やはり俺の社畜物語は間違っている。   作:雪楓❄️

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番外編:13

side比企谷小町

 

シーザー「シャボンランチャー!」

 

シュルシュルシュルシュル!

 

那須「曲げる技術は巧いわね。けど、途中で曲げる方向に迷っている節があるわ。射ってから考えるんじゃなくて、最初から弾道を決めておくの」

 

シーザーくんはバイパーのスペシャリスト、玲さんから教わってシャボンランチャーの撃ち方を訓練していた。

ジョセフさんから玲さんに教えて貰うように指示されたらしい。

オペレーターをめぐりさんにお願いしてターゲットを頼んでいる。

 

那須「あと、シャボンの操作に集中するあまりに自身の動きが疎かになっているのも欠点ね。弾を射つっていうのは攻撃をするというのと同時に自分の位置を相手に教えていることになるの。今は難しいかも知れないけど、常に動きながら弾の操作や弾道の計算をするのが良いわ」

 

バイパーは難しいんもんね。

 

シーザー「ありがとうございます!那須師匠」

 

あれ?シーザーくんの師匠ってリサリサちゃんだよね?リサリサちゃん怒らない?と、思って見てみると、別段リサリサちゃんは特に気にしてないみたい。

 

那須「良いのよ。シーザー君は素直で筋が良いから教え甲斐があるわ。今言ったことを頭に置いて試してみて。こう言うのは数をこなすことよ。でも、動きながら敵を観察することを忘れちゃだめよ?」

 

那須さんがニッコリ微笑むと、シーザーくんは顔を赤らめて素直に返事をした。

玲さん綺麗だもんね。母性的っていうか…。

 

シーザー「はいっ!」

 

シーザーは那須さんの言うことを守り、忠実に訓練を重ねる。

一方で結衣さんも熊谷先輩を師匠に訓練していた。こっちの由比ヶ浜さんとは二度と会うことは無いだろうから、普通の呼び方にすることが全員で決めた。

いっそ結衣さんだけ入れ替わらないかな?

ジョナサンお兄ちゃんも見限ったみたいだしね。

ジョナサンお兄ちゃん、やり過ぎて無いかが心配だよ。

平塚先生をゴミ箱に捨てる記録があったし。(このあと、こっちでも平塚先生を捨てていたことがわかった)

 

熊谷「攻撃手というのは何も攻撃をすることだけが役目じゃないわ。あたしなんかがそうだけど、玲をガードするのを主眼に置いているから撃破は高くないけど、それでもチームには役に立っている。聞けば由比ヶ浜は雪ノ下とコンビを組むことが多いんだよね?」

 

ガハマ「はいっ!ゆきのんはあたしよりも強いですよ?でも、ゆきのんはどちらかといえば射手と攻撃手を合わせたようなオールラウンダーだから、あたしなんかが役に立つのかなぁ」

 

熊谷「攻撃手二人でコンビを組むなんて良くある話だよ。むしろ、相方の死角を上手くカバーするのだって立派な役目さ。戦術が苦手なら、相方の取る戦術を信じてフォローに回る事も戦術の1つだよ。頼りきりもダメだけどね」

 

ガハマ「分かりました!もう一本お願いします!」

 

熊谷「素直だね。もう少ししたらシーザーを相棒に見立ててコンビの戦いかたをやってみよう」

 

ガハマ「はいっ!よろしくお願いします!」

 

那須隊にコーチをお願いして正解だったみたいだね。

二人とも優しく教えるのが凄く上手い。

 

茜「リサリサちゃん。よそ見しないでスナイパーの訓練を続けよう。リサリサちゃんの訓練って凄く分かりやすいよ」

 

茜ちゃん、小町以上にリサリサちゃんに頼ってる…。

リサリサちゃん、強いしスナイパーの訓練しているみたいだからわかるけど、ちょっとジェラシー…。

 

小町「むううう…」

 

リサリサ「友達取らないからヤキモチ妬かないでよ小町ちゃん…」

 

小町はリサリサちゃんに訓練をしてもらっていた。

同時にリサリサちゃゆは茜ちゃんの狙撃訓練を見ている。

ちなみに前のシステムダウンや小町の隊務規定違反についての罰則はボーダー本部すべてのトイレ掃除で済んでいる。リサリサちゃんは金銭的な事を気にしていたけれど、その辺はジョセフさんが弁償したらしい。

何でも資金に困らないようにと大統領から持ってきて貰っていた金塊を売り払い、この世界で株をやってジョセフさんは資金を増やしていたとか…凄すぎない!?

