やはり俺の社畜物語は間違っている。   作:雪楓❄️

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番外編:12

side比企谷小町

 

リサリサ「………うう……ぐすっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……寂しいよ……うう………」

 

やっと見つけたリサリサちゃんは…すごく泣いていた。

わかるなぁ…小町もあのときは…。

 

小町「……リサリサちゃん……」

 

リサリサ「この世界の小町……うっ……」

 

聞くとリサリサちゃんは、異世界の自分が嫌いらしい。

だから、泣いている姿を小町に見せるのは嫌だったとおもう。

それに、信じられないことにリサリサちゃんは、ジョナサンお兄ちゃんの事が好きなのだとか…。しかも異性として。

そこだけは分かり合えないけど、肉親を失った悲しみはわかる…。

 

小町「そうだよね。わかるよ…リサリサちゃん」

 

リサリサ「何がわかるっていうのさ!小町にはお兄ちゃんしかいなかったんだよ!だから小町はどの世界の小町よりも…お兄ちゃんよりも強くなって守りたかったんだよ!なのに……なのにさ……うう……うわぁぁ!前世だってそうだ!せっかく強くなったのに、小町は何も守れなかったんだよ!ジョージも!エリナお母さんの心も!シーザーも!ジョセフだって左腕を失っちゃった!死んでもおかしくない状況だった!そして…お兄ちゃんだって……小町は何の為に強くなったのさ!」

 

リサリサちゃんは凄く怒る。だけどね、同じだもの…小町がボーダーに入ろうと思ったのだって…。

 

小町「………わかる…何て言うのは自惚れかもね…だけど、小町だってそうなんだよ。たった一人の残った肉親が…お兄ちゃんだったんだよ…」

 

小町はリサリサに抱きついた。

 

小町「小町もね……お父さんとお母さんがネイバーに殺されちゃって…もうお兄ちゃんしかいないんだ…遥お姉ちゃんの両親や城戸さんが今では親代わりになって小町を見てくれるけど、本当の肉親は……お兄ちゃんしか…うう……だからね…小町がボーダーに入ったのは…少しでもお兄ちゃんの負担にならないようにって……少しでも強くなりたいって…そう思ったからなんだ……だから同じなの…小町も……」

 

リサリサ「小町……」

 

そうだよ。小町はまだ弱い。リサリサちゃんほど強くない。だけど、お兄ちゃんの助けになりたい気持ちは負けない。

小町の言葉にリサリサちゃんは何かに思い至ったようで、小町を抱き返してきた。

 

リサリサ「ごめん……小町だけじゃあなかったんだよね…態度が悪くてごめんね……うう……うわぁぁぁぁぁん!」

 

小町「良いんだよ…小町だって態度が悪かったから…リサリサちゃん、吐き出そうよ……辛いこと……小町も一緒に泣いてあげるからさ……うわぁぁぁぁぁん!」

 

二人の小町達は抱き合いながら大声で泣きわめいた。

肩肘を張ってたんだなぁ…。頑張ったよ、リサリサちゃん。

何があったのか記憶にプロテクトがかかっているみたいだけれど、基本世界の小町はその世界の比企谷八幡の逆鱗に触れてしまい、それが原因で仲違いしていたらしい。本気の悩みに興味本意で深入りしようとしたのだとか…。それを見たリサリサちゃんは基本世界の小町に失望したのだとか…。

そして、見てきた平行世界も運の悪いことにそんな世界ばかりだったみたい。中にはこじれた仲が戻らずに本気で憎み合ったり、お兄ちゃんが死んじゃったり、家から追い出された世界があったり…。

戦う理由も浅はかだったりとか…。まぁ、リサリサちゃんみたいな壮絶な人生と比べられたらどの人生も浅いだろうね…。小町もそう見えたんじゃないかな。

だからリサリサちゃんは誓った……どこの世界の小町よりも強くなろうって…。逆にお兄ちゃんを守れるくらいに…。

 

小町「………はぁ……。それはないよ。小町だってそんな小町ばかりだったら平行世界を嫌いになっちゃうかもね…。じゃあ、初めてなんだ…リサリサ小町が仲良くなれそうな小町って…」

 

