「あなたが、私たちを愛してくれていたことを願って」 作:鋭利な刃
目が覚めた。見たことのない模様のシミのある天井が目に入り込んでくる。
つまり、知らない天井…ということだ。
どうやら僕は、どこか知らない場所に寝転がっているらしい。
体を起こそうとして初めて、僕は布団をかぶって寝ているということに気づく。
…あまり体に力は入らない。どうやら、布団から出ることすらも、今の僕には難しいみたいだ。
しかし困ったな。いったい僕の身に何が起これば、布団から起き上がることすらもできなくなるのだろう? …気になる。
「でもまあ、今の僕にわかるわけないか…」
つまり今の僕にできることは、この布団から出て動けるようになるまで、この布団で寝ている…ということだけ。
やったじゃないか僕。合法で引きこもれるよ。
そして大体三十分ぐらいがたったんじゃないかなぁーってくらいの時間がたった時。
僕は、めちゃくちゃ暇してた。
…いやね、僕は寝ようとしたんだよ? でも寝れないの、まったく。
ほら無い? めちゃくちゃ眠いんだけど、どうあがいても寝れない時って。
それが来ちゃって、全然寝れないの。
…やることないから、自分のことでも思い出してみようか。意外と好きなんだ、こういう事。
僕の名前は、『倉橋 若葉』どこにでもいる、ありきたりな人間だ。
年齢は17歳。好きなことは、ネットでいろんな人が書いてるお話を読んだり、たまにちょろーっと書いてみたりすることが好きだ。
後は…特に無いかな。
仕方ない。頑張って、もうひと眠りといこう。
目が覚めた。まだ少し体はだるいけど、布団から出て歩き回ることぐらいはできそうだ。
周りを見回す。和室みたいだ。床は畳。なんていうか、すごく懐かしい雰囲気の部屋だ。
部屋を区切っている襖を開く。真っ先に目に飛び込んできたのは鳥居だ。…神社なのかな? ここは。
そのまま部屋から出ようとして、靴がないことに気が付いた。地面を見るに、砂利が敷き詰められている様子から、ここを裸足で歩くのは痛そうだ。
外に出る前に、靴を探すことにする。
一通り探した結果、サンダル…というか、下駄? みたいなのを見つけた。試しに履いてみたら、みごとにジャストフィット! とりあえずこれを拝借して、敷地内を歩き回ってみた。
その結果、この建物は『博麗神社』というらしい。誰かがここで生活していたんであろう痕跡は見つかったので、ここに住んでいる人はどこかへお出かけしているのだろう。
その人が戻ってきたら、このサンダルを借りれるか聞いてみよう。
あと分かったこと…というよりかは、見つけたこと、が一つ。
紙だ。見つけたサンダルの上に置いてあった。僕を布団に寝かせてくれた人からの書置きなら布団の近くに置くだろうから、僕宛じゃないと思ったのだけど、試しに読んでみたら僕の名前が書いてあった。
つまり、僕宛だ。でも書いてある事の意味がまったく分からない。なんていうか、僕と同姓同名の誰かへ向けた手紙にしか思えない。
…でも。なぜかその手紙は僕に向けて書かれていると分かった。理由はない。根拠もない。でも、そう確信していた。
『あなたが…倉橋 若葉が私たちを、愛してくれていたことを願って』