そのお金を使ってリサリサちゃんやらかしたケガをさせちゃった人への慰謝料を補填してくれたのだとか…。

お陰でアーシスへの風当たりも小さく済んでいるみたい。

こんなスーパーおじいちゃん、見たことがないよ…。

リサリサちゃんが帰ったら2倍働くとか言ってた。

え!?世界的財団の千葉支部の社長!?嘘だよね?

ホントみたい…。

 

めぐり『良い感じに訓練が進んでるね?リサリサちゃん』

 

小町「はい。迷惑ばかりかけたのに……」

 

めぐり『その分、防衛任務で頑張ってくれてるからね。三輪くんとかはまだ怒ってるけど』

 

三輪さんか…あの人のネイバー嫌いは相当だからなぁ…好きな人はいないと思うけど。

リサリサちゃんが言うにはどの世界の三輪さんとも必ずトラブルを起こすのだとか…。

三輪さんのケガが特に酷かったからなぁ…。よっぽど鬱憤が溜まってたんだね。だから最初は小町もリサリサちゃんに怒ってたんだけど。

 

那須「もう少し練習したらチームランク戦形式で模擬戦をやろっか。リサリサちゃんはライトニングで狙撃手役をお願い。結衣ちゃんとシーザーくんがベイルアウトしたらリサリサちゃんも負け。リサリサちゃんはスタンド無しの狙撃のみね?これはあくまでも二人の訓練なんだから」

 

リサリサ「アイアイサー♪」

 

こうして二人の訓練が始まった。

最初こそシーザーくんの波紋による身体能力に翻弄されていた那須隊だったけど、そこはボーダーの中でも戦い慣れている那須さんと熊谷さん。

すぐに慣れて戦績は那須隊の方に軍配が上がった。

だけど、二人もただやられているだけじゃなかった。

厳しいことを言われながらも二人は真摯に受け止め、少しずつ戦術を踏まえて動きが良くなってきたのが素人目にもわかる。

 

リサリサ「シーザーの評価を霊長類ヒト科オシリアイに戻してあげよう」

 

オトモダチですらないんだ…。

 

小町「いや、そこはオトモダチにしようよ。あと、ライトニングのスピードがおかしいよ?あれがアイビスだったらと思うとぞっとするよ…」

 

数ヵ月後、雨取千佳という子を見たとき、小町はこの時のリサリサちゃんの事を思い出したけど、それはまた別のお話だ。

 

 

キングクリムゾン!

 

三輪「む……お前はリサリサ…」

 

リサリサ「あ、三輪さん……」

 

三輪「………」

 

訓練の後、リサリサちゃんはそのまま防衛任務に入るので、途中まで一緒に移動していたときに三輪さんにバッタリ会った。タイミング悪いなぁ…。

 

リサリサ「あ、あのっ!三輪さん!」

 

三輪「なんだ……ニネスと話すことは何もない」

 

ギロッと睨んでくる三輪さん。

リサリサちゃんは気まずそうにしている。

 

リサリサ「す、済みませんでした!許して欲しいとは言いません!でも、せめて謝らせて下さい!」

 

三輪「………本気でそう思っているのか?」

 

リサリサ「はい……。身を守る為だけならば普通に自己防衛すれば良かったんです。なのにやり過ぎてしまって…」

 

三輪「聞き方次第では手加減してもお前は俺達を倒せてた…そう聞こえるぞ。嫌味か」

 

リサリサ「………」

 

言葉って難しいね……リサリサちゃんにそんなつもりは無かったと思うけど、逆に三輪さんの勘に触れちゃったんだ…

ますます怒らせちゃったよ……どうしよう。小町からも何か言った方が良いかなぁ…。でも逆効果のような気がする。

 

三輪「……だが、俺達がお前に比べても弱かったのも事実…お前の指摘も確かだ…次はあんな一方的にならんようにする。覚悟をするんだな」

 

あれ?