リサリサ「……………うん。でも、これは小町の思い込みだったんだね…もし、今まで会った他の世界の小町に会えたら、もう一度正面から向き合って見ようと思う。その上で嫌いだったら……コレ…かな?」

 

リサリサちゃんは指をピストルのように形作る。それは洒落にならないよ…リサリサちゃん。

 

小町「アハハハハ。冗談に聞こえないから止めようね?でも、お兄ちゃんを憎んでる小町は懲らしめてもいいかもね。アホな事を言うゴミぃちゃんだけど、そこがカワイイって何で思えないのさ!ってね」

 

なんか奉仕部の二人みたいな小町だね。そんな小町を見たんなら、平行世界の自分を嫌いになってもおかしくないかも…。ガハマさんが凄い怒ってたし。

 

リサリサ「小町も十分ブラコンだよ…もう、愛人の座を狙わないとね」

 

小町「ごめん。ブラコンなのは悔しいけど認めるとして、愛人とかのそこだけは分かり合えない」

 

それだけは絶対に相容れられない。お兄ちゃんはお兄ちゃんだ。だから男として見るだなんてあり得ない。

 

リサリサ「アハハハハ!やっぱり?」

 

小町「うん。それだけは越えられない一線だよ」

 

小町の目はどんよりしてるだろうね。

ジョナサンお兄ちゃんの目みたいに。

 

小町「それにしても、ルビーレーザーにあんな弱点があったなんて…」

 

悔しいくらいに強いサンシャイン・ルビー。だけど、あのスタンドにも意外な事に弱点があった。

 

リサリサ「完璧な能力なんて無いんだよ。ジョセフの孫に承太郎おじさんっているんだけどさ。承太郎おじさんのスター・プラチナってスタンドはお兄ちゃんのザ・ワールドと同じタイプのスタンドなんだ。それでね、スター・プラチナはスタンド使いの中でも最強って恐れられているんだけど、承太郎おじさんはそうは思ってないんだ」

 

ジョセフさんの孫?そう言えばその人がジョナサンお兄ちゃんのもう片方の前世、DIOを倒した人だよね?

 

小町「最強?サンシャイン・ルビーじゃなくて?」

 

リサリサ「そう、スター・プラチナはサンシャイン・ルビーと同じなの。射程と成長を除いては最強のスペックだし、サンシャイン・ルビーにはないザ・ワールドと同じように時を止める能力もあるんだ…だけどね、おじさんは言ってたの…」

 

承太郎『経営や人間関係、何気ない会話での駆け引き。そんな目に見えない戦いなんていくらでもある。俺は自分が強い気になっていて、そんな戦いとかからいつもジジイに助けられていた。そういった戦いは、俺のスタンドは何の役にも立たない。スタープラチナは、そういった俺の不器用さを皮肉にも現している。ジジイのハーミットパープルが時々うらやましく思うときだってあるんだ』

 

わかる気がする。ジョセフおじいちゃんのスタンドや波紋って相当器用で応用力が凄いもの。お兄ちゃんをあそこまで追い詰める人なんて中々いないよ…ましてや一人で…。

 

リサリサ「お兄ちゃんとの会話で、承太郎おじさんがそう言っているのをたまたま聞いちゃってさ…ああ、承太郎おじさんのスター・プラチナと小町のサンシャイン・ルビーは似てるなって…数字的な物は強くても、サンシャイン・ルビーは不器用なんだ…ほんと、たまにジョセフのハーミット・パープルやお兄ちゃんのザ・ジェムストーンが羨ましく思うよ。特にザ・ジェムストーン」

 

小町「ザ・ジェムストーン?ザ・ワールドじゃ無くて?」

 

初めて聞く名前だね。そう言えばジョナサンお兄ちゃんのスタンド、水色のザ・ワールドだったような。あれがザ・ジェムストーン?

