪音に襲われたら悲しい事に勝ち目無いの…

 

「冗談だよ?小町に任せて?」

 

その後、小町監修によるぼっちに配慮した雪音の再教育が施された。

小町はやっぱり天使だった。

 

***

 

「比企谷、少しいいか?」

 

リディアンで風鳴先輩に呼び止められる。

 

「はぁ…まぁいいっすけど…」

 

風鳴先輩に付いて行く。

こうして見ると、芸能人のオーラというのもあるが、本当に絵になる人だな…

べ、別に見惚れてた訳じゃないからね!

俺のツンデレとか誰得だよ…

 

「雪音の方はどうだ?」

 

雪音は学校の間、お留守番だ。

来期から編入できるよう手続き中との事だ。

小町の教育のおかげで、ようやく比企谷姓を名乗るのをやめてくれた。

 

「小町のおかげでようやく一般常識を身に付けつつありますね」

 

「そうか…それは何よりだ」

 

「それで、用件はそんな事じゃないっすよね?」

 

「あぁ、これは非常に重要な案件だ」

 

何だ?フィーネさんからは特に連絡は来てないが、まさか裏切られたか?

 

「私をラーメン屋に連れて行ってほしい!」

 

…は?

 

「ラーメンってあのラーメンですか?」

 

「あぁ、そのラーメンだ。恥ずかしながら、剣として己を研ぎ澄ます事しかして来なかったのでな。その…食べた事が無いんだ」

 

うん?今剣関係あったかな?

 

「…まぁいいっすけど」

 

「良かった。男性の比企谷なら一人で行ったりすることもあるだろうと思って頼んでみたんだ」

 

パァっという効果音が聞こえてきそうなくらいに風鳴先輩の表情が明るくなる。

雪音とは別の意味で心臓に悪い人だな…

 

「むしろ一人でしか行った事無いっすよ」

 

食事って一人でする物じゃ無いの?え?違う?

 

「でもラーメンならインスタントとかもあるじゃないすか?」

 

「そんな物緒川さんが許してくれる筈無いだろう!!」

 

ビックリした。

いきなり大きな声出すのやめてね?

ぼっちってストレスに弱い生き物だよ?

 

緒川さん?あぁ、あのイケメンね。

そういや風鳴先輩のマネージャーもやってるんだったな。

 

「くっ!この身は確かに常在戦場の意志の体現!計算された栄養価の食事を摂っていれば問題は無い!しかし!あの光輝くスープの脂が!ツルツルの麺が!剣であるはずのこの身を魅了してやまないのだ!」

 

うん、ところどころに何か変な単語入るね?

これがこの人の素なのかね?

 

***

 

その後、最低限の変装をした風鳴先輩とラーメン屋に向かう。

よくよく考えたら芸能人なんだよな、この人…

 

「男と出掛けるなんて、大丈夫なんすか?」

 

「何を言う?先の戦場(いくさば)でも言った事だが、比企谷は奏の忘れ形見だ。君と出掛けることが後ろめたい事であるはずがない」

 

そう言って、風鳴先輩が微笑む。

ぐっ、この人の言葉や仕草はいちいちぼっちのメンタルを削ってくるな…

単語単語は変なのにな…

 

「それに…念願のラーメンだ。その程度のリスクで、私が鞘走る事を躊躇うとでも思ったか!?」

 

…もしかしなくてもそっちが本命じゃねぇか…

どんだけラーメン食べたいんだよ、この人…

後、鞘走るってこういう時に使う単語だったっけ?

 

ラーメン屋の中では、異常にそわそわしたり、至福の表情でラーメンを啜る風鳴先輩を見る事が出来た。

何をしても絵になる人っているんだな…

 

実はこの時に写真を撮られていたらしいのだが、あまりに美味しそうに食べているため、男とデートとかではなく、食レポの練習をしているものだと認識され、風鳴先輩に食レポのオファーが殺到する事になるのだが、それはまた別のお話である。

 

***

 

「たでぇま…」

 

「お帰り!八幡!」

 

帰宅すると雪音が迎えてくれる。

小町による一般常識の英才教育を受けたはずなのだが、何故か頑なに名前呼びだけはやめてくれない。

 

小町に理由を聞いたら「これだからごみぃちゃんは…」と呆れられたので詳しくは聞けていない。

 

ドン!

 

そんな事を考えていると、いきなり雪音に壁ドンされる。

何この子?逆お姫様抱っこだけじゃなくて、逆壁ドンの不名誉まで持ってくの?

 

「他の女の匂いがする」

 

怖えぇよ。

立花といい、お前といい何なの?

ハイライトさんが仕事しないの流行ってんの?

 

「い、いや、か、風鳴しぇんぱいとラーメン食いに行ってただけだよ」

 

どもったのと噛んだせいで、一気に言い訳臭が濃くなったな…

 

「…ホントか?」

 

「嘘吐く意味がねぇよ」

 

「そ、そうか…あたしの思い過ごしならいいんだけどよ」

 

そう、雪音は何故か俺の学校での交友関係に非常に敏感なのである。

もっとも、ぼっちなのでほとんど無いに等しいのだが…

ぼっちはぼっちらしく分をわきまえて生活しろという事だろう。

 

「それじゃあ、ご飯にする?お風呂にする?それとも…あたし?」

 

「お前今日小日向と会っただろ…」

 

ほんとあいつ何なの?

雪音にいらん知識吹き込むのやめて欲しいんだけど。

 

「み、未来は関係ねぇだろ!それより、ほら!選べよ!」

 

え?何?続けんの?

 

「飯はラーメン食べたばっかだし、じゃあふ…」

 

おい…風呂って言おうとした瞬間落ち込むのやめてくんない?

選択肢あるだけで強制じゃねぇか…

 

「…雪音で」

 

「そ、そうか?仕方ねぇな!それじゃあ今日は耳かきしてやるよ!ほら、膝枕してやるからこっちに頭乗せろ」

 

何か小日向と小町の魔改造で、どんどんあざとくなって行ってるな…こいつ。

 

こうして、この平穏が束の間であることを知りつつも、その平穏を享受して過ごすのであった。




クリスちゃん成分が多めになってきたので防人入れなきゃと思ったらほぼクリスちゃんに…

作者はどんだけクリスちゃん好きなんでしょうね?

今回は日常回です。

幕間扱いにするか悩みましたが、何げに小町初登場なので八話として投稿します。
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