インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第二十一話

重傷を負った一夏は旅館にある一室に寝かされていおり

体中には痛々しい傷跡が残っており顔にも少し傷があった。

彼の隣には。一夏が重傷を負ったと聞くとすぐさま駆けつけて来た簪が

彼の隣に泣きじゃくりながら、もうかれこれ二時間以上は座っている。

「更識…」

「先生……」

「すまない」

突然、千冬が簪に頭を下げた。

「私の責任だ。キチンと二人が戦っている海域を確保できなかったせいで

一夏は傷を負ってしまった。すまない」

「…誰にも責任はありませんよ」

「更識……」

千冬は頭を上げると簪の表情を見た。

その時の表情はいろいろな感情が見えた気がした。

「むしろそいつに責任があると思うけど」

「真夏!」

部屋の襖が開けられ真夏が入ってくると彼はそのまま入ってきて

彼を見下すように見ていた。

「僕と箒があのまま戦っていれば福音を倒せたんだ。そいつは自業自得」

一夏を悪く言われた簪は感情に任せて真夏を叩こうとするが

それよりも先に千冬が真夏の首を掴み壁に押し付けた。

 

 

 

 

「ぐっ!ね、姉さん?」

「あのまま戦っていれば勝てただと?それは違う!

現に貴様らが福音と闘っている時はほとんど福音のエネルギーは

減っていなかったんだ!!!一夏と共闘したことで大幅に削れたんだ!

お前は!お前は自分の兄をそこまでひどく言える立場なのか!?」

「え?……それってどういう意味?」

「っ!」

千冬はつい感情のままに今まで隠していたことを話してしまった。

それを聞いた真夏は驚きを隠せないのか開いた口がふさがらない状態だった。

「ねえ、姉さん。それってどういう意味だよ!!何でこいつが僕の兄なの!?」

「…………布仏。他の専用機持ちをここに連れて来い」

「はい」

千冬に言われた本音は別室で待機していた他の専用機持ちを呼びに行き

一夏が寝かされている一室にまで連れてこられた。

「何か進展でもあったのですか?教官」

「いや、そう言う訳じゃない。貴様たちが昨日言っていた事を…

真夏と一夏の関係について話してやる」

『ッッッッ!』

それを言われ専用機持ち達は驚きに顔を染めた。

「根本から言えば真夏と一夏は……双子の兄弟だ」

そこからは驚きの連続だった。

一夏は真夏と勘違いされて誘拐されそこで傷を負い記憶を失い

別の家に引き取られたという。

最も驚いていたのは箒と鈴の二人だった。

「で、でもあたしはそんなの聞いてないです!」

「私もです!」

「当然だ。一夏は体力が極端に低く運動すらまともにできん。

だからずっと家に籠りっぱなしだったんだ。それに鳳がこっちに来た頃には

既に一夏は更識に引き取られた後だ」

「では神門という名字は引き取られた

家の名で本当は織斑一夏なのですか、教官」

「ああ、そうなる」

しかしその中で最も驚いているのは何と言っても真夏だった。

先程から全く声を発することなく聞いていた。

「……そう。この人が僕の兄さんなんだ」

「ああ、今まで黙っててすまない」

「……いいよ、別に」

それからは千冬は自分の仕事に戻っていった。

部屋に残されたメンバーの間には微妙な雰囲気が流れていた。

「グズグズしてられないわ!!すぐに福音を倒しに行くわよ!」

突然、鈴が立ち上がって大きな声で宣言し始めた。

「鈴……」

「あんたの家族が傷つけられたのよ!?」

「……そうだね…福音を倒しに行こう」

「わたくしも手伝いますわ!!!」

全員が福音を倒すために立ち上がったが簪はどうも心の底から賛同できなかった。

{……なんでだろ…みんな、一夏のために立ち上がってくれて動き出してくれてるのに

あの真夏っていう人のポイントを稼ぐように動いているようにしか見えない}

簪の目には一夏の仇を討つために戦いに行くのではなく大好きな真夏のポイントを

稼ぐうえでついでに一夏の為に戦おうと言っているようにしか見ることができなかった。

 