 

リサリサ「お兄ちゃんは二人の人間の転生だから、スタンドが2つあるの。ジョセフのハーミット・パープルはお兄ちゃんも使えるんだ。それを融合させたのがザ・ジェムストーン。何で八幡さんがザ・ジェムストーンを使えないのかはわからないけど。あのスタンドは何でもありだよ…」

 

実際どう違うのかわからないけど、リサリサちゃんがそう言うならそうなんだろうね。

 

小町「小町からしたら、波紋を使えるリサリサちゃんも十分に化け物だけどね。三輪さん達が生身にやられたなんて未だに信じられないもん」

 

三輪隊が何も出来ないでやられた…。小町にとっては天上の人の三輪隊が…その強さに嫉妬しちゃったよ。

リサリサちゃんはうん!と頷く。何だかんだで吹っ切れたみたい。

そして、目にいつもの闘士を宿らせた。

 

リサリサ「迅さん、出てきて。出歯亀はポイント低いよ?」

 

いたんだ…迅さん。

心配してくれてたんだね…。ぼんち揚げをボリボリ食べながら出てきた。

 

迅「バレてたのかよ。でも、俺のサイドエフェクトが言っていたのさ。本来は止めるべきだった小町の行動だけど、リサリサの為にもこのまま行かせて様子を見ろってな」

 

やっば!何も考えずに出てきたけど思いっきり隊務違反じゃん!城戸さんに怒られる!

 

リサリサ「小町……逃げて。ゲートが来る」

 

迅「今はベイルアウトが出来ない。捕まったりトリオンが破壊されたら終わりだぞ」

 

リサリサちゃんと迅さんは構える。

え?ゲートが…。

来た。バムスターが多数……。

 

迅「本気を出すぜ。風刃」

 

迅さんのブラックトリガー、風刃…。

本気の本気だ…。

 

リサリサ「サンシャイン・ルビー!&トリガー・オン!」

 

スタンドを構え、リサリサちゃんもトリオン体になる。

だったら小町だって!

 

小町「まって!小町も戦える!」

 

迅「C級が生意気を言うんじゃない!C級が防衛任務が出来ない理由には意味があるんだ!早く本部に戻れ!」

 

本気で怒鳴る迅さん。そう、ランクとか階級とかには意味がある。

何で?何でC級はダメなの!?

 

小町「で、でも…二人だけじゃ……」

 

リサリサ「良いから逃げて!」

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミ!」

 

もうバムスターの射程に入る。これ以上は話す余裕が無いのか、サンシャイン・ルビーのゴミゴミラッシュが始まった。見えない…コレが本気のサンシャイン・ルビーのスピードとパワー…。バムスターの手足をベコベコに凹ませて動けなくする。

 

迅「そらよっ!」

 

そこに迅さんがバムスターの弱点の目を斬り、まずは一体…。

 

リサリサ「やりますね、迅さん」

 

迅「伊達にS級をやってる訳じゃないんでな!後退しなよ、リサリサ。佐鳥のツインスナイプが来るぜ!」

 

リサリサ「便利だね、そのサイドエフェクト」

 

バックステップで距離を取り、リサリサちゃんが下がるとトリオンの弾がバムスター2体の目を破壊する。

即席のチームなのに凄い…。コレがS級とS級クラスの戦い…。合わせるのが上手い。

 

いろは「そっちの世界のわたしなら……エメラルド・ストライクぅぅぅ!無理無理無理無理!」

 

二宮「真面目にやれ。一色」

 

いろはさんが間に合ってくれた!でも、無理無理とかエメラルド・ストライクって…。あっちのいろはさんのスタンド能力なのかな…。

いろはさんと二宮さんが放ったトリオンキューブが雨のように降り注ぐ。何体かを一気に倒し、何体かに損傷を与えた。

 

陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃあ!」

 

いろはさん達が損傷を与えた敵に、陽乃さんが弧月で目を切り落とす。だから陽乃さんまで変な掛け声を…

 

八幡「ザ・ワールド&スコーピオン!無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

お兄ちゃん!

お兄ちゃんがザ・ワールドで無駄無駄ラッシュをしながら動きを止めて本体を切りつける!

そこに別のバムスター2体が小町が逃げた方向に向かってきた。どうしよう…訓練用のトリガーしかないよ!

