「あ、出来た」
固まったエクスに疑問を持ちつつも作業を続けていたハジメが唐突に話す。
「……これ、なに?」
ハジメの手元にあるのは全長一・五メートル程のライフル銃だ。
「これはな……対物ライフル:レールガンバージョンだ。要するに俺が見せた銃の強化版だ。火力不足になっていたからな。弾丸も特別製だ」
「【質問】何が変わったの?」
唐突に復活し、エクスが問うてくる。
「まず、口径を大きくして、さらに加速領域を長くした。素材はあのサソリもどきだ。あいつの体は魔力を込めるほど硬度が増す鉱石で出来てたんだ。弾丸も特別製って言ったろ?タウル鉱石の弾丸をサソリもどきの素材でコーティングする。いわゆる、フルメタルジャケット……モドキというやつだ」
ハジメの話を聞いたエクスが再び固まる。しかし、今度はフリーズしたわけではないようだ。前にも一度見たことがある。前にレールガンの説明をした時にもなっていた。今にして思えばあの時にレールガンを作っていたのだろう。
エクスは放っておいて、腹が減ってきたのでサイクロプスやサソリもどきの肉を焼き、食事をすることにした。
「ユエ、メシだぞ……って、ユエが食うのはマズイよな? あんな痛み味わせる訳にはいかんし……いや、吸血鬼なら大丈夫なのか?」
「……血を、飲ませてくれれば大丈夫」
「吸血鬼は血を飲めれば特に食事は不要ってことか?」
「……食事でも栄養はとれる。……でも血の方が効率的」
「そっか。じゃあ俺の血をやるよ」
「……ん」
そして、ユエが俺の首に顔を近づけるが、その前に、
「【命令】別に直接吸う必要はないはず。離れろ」
エクスが復活し、ユエに僅かに低い声で言う。
ユエはエクスをちらっと見た後無視して、ハジメの首に噛み付いた。それを見たエクスから殺気が迸る。
「……ごちそうさま」
ハジメが若干冷や汗をかいているのを他所にユエはペロリと唇を舐め言う。やつれていた肌は張りのある白い肌になっている。そして、頰をバラ色に染め、ユエは離れず至近距離からハジメを見つめる。
「…………」
「…………」
しばらく見つめ合っていたが、殺気を数倍に跳ね上げ、エクスが誰が聞いてもキレていると分かる低い声で、
「【命令】いい加減離れろ」
しかし、ユエはエクスを見て、
「……フッ……」
と嗤っただけだった。
それを見たエクスは目元をピクピクさせると、ハジメの後ろに回り、抱きついた。
ハジメの背中で何とは言わないが2つの存在がむにゅ、と形を変える。
近くで見ていたユエは
「……くっ……」
と悔しげに顔を歪める。
「【嘲笑】……フッ」
ユエの様子を見て嗤うと、サイクロプスの肉をハジメの背中越しに取ると、
「【進呈】あ〜ん」
とする。それを見たユエはサソリもどきの肉を取り、
「……あ〜ん……」
「【再告】あ〜ん」
2人の差し出す肉を見て「これから大変そうだなぁ」と現実逃避するハジメだった。
今回は全然話が進みませんでしたね(汗)すみませんm(_ _)m
次回は長めにしてエセアルラウネ撃破までやりたいなぁと思っております。
エクス「【断定】どうせ瞬殺」
否定出来ないのが辛い( ; ; )