 

三輪「お前のやったことは許さん。そこは変わらん。だが、抵抗しなければ俺達はお前達の事を知ろうともせずにネイバーとして攻撃していた。お前だけが一方的に悪いわけではない」

 

リサリサ「三輪さん……」

 

三輪「誠意を持って謝ってきた相手に対し、こちらも悪かったことを認めなければフェアでは無いだろ?陽介達には伝えておく」

 

リサリサ「三輪さん……ありがとうございます!」

 

三輪「だが、決して許したわけじゃないし、認めてもいない。認めて貰いたければカーズとかというネイバーからこの世界を守り抜け…それが条件だ。あと、何日も寝ていないのは良くない。波紋の戦士は何日も起きていて平気だと言うが、無理はよくないぞ」

 

そう言って三輪さんは去っていく。ツンデレな三輪さんらしいなぁ。っていうかリサリサちゃん、こっちの世界に来てから寝てないの!?体に悪いよ!?

 

リサリサ「はい!三輪さん、ありがとうございました!」

 

リサリサちゃんは三輪さんに深々と頭を下げた。

この後もリサリサちゃんは時間の許す限り、ケガをさせてしまった人達に小町は頭を下げに回った。

中には門前払いの人もいたし、罵倒する人もいた。

だけど、「まぁ……一生懸命寝ないで防衛任務してくれたしな…」「いやいや、ネイバーかどうかを確認しないで攻撃を仕掛けたこっちも悪かったわけだし…」「1日デートしてくれたら許すよ?」とか言って許してくれた。快く…というのはあまりいなかったけど、リサリサちゃんはそれでも良いと言っている。

でも、最後のはおかしくない?冗談だと思うけど。

冗談だよね?

この時の三輪さんとリサリサさんの和解が、数ヶ月後に現れた空閑遊真くんという人型ネイバーとの出会いに影響が出たのかどうか…それも別のお話だ。

 

 

side材木座義輝

 

ジョセフ「コレがわしらの持つスタンドの資料じゃ。役に立ちそうかのう?」

 

ぬう…見れば見るほど異質な力の数々よ…。

 

鬼怒田「いくつかは使えそうな物はあれば、既に開発済みの物もありますな。皇帝(エンペラー)なんて物はバイパーですし、エコーズなんかも鉛弾のようなもの」

 

中には似たようなトリガーが既に開発されてはおるな。

 

寺島「でも敵の力やスピードを自分に学習させ、しかも刃先を一時透過させるアヌビス神とかは時間がかかるかも知れませんが開発出来そうな気がしますね」

 

元攻撃手らしい寺島殿らしい意見よ。だが、確かに学習はともかく、一時透過はやり方次第では出来そうだ。

 

鬼怒田「そうだな。中には出来ても危なくて開発したくないものもあるな。触れた物を物質法則を無視して爆弾に変えるキラー・クイーンやカビを繁殖させるグリーン・デー、それに時間を止めるザ・ワールドや時間を吹き飛ばすキング・クリムゾン、高温により老化を加速させるグレイトフル・デッド……これらは絶対に世にだしてはならない能力じゃ」

 

これは開発可能でも実装出来ん。キラー・クイーンはともかくグリーン・デイやグレイトフル・デッド等は生物兵器や化学兵器そのものだ。

 

寺島「キラー・クイーンなんかメテオラを即席で作れて良いと思いますけどね?」

 

バカをいえ!戦闘記録を見てないのか!

人間の体の一部や空気すらも爆弾に変える能力など危なすぎる!