 

 

 

一方その頃、束はというと……

「あ~あ、あの神門とかう子のせいで箒ちゃんの

活躍の場がなくなっちゃったじゃないか~」

束は空間投影型の端末を手に持ち、ものすごい速さでキーボードを叩いていた。

その画面には昼間の福音と、始めの戦闘の模様が映し出されていた。

「あ~あ、箒ちゃんに渡そうと思ってたこれも機会を失っちゃったし」

束は画面に一つの武装の詳細データを出した。

それは一本の剣なのだが普通の剣ではなかった。

「ISの様にコアを内蔵し所有者をこの剣が決める世界最強の剣。

箒ちゃんに渡したら英雄になれてハッピーになるのにな~」

「こう言うのをシスコンというのか」

「それは違うよ~。シロバット」

束の後ろに一匹の白色のコウモリの様なものが羽をパタパタと

動かしながら空中に浮いていたが。それは生物ではなく

機械のように感じられた。

「て言うよりもどこでそんな言葉覚えたの~?」

「俺は自律型AIだ。勝手に覚える」

「むぅ~」

束は機嫌が悪いのか子供のように口を尖らせてすね始めた。

 

 

 

 

その頃、真夏達は福音の居場所をラウラが見つけだしたので

撃墜のために近くにまで来ていた。

5Mほど離れた前に福音がエネルギーの繭の様なものに

膝を抱えて眠るように機能を停止していた。

「全員、覚悟は良いな」

『もちろん!』

「ならば…行くぞ!」

ラウラが一発、レールカノンから放った砲弾が福音に直撃し爆風をあげた。

ドオォォォォォン!

「初弾命中!」

『kaaaaaaa!』

福音は眠りを妨げられた事に不機嫌にでもなったのか奇声を上げながら翼を大きく展開した。

 

 

 

 

 

 

 

「……どこだ、ここは」

一夏は不思議な場所に来ていた。

黒い砂に黒い海、景色全てが黒色に染め上げられていた。

「確か…俺は」

「お前は撃墜されてここに来たんだ」

「っ!誰だ!」

一夏は突然自分以外の声が聞こえ、警戒しながら後ろを振り向くと

そこにいたのは真っ暗な景色の中で唯一、白色をもったコウモリの様なものだった。

「コ、コウモリ!?」

「違う。俺は篠乃ノ束によって作られた世界最高傑作の自律型AIだ」

「でも、なんでまたコウモリ」

「そんな事はどうでも良い。お前、力が欲しいか」

「力……欲しい」

「ならば何のために」

「そ、それは……」

一夏はそう聞かれて黙ってしまった。

力は欲しい。大切な人を、護りたい人を護るための力。

心の中では言えるのになぜか声に出して言う事が出来なかった。

「……そんなお前には力はやれんな」

そう言うとコウモリはどこかへと姿を消した。

 

 

 

 

「来るぞ!」

ラウラのその一声で全員が防御態勢に入った。

その瞬間に福音の翼から膨大な量のBTが放たれ雨のように降り注いだ。

「くっ!これが軍用に開発されたISの破壊力か!」

「それでも行くんだ!」

箒は2本の刀を持ち集中砲火の隙間を縫い福音に斬りかかるが

腕をクロスにして受け止められると羽根からシルバーベルが姿を現し

エネルギーをチャージし始めた。

「しまっ!」

「せいや!」

真夏は後ろから福音のエネルギーの塊である翼を零落白夜で

切断し消滅させると残りの羽根を鷲掴みにしてかかと落としを加え

海面に叩きつけた。

「今だよ皆!」

真夏がそう叫ぶとシャル、簪、セシリア、ラウラは福音が海面から上がってくる

所を狙い一斉に弾丸を放った。

福音は急な事に対応しきれずに全弾命中し大爆発を起こした。

「やった!」

「終わったな。これで一安心か」

全員がホッと一呼吸置いた瞬間に海面から空に向ってエネルギーの柱が立った。

「な、なんなんだあれは」

「やばい…第二形態移行だ!」

そこには4枚2対の翼から6枚3対に増えた福音の姿があった。




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