インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第八話

その後の授業は簪はすべて欠席していた。

知ってか知らずかアリシアは敢えて簪については深く追求しなかった。

一夏は放課後になると普段は鍛錬に行くのだが今日は鍛錬にはいかず

簪の部屋の前にいた。

「簪お嬢様~、開けて下さいよ~」

「……ヤダ」

「先生もクラスのみんなも心配してますよ。代表はどうしたんだって」

「……私はもう代表じゃない……これからは一夏が代表だよ」

いくら一夏が簪に問いかけようがネガティブ思考に入ってしまっている

簪は一向に一夏の言っている事に簡素に答えた。

「簪お嬢様、そう言わずに頑張りましょうよ」

「……昔からそう言ってやらせてるけど……成功した事なんてなかった」

「そんな事ありませんよ! お譲様は素晴らしいですよ!

情報処理能力は高いしパソコンをあれだけ使えてるじゃないですか!」

「一夏は何もわかってない……」

「そんな事はないで」

「何もわかってない!」

一夏が言いかけた時、簪が大きな声をあげて一夏の声を遮った。

長いこと簪に仕えているが彼女が声を張り上げて

怒りだすのは初めてのことだった。

「私はお姉ちゃんや一夏みたいに強くないし虚さんみたいに

整備が出来る訳でもないし本音みたいに社交性がある訳でもない!

それなのに一夏は無理やり私を代表なんかにして! 私を苛めてるの!?」

「そ、そんな事はありませんよ!

わたくしは簪様のことを第一に考えて!」

「だからそれが分かってないって言ってるの!」

簪は時折、声を上擦りながらも一夏に対して今まで思っていた

感情をぶちまけ始めた。

「毎朝毎朝大きな声でお嬢様お嬢様ってうるさいよ!

そのおかげで周りからは変な人みたいに見られるし笑われるし!

一夏の所為で! 一夏の所為で私は今の性格になったんだよ!?」

「そ、それは……」

一夏は今まで簪に良かれと思ってしたことが彼女にとっては

悩みの種になっている事とは知らずに今まで過ごしてきたが

今日言われてショックが体全体に広がった。

「お節介なの! それはお姉ちゃんだって思ってる!

もう私には仕えなくていいよ!」

「そ、それはつまり……」

「クビ!」

「………分かりました。今までありがとうございました」

そう言い一夏は自分の部屋へと帰っていった。

彼の様子を見た女子生徒たちが感じたことはこの世の終わり

みたいに絶望しきった顔をしていたという。

 

 

 

 

 

 

その頃、真夏はというと箒とセシリアとの鍛錬とは言い難い

ものをし終えて部屋にいるのだがいきなり鈴が部屋を変われと

箒に言いだしてきた。

「ふ、ふざけるな!」

「何よ! 幼馴染なら良いんでしょ!? 部屋くらい変わりなさいよ!」

こういう言い合いをかれこれ30分くらいはしているだろうか、

箒が我慢の限界に達し木刀を鈴に振り上げたが真夏がそれをさせなかった。

「はい、そこまで箒」

「ま、真夏」

「さっきのがもしも専用機持ちじゃなくて普通の生徒なら

頭がい骨陥没くらいは行くんじゃないかな? 責任取れるの?」

「そ、それは」

「もしそれで障害が残ったりしたらどう責任取るの?」

「うぅ……」

真夏の正論に箒は何も言えずにバツが悪そうな顔をして俯いた。

「それと鈴も鈴だよ」

「は、はぁ!? なんであたしまで!」

鈴は箒が真夏に怒られている光景をざまあという感じで

眺めている時に説教を矛先が鈴にも向けられた事に驚きを隠せなかった。

「そんな自分勝手な理由で部屋なんか変えられないよ。知ってる?