 

鬼怒田「バカもん!そんなものが万が一市民に向けられでもしたらどうする!強力な兵器を開発するからには、それに伴う結果を考えるのも開発する者の義務じゃ!」

 

鬼怒田殿の喝が入る。

開発したものがどういう結果をもたらすかを考えるのも開発者の義務…か。我も気を付けねばな。

鬼怒田殿が挙げたスタンド能力は使い方を誤ればアーシスの世界のような悲劇が起きるものばかりだ。

もし、こんなものが世に出回ったら…。

過去の悲惨な戦争の二の舞になる。核兵器などはその最たる例だな。

 

鬼怒田「とりわけ興味を惹かれるのがナイチンゲール・エメラルドのエメラルドヒーリングですかな?ナイチンゲール・エメラルドは他者に自分のトリオンを供給したり、簡単なトリオン体の損傷を直すのには有効です」

 

破壊的な能力ばかりが目につくが、アーシスの世界の一色殿のナイチンゲール・エメラルド…真に必要なトリガーはこういう物かもしれん。生存率を上げるのは、結果的に一番効率的という考えか。

 

材木座「いやぁ、興味深いものばかりですね?ラジコンを飛ばして機銃攻撃をするエアロ・スミス、物を空間に固定するクラフト・ワークなんかは簡単に開発出来そうですし、有用性が高いです」

 

我が目を付けたのはこの辺りだ。エアロ・スミスのラジコンのようなスタンド…何故今まで気が付かなかったのか…。

 

ジョセフ「何故じゃ?」

 

ぬ?これはジョセフ老、我を試しておるな?

 

材木座「エアロ・スミスはそれこそラジコンのように現行の技術で簡単に代用が効きますし、動力や弾丸を使用者のトリオンでやれれば出来そうです。まあ、そのトリオンをどう動力にしたりするのが課題ですが。クラフト・ワークは空中に足場を作れ、グラスホッパーと併用すれば高所への移動も容易になります。あと、興味があるのがゴールド・エクスペリエンスですね。欠損した部分をトリオンの義手や義足、トリオンを流出を押さえる為に応急処置をする…生身は無理でもそういうので無駄な損害を抑えるにはうってつけですね」

 

ついでにゴールド・エクスペリエンスも追加しておく。鬼怒田殿のナイチンゲール・エメラルドに目を付けた考えの応用だ。欠損によるトリオン流出は対策を練る必要があると前々から思っておったしな。トリオンによる義手についても咄嗟に考えた割には良いかも知れぬ。

 

鬼怒田「相手の養分を奪うハイウェイ・スターと言うのも敵のトリオンを奪って自分の物にするという点では有用だな。ランク戦には禁止だが。いやはや、スタンドなんて得体の知れない非現実的な物ばかりかと思っていたが、見てみるとトリガーに転用出来そうなものも色々あるものですな。先に言った通り、絶対に開発できてもしてはならない物も有りますが。時間を操ったり生命を作り出したり…人間が手を出してはならない領域の物も多数ありますが」

 

八幡のザ・ワールドを例にとってもわかる。あんなものが誰でも使えるようになっては世界がメチャメチャになるのは少し考えればわかるだろう。

 

ジョセフ「役に立てたかのう?」

 

確かに参考にはなった。だが…

 

鬼怒田「発想の着眼点としての参考になりました。ですが、これは我々の心の中に閉まった方が良さそうです。危険すぎない、それでいて有用性の高いものだけをいくつかピックアップし、資料そのものはお返しします」

 

材木座「スタンド能力は危険すぎる…そういうことですか?」

 

軽く流し読みしただけでもわかる。安易に真似して良いものなどほとんどない。

 

鬼怒田「そうだ。戦闘記録を見てもわかる。どんなに力の無さそうな能力でも、使い方を誤れば簡単に人の命が消える。これらは万人が持つには過ぎた力だ。トリガー全般にも言えるがな」

 

さすがは我が師だ。

 

鬼怒田「スタンド能力……参考になりました。ジョセフ・ジョースター老、感謝します」

 

ジョセフ「役に立てたならええ。じゃが、くれぐれも悲劇だけは生まんようにな。スタンドが原因で悲劇が起こるのは…スタンドがある世界だけで十分じゃ」

 

鬼怒田「肝に命じます」

 

コレが元で、ボーダーの基本世界にない新たなトリガーが開発されることになるかどうかも…また別のお話だ。

 

←To be continued


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