インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第三十話

――――――パン! パンパン!

空に小さな花火が打ち上げられそれと同時にIS学園の文化祭が始まった。

IS学園の門が一般に開かれるのは文化祭やその後にある

キャノンボールファストという行事くらいである。

それの所為かいつもよりも多くの生徒達の親や

恋人、または企業の人間が学内に入っていった。

校内に入るとある教室の前だけ異様に長い行列ができている。

「は~い! 最後尾はここで~す!」

女子生徒は看板を持ちながらお客さんを誘導していた。

そして教室の中を覗いてみると

「いらっしゃいませお嬢様方。本日は何に致しましょう」

こんなふうに本職が執事である一夏はいつもの様に手なれた様子で

テキパキと接客を行っていた。

そして厨房では料理が出来る女子生徒と達がおお慌てで作っていた。

作ると言っても材料からではなく事前に準備はしていたので盛るだけなのだが

その盛るという作業すら間に合わなくなるほど忙しかった。

「いらっしゃいませ、おじょ……た、楯無様」

「ふふ、来たわよ一夏♪」

そこには本物のお嬢様がいた。

「席空いてるかしら?」

「少々お待ち下さい」

そう言い一夏は座席を確認していっていると一つだけ開いていた。

「空いてはいますが相席になりますがよろしいでしょうか」

「ええ、良いわよ」

「では、こちらへどうぞ」

 

 

 

 

そして楯無が案内された座席には見知った顔があった。

「あ、会長~」

「お譲様も来られていましたか」

そこには布仏姉妹がおいしそうなケーキと紅茶をほおばっていた。

「あら2人も来ていたの?」

「ええ、なかなか評判なものですから」

「ご注文は」

「二人と同じものをお願い」

「畏まりました」

一夏はお辞儀をしてから厨房の方へ走っていった。

「ん~このケーキ美味しい~」

本音はショートケーキを幸せそうに口に含んでいた。

実際、ここのケーキが美味しいという評判が広まりに広まり大盛況だった。

作っているのは簪である。

「ふふ、皆もメイド服着て接客してるのね」

「お待たせ致しました」

楯無の前には注文とは違ったケーキが置かれた。

「申し訳ありません。お客様が注文してくださいましたショートケーキは

既に材料切れになっておりまして別のもにさせていただきました」

「ふふ、構わないわ」

「では、ごゆっくり」

楯無はその運び込まれてきたケーキを一口食べると幸せそうに微笑んだ。

「美味しい♪これ一夏が作ったものね」

「良いな~会長~」

「これ本音」

「は~い」

本音は姉に注意されると渋々自分のケーキを食べ始めた。

 

 

 

「ありがとうございました!」

午前の部が終わりようやく4組の教室は静寂を取り戻した。

「お疲れ様です皆さん」

「あ~疲れた~でも、これから回れる!」

各々表情には疲れが見えていたがどこか満たされた様子だった。

一夏も執事服を脱ごうとするが簪に止められてしまった。

「あ、一夏はそのままお姉ちゃんの所に行きなよ」

「え? でも、片づけが」

「良いの良いの。たまには私がするから!」

そう言われて一夏は簪に無理やり気味に教室の外に出された。

「一夏~ここは甘えておこうぜ」

頭上にはパタパタと羽根を羽ばたかせている黒と白のコウモリがいた。

「そうですね……さて、俺は」

「あの神門様ですね?」

一夏は楯無の元に向かおうとした瞬間、

後ろから呼ばれて振り向くとそこには胸に許可証を持った企業の女性がいた。

「わたくし、IS装備開発企業『みつるぎ』の

渉外担当の巻紙礼子(まきがみ れいこ)と申します」

「は、はぁ~」

丁寧に名刺をもらった一夏は少し戸惑いながらも話を聞くことにした。

「神門様にぜひうちの装備を使っていただく」

「え、えっと俺そう言うのは結構です」

「何故ですか?」

「俺には最高の相棒達がいますので。それでは」

一夏は話をどうにかして終わらせてその場を後にした。

 

 

 

