インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

24 / 51
第二十二話

『kyaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxa!』

福音は奇声をあげて羽を羽ばたかせると凄まじい風が専用機持ちたちを襲った。

その風はまるで嵐の近くにいるんじゃないかと思ってしまうくらい強く海は大荒れに、

波は大きくうねっていた。

「きゃぁ!」

「シャルロット!」

ISの基本性能であるPICを使っているにも拘らず体制が

保てなくなるほどの強風が専用機持ち達に襲いかかった。

「ああもう!」

「なんでこんなに強い風を起こせますの!?」

各々風にとばされない様に必死にスラスターを吹かせて体制を整えるが

動きにくくて仕方がなかった。

『iyahahahahahahahahahahaha!』

「な、なんだと!?」

福音は羽を大きく羽ばたかせると翼からBTが放たれ専用機持ちたちを襲った。

「みんな!」

それぞれ何とかかわしていくが徐々にエネルギーが減っていた。

「よくも皆を! おぉぉぉぉぉぉ!」

「私も行くぞ!」

真夏と箒は同時に福音に向かっていき剣を振り下ろすが福音は

それを翼で防ぎ、二人を蹴とばした。

「ぐぅ!」

『a♪』

ドオオォォォォォォォ!

「箒ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

福音は蹴とばした箒を体制を整える前に強力な砲撃を至近距離で

放ち海面に叩きつけた。

「………許さない。よくも僕の仲間を! あぁぁぁぁぁぁぁ!」

真夏が咆哮をあげた途端、白式が光り輝きだし第二形態移行を開始した。

その輝きは思わず目をつむるほど眩しいもので福音も警戒してか

その様子を何もせずに静観していた。

 

 

 

 

そして輝きが収まるとそこには第二形態、白式・雪羅を纏った真夏が立っていた。

「お前は僕の手で倒す!」

『haaaaaaaa!』

真夏は新たに装備された雪羅を発動させ福音に向かって荷電粒子砲を放った。

福音も負けじと極太の荷電粒子砲を放ち、それらがぶつかると大爆発を起こした。

二つの攻撃力はほぼ互角。

「おぉぉぉぉぉ!」

真夏は大幅に上がった機動性を駆使して眼で追いきれないほどの

瞬時加速《イグニッションブースト》を発動させ、

福音に一瞬のうちに近づき零落白夜を発動した

雪片弐型と雪羅・クローモードで一閃しエネルギーを大幅に削った。

『kyaxaxaxaxaxaxaaaa!』

「な! そんな状態でまだ!」

福音はどれだけ傷つけられようとも何度も立ち上がり真夏に攻撃を仕掛けてくるが

先程までの勢いはなくただ単に自分から距離を離すための攻撃だった。

「逃がすか! 仲間を傷つけた罪は重い! さあ! 罪を償え!」

 

 

 

 

海面に叩きつけられた箒は考えていた。

「……痛い……体中が痛い……そして怖い……密漁船に

乗っていた船員たちもこんな怖さを感じていたのか?」

箒は初めて福音と闘ったときの事を思い出していた。

「もしもあのまま……攻撃が当たっていれば……私以上の痛みを

彼らは感じたのか……はは、全く私はあいつの言うとおりキチガイだな。

私は紅椿という力に呑み込まれていただけか……よし!」

箒は頬をパンと叩き気合いを入れると痛む体に鞭を打って立ち上がった。

 

 

 

 

 

「………約束なんだったかな」

一夏は未だに謎の海のある空間からは抜け出せずにいた。

さっきから楯無との幼いころの約束を思い出そうとしているがその片鱗すら

思い出せない。

「思い出したい記憶があるのか?」

「君は確か……シロバットだっけ?」

「ああ、お前を過去に今だけ飛ばしてやろう」

シロバットがそう言った瞬間、まばゆい光が一夏を包み込んだ。

 

 

 

『待ってよ~』

『追いつけるものなら追いついてみなさい!』

一夏の耳に幼い子供の楽しそうな声が聞こえてきた。

「ここって」

「ここは今から9年とちょっと前だ」

一夏の頭の上にまるで止まり木にとまるようにしてシロバットがくっついていた。

いくら一夏が振り払おうとしても一向に降りてくれないのでもう諦め

そのまま話を聞くことにした。

「……あの子たちは……俺と……氷菓!?」

一夏の視線の先には幼いころの自分と楯無が一緒に楽しそうに遊んでいた。

このころの二人は周りの子よりも家の環境が違うため身体能力が高いので

大概は二人で遊んでいた。

しかし、一夏の体力は極端に少ないので5分も経たないうちに

膝に手を置いて息を荒げてしまう。

『はぁ、はぁ、はぁ』

『大丈夫?』

『心配するなら、はぁ、走らせないで、はぁ』

『はははははは! 喋れるならまだいけるね!』

そう言うと楯無は笑いながらまた走り始めた。

一夏もその後ろ姿を慌てて追いかけていった。

 

 

