西片くんの反応が好きな高木さん   作:月瀬 星音

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1話 消しゴム

授業中、隣で怪しげにびっくり箱を作る男子。

 

どうやら、私にびっくり箱を仕掛けようとしているらしい。

 

でも、そんなことはお見通し。

 

何せ私はずっと、びっくり箱を作る男子もとい西片を見ているんだから。

 

鼻息荒くなって夢中になって作業してる。

 

西片はこういう時、絶対私のことを考えている。

 

まあ、大方私が普段からかっているからその仕返しのつもりだと思うけど。

 

西片をからかうことは、私の生活の一部みたいなもの。

 

今日も隙をついて西片をからかわないとね。

 

「ねえ、西片」

西片の体がビクッと震える。

 

動揺してるかな…。

 

「な、何!?高木さん!?」

 

慌てて机の上の物を見せないようにする西片。

 

西片、ほんと分かりやすいね〜。

 

お見通しだよ。

 

「何してんの?」

 

「別に…何も…」

 

嘘つき…。

 

バレバレだよ、西片。

 

「ふーん」

 

そっちも驚かせようとしてるんだから、私もからかわせて貰うよ♪

 

西片は安心したのか、またビックリ箱の続きをしている。

 

この私にバレてないとでも思ってるのかな…?

 

西片、期待しててね…。

 

筆箱が固くて開けられないなぁ…笑

 

「んー」

 

「!」

 

「どしたの?」

 

西片が聞いてくる。

 

「いやー筆箱があかなくって」

 

「ゆがんじゃったのかなー。ちょっと西片あけてくんない?」

 

「あ、うん」

 

私は、筆箱を西片に渡す。

 

「なんだ…」

 

私が開けれないなんて大間違い…。

 

西片、私負けないからね。

 

「簡単にあく…」

 

その瞬間開いた筆箱の中から…。

 

ギャァァァァァ!

 

これだよ!

 

私が求めていた反応は。

 

やっぱり、西片最高。

 

「なんだ西片」

 

そして、先生に怒られる。

 

見てるだけでも面白い。

 

「な、なんでもありません」

 

「くっくっく」

 

この光景に私は笑いが止まらない。

 

「…!」

 

「西片ってホントいい反応するわ〜」

 

そう、私はこの反応が見たくてからかっている。

 

「う、うるさいなっ」

 

そして、この後の少し恥ずかしがるのも私としては…好き…というかお気に入りだ。

 

ほら、また私を負かそうと必死になって考えている。

 

なんか、ちょっと嬉しいな。

 

私のことを考えている西片を見れるなんてね。

 

もちろん、私はからかいたいから他の方法も用意してあるんだ。

 

そういえばさっきから、チラチラ私の方向を見てくる私。

 

どうせ、西片のことだから、"高木さんを困らせるにはどうしたらいいか"なんて考えてるんじゃないの。

 

私は、クルリと横の方を向く。

 

「ねえ」

 

「な…何?」

 

「消しゴム貸して、忘れちゃったの」

 

西片は驚いたような顔をした。

 

そして、彼はこう思うはずだ。

 

高木さん、消しゴムわすれたなんて、おっちょこちょいだね〜なんて思うんでしょう。

 

そんなこと計算済みだよ。

 

「ははん!消しゴムを忘れるなんてドジだねぇ」

 

と言いつつ、素直に消しゴムを貸してくれる西片。

 

西片、今のところ順調に予定通りだよ。

 

「そーね。ありがと」

 

何やら、西片は迷っている。

 

私の反応が思ったよりも淡白だったからかな。

 

私は、すぐ人にデレを見せる軽い女じゃないよ。

 

「そーいえばさーー」

 

「消しゴムに好きな人の名前書いて、使い切ったは両想いになれるってやつあったよね」

 

「あー、あったね。今考えるとホント子供だよなー」

 

西片、全然怪しいと思ってないね。

 

素直だな〜。

 

「ふーん。子供ね…。へぇー」

 

私は西片の消しゴムを見てそう言った。

 

私の顔を見てなんか考えてる。

 

もしかして、この消しゴムに何か書いてあるとか思ってる?

