インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第十八話

「わ~! 海だ! 海が見えたよ!」

「おぉ~! 綺麗ね!」

一年生たちはIS学園に入学してからの初めての校外学習に

まるで小学生のようにはしゃぎながら窓の外に見える海にくぎつけになっていた。

その中でシャルは終始、腕につけているブレスレットを見ながら、にこにこ笑っていた。

このブレスレットは真夏がプレゼントとして贈ったものでかなり周りから

嫉妬されたがシャルからすれば幸せの絶頂に立っていた。

「そんなに嬉しかったの?シャル」

「うん! 勿論だよ!」

「シャルロットさんだけずるいですわ」

「セシリアにもまた今度買ってあげるよ」

真夏の周りには専用機持ちたちが綺麗に囲むように座っていた。

実は真夏の隣の席を決めるのに熾烈な戦いがあったのだが

はずれを引いたものはこの世の終わりの様な絶望しきった顔をしたり、

自分の運の無さを呪ったりしていた。

「そろそろ宿に着く。全員座っていろ」

千冬がそう言うと全員が文句も何も言わずにすぐに席に座った。

 

 

 

その頃、四組が乗っているバスでは………

「見えな~い暗闇の中ー!」

『いえぇぇぇぇぇぇぇ!』

かなり盛り上がっていた。

普通は静かにするように生徒達に言う立場のアリシアや美晴でさえ

ノリノリにマイクを片手に持ち大声で歌っていた。

四組の生徒達はノリがいいのでこう言うのには結構ノリノリになる。

「にゃはは~! 次に行ってみよーー! と言いたいけど

もうついちゃったから皆用意してね~」

『はーーーい!』

全員がバスから降り収納していた荷物を受け取り宿の方たちに

挨拶をして宿に入っていった。

臨海学校初日の今日は一日自由時間なので生徒達は海に入るなり

なんなりして遊ぶ荷物を持ってきているわけである。

「神門様」

「はい、お久しぶりです。女将さん」

ちなみにこの宿は更識の息がかかっているので女将と一夏は顔見知りだったりする。

 

 

 

「………まさか」

真夏は着替え終わり海に向かっている途中で箒に会うが彼女が

庭にニンジンが刺さっている事に気付いた。

「どうする? 箒」

「知らん! お前の勝手にしろ!」

箒はそう怒鳴り散らすとスタスタとどこかに行ってしまった。

数分間、どうするか考えた真夏だが最近会ってなく、久しぶりに最愛の彼女に

会ってみたいという気持ちが勝って引っ張ってみる事にした。

「じゃ、引っ張りますか……と見せかけて!」

「ぎゃん!」

真夏は庭に刺さっていたニンジンをひっこ抜くふりをすると傍にあった

小石を誰もいないところに投げると小石が空中で何かにぶつかり

地面に落ちた。

「ありゃりゃ~! ばれちゃったか!」

「久しぶり、束」

「ぶいぶい! お久~の金平糖だよ~愛しのまっくん!」

何もないところから突然、束が姿を現し真夏に抱きついてきた。

「まさか光学明細で隠れてるとは思いもしなかった」

「むふふ~。これを理解できるのはマっ君だけだもん!」

束は真夏に会えたことがそんなに嬉しいのか満面の笑みで真夏に甘えていた。

まるで彼女が彼氏に甘えるかのように。

「ね~まっくん~」

「駄目。今は駄目」

束が口を少し三角にまげて顔を真夏に近づけていくが真夏はそれを

彼女の唇に指をあてて止めた。

「むぅ~。まっくんのケチンボ」

「ふふ、姉さんに見つからないようにね。あの人、結構勘が鋭いから」

「うん! 分かった! この辺にいるからね! バイビ~!」

そう言って束は何故か頭のウサミミを取り外し両手に持って

ダウンジングマシンのように動かしながらどこかへと行ってしまった。

「また箒を探しに行ったか……ふふ、また可愛くなったね。束」

真夏は少し笑みを浮かべながら海に向かった。

 

 

 

「……暑い」

「簪お嬢様。レモンティーでございます」

「ありがとう」

簪はパラソルの下で一夏にお世話をしてもらいながら涼んでいた。

彼女は昔からインドア派なのでこういう暑い時期に外に出ると

ヘナヘナとへ垂れてしまうのでこうして一夏がつきっきりになっている。

「簪お嬢様。ソフトクリームでございます」

「んん~♪甘い……ちょっと塩の味もする」

「はい。夏は汗とともに塩も出てしまいますからね。アイスと先程

お出ししたレモンティーに塩を少し混ぜております」

「むぅ~。またかんちゃん休んでる~」

「本音様。そのような全身を隠すぬいぐるみの

様な水着で暑くはないのですか?」

本音が着ている水着もといぬいぐるみの様なものは見ている

こちらが暑く感じてしまうほどだった。

「ううん~。全然暑くないよ~」

「……それはそれで凄いよ、本音」

「そんな事より~かんちゃんも遊ぼうよ~」

「……暑い……動きたくない……無駄なエネルギー消費……NO」

「むぅ~なら~一夏行こうよ~」

「自分はお嬢様の隣にいます」

「うぅ~もういいも~ん」

そう言い本音はダボダボの服を引きずりながら友人のいるところへと行った。

「……一夏何かあった?」

「え? なんでですか?」

「何だかいつもの一夏と違う雰囲気がしてるから」

「………ちょっと休憩してもよろしいですか?」

「うん、良いよ」

 

