ありふれた職業の世界最強と歩む機凱少女   作:エルナ

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遅くなり大変申し訳ございませんm(_ _)m
他の作品を書いていました(汗)

今回はヒュドラ戦です!

ハ「俺らの活躍の場は——」

それではどうぞ‼︎

ハ(ないのか?)


第14話

ユエが敵に操られるという事件から随分と経った。

 

 

あれからユエとエクスは本格的に仲が悪くなった——といってもエクスは前から変わらずユエがエクスを嫌ったというだけなのだが。

 

 

前までのユエはエクスのことを一応は仲間として見ていたが先の戦いで何の躊躇もなく撃ったエクスのことをもはやただの恋敵でしかなくなった。

 

 

エクスは最初からハジメが連れてくというから仕方なくといった感じなので関係は最悪である。

 

 

さて、その間に挟まれているハジメは——何度か身内に殺されかけた。

 

 

例えばハジメで綱引きをしていた2人に——訂正エクスに腕を千切られそうになったり、例えば魔法を撃ち合う2人の余波で焼かれそうになったり、例えば、両側から抱きつく2人に——訂正エクスに胴体を潰されそうになったり、例えば、前後から抱きつく2人に——訂正エクスに胴体を潰されそうになったり——まあ、主にエクスに殺されかけたのだ。

 

 

2人の美少女——片や12、3歳の見た目だが実年齢は遥か上。その片鱗を時折見せ、妖艶になる。

片や同年代の見た目だが同じく実年齢は遥か上。だが機械故にか感情がユエ以上に表に出ないがユエとは違い、女性らしい体つきだ。

 

 

この2人から時々抱きつかれ、好意を見せられれば、心ときめくものだろう。世界中の男子が耳にすれば嫉妬する場面だ。

 

 

しかし、ハジメは森羅万象に誓ってときめいていない。

 

 

何故ならば、その2人が数々の魔物を屠ってきたハジメですら恐ろしい程の殺気を放ち、しかも片方は抱きつく時に忠告しないと握りつぶす勢いで抱きついてくるのだ。ときめけるわけがない。

 

 

ここ最近ハジメは胃痛に悩まされ、ため息が増えた……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして、3人は第百階層に足を踏み入れる。

 

 

その階層は、広大な空間だった。巨大な柱、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られており、柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。

 

 

ハジメとユエがその光景に見惚れつつ、足を踏み入れるが、エクスは特に何も感じずに普通に足を踏み入れる。

 

 

すると、全ての柱が淡く輝き始め、ハジメ達を起点に奥の方へ順次輝いていく。ハッと我を取り戻し警戒するハジメとユエだがエクスは観測装置には何の反応もないので警戒心ゼロでトボトボと歩く。そのエクスの反応に少し警戒心を下げ、付いていくハジメとユエ。

 

 

エクスだけに頼らず、感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。二百メートルも進んだ頃、全長十メートルはある巨大な両開きの扉があった。美しい彫刻が彫られ、特に七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

 

「……これはまた凄いな。もしかして……」

 

 

「……反逆者の住処?」

 

 

感知系技能には反応がなくともハジメの本能が警鐘を鳴らしていた。この先はマズイと。それは、ユエも感じているのか、薄らと額に汗をかいている。

 

 

「……?【進言】早く行こ?」

 

 

いつもと変わらない様子のエクスにハジメは苦笑し、進む。そして、最後の柱の間を越えた。

 

 

その瞬間、扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

 

ハジメは、その魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日、ハジメが奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

 

「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボスかよ」

 

 

「……大丈夫……私達、負けない……」

 

 

顔を引きつらせたハジメはユエの言葉に「そうだな」と頷き、エクスに話しかける。

 

 

「エクス、俺達が危なくなるまで手は出すなよ」

 

 

そうすると一瞬で終わりそうだから、という言葉を飲み込みハジメはエクスに釘を刺す。

 

 

「【了解(ヤヴォール)】」

 

 

魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは……

 

 

体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

 

不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光がハジメ達を射貫く。壮絶な殺気がハジメ達へ向けられる。

 

 

同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き、炎の壁というに相応しい規模の火炎放射を放つ。である。

 

 

ハジメとユエは同時にその場を左右に飛び退く。エクスは防火機能があるため避けない。

 

 

火炎放射を回避した2人は反撃を開始する。ハジメがドンナーで赤頭を狙い撃つ。弾丸は狙い違わず赤頭を吹き飛ばすが白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫ぶと、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込みすると、赤頭が元に戻った。

 

 

ハジメに少し遅れてユエの氷弾が緑の文様がある頭を吹き飛ばしたが、同じように白頭の叫びと共に回復してしまった。

 

 

ハジメは舌打ちをしつつ“念話”でユエに伝える。

 

 

“ユエ! あの白頭を狙うぞ! キリがない!”

