インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第二十四話

「作戦完了お疲れ様……と言いたいが貴様たちは命令違反を犯した。帰ったら

反省文を10枚、特殊訓練をしてやる。嬉しく思えよ」

旅館に帰ってきた全員を襲ったのが千冬の言葉だった。

「しかし……まあ、良く帰ってきたな。反省文は無にしてやろう」

千冬は照れているのか少し顔を赤くしながら旅館に戻っていき、

彼女と入れ違いに山田先生とアリシアが皆のもとにやってきた。

「では、皆さん傷に手当をしましょう」

「にゃはは~! 神門っちは私がしてあ・げ・る・ね♪」

「山田先生! 俺も手当をおぉぉぉぉぉ!」

「にゃははははー!」

「た、助けてぇぇぇぇぇぇぇ!」

アリシアは満面の笑みで横ピースしながら一夏に微笑むが彼は

貞操の危機を本能的に感じ、自分も山田先生に頼もうとしたが

それよりも早く腕をアリシアに引っ張られて救護室に入っていった。

専用機持ちたちは一夏の無事を祈りながらも見て見ぬふりをした。

 

 

 

「な、なんで? なんであの剣が箒ちゃんじゃなくてあんな奴を選んだの?」

束は切り立った崖の上で予想外の事に打ち震えていた。

束の考えていた展開では剣が箒を主として選び、絶大な力を与えて

束が送り込んだ龍のISを倒して皆の英雄になる。

これが天災が考えていたことなのだがしかし現実は違った。

剣は一夏を主として選び力を与えた。

「剣も俺も奴を選んだ。諦めるんだな」

「シロバット! どういうつもり!? あの剣の主を決める

半分の権限を君に与えたのに何であんな奴を選んだの!?」

「悪いが俺はお前の操り人形……いや操りコウモリではない。

主はこの俺が決めて、あの剣も奴を選んだ」

「AIの癖に!」

束の言ったことにシロバットはまるで、人間のように失笑の笑みを浮かべた。

「ふん、お前が奴にした事が気に喰わない。それだけのことだ」

そう言いシロバットはどこかへと飛び去ってしまった。

「そ、そんな筈はない……私の計算は正しいはずなのに」

そう呟きながら束はフラフラと海岸線沿いに歩いて行った。

 

 

「にゃにゃ!? 良い肉体してるね~」

「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」

一夏は救護室でアリシアの手当てという貞操の危機に瀕していた。

先程からアリシアは一夏に割れた腹筋に沿って指でなぞっており

それがこそばくて仕方がなかった。

「ふむふむ、どうやら吹っ切れたみたいだにゃ」

「え?」

「今の君からは誰かに早く会いたいっていう気持ちが感じられるよ」

「あったり前じゃねえか! 今の一夏は氷菓ラブなんだぜ!?」

「……ところでこれはなんなの?」

「さ、さあ? 俺にも何だか」

福音との戦いが終わってから手当てをしている最中に突然、拳銃が

待機形態だったメモリーが形態変化を起こし黒一色のコウモリに変わった。

そのコウモリは部屋中を飛び回り嬉しそうにしていた。

ちなみにシロバットは一夏の頭の上が気に入ったのか手当の最中も

ずっと止まっている。

「ん~君は今日からクロバットで良いよね?」

「おお良いぜ! よろしくな!」

クロバットが羽を一夏にまるで握手を求めるかのように差し出してきたので

一夏は小指をクロバットに差出して握手を交わした。

「待機形態が変化を起こすか……ん~聞いたことがないね~」

「まあ、俺男なんで」

「ま! それもそうだにゃ~」

アリシアはそれ以上は深く考えずに一夏の手当を再開した。

途中、一夏の悲鳴にも似た叫びが聞こえたが誰一人として気付かなかった。

 

 

 

その頃、旅館から少し離れた海岸では一人のスーツを着た

外人が特殊な回線を使い本国と連絡をしていた。

「こちらグリス。応答を」

『こちら合衆国作戦本部』

「作戦は失敗です」

『な、なんだと!? それは本当か!』

「はい、その模様です」

『くそ! ならばデータの方はどうなっている!』

「残念ながら」

『くそ! 福音は委員会からの通告で恐らく今までどおりには

動かせん。前に強奪されたにもかかわらずまた一機失ったか』

無線からは先ほどから、男性の野太い怒鳴り声が何回も響いてきた。

「はい、ナターシャ・フィルスは如何なさいますか」

『仕方があるまい。殺しておけ』

「了」

「Don`t move」

「っ!」

スーツ姿の男性が返事をしようとした瞬間、

後頭部に何かを突き付けられた感覚と男性の声に体をこわばらせた。

「だ、だr」

「Don`t speaking.see you again next life」

「待っ!」

――――バァァァン!

男性が言い切る前に銃の引き金が引かれ静かな海辺に銃声が響いて、

その数秒後に男性は倒れ伏した。

しかし、一夏が放ったのは殺傷能力のない更識家特製の麻酔銃であり

男性はすやすやと眠っていた。

『おい! どうした! 何があった!』

月明かりに照らされて見えた顔は一夏だった。

一夏は落ちている無線機を拾って向こうのどこかにいる者達に向かって話しかけた。

「は~い。おバカな合衆国さん」

『っ!? だ、誰だ貴様は!』

「貴方がたの作戦はすべて筒抜けですよ~。福音を

暴走させたのも貴方がたアメリカ合衆国の上層部」

『き、貴様は一体誰だ! 何故その事を知っている!』

無線機から怒鳴り声が聞こえてくるが一夏は一切おくさずに

口角を上げながら無線機の向こうにいる人物に話しかけた。

「おやおや~? 良いのかな~? この会話は録音されてるのにな~」

『な、なんだと!?』

「もしもこの会話を流したらどうなるのかな~? 世界の警察であるアメリカが

一人の命を蔑にして男性操縦者という兵器を量産しようと試みていたって

世界中に広がったら委員会からはコアの保有数を大幅に……いや、ゼロにさせられるかもね~」

『っ! 卑怯者めが!』

「ん~? 今卑怯者って聞こえたような気がしたな~。広めちゃおっかな~」

『くそが!』

そう怒鳴ると無線は切れた。

一夏はその無線機を腕の部分だけ展開して握りつぶした。

「ばっかだな~。録音なんてしてないのに~」

一夏はまるで幼い子がいたずらを成功させた時に浮かべるような

満面の笑みを浮かべて旅館へと帰っていった。

 

 

 

 

「僕の計算は……正しいんだ」

真夏は覚束ない足取りで海辺に沿ってどこに向かって

いるのかも分からずにただただ、まっすぐに進んでいた。

―――――ザリッ。

真夏の足音とは別の音が聞こえ、前を向くとそこには真夏と同じように

覚束ない足取りで浜辺を歩いていた束だった。

「まっくん」

「……束」

束は真夏の姿を見つけると同時に、彼に近づいて抱きついた。

「まっくん……私の計算は……間違ってたの?」

束は涙を流しながら真夏の胸の中で涙を流し始めた。

「束……僕の計算も……間違ってたのかな?」

真夏も同じように泣きながら束を抱きしめた。

天才同士にしか理解し得ることのできない苦しみを二人は共有し、

そしてお互いにそれ以外の感情も持っていた。

「……まっくん」

「……何?」

「……さっきの事忘れたい……久々にしよ?」

「ああ」

真夏は束をお姫様だっこをして抱きかかえると近くにあった茂みの中へと2人して入っていった。

 

 

誰もいない――――――観客が誰一人としていない場所で女性の喘ぎ声が響き渡っていた。




こんにちわ~。
卒業考査中のKueで~す!
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