 

 

一夏は簪に断りを入れてから少し離れた所に来ていた。

簪の言うとおり彼の頭の中には楯無のあの告白がずっと延々とループしていた。

「……約束……思い出せない」

楯無が言った昔交わした約束。

それをいくら思い出そうとしても全く思い出せずにいた。

「…………氷菓」

一夏は愛おしくて仕方がない彼女の顔を思い浮かべながら切なさそうに空を見た。

 

 

 

『いただきまーす!』

全生徒が一つの広い部屋に集められそこで晩御飯を食べていた。

海の近くということもあり普段学園の食堂で食べている洋食や

中華などではなく青葉の天ぷらや刺身などが晩御飯として並べられていた。

触感がいいイカやタコ、マグロにサーモン。さらにわさびは

ほんわさびと来た。

「んん! 美味しい! とれたてなのかな? しかも

このわさびほんわさだし!」

「へ~」

そう言いシャルはわさびを箸で取ってそのまま口に入れた。

「ッッッッッッ!」

「あ! 何してるのさ!」

真夏はすぐに水ではなく女将さんに言ってマヨネーズを持ってきてもらった。

何故マヨネーズなのかというとワサビなどを食べてつーんと来たらマヨネーズを

嘗めるとそのつーんとする痛みがなくなるのだ。

「はぁ、はぁ」

「えっとシャルはフランスの人だから説明するとワサビをそのまま食べると

鼻の奥が災害を起こすので必ずお刺身にちょっとつけて食べましょう」

「はい……」

「良い子いい子」

すると真夏はシャルの綺麗な金髪を撫で撫でし始めた。

その様子に周りの生徒は橋を止めて口を開けてかたまりシャルは

顔を真っ赤にして俯いていた。

俯かせている表情はとてもニヤニヤしていた。

「シャルロットさんズルイ!」

「私も撫で撫でして!」

「うるさいぞ! 食事も静かに取れんのか!」

横で食べていた千冬がブチギれて隣の部屋に殴りこんできた。

世界最強の怒鳴り声ということもあり全員が静かになり黙々と

晩御飯を食べ始めた。

 

 

 

さてさてまたまた時間は経っていき今は千冬と真夏ラヴァーズが

赤裸々なガールズトークをしようとしていた。

「さて貴様ら。あいつのどこがいいんだ?」

『ぶぅ!』

事前に口止め料として貰っていた飲み物を全員が一気に噴き出してしまった。

「もしも奴と結婚すれば家事は出来るし料理も

出来る超万能旦那がもらえるぞ」

『くれるんですか!?』

「馬鹿もの。あいつの心を奪ってからにしろ。さて一人一人言っていってもらおうか」

まず最初に矢が立ったのは箒だった。

「わ、私は昔いじめられてるところを助けてもらって……それで

一緒に剣道をしていたらいつの間にか……好きになってました」

箒は顔を真っ赤にして浴衣のすそをぎゅっと握って恥ずかしさをこらえていた。

「次は鳳、行け」

「あ、あたしも箒とほとんどおなじです」

「そうか……次はオルコット」

「わ、私は代表を決める時の試合で…その…惚れてしまいました」

「ボーデヴィッヒは」

「私は真夏の強さに惚れました」

「デュノア」

「私は優しいところ…ですかね」

それぞれ思い思いの真夏に対する恋心を晒していった。

「そうか……」

「あの織斑先生」

「なんだ。篠ノ之」

箒は今まで疑問に思っていた事を千冬に打ち明けた。

「四組の神門と真夏はよく似ているのですが…もしかして双子ですか?」

「っ!」

 

 

 

聞かれたくなかったところを聞かれ千冬は言葉に詰まってしまった。

一夏と真夏。彼らが双子であるという事を知っているのは更識の関係者と

千冬のみである。

何故箒と一夏が知りあっていないかというと一夏は昔から体力が

著しく低く剣道など出来るはずがなかったため家に引きこもりがちだったためである。

「私も思っていました。教官、あの二人の関係は一体」

「………来るべき時に教えてやる。今日はもう寝ろ」

そう言い千冬は全員を自室に返した。

「………一夏」

部屋には千冬の小さな声が響いた。

 

 

 

 

その頃、とある場所で秘密の会議が行われていた。

この会議が行われている事を知っているのは国の中でも

片方の指の数と同じくらいの人数である。

「ではこの計画でよろしいですね?」

「ああ」

「しかしよろしいのですか ?ただでさえ我が国のISは

一機強奪されているのですよ?」

「馬鹿もの! 口を慎め!」

「構わん。その意見はもっともだ」

まだ新人なのか若い男性が中年の男性に怒られていたが

周りにSPを何人も控えさしている男が中年男性を止めた。。

「確かにそうだな。だが、男性のIS操縦者を量産

できればそんなもの塵に等しいものだ」

「分かりました。では計画を実行します」

「ああ。成功の鐘を鳴らしてくれよ」

会議室のプロジェクターから壁に映された写真には一人の女性と

一機のISが映し出されていた。




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