そして日にちは経っていきトーナメントの当日。
一組の真夏は第三アリーナで鈴と、四組の代表は第二アリーナで
トーナメントが行われることになっていた。
しかし、あれから簪と一夏の中は気まずい雰囲気が漂い
教室にいるにもかかわらず二人して話しかけられなかった。
「簪ちゃん遅いね~」
「ええ、このままだと棄権になってしまいます」
ビットではアリシアと柊が簪を待っていたが試合開始前の
10分前になっても一向に姿を現さなかった。
「んじゃ~一夏行っちゃう?」
「え? い、いや私は良いんですが簪おじょ……更識さんが
代表ってことになってるので私が戦うのはどうかと」
一瞬、アリシアは一夏が簪の事を更識さんと呼んだことに
疑問を感じたがそこはあまり深く追求しなかった。
「お、遅れてすみません!」
「お! 簪ちゃ~ん! よく来たね~」
試合開始5分前になってようやく簪がビットに姿を現した。
「じゃあ、早く準備をしてください。相手方を待たせています」
「はい……ちょっとだけ時間をくれますか」
「いや、だから」
「1分だけあげちゃうよ~♪」
「ありがとうございます」
簪はアリシアにお礼を言うと端っこにいた一夏の傍までやってきた。
「い、一夏」
「……」
「ごめんね?」
「え?」
「この前は言い過ぎた……私やっぱり一夏が傍にいてくれないと
その……安心できないんだ。だから……また私に仕えてくれる?」
簪は顔を少し赤くしながら一夏にそう問うと一夏は
何も言わずに簪に膝まづいた。
「この命、簪お嬢様のために」
「ありがと! じゃあ行ってくるね!」
「行ってらっしゃいませ、簪お嬢様」
簪は笑顔で一夏にそう言うと打鉄弐式を展開しフィールドへと向かっていった。
『では、これより4組代表、更識簪と3組代表、
ウェール・ガードとの試合を開始します』
試合開始のブザーが鳴るとともに簪は夢現をコールし相手に
斬りかかっていった。
(私は自分の道は自分で決める!)
「やぁ!」
「くぅ!」
ウェールは簪の夢現を近接用ブレードで防ぐが簪は相手の両手が
塞がっている隙に空いている手にショットガンをコールし相手に
零距離で何発か発砲しエネルギーをいくらか削った。
「きゃ! いったん距離を!」
ウェールはこのままではまずいと思い瞬時加速を通常とは
逆向きに発動し高速で簪から距離を取った。
「私だって負けられないのよ」
ウェールはおもむろにマシンガンを両手にコールすると
引き金を引き連続で簪に撃ち続けるが簪はそれを左右に動きながら
全弾避け背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲、春雷を発動した。
「負けられないのは私も同じ!」
簪は春雷をウェールに向かって連射しながら山嵐の発動準備に
取りかかっていた。
その間も攻撃の手を止めることなくウェールに撃ち続けていくと
ウェールは防御シールドを展開し動きを止めた。
(今だ!)
簪は春雷を止めて山嵐を発動した。
(攻撃がやんだ…今なら!)
ウェールは攻撃が止まった瞬間にシールドをクローズし
マシンガンを使おうとしたが目の前には大量のミサイルが
発射され自分に向かって来ていた。
「……無理」
彼女がそう呟いた瞬間にミサイルが全弾命中すると同時に
試合終了を告げるブザーが鳴り響いた。
『試合終了。勝者更識簪』
「ふぅ、やった」
「あ~流石は代表候補生ね」
「あ、えっと」
「私はウェール・ガード。ねえ、良かったら私にIS教えてよ」
「うん!」
簪は一瞬戸惑うがすぐに笑顔で返事を返しウェールが握手を
求めてきたので自分もその手を取ろうとした瞬間、バリアを
貫き一本の光がフィールドに落ちアリーナを揺れが襲った。
「な、何なのよ!」
「こ、これは!」
「柊ちゃ~ん、すぐに皆に避難勧告を。それとレベルを最大にまで上げ
第三アリーナの織斑先生にこの事を伝えて」
「わ、わかりました!」
柊はアリーナの観客に避難勧告を出し危険レベルを最大にまで
あげて千冬に連絡しようとするが無線が繋がらなかった。
「だ、駄目です! 無線が繋がりません!」
「ドアも開かないところを見ると主導権を取られちゃいましたね」
「ん~どうしよか」
「まあ、こういうときは紅茶をどうぞ」
「あ、どうも~」
アリシアと一夏は呑気に紅茶を飲んでい落ち着いているが柊は
それどころではなく右往左往してパニックに陥っていた。
「何してるんですかこんな時に!」
「まあまあ、落ち着きなって。緊急時は冷静が必要~」
「ですが!」
「ん~美味しかった。じゃ、一夏君。君にISの使用許可を出します」
「了解」
一夏はドアの前に向かって歩き出していた。
「ドアは開きませんよ」
「開かないのであれば無理やり開けます」
一夏は黒い刀を部分展開でコールすると真っ二つに
ドアを切断して無理やり開けるとフィールドの方へ向っていった。
「どうしようどうしよう!」
「落ち着いてウェール!」
簪はエネルギーの無くなっているウェールを担ぎながら相手の
攻撃を全てかわしていた。
相手は漆黒のISに異様に手が長いのが特徴だった。
「だ、だって絶対防御を使ってるアリーナのシールドを
一撃で破ったんだよ!?」
「大丈夫!あれは当分使ってこないから!」
そう言いながらも相手は荷電粒子砲を撃ってくるので簪は
時折、瞬時加速を使ったりして攻撃を避けていった。
「ねえ、あ、あれって人のってるよね?」
「ISは人が乗らないと動かないよ」
「で、でもさなんか動きが機械っぽくない? ていうより
全身装甲のISなんて見たことないよ」
ウェールに言われて気づいた簪はよく観察してみると
確かに動きがどこかぎこちなく機械のように見え全身装甲だった。
「仮にあれが無人機だったとしてもこの状況はどうしようか」
「やっぱり無理なんだよーーー!」
「ちょ! 暴れないで!」
ウェールは錯乱状態に陥ったのか突然、暴れ出し
簪はそのせいでバランスを崩して動きを止めてしまった。
その瞬間、相手が荷電粒子砲を二人めがけて放った。
(ま、間に合わない!)
簪が衝撃に備えて目をつむった瞬間、声が聞こえてきた。
「お待たせしました」
(一夏?)
その瞬間、荷電粒子砲が直撃し大爆発が起きた。
「あ! 更識さん達が!」
ビットでその様子を見ていた柊はモニターに映っている光景に
またパニックになりかけるがアリシアがそれを止めた。
「大丈夫だよ~ほら」
アリシアの指さしている方向を向くとモニターには黒い
ISを纏った少年がいた。
無人機は目標を撃破したと思い次の目標を見つけるべく
飛び立とうとした瞬間、後ろから何かで狙撃され吹き飛ばされた。
「逃げるなよ。これからがいいところだろ」
爆風が晴れるとそこにはメモリーを纏った一夏の姿があった。
こんばんわ