 

 

“んっ!”

 

 

青い文様の頭が口から散弾のように氷の礫を吐き出し、それを回避しながらハジメとユエが白頭を狙う。

 

 

ドパンッ!

 

 

「“緋槍”!」

 

 

閃光と燃え盛る槍が白頭に迫る。しかし、直撃する寸前に黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。そして淡く黄色に輝きハジメ達の攻撃を受け止めて無傷の黄頭がハジメ達を睥睨している。

 

 

「ちっ! 盾役か。攻撃に盾に回復にと実にバランスのいいことだな!」

 

 

ハジメは頭上に向かって“焼夷手榴弾”を投げる。同時にドンナーの最大出力で白頭に連射した。ユエも合わせて“緋槍”を連発する。

 

 

黄頭は、ハジメとユエの攻撃を尽く受け止める。だが、流石に今度は無傷とはいかなかったのかあちこち傷ついていた。

 

 

「クルゥアン!」

 

 

すかさず白頭が黄頭を回復させる。しかし、その直後、白頭の頭上で“焼夷手榴弾”が破裂し、タールが撒き散らされる。白頭にも降り注ぎ、その苦痛に悲鳴を上げながら悶えている。

 

 

この隙に同時攻撃を仕掛けようと、ハジメが“念話”で合図をユエに送ろうとするが、その前に絶叫が響いた。ユエの声で。

 

 

「いやぁああああ!!!」

 

 

「!? ユエ!」

 

 

咄嗟にユエに駆け寄ろうとするが、それを邪魔するように赤頭と緑頭が炎弾と風刃を無数に放ってくる。未だ絶叫を上げるユエに、歯噛みしながら一体何がと考えるハジメ。

 

 

しかし、この時遠くから見ていたエクスは気がついていた。黒い文様の頭が未だ何もしていないことに。故にエクスは手を出した方がいいと判断し、

 

 

「【典開(レーゼン)】——『偽典・電磁砲(レールガンアポクリフェン)』——」

 

 

黒頭を吹き飛ばす。同時にユエがくたりと倒れ込んだ。それを見たハジメが黒頭の仕業だと気づく。

 

 

倒れたユエを喰らおうと青頭が大口を開けながら長い首を伸ばしユエに迫っていく。

 

 

「【典開(レーゼン)】——『偽典・天移(シュラポクリフェン)』——」

 

 

エクスがユエと青頭の間に転移する。哀れにもエクスの恐ろしさを知らない青頭は諸共喰らおうとする。エクスは顎下から青頭をを蹴り上げる。蹴られた青頭は上に打ち上げられる——わけが無く、エクスの蹴りに耐えられなかった頭が弾け飛ぶ。

 

 

ハジメは“縮地”と“空力”で必死に炎弾と風刃の嵐を避けつつ、ユエの下に来る。

 

 

「サンキュー、エクス。悪いがしばらく時間を稼いでくれ!」

 

 

「【了解(ヤヴォール)】」

 

 

返事をして駆け出す、エクスは攻撃を繰り返す赤頭と緑頭を吹き飛ばす。その隙にハジメは、

 

 

「おい! ユエ! しっかりしろ!」

 

 

「……」

 

ユエに呼びかけるが反応せず、青ざめた表情でガタガタと震えるユエ。黒頭のヤツ一体何しやがった! と悪態を付きながら、ペシペシとユエの頬を叩く。“念話”でも激しく呼びかけ、神水も飲ませる。暫くすると虚ろだったユエの瞳に光が宿り始めた。

 

 

「ユエ!」

 

 

「……ハジメ?」

 

 

「おう、ハジメさんだ。大丈夫か? 一体何された?」

 

 

パチパチと瞬きしながらユエは小さな手を伸ばしハジメの顔に触れる。その後、安堵の吐息を漏らし目の端に涙を溜め始めた。

 

 

「……よかった……見捨てられたと……また暗闇に一人で……」

 

 

「ああ? そりゃ一体何の話だ?」

 

 

ユエの様子に困惑するハジメ。ユエ曰く、突然、強烈な不安感に襲われ気がつけばハジメに「エクスが居るからいらない」と見捨てられて再び封印される光景が頭いっぱいに広がっていたという。そして、何も考えられなくなり恐怖に縛られて動けなくなったと。

 

 

「ちっ! バッドステータス系の魔法か? 黒頭は相手を恐慌状態にでも出来るってことか。ホントにバランスのいい化物だよ、くそったれ!」

 