 

「…なんだよ…」

 

西片、動揺して焦ってる。

 

分かりやすいなぁ、西片。

 

「何も…書いてないだろ。オレ…そんな子供っぽいことしないよ」

 

ふふっ。

 

西片ってすぐ人の意見を素直に受け止めるんだから。

 

騙されやすいなぁ。

 

「ほほー、そーなんだー」

 

私はニヤニヤしながら消しゴムを見る。

 

これも、西片をからかうため。

 

「ウソだ。またからかってるんだろ」

 

焦ってる、焦ってる。

 

私は何も言わず、ただニヤつくだけ。

 

西片をからかうにはそれだけで十分だ。

 

西片は今書いてるかもしれないって思ってる。

 

そんな顔してるからね。

 

西片、勝手に自滅しちゃうんだもん。

 

「か…か返してくれよぉ!!!」

 

この雰囲気に耐えきれない西片は焦って半泣き状態だ。

 

「ほい」

 

私は、消しゴムを返す。

 

西片は今日もからかいがいある。

 

「ち…違うんだよ、誰かが書いたんだよきっと」

 

西片…慌てて汗かいてるよ。

 

でも、その消しゴムには…。

 

「何も書いてないじゃん!!てか高木さん消しゴム持ってるじゃん!!!」

 

私、消しゴムに書いてあるなんて言ってないのになぁ。

 

それにしても西片は私の予想通りの反応するよね。

 

後、西片先生がこっち見て睨んでるよ。

 

チョーク持ってるし…。

 

「でっ」

 

案の定、先生は西片にチョークを投げた。

 

今日二回目だからね。

 

「うるせえよ」

 

先生が怒る。

 

凄い、西片。

 

ここまで私が思い描いてきたストーリ通りだよ!

 

「ス…スイマセン」

 

西片は謝る。

 

「ぷくく、あわてちゃって怒られちゃって」

 

相変わらず、からかいやすくて笑ってしまう。

 

は、反応が完璧すぎて…。

 

「もーいいかげんにしてよ」

 

西片のからかいでひと通り笑った私。

 

西片をからかう時間、私幸せだなぁ。

 

西片、まだからかわせてね。

 

「先生ートイレ行ってきていいですかー?」

 

これも、西片をからかう作戦だから。

 

トイレに行く時、西片の悔しがる顔が見える。

 

さあ、どうなるのかな。

 

今頃、西片は私の消しゴムに誰かの名前を書いてトイレから帰ってきてからかおうなんて考えてると思う。

 

私も誰かさんの名前書いてあるから。

 

見られたくはないかなぁ。

 

でも、西片はきっと見ないと私は思う。

 

西片ならね。

 

私はトイレから出て教室に帰る。

 

西片…。

 

やっぱり、そうだったんだ。

 

しっかり廊下見て呆然としている。

 

「ぷくく」

 

私は笑う。

 

「…」

 

からかわれ悔しそうな西片。

 

「ホントいい顔するわね」

 

「…」

 

ほらほら悔しがってる。

 

「しかも、思い通りの行動するし、これだから西片からかうのやめられないわ」

 

私の笑いは止まらはずもない。

 

こんなに、私の思い通りの反応をしてくれる男は世界中にただ1人、西片だけだぁ。

 

「見てろよ、いつか絶対にからかって恥ずかしがらせてやる…!」

 

私だって負けないよ。

 

負けたら、私はからかえなくなるかもしれない。

 

ある意味西片をからかうことは勝負だよ。

 

「期待してるわ」

 

私はあっはっはと笑う。

 

少しバカにしてみる。

 

そうするとね…。

 

「あ!ムリだと思ってるだろ!!」

 

すぐ、負けじと言い返してくる。

 

「まーね」

 

「ホントだぞ!覚悟してろよ!!!」

 

西片、いつか私をからかえる日が来るといいね。

 

私はずっと西片のことからかうから。

 

それに…。

 

消しゴム、気づいてたら私はもうからかえなくなるからな。

 

ま、廊下を見ることは分かってたけど。

 

 

「ムリだと思うよー。大チャンスで二分の一を外すようじゃね」

 

ヒントあげたよ。

 

多分、西片が気づくのはずっと先だろうけどね。

 

「は?二分の一?何?」

 

やっぱり気づいてない。

 

私の期待、裏切れるといいね。

 

「教えなーい」

 

二分の一が誰かって…?

 

ひ・み・つだよ、西片…。

 

 

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