やはり俺の社畜物語は間違っている。   作:雪楓❄️

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どうもお久しぶりです!!!


待っていてもらえているかわかりませんが、1ヶ月ぶりの更新となり申し訳ないです……。

これからは、少しは時間がとれそうなので更新頑張ります…


15話

 

最後尾を歩く俺と遥が到着した頃には、既に米屋たちは次の飯盒炊飯の準備に取り掛かっていた。

 

「あっ、遅せぇぞ。ハッチ!!」

 

「悪いな。色々気になることがあったんだよ」

 

「気になること?まぁいいから、手伝ってくれ」

 

「あいよ。それじゃあ、遥また後でな」

 

「うん。」

 

遥と別れ、何故か男女で別れている仕事の手伝いに加わる。

 

 

仕事が一段落ついた頃には、小学生たちも全員揃ったようで今は先生による説明を受けている。

 

(……暑いな)

 

先ほどから、米を炊くための火を仰ぎ続けているため気温に加えてとんでもなく暑い。

 

パサッ

 

いつの間にか仕事を終えた遥が、わざわざ濡れたタオルを首にかけてくれた。

 

(……こういう所なんだよなぁ。)

 

周りの男子組はまだ働いているし、陽乃さんや一色などのボーダー組は濡らしたタオルを配っている。

それに対して、総武の女子はただ座って話をしていたり唯一まだ働いているのは雪ノ下だけである。

 

「お疲れ様」

 

「おう、さんきゅ。それにしても、あいつらは何しに来てるんだ?」

 

「…んー、まぁ人それぞれだからね。仕方ないよ、自分の分の仕事は終えてるわけだし」

 

(……これだから、自分の仕事が増えるんだろ……。まぁ、それも含めて遥のいい所なんだけど)

 

遥とそんな話をしていると、先生による説明を終えた小学生共がこちらへと向かって来る。

 

「もうひと仕事しますかね…。」

 

「そうだね、私も向こう手伝ってくるね」

 

チュッ

 

「……えっ?」

 

「……じゃあ、またね」

 

そう言って、遥は周りから見えない角度でキスをして向こうに行ってしまった。

 

(……突然は、狡くないですかね?)

 

遥のせいで真っ赤になった顔を米屋に突っ込まれたが、暑さのせいにしてなんとか乗り切ったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

「比企谷、君も少しは交流してきたらどうかね?」

 

遥のあれ以来無心で仰ぎ続けていると、平塚先生に話しかけられた。

 

「いえ、これが俺の担当なんで」

 

一番当たり障りのない答えだが、実際のところ総武の奴らと関わるのが面倒なだけだ。

ボーダーの面子はまだみんな働いているし、今仕事を辞めたところで暇になるのに変わりはない。

 

「いいから、代わり給え。綾辻にも休むよう言ってある。それに君たちばかり働いていては総武側が来た意味がないだろう」

 

平塚先生の言うことには一理あるが、ボーダー側でも米屋と出水に関しては殆ど役に立ってないようにも見えるが……。

 

「分かりましたよ。それじゃあお願いします。」

 

平塚先生に団扇を渡し、遥の方に向かおうとすると

 

「くっ、何故比企谷ですらこれなのに私にはっ!!」

 

などと火を消さんとする勢いで平塚先生が仰ぎ始めたのですぐにそこを離れることにした。

 

 

 

 

遥の元へ向かっていると、俺と雪ノ下以外は殆ど全員小学生の見回りをしており特に小学生を集めているのは葉山、それと雪ノ下と平塚先生を除く女性陣。

 

(……あぁ、だから俺のところに代わりに来たのか)

 

俺の周りには、確かに殆ど小学生はいなかった。俺がこちらに向かう時に女子児童の集団が俺の後ろを歩いていたぐらいだ。

 

周りの小学生に目を向けながら歩いていると、先ほど孤立していた女子児童に話しかけに行く葉山の姿が見えた。

 

「カレー好きかい?」

 

「………別に」

 

そう言うと女子児童は歩いて行ってしまった。

さっきの様子を見ていても、あの女子児童は何らかの事情があって1人でいるのだろう。

その場合、あの場からすぐに離れるという以外にとれる選択肢は存在しない。

好意的に返せば「調子に乗っている」ととられるし、逆に素っ気なく返しても「調子に乗っている」とされる。

 

俺は少し考えたあと、遥の元へ向かった。

 

 

「遥、大丈夫か?」

 

カレーの煮込みを担当している遥だが、何故か見ていても楽しいものではないのだがその周りには何人かの男子児童。

 

(……小学生の癖にこいつら何してんだ?)

 

確かに遥の今の服装は、夏ということもあり薄着だし鍋をずっと見てることもあって暑さから袖をまくっているため元々のスタイルの良さも加わってかなりアレだが。

 

「あ、八幡。それじゃあ、お願いね」

 

遥は後ろにいた総武生に頼むと、こっちに歩いて来ると遥を遠くから見ていた小学生共は俺のことを見てかなり残念がっていた。

 

「…少し涼しいところ行こう。」

 

「うん、ちょっと汗かいちゃったしね」

 

遥を連れ、木陰の方へと歩いていくとそこには先ほど葉山に話しかけられていた女子児童が居た。

 

「みんなバカばっか!!」

 

「あ?」

 

「あっ……。」

 

俺たちが来たのに驚いたのか、叫んだのを聞かれたのが恥ずかしかったのか少し俯いた。

 

「世の中は大概がそうだ。早く気づいてよかったな」

 

「ちょっと、八幡。いくら何でも……」

 

確かに遥のような奴ばかりだったらその中そうじゃないかもしれないが……。

 

「……名前」

 

「あ?」

 

「だから、名前を聞いてるの。普通今のでわかるでしょ?」

 

「私は綾辻遥だよ。けどね、人に尋ねる時はまず自分から名乗るのが常識だよ?」

 

遥はこういう礼儀とかには厳しい。

 

「………鶴見留美」

 

「そっか、留美ちゃんか。私の隣にいるのは…」

 

「比企谷八幡だ。」

 

俺が自己紹介をしたところで、鶴見が黙り込み沈黙が流れる。

 

「…なんかそっちのは違う気がする。私も違うの」

 

……え?なに、俺はやっぱりボッチってこと?

 

「どういう事かな?」

 

「みんなガキなんだもん。だから……1人でもいいかなって」

 

「そっか。」

 

「中学に上がったら、他所から来た人と仲良くすればいいし」

 

「残念だが、それは無理だ。中学に入ったら入ったで他所から来た奴らも一緒になってやるだけだ」

 

実際、遥と小町がいなかったら俺だってそうなっていた。

それにあの頃の俺は……。

 

「……やっぱりそうなんだ。…どうして、こうなっちゃったのかな。」

 

鶴見は目に涙を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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