「い、一夏!」
「お待たせしました、簪お嬢様とウェール様」
一夏は漆黒のIS、メモリーを纏い簪達を助けに来ていた。
「え、えっと貴方が神門君? 噂の」
「ええ、お初にかかります。自己紹介は後にしますので」
そう言い一夏は無人機の方を向いた。
「やあやあ、逃げるという選択肢は貴方には無い……スクラップだ」
そう言い一夏は銃をコールし二つ同時に引き金を引いてBTを
撃ちだすが相手はそれを上昇することでかわし接近戦を一夏に挑んできた。
「行きますよ!」
一夏は二丁の銃をクローズして黒い刀をコールし無人機が振るう
異様に長い腕を避けていき一閃すると火花が散った。
「その異様な腕、うざいですね」
一夏は次々と振るってくる長い腕をかわしながら喋っていると
腕にいくつもの銃口の様な穴が開きそこから大量のBTが目の前で放たれたが
一夏は余裕でそれを頭を捻って避けると瞬時加速を使い
一度距離を取り全てのBTをかわし遠距離にシフトさせた。
「やっは!」
一夏は片方を連射モードに切り替えもう片方は隙を見て
チャージしたものをぶつけるという戦法に切り替えた。
「避けても無駄!」
侵入者の隙を見つけチャージしたものを放つと相手は直撃し爆風に飲み込まれた。
一夏がもう一発撃とうとした瞬間、目の前に画面が一つ出てきた。
『ファーストリミッター解除』
画面の内容を確認する暇もなく一夏は引き金を引く先ほどまでの
威力とはけた違いな威力のBTが放たれ一夏も驚いて狙いをずらしてしまった。
「おぉ! 凄い反動、でも、まだまだ!」
無人機もまだ動けるのか何事もなかったかのように立ち上がり
一夏に荷電粒子砲をぶつけてきた。
「よっと! そろそろ時間もないから……スクラップにしよう」
するとメモリーから大量の黒いエネルギーが噴き出し始め
単一仕様能力(ワンオフアビリティー)のフリータイムが始まった。
「滅びろ」
一夏が二つの引き金を引いた瞬間、凄まじい連射力でBTが放たれ
無人機は避けきれずに片腕を持っていかれたがまだ動けるのか
BTの嵐の中、瞬時加速を発動させこちらに向かってきた。
「この嵐の中でよくするね……自爆特攻かな?」
一夏は銃をクローズし黒い刀をコールすると目を瞑って意識を集中させた。
(ふー……俺は守りたい……楯無お嬢様を。簪お嬢様を。俺と少しでも
関係のある人は全部おれが護る)
「おぉぉぉぉぉぉ!」
一夏が刀を振るうと黒い衝撃波が放たれ無人機を飲み込むと
そのまま地面に叩きつけ木端微塵に無人機を破壊し大爆発を起こした。
「はぁ、はぁ、はぁ。終わった」
「す、凄い」
「う、うん」
二人は目の前の戦いに凄いと言うしか表現することが
できないほど凄まじい戦いぶりだった。
『フリータイム終了』
画面にそう表示されるとともにメモリーが待機形態に戻った。
その瞬間、一夏の体がまるで重りが乗せられたみたいに重くなった。
「はぁ、はぁ、はぁ……つ、疲れました。はぁ」
「お疲れ様一夏。怪我とかはない?」
「それはこちらの台詞です。はぁ、はぁ、はぁ
簪お嬢様もウェール様もお怪我などはございませんか?」
「特には」
「私も……というか疲れすぎじゃない?」
「一夏は体が弱くてね」
「そうなんだ」
『やっほ~終わったかにゃ~?』
三人が話しているとアリシアの抜けた声がチャンネルを通して聞こえてきた。
「ええ、無事終了です」
『なら、良いよ~ドアロックも解除されたから帰って来て~』
そう言われ三人はそのままビットへと帰っていった。
その後、第三アリーナでも戦闘があったらしいが真夏により破壊されたの事。
この件での負傷者はゼロ、さらに戦闘に参加、もしくは目撃していた者には
緘口令が引かれ絶対に漏らすなとの事。特に無人機の事は。
そしてIS学園特別区画では無人機が運ばれ解析が行われていた。