『こひゅ~。こひゅ~』

『あはははははは! すご~い! こひゅ~だって~!』

楯無は今にも死にそうな一夏の呼吸を大笑いしながら鑑賞していた。

その一夏は顔を真っ青にして今にも死にそうな感じがしていた。

それから30分後、ようやくまともに話すことができるほどにまで

回復した一夏は楯無に膝枕をされてベンチに横たわっていた。

『ねえ、氷ちゃんって将来の夢とかあるの?』

『なんで?』

『今日ね、学校の先生から将来なりたいものを考えて

作文を作ってきなさいって言われたんだ』

『そう言えば私も言われて書いてるよ』

『氷ちゃんはなんて書いたの?』

『むふふ~聞きたい?』

『うん!』

『じゃあ、当ててみて!』

今さらに思うが楯無はよく自分を困らせるような無茶な

お願いや質問をしてきたなぁ~と懐かしく感じていた。

例えば虫が嫌いだと一夏は言っているのにも拘らずセミを取って、だとか

高いところが苦手なのにバトミントンの羽根を取ってだとか極めつけは

お化けを連れて来てなんて言われたこともある。

今となってはいい思い出なのだが。

『ん~……更識の家を継ぐこと?』

『……ファイナルアンサ~?』

『ファイナルアンサー』

氷菓は某クイズ番組の様にかなり間を開けながら正解を言った。

『……ざんね~ん!』

『じゃあ、なんなの?』

『教えてあげる』

その時、一夏の頭の中に目の前の景色とおなじ映像が流れてきた。

『私の夢はね』

「そうだ……氷菓の夢は」

『一夏の』

「俺の」

『「お嫁さんになる事」』

 

 

 

 

「あ、あれ?」

「ようやく思い出したか」

一夏が次に目を覚ますとそこはとある一室だった。

目の前にはやはりシロバットがパタパタと羽根であり腕でもある部分を

振りながら宙に浮いていた。

「確か……俺は変なISに襲われたんだ」

「そうだ。そしてお前は大けがを負った」

「……でも、その怪我がほとんど治ってる。痛みもほとんどない」

一夏の体は若干鈍い痛みはあるものの戦えるほどにまで回復していた。

「それはお前の専用機であるメモリーの力だ。お前の記憶にあるもので

修復が出来る。いい例がお前の傷だ。お前の記憶にある

無傷だったころのお前の体の記憶をもとにしてメモリーが回復させた。

ただしその記憶は消費されてお前の記憶の中から消える。

顔は残念だが回復は無理だ」

「どうして」

「お前は自分の顔を覚えているか?他人の顔は覚えていれど

自分の顔は覚えてはいない。だから顔の傷は無理だ」

一夏の頬には痛々しい火傷の跡が小さく残っていたが一夏は

あまり気にはしていなかった。

「……行こう」

 

 

 

 

「待て福音!」

その頃真夏達は逃げる福音を追っていた。

もう少しで倒せそうなのだが先程から一向にとどめがさせずにいた。

「これで終わりだ!」

真夏は瞬時加速を使い福音に一気に近づくと福音は自分の

パイロットが搭乗する部分を翼で隠した。

それを見た簪は直感的に何かを感じ真夏と福音の間に割り込んだ。

「ダメ!」

「な! 更識さん! 何をするんだ!」

「私もよく分からないんだけどダメなの!」

「ちょっとあんた! 何してんのよ!」

他のメンバーたちも簪の奇行に批判的な意見を口々に言っていった。

「ダメなものはダメなの!」

「……だったら君も犯罪者だ。僕が裁く! さあ、罪を償え!」

真夏は非情にも簪に向かって雪羅のカノンモードを放った。

 

 

 

 

 

簪に向かって放たれた雪羅は着弾し大爆発を起こした。

「ま、真夏。別に当てなくても」

シャルは本気で攻撃を当てた真夏に憤りを少し感じていた。

「関係ないよ。犯罪者は犯罪者。敵を庇うなんて以ての外だよ」

「味方を平気で殺そうとするお前の方が以ての外だ」

『!』

爆風の中から一夏が現れた。

「お、お前さっきの攻撃を完全展開せずにどうやって防いだんだ!」

真夏は最大威力で放ったにもかかわらず部分展開の状態で防いだ

事に怒りを覚えた。

「い、一夏!? な、なんでここに!」

「まあ、色々ありまして……福音」

一夏は簪の疑問には後で答えるように言うと福音の傍に行った。

福音は一瞬警戒したが一夏の危険度レベルが低いと結果が出たのか警戒を解いた。

「……やはり国は国ですか」

「一夏?」

「あ、いえなんでもありません」

簪はブツブツと何かをつぶやいている一夏を不思議に思ったがすぐに

いつもの一夏に戻ったので一安心した。

「どういうつもりだ! 何故お前まで僕の邪魔をする!」

「……見ていろ」

一夏は黒い刀をコールすると福音のパイロットが搭乗する部分に軽く剣先を

あててスーッと上に上げるとその部分の装甲が剥がれおちた。

それを見た真夏達は驚きに声をあげた。

「な! なんで!? 報告では無人機の筈じゃなかったの!?」

「え、ええ。確かに報告では無人機とありましたわ」

「で、でも人が乗ってるよ」

各々、非常に驚いていた。

アメリカから来た報告書には無人機が暴走したのでそっちで

停止させろというものだったのだがこれでは報告とは違う。

「福音……君はよくやったよ。搭乗者を守るためにここまでした。

もう休憩していいよ、後は俺たちに任せてくれ」

そう言い一夏は福音に黒い衝撃波を至近距離で直撃させ

エネルギーをゼロにすると搭乗者を肩に担いだ。

 

 

「危うく人殺しになりかけたな、天才」

「う、嘘だ。ぼ、僕は正しいんだ」

「所詮お前は自分の意見をおしつけているだけにすぎない。

気付かなかったのか?戦いのさなか、福音は何かを護っている事に」

それを言われた全員の頭の中には心当たりがいくつもあった。

途中、福音は超攻撃型の戦法から出来るだけダメージを受けない戦いになっていた。

「ま、これで一件落着……ではなさそうだ」

一夏の後ろには真っ黒なボディーカラーに異様に長い腕、そして3つの龍の

首を持った無人機が浮いていた




こんばんわ~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。