 

「……ハジメ」

 

 

敵の厄介さに悪態をつくハジメに、ユエは不安そうな瞳を向ける。自分を三百年の封印から解放してくれて、吸血鬼と知っても変わらず接してくれるどころか、日々の吸血までさせてくれるハジメから捨てられるというのはとても恐ろしいものだったのだろう。

 

 

そして、ユエはエクスに劣っているということを自覚している。決してユエが弱いわけではなく、エクスが強すぎるのだがそんなことはユエには関係ない。

 

 

ユエにとってはハジメの隣が唯一の居場所だ。自分より優れたエクスにその場所を盗られる。ハジメもエクスを嫌っているわけではない。それが分かる。そのため、植えつけられた悪夢はこびりついて離れず、ユエを蝕む。ヒュドラが混乱から回復した気配にハジメは立ち上がるが、ユエは、そんなハジメの服の裾を思わず掴んで引き止めてしまった。

 

 

「……私……」

 

 

泣きそうな不安そうな表情で震えるユエ。ハジメはユエが見た悪夢から今ユエが何を思っているのか察する。そして、普段からの態度でユエが俺に好意を持っていることを察している。

 

 

慰めの言葉でも掛けるべきなのだろうが、今は時間がない。それに生半可な言葉では、再度黒頭の餌食だろう。エクスがいるとはいえそれでは危ない場面があるかもしれない。ハジメは、ガリガリと頭を掻きながらユエの前にしゃがみ目線を合わせる。

 

 

そして……

 

 

「? ……!?」

 

 

首を傾げるユエにキスをした。

 

ほんの少し触れさせるだけのものだが、ユエの反応は劇的だった。マジマジとハジメを見つめる。

 

ハジメは若干恥ずかしそうに目線を逸らしユエの手を引いて立ち上がらせた。

 

 

「ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て故郷に帰るんだ。……一緒にな」

 

 

ユエは未だ呆然とハジメを見つめていたが、いつかのように無表情を崩しふんわりと綺麗な笑みを浮かべた。

 

 

「んっ!」

 

ハジメは咳払いをして気を取り直しつつ、時間を稼いでいるエクスに向き直ろうとした時。

 

 

——『死』を幻視した——

 

 

それはベヒモスや爪熊、サソリもどき、ヒュドラ——これまで戦った数多の魔物達が放っていた殺気など比較にならない。

 

 

戦いにならないなんてレベルではない。蹂躙や捕食ですらない。蟻が潰されるように——埃を払う程度に消される。

 

 

そう確信出来る程の殺気だった。

 

 

ハジメとユエはゆっくりとその殺気を発する方向を向いた。

 

 

それはヒュドラの前でこちらを見ているエクスだった。

 

 

ただ立っているだけのエクスにヒュドラは何もしない。震えながらエクスを見つめている。

 

 

「エ、エクス?」

 

 

ハジメは震えながら冷や汗を垂らしつつ、エクスへ話しかける。

 

 

「ふ〜ん。へぇ〜」

 

 

文頭につけていた如何にも機械っぽいのをつけていないのが気にならないほど冷たい声だった。

 

 

エクスはヒュドラへ向き直った。

 

 

エクスに見られたヒュドラは子猫のようにビクゥゥッ!と飛び上がる。

 

 

その後ヒュドラはエクスにより八つ当たりで〝惨殺〟された。

 

 

具体的な描写は避けるが白頭を残し、素手で千切り、潰し、白頭が回復させ、そしてまた潰す。

 

 

ヒュドラに酷い目に遭わされたユエでさえ同情するほど酷い有様だった。

 

 

そして、最後には魔力が尽きたのか、それとも死にたくなったのか白頭が回復しなくなった時にトドメを刺した。

 

 

唖然としているハジメとユエの方をエクスが向く。

 

 

ヒュドラの肉塊と血の中に立ち、血塗れで未だ殺気を迸らせるエクスに見られ、ビクッとなる。

 

 

そんな2人にエクスは尚も冷たい声で、

 

 

「【命令】行くよ」

 

 

そんなエクスに2人は黙って頷くしか無かった……

 

 




ヒュドラ戦殆ど原作と同じでヒュドラの死に様が適当感がある気がしますね……
エクスが遂にガチギレ。哀れヒュドラ。
次回エクスのアフターケアがありますのでご安心を。

ハ「おい、活躍の場があるんじゃなかったのか」

あっハジメさん。い、いや〜なかったっすね(汗)

ハ「死ね」

ドパンッ

ギャァァッ!
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