「………」
千冬が椅子に座りながら目の前の大破した無人機を眺めていると
ドアの前に山田先生がいるのを確認しドアを開けた。
「織斑先生、解析が終了しました」
「どうだった」
「コアは無所属のものでした。織斑君と交戦した方はコア、ボディ
共に生きていますが神門君と交戦した機体は解析不可能のレベルにまで
破壊されていましたが恐らく目の前のと同機種かと」
「そうか……お疲れ様。引き続き頼む」
「分かりました」
そう言い山田先生はファイルを持って解析室へと向かっていった。
「……一体奴は何を考えている」
千冬のその呟きは誰にも聞こえず消滅した。
「へ~にしても大変だったわね~」
「ほんとですよ~おかげで誓約書を10枚も書かされましたよ」
一夏は楯無の部屋でいろいろとお世話をしていたが紅茶が
飲みたいと言ったので準備しているとルームメイトの薫子も帰って来て
私も飲みたいと言ったので二人に振舞っていた。
「ねえ何々? 何か面白い情報でもあるの?ねえ、ねえ」
「駄目です。これには緘口令も敷かれているので」
「ちぇ~特ダネだと思ったのに」
薫子は口を三角にして不貞腐れながらベッドに横たわった。
「まあ、そう言わず。紅茶が出来ました」
「ん~相変わらずいい香り♪いただきま~す」
薫子も出された紅茶を飲んでみると言葉に表せないくらい
その紅茶は美味しかった。
薫子は紅茶よりも珈琲派なのだがその薫子も一夏の入れた
紅茶には美味しいと感じた。
「んん! 美味しい!」
「でしょ!? お茶で世界で一番おいしく入れるのは
虚ちゃん、紅茶は一夏なのよ」
「良いな~たっちゃんは! 毎日こんな美味しい物飲めてさ~」
「それがね、月に一度くらいしか入れてくれないのよ」
「え、嘘!?」
楯無の言ったことに薫子は目を点にして驚いた。
「本当ですよ。好きなものを毎日、食べていてはやがて飽きます。
そのような事がないよう間隔を開けているのでございます」
「ははぁ~」
薫子は一夏の言っている事が納得がいったのか紅茶に意識を戻した。
「それで簪ちゃんとはどう?」
「はい! 仲直りできました!」
一夏は簪と仲直りができたことが本当に
嬉しいのか満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「で、例の物は?」
「はい、勿論。簪お嬢様の戦闘映像を取ってきました」
一夏は不敵な笑みを浮かべながらポケットから
USBメモリを取り出し楯無の手に置いた。
楯無は大事そうにポケットにしまい込んだ。
「ねえ、神門君。"取る"じゃなくて"盗る"の間違いじゃないの?」
「それは秘密です。では、わたくしはこれで」
そう言い一夏は用具を片づけて部屋から出ていった。
「たっく! 何故箒さんはいつもいつも邪魔をするのですの!?」
「それはこっちの台詞だ! 私が行こうとしたらいつもお前がいる!」
箒とセシリアは先程まで真夏のお見舞いに行っていたのだが生憎、
保健室の前で二人はばったり会ってしまいこうして言いあいになっていた。
傍から見れば仲の良い二人に見える。
喧嘩するほど仲がいい、案外的を得ているかもしれない。
「そもそも……ん?」
「どうかしましたの箒さん?」
「あれは……真夏か?」
箒が指さした方向には真夏ではなく一夏が向かい側から歩いて来ていた。
「いえ、あれは四組のもう一人の男性IS操縦者ですわ」
「だが、妙に似てないか?」
「わたくしも初めて見たときはそう思いましたが他人の空似でしょう」
「そうか」
2人は一夏が通り過ぎる瞬間、彼の横顔をちらっと見るがかなり似ていた。
「……まあいいか。早くしないと就寝時間になってしまう」
そう言い二人は早歩きで言い合いながら帰っていった
こんばんわっす!