side迅悠一
S・R「ゴミゴミゴミゴミ」
赤いスタンドがバムスターをベコベコにする。ハチに取り付いた別世界のハチのスタンド、ザ・ワールドも相当なパワーだったが、このスタンドはそれ以上だ。こんなのを食らって三輪は良く無事だったな。
リサリサ「コォォォォォォ…ワッセローイ!」
ホントにトリガー無しでバムスターを破壊しやがった。
これはハチの妹じゃねぇ…。マジで別物だ…。
ペットショップ「クエェェェェェェ!」
今度は上空にいた隼が戦車くらいはありそうな氷の塊を空中で作ってネイバー兵を押し潰す。
流石のネイバーもあんなトリオンの氷の塊を食らったんじゃひとたまりもねぇ……。氷のミサイルを飛ばすわ体に氷を纏って突進するわ、足元を凍らせて動けなくするわ…鳥がやることじゃねぇぞ。
リサリサ「ぺっちゃぁん!素敵だよぉ~!」
ペットショップ「クルルルルル♪」
これ、相当頭が良い鳥だから良いけど、そうじゃなかったらネイバー並に脅威だぞ。間違っても焼き鳥にしても旨くはなさそうだ。
あっちの川崎の弟も負けじと奮闘している。
いやぁ、単独で防衛任務を共闘してみたけど、こいつらはやるわ。
おまけに波紋使いって奴は疲れ知らずなのか、一晩戦いまくっているのに全然へこたれてない。確か2日も徹夜してるんだよな?
迅「いやぁ~。やるねぇ。いっそ正式にボーダーにはいったら?ペッチャンこ……」
おどけてセクハラも兼ねてスカウト仕様としたら小町のスタンドの指先がこちらに向いて赤く光った。
ピカッ!
…シュウウゥゥゥ………
顔の横の石の瓦礫の壁が溶けてやがる。これが噂のルビーレーザーか……光速ってこういうことかよ。本当のレーザーって目で見えないんだな…。
リサリサ「次にセクハラ発言したらルビーレーザーで頭を貫くからね?本体にダメージが行くスタンド使い仕様で」
イヤイヤ、死ぬだろ。俺は冷や汗をかいて降参のポーズをする。
迅「やべぇ……あれだけは防げねぇ……。そして確実にやるといったら本当にやる…。次にセクハラしたら俺は死ぬ」
命懸けでセクハラする気はねぇ…。ハチ風に言うならこええよ。あと怖い。
リサリサ「ルビーレーザーは一本射ったら同じ赤石からは1分間のクールタイムが必要なんだから無駄射ちさせないで。勿体ない……」
弱点は一応あるんだな。どんな能力も完全な物は無いっていうのはこう言うことか。って…あんなに発射できる宝石が体中にあるのにか?弱点はまだあるみたいだな。
迅「かるっ!俺の命の扱いがかっる!射たない理由がクールタイムが勿体ないからっていう理由!?その非情さに痺れる憧れる!」
なんかおかしな事を言ってないか?俺……。
リサリサ「とっとと次に行きますよ?次のネイバーの出現場所はどこ?」
小町はオペレーターに連絡を付ける。普通なら女の子の声が響くハズのそれは…
ジョセフ『そこから南に二キロじゃ!』
ジョースターさんの声……。
迅「何でオペレーターがジジイなんだよ…」
リサリサ「舌っ足らずのスージーのサポートだよ。仕方ないでしょ。オペレーションは出来てもまだ四才なんだから」
4才児がオペレーター出来るのも逆にスゲーな!
迅「幼女とジジイがオペレーターって……ボーダー史上こんなに色気がないオペレーターもねぇな……」
リサリサ「………」
小町は無言でサンシャイン・ルビーの指を向ける。その目は一切の慈悲も込められていない。
迅「何でもありません…お嬢様」
素直に謝ることにした。忍田さんが全面的降伏をするのもわかる。あの目はまずい。人を殺すのに何のためらいもない奴がする目だ。
裏社会とも繋がりがあるってのもあながち嘘じゃない。
イタリアのギャングはヤバイな…。
リサリサ「次は無いですよ」
小町は音速で移動して次のネイバー兵の所へと向かった。速いよ!何てスピードだ!
迅「あ…あの小町の目…養豚場の豚でも見るかのように冷たい目だ。残酷な目だ…“かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね”って感じの!