世間一般ではそれを自己中心的って言うんだよ」

「うぅ……でも!」

「でももへちまもないの。そもそも部屋割りに文句があるならさっきの

口調とテンションのまま姉さんに言えるの? 幼馴染である箒がいいのなら

自分もいいはずですって言えるの?」

「うぅ……」

すでに両者ともきつく真夏にお灸をすえられたせいか涙目になっていた。

そりゃ好きな人に説教をされて自分の事を嫌いにでもなられたら

最悪の絶頂である。

「幸い鈴の部屋も近いわけだし遊びに来なよ」

「……分かったわよ」

まあ、それからもギスギスした雰囲気が続いたが今晩は

そのまま解決に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「あちゃ~簪ちゃん怒っちゃったか~」

「はい」

一夏は楯無のいる部屋にまで訪ね先程の事を話していた。

二人は楯無の部屋の前に耳をドアに

ぴったりとくっつけ中の話を聞き出そうとしている輩が虚に

大掃除されたことには一切気付いてはいない。

「ん~まあ、正直言っちゃうと私もお節介とは思ってたよ」

「うぅ!」

「お節介を過ぎてなんかもう……うざい」

「ぐす! ひっぐ! ず、ずびばぜん~」

一夏は姉妹から強烈なビンタの様な攻撃を喰らい

精神はボロボロになり号泣していた。

「あぁもう! 泣かないの!!」

「だ、だっで! 今まで良かれどおぼっでやっでぎだごどが

おふだかだをぐるじべでいだなんで! いっじょうのばじでず! ひっく!」

「一生の恥ってそれは言いすぎよ……ほら! いい所だってあるわよ!」

「例えば?」

「え、えっと……その……ねえ?」

「やっぱり私は死んだ方がましな人間ですね」

一夏は再び、この世の終わりみたいな顔をして俯いた。

「それも思いすぎよ。一夏には私だって感謝してる。いつもいつも

無理難題な事を言っても嫌な顔をせずにしてくれるし」

「それは従者として」

「まあ、とにかく簪ちゃんの事は本音に任せてるから。ね?

今日のところはもう寝なさいな」

「はい、御休みなさいませ」

そう言い一夏は涙を拭いて部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

「かんちゃ~ん。開けてよ~」

その頃、楯無から指令を受けた本音は簪の部屋の前にいた。

「……ヤダ。開けたくない」

「ぬぅ~。ルームメイトの子が困ってるよ~」

そう言われて堪忍したのか簪がドアの鍵を開けたが、ドアの前には

簪のルームメイトの姿はなく本音の姿があった。

「……騙したの? 本音」

「騙してなんかないよ~今日一日だけかんちゃんのルームメイトは

私だよ~本当のルームメイトは私の部屋にいてもらってるから~」

そう言い本音はダボダボの服を引きずらせながら簪の

事などお構いなしに部屋に押し入ってベッドに寝転んだ。

「ぐで~ん」

「ほ、本音! シーツが皺くちゃになっちゃう!」

「気にしな~い、気にしな~い」

そう言い本音はベッドの上でゴロゴロと右に左に

転がり始めシーツが皺くちゃになっていった。

「かんちゃん、一夏をクビにしたんだって?」

「……誰から聞いたの?」

「かいちょ~だよ」

「またあの人」

簪は頭の中に姉の顔を思い浮かべて少し、ウザったそうな表情を浮かべた。

「まあ、かんちゃんが一夏をクビにするのもわかるよ~

私もお節介すぎるでしょ~って思ってたから~」

「そう……」

「でも~一夏も一夏で悩んでるんだよ~」

「え?」

本音の言葉を聞いた簪は何を言っているのか分からなかった。

「いつもいつも、どうやったら簪お嬢様はご学友様を

お作りになられるのかとかどうやったら笑ってくれるだとか

いっぱい悩んでるんだよ~」

「そう……私には関係ない」

「関係大ありだよ~かんちゃんは今まで一夏に甘えてきたんだよ~

でも、もうそろそろ卒業期じゃないかな~? かんちゃんは自分で

決めて前に進まないと私も一夏も心配で堪らないよ~」

「……もう寝る」

「おやすみ~」

そう言い簪は電気を消して頭から布団をかぶって全身を隠した。

 

 

 

 

(……確かに……本音の言うとおり私は一夏に甘えてばっかだった。

何かを決める時も真っ先に一夏に相談しに行って……自分で決めた事なんて全然ない)




どうも~
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