 

八幡「初めて使うが…ハーミット・パープル&スコーピオン!」

 

お兄ちゃんがスコーピオンをハーミット・パープルに持たせ、器用に曲げてバムスターの目を破壊した。バイパーじゃ間に合わないからハーミット・パープルを使ったんだ。確かに器用なスタンドだね。

 

???「震えるぞハート!ぶっ壊すほどシュートォ!仙道波紋のバイパー乱れ射ちだぜ!」

 

………変な声が聞こえた。

波紋って言うからにはアーシスの世界の人なんだろうけど、大志くんの声とは違う…。

こんなに勝ち気に溢れた声じゃない。シーザーくんとも違う。

目を向けた先には……緑色のマフラーにバンダナ、跳ねた黒髪、星の痣が首にある若い男……。前世のジョナサンお兄ちゃんにそっくりなこの男は…。

 

若ジョセフ「ここよここ!ここに俺がいることを忘れないで欲しいのよ!リサリサ先生!」

 

ホントに誰!?

あ……確か映像で出てきた…。

 

小町「……あれって若いときのジョセフさん?」

 

リサリサ「やめてジョセフ…身内の恥を晒さないで」

 

もう別人だよ!ダンディーなジョセフさんの見るかげがなくなってるよ!

それに、恐ろしかったのは次だね。

 

リサリサ「みんな!」

 

一同「げ…………」

 

クルッ♪シュゴォォォ!×多数

 

一同「逃げるんだよォォォ!」

 

このサインって…全方位バージョンのルビーレーザー!

逃げなきゃ!

あれっ?でも、サンシャイン・ルビーを出してないよ?代わりに射手がやるような事をしている。

 

リサリサ「ゴミゴミゴミゴミィ!ワッセローイ!」

 

バシュゥゥゥゥン!

 

ルビーレーザーじゃなかった。射手の特訓で使っていたトリオン弾!

残りのバムスターはリサリサちゃんのトリオンの威力で吹き飛ばされ、立ち上がろうともがく。

やっぱり波紋の戦士のトリオンは化物だよ。

そこに…

 

佐鳥「ゆっくり狙えるぜ。ナイスだリサリサ」

 

佐鳥さんのスナイプが残りの敵を倒す。

 

ガハマ「あははは……やっと着いたのに終わっちゃってるよ…」

 

シーザー「また出番なしか…」

 

遅れて到着したガハマさんとシーザーくんがガックリ肩を落とした。ふぅ…一瞬ヒヤッとしたけど何とか終わったね。カッコ良いなぁ…リサリサさん。

でもこの強さは才能に胡座をかいている強さじゃない。

辛かった前世のようにならないために必死で努力した結晶なんだ。

小町も頑張ろう。リサリサちゃんのように…。出遅れたけど、負けないよ!リサリサちゃん!

 

 

キングクリムゾン

 

城戸「小町……このバカもんがぁ!」

 

城戸さんの一喝が小町を襲う。

 

リサリサ「いやぁ……城戸さん。悪いのは小町……じゃあなくてエリザベスの方で…」

 

城戸「勿論お前もだ!まったく…余計な事しかせんな!エリザベス・ジョースター!いや、比企谷小町!」

 

小町&リサリサ「ひぅっ!」

 

城戸さんはメチャクチャ怒ってる…。隊務違反だもんね。完全に。

 

城戸「良いか?小町。Cランクに防衛任務を禁じているのは訳がある。それは己の力量や力の使い方を図り間違えている者が戦場に出れば、被害を拡大させる事は勿論、命を落とすことがよくある。C級を戦場に出さないのはそういった最悪の場面を少しでも避ける為にやっているんだ。いくら強くても、C級はその辺がまだ未熟。それを解らせる為に、地道に訓練させているんだ。最近では勘違いをしている者も少なくないが…」

 

城戸さんは深く椅子に腰掛け直した。

やっぱり小町はクビなのかなぁ…。

 

小町「小町は…やっぱりクビ?」

 

城戸「……今日はどこぞのアホ娘がやらかしたせいでシステムがほとんどダウンしていた。よってC級がネイバーと戦おうとした記録は残念ながらない。あの場の映像に移っていた比企谷小町はエリザベス・ジョースターなのだろう。スタンド使いだかなんだかは知らんが、変な超能力を使うアホ娘だ。C級の隊員はあの場にはいなかった…今回だけはそう言うことにして大目に見よう。だが、次はないぞ?小町」

 

そう言われ、小町は城戸さんに抱き付いた。

 

小町「ありがとう!城戸さん!大好き!」

 

城戸「こ、こら!やめんか!」

 

やっぱり厳しくてもこの人は小町のお父さん代わりだ。

だから小町は城戸さんが大好き!

 

←To be continued


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