ゆるせねえ!天使のようにカワイイだけになおさら怒りがこみあげるぜ!」
宇佐美『迅さん、早く移動してください!それでもS級ですか!』
あの子を相手にするとペースが乱れるな…ホントに比企谷小町か?余りに違いすぎる。
side比企谷八幡
ガハマ「あ、あの…比企谷さん。本当に行かなきゃダメですか?」
遥の予備の制服を着てガハマが行きたくなさそうにしている。
怖いのだろう。ボーダーの隊員から聞いた由比ヶ浜結衣の評判の悪さ。そんな異世界の自分に会いたくないのが本音だろう。
俺だってイヤだ。ジョジョが基本世界という本来進むべき世界の俺も何故か理由は思い出せないが(未来の出来事を知ると、その出来事は世界の修正力で記憶にプロテクトがかかるらしい。迅さんのサイドエフェクトやトト神というスタンドの予知は例外とのこと)、学校中の悪意がその比企谷八幡に向けられていたらしく、ジョジョはその比企谷八幡に会うのが怖かったと言っていた。
多分、ガハマも同じなのだろう。
八幡「覚悟を決めて来い。お前は覚悟を決められる奴だと聞いているぞ?」
ガハマ「こういう覚悟は決めたくないよぉ」
だが、ガハマは勇気を出せる奴だ。昨日見た過去の出来事の映像で見たガハマの勇気…。普通の奴なら逃げ出しているのをこいつは立ち向かった。由比ヶ浜とは明らかにこいつは違う。
八幡「止めるか?俺は強制しないぞ?お前がとても大変な状況なのは知っている。だけど、ジョジョの奴はお前が乗り切れられると信じている」
SH「結衣どの…自分もだ。自分は早く結衣どのの屈託のない笑顔を見てみたい。共に行こう!」
材木座もどこか違うな。改めて見てみると、こいつらも俺達と変わらんのかもしれない。
ガハマ「……中二……ヒッキー……」
ガハマは俯いていた顔を上げる。
遥「頑張って。ガハマさん。あなたの辛さは私にはわからないけど、アーシスとして戦ったあなたはきっと強くて自分に負けない人だと思うから…」
遥の励ましにガハマはしばらく俯いた後に目に力を入れて強く頷く。
ガハマ「うん……ありがとう。比企谷さん。綾辻さん。怖いけど……行ってみる。大統領閣下も元気付けてくれたし、本当ならあたしを嫌っている比企谷さんだって励ましてくれてるんだもん…。ここで行かなくちゃ、辛かった今までも嘘になっちゃう。げんそーきょー?に行った優美子や姫菜、スタッチ、サブレ。それにゆきのんだって辛くても頑張ってるんだ…。あたしだって…」
嫌ってはいない。ガハマが由比ヶ浜であるからあいつと同一視していただけだ。
ガハマは強く歩を進める。由比ヶ浜はこんな強い瞳をしない。
八幡『強いんだな…お前の世界の由比ヶ浜は。最初に冷たい態度を取ってしまって悪いことをしたな…』
ジョジョ『それはアイツが変わろうとして変わって来たからだと思う。俺達はきっかけに過ぎないな』
どこで間違ったんだろうな?由比ヶ浜も俺達も。
何かが違えば由比ヶ浜もガハマのようになっていたかも知れないと思うと残念になる。
八幡『材木座のガンズ・アンド・ローゼズの戦いを見せてもらったが、戦う力が無いのに少しでも役に立とうとあの場に飛び込む…並の勇気ではない。俺があの由比ヶ浜を悪く言った時にお前が怒ったのもわかる。先入観って怖いな…正しいものも雲って見えてしまう』
ジョジョ『それはお前らに対する俺にも言えるな。ボーダーの世界……捨てたものじゃあない。舐めてたことを謝る』
ガハマを通して、少しだけ俺とジョジョの距離が縮まった気がした。これを見越していたんなら、やっぱりジョセフさんはただ者じゃない…。
ー校舎内ー
俺はジョジョに体を明け渡し、事の次第を見守る事にした。
ジョジョは懐かしがっている。そうだよな。消える運命が分かっていた上で千葉村の戦いに挑んだんだ。本当なら二度と見ることがないと思っていたんだろう。例えそれが異世界でも。
でも早まったか?ジョジョは葉山や平塚は大嫌いみたいだ。
それに、俺が授業をサボるイメージでいるのはやめろ。俺は真面目に授業を受けている。
同じ俺だ。考えていることはわかる。…じゃねえよ。
八幡『既に大学出てるお前と一緒にするな。これでも勉強は真面目にやってるんだよ』
ジョジョ『Capisco che è giusto.(さいですか)』
八幡『イタリア語で喋るな!』
俺で遊ぶな悪霊!ちょいとでもお前に同情した俺がバカだったよ!
戸塚「はちまぁん♪って、その目は……」
ジョジョ「よぉ~戸塚。お察しの通り、ジョナサン・ジョースターだ」
戸塚「………トラブルだけは起こさないでね?」
ジョジョだとわかった瞬間に表情が固くなる戸塚。
おい、戸塚に何て顔をさせるんだ。
ジョジョ「善処する。まあ、好きでトラブルを起こしたいわけじゃあない。八幡が気を利かしてくれたんだ。感じるままのこの世界を見ろってな」
戸塚「今一信用できないなぁ…」
沙希「まったくだよ」
俺も急に不安になってきた。ちなみにガハマとシュトロハイムは生徒会室で待機中。同じ人間が二人同時にうろつく訳にはいかんからな。
ーキングクリムゾンー
昼休み。
ベストプライス
不安は的中した。やらかしやがったこの野郎!
