ありふれた職業の世界最強と歩む機凱少女   作:エルナ

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第6話

エクスはホルアドに転移した後すぐに迷宮に向かった。迷宮は管理されているので勝手に入ろうとするエクスを止めようとする者がいるが機凱種(デタラメ種族)を止められる者がいるはずもなく、エクスは迷宮へ入っていった。

 

 

迷宮に入ったエクスは走りながら、魔物をどこぞのハゲたヒーローよろしく、一撃の元に肉片へ変えていた。

 

 

エクスは今、激しい後悔と怒りを感じていた。本来(感情)のない機凱種(エクスマキナ)では体験することのないことであり、後悔はともかく、怒りはシュヴィですら感じたことのない感情である。

 

 

なので、エクスはこの感情を抑える術を知らない。エクスが急いでホルアドに転移したのは早くハジメを助けたかったのもあるが、八つ当たりで王都を消してしまいそうだったからでもある。

 

 

さて、実は本来ならば魔物を()()()()()()()()()のだ。エクスは現在、魔物達に視認すらさせない速度で走っている。なので魔物達を全スルーして進むこともできる。しかし、エクスはあえて魔物を倒している。その理由は、まぁ、()()()()()である。

 

 

やり場のない怒りを魔物達に当てているだけである。もちろん本能的に危機を感じ、回避したり迎撃しようとする個体もいたが全て等しくエクスにより、肉片へと変じさせられていた。

 

 

そして、エクスの進路上にいた魔物は哀れにもエクスによって理解もさせずに殺された。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

エクスは魔物達を殺しながら、僅か30分でハジメが落ちた60階層までを走破した。

 

 

60階層には10m級の魔法陣があった。そこから、ハジメ達を苦しめた10m程の四足のトリケラトプスに似た魔物——ベヒモスが出現した。

 

 

ベヒモスはエクスを見ると、頭部に付けた兜のような物から炎を放ちながら、エクスへ突進してきた。

 

 

エクスも走り、正面からベヒモスを殴った。そしてこれまでの魔物より数段上のはずのベヒモスは——しかし、これまでの魔物となんら変わらず、機凱種(理不尽)によって肉片へと変えられた。

 

 

エクスは哀れな魔物の仲間入りをしたベヒモスには目もくれず、速度も緩めず奈落へと身を投じた。

 

 

落下途中には滝がいくつもあり、横穴もたくさんあった。その中の1つがエクスの勘にひっかかった。エクスはその勘を信じて横穴へ進んだ。

 

 

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横穴をウォータースライダーの如く流れると川のようなところに出た。エクスは水から出て、機凱種(エクスマキナ)の有する観測装置の全てを使い、ハジメを探し始めた。

 

 

すると、近くに魔法陣があった。大きな魔方陣だが、火種の魔法だった。普通なら10cm程のものでいいのだが、これは1m以上の大きさだった。

 

 

エクスはそれをハジメが作ったものだと断定して、自分の勘に——それをくれた『遺志体(プライヤー)』シュヴィに感謝した。

 

 

エクスは再び、観測装置で周りを探しながら歩き始めた。時々、ウサギや狼の見た目をした魔物が現れたが全てこれまでと変わらず、一撃の元に息絶えた。

 

 

そして、ついに見つけた。エクスは観測装置の示す方向へ走り出した。次の曲がり角を曲がればハジメが居ると観測装置が告げた。その曲がり角を曲がった瞬間。

 

 

そこから、秒速3.2kmの弾丸が飛んできた。普通なら直撃ものだがエクスはそれを()()()()した。

 

 

飛んできた先を見ると、身長が10cm以上伸びていたり、髪が白くなっていたり、左腕が無かったりするがハジメが銃を構えたまま目を見開き、口を開けて驚愕の顔をしていた。

 

 

「えっ⁉︎お前、エクスか⁉︎ていうか掴んだのか⁉︎」

 

 

実はハジメもエクスには気付いていた。しかし、ハジメはまさかエクスとは思わず、新しい魔物とでも思い、不意打ちを決めたのである。

 

 

「【肯定】元気だった、ハジメ?」

 

 

「これで元気に見えるか?」

 

 

ハジメは自分の左腕を見せながら言った。

 

 

「【肯定】その髪は?イメチェン?」

 

 

「見えるのかよ⁉︎後イメチェンじゃねぇよ⁉︎」

 

 

エクスはハジメと話しながら、ハジメの生存を喜び、小さく微笑んだ。




哀れ、魔物。
矛盾点があったらすみません。

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