いろは「………で、平塚先生の授業をメチャクチャにしたと……」
ジョジョ「いやぁ、アイツの顔を見ると殺気が押さえられなくて♪」
遥「それで体調不良者続出させてちゃ世話がないでしょ!しかも平塚先生をゴミ箱に捨てるって何してるのよ!」
ホントだよ!どんだけ平塚先生の事が嫌いなんだ!
ジョジョ「何もしてないのに殴りかかって来る方が悪いんじゃあないか。窓から捨てなかっただけ良心的とまである」
恐ろしい奴だな!ギャングってやべぇな!よく平気でその発想が出来る!
俺達に出来ない発想が出来るその神経に痺れぬ!憧れぬ!
戸塚「まったく嘘を言っていないのが逆にタチが悪い!」
歌歩「先に暴力を振るったのが平塚先生のほうだったからおとがめ無しだけど…。立派に過剰防衛よ?ジョジョ」
ジョジョ「心の奥隅に止めとく。次はスタンドで迎撃する」
そういう問題じゃないだろ!
出水「善処すらする気が無いのが逆に清々しいな」
もっと言ってやれ!出水!
遥「あっちの世界の空条徐倫先生の苦労がわかる気がするわ…」
苦労してそうだよな、そのジョセフさんの曾孫。
ジョジョ「誉めるな。照れるぞ」
遥「誉めてないから!」
ペチッ!
遥のチョップが頭にヒットする。
ジョジョ『なにこれ、膨らました頬がカワイイじゃないか』
おいこら(# ゜Д゜)
遥を口説いたら殺すぞ。袖の白雪で砕くぞ。
いろは「むぅぅぅぅ~…ハチくんが浮気してる~…」
お、一色。よくこいつを正気に戻した!
ハチくん呼びは不問にしてやる!
ジョジョ「す、済まなかった…いろは…」
なでなで。
おいこら(# ゜Д゜)
人の体を使ってなに遥の前で一色とイチャイチャしてんだ?
いろは「えへへへ~……初めて先輩に名前で呼ばれた」
俺じゃない!一色、正気に戻れ!
遥「体は八幡くんのなんだから一色さんとイチャイチャしないで!」
うわぁ…後で遥にフォローしとかねぇと。
ジョジョ…許さん(# ゜Д゜)
ガハマ「安定のヒッキーだ……悪い意味で。空条先生がいたら間違いなく拳骨が落ちてたし……で、ヒッキー、クラスを見ていてどうだった?」
やっと本題に入ったか。
ジョジョ「葉山グループがうざかった。何度窓から捨ててやろうかと思った。三浦が女王様みたいで面白かった。アーシスの本人に見せたら「あれはあーしじゃあないし!ヒキオ見んなし!」とか言いそうだった。この世界にいないのが悔やまれる」
そこじゃねぇよ!そして三浦の真似が上手いな!思わず吹き出しそうになっちまったよ!
SH「それは面白そうだ……じゃあないわ!八幡!肝心の由比ヶ浜殿はどうだったのかと聞いておるのだ!」
ジョジョ「そういう意味だったのかよ。早く言えよ。モグモグ…旨いな、綾辻のハンバーグ弁当。これはいろはのよりも上かも知れんぞ?」
てめぇ…(# ゜Д゜)
せめて今だけ俺に体を返せ。
なに遥の特製ハンバーグ弁当を堪能してやがる!
昼休みの楽しみを返せコラ(# ゜Д゜)
遥&いろは「嬉しいのか嬉しくないのか複雑な気分…」
(それぞれ逆の意味)
遥は旨いと言われて嬉しい気分だが、ジョジョに誉められても嬉しく無いだろう。
一色は別に向こうの一色の話だからどうでも良いと思っている反面、やはり自分よりも旨いと言われればムッとするだろう。
ガハマ「いつかは中2にあたしのお弁当を……」
おっ?ガハマはシュトロハイムに気があるのか?
SH「う、うむ……楽しみにしておるぞ?結衣殿」
待て。確かこいつのクッキー作りのシーンでは雪ノ下とガハマが何度も死にかけてたよな?その都度あっちの一色が手当てしていた映像があった。
死ぬなよ?シュトロハイム。
え?一色をスタンド使いにする矢を刺す?
おいやめろ。スタンドってのは本人の本質を超能力にしたものだろ?
一色の本質…絶対にナイチンゲール・エメラルドとかというのとは別の物が出る未来しか見えない!
やっぱり迅さんのサイドエフェクトが俺に出てるのか?!俺のサイドエフェクトが言ってるとかいっちゃうの!?
SH「弁当の話は今はどうでも良い!どうだったのだ!?こっちの結衣殿は!」
あ、脱線してた。ハチマンハンセイ。
ジョジョ「あ、そうだった…。まぁ……何て言うか…現段階では何とも言えんな。葉山グループとうるさくしていた…というくらいか?あ、あと…」
ジョジョは一拍置いてから。
ジョジョ「なんか逆恨みされてる感じがした。何かあったのか?」
とか言いつつ、何か思い当たる何かを見つけたようだ。
俺が由比ヶ浜に逆恨みされるエピソード?
俺はジョジョの思考を見てみる。
………あ、俺の方ではそのエピソードは無かったわ。あの時、俺は確か………。
←To be continued