「あ、一夏」

「楯無様、遅れて申し訳ありません」

「ううん、大丈夫だよ。行こ♪」

楯無は笑顔で手を差し出し一夏も自然な動作で楯無の手を取ると

指をからませて手をつなぎクラスが出している店に向かった。

 

 

 

 

 

2人は自由時間を他のクラスが出している店で楽しんだ。

爆弾解除ゲームだったり簡易的な射的だったりミニお化け屋敷だったり。

「ふふ、楽しかったわね」

「ええ……氷菓ちょっと来て」

「え? い、一夏!?」

一夏は小声で氷菓の名を呼び彼女の手を取り人気の少ない所に連れ込んだ。

「い、一夏」

「……キスしたい」

「へ?」

一夏が言った事に楯無は顔を真っ赤にした。

誰だって想い人からキスしたいと言われれば顔を赤くするだろう。

さらに2人はラウラの乱入でうっかりファーストキスのタイミングを逃してしまい

夏休み期間中にキスが出来なかった。

徐々に近づいてくる一夏の唇を楯無はうっとりしながら見つめ目をつむった。

2人の唇が今にも重なろうとした瞬間

「ふふ、学生の青春の一枚ね」

「けっ! 気持ち悪いこった」

「誰だ」

2人のすぐ近くに仮面をつけた2人の女性が立っていた。

 

 

 

一方その頃漂浪中の真夏はというと公園のベンチでボーっと座っていた。

さっきから一時間ほどこういう感じで空を見上げている。

「ん?」

すると真夏の足もとにボールが転がってきた。

「すいませ~ん!」

小さな男の子が片手にゴミを持って真夏に駆け寄ってきた。

「これ君の?」

「はい! ありがとうございます!」

少年はお礼を言いながら真夏からボールをもらった。

「お兄さんさっきから空を見上げてるけどどうしたの?」

「うん……まあちょっとね」

「だったら僕と遊ぼうよ!」

幼い少年は真夏の手を取りゴミ箱から1メートルほど離れた場所に立った。

「ここからね! この空き缶を投げてどっちが入るか勝負だよ!」

「……うん、分かった。じゃあ、まずは僕からかな」

真夏は空き缶を取ると物理の放物運動を考え始めた。

{立っているところからゴミ箱の距離は1メートル、ゴミ箱自体は

地面と水平に直角にあるけど穴は少し角度が違うな。修正して}

そこから数分位頭で暗算して絶対に入る理論上の式を立上げて

それを実践した。

しかし、

――――ヒュォォン。

真夏が投げた瞬間、強めの風が吹いて空き缶の軌道がずれゴミ箱の

枠の外に当たってしまい入らなかった。

「なっ!」

「お兄さん下手くそ~♪僕の番だね!」

少年は空き缶を取って線に立つがいささか身長が足りないようで

背伸びをしないとゴミ箱の穴が見えなかった。

{これは入らないね}

真夏はそう確信した。

「行くよ! うりゃ!」

少年が投げた空き缶は弧を描きゴミ箱の穴の手前の枠に当たってしまった。

{計算通り}

しかし、その当たったところが良かったのかそのまま勢いとなって

綺麗に穴にすっぽりと入ってしまった。

「やった! 僕の勝ちだよ!」

「な、なんで。僕の計算は正しいのに……っ!」

自分の計算は正しい……しかし、その絶対的な自信を二回も

打ち砕かれてしまった。

まだ、自分と同い年ならば苦しむだけでいいのだが相手は自分よりも

幼い子供……プライドが許さなかった。

「ねえお兄さん」

「な、何かな」

「計算がすべて正しい訳じゃないよ?」

真夏は幼い子にまで言われてプライドという残りかすは全て

風にさらわれてしまった。

「僕の計算は正しいんだ!」

「じゃあ、なんで空は青いの?」

「――――――っ!」

少年の素朴な質問に真夏は言葉を詰まらせた。

空が青いわけ、そんな当たり前な事考えたこともなかった。

生まれたころから見ている空はずっと青い……そんな常識を真夏は

疑うこともせず、ただ常識として頭の中にインプットしていた。

絶対に変わらない事実として。

そしてそれと同時に真夏の中で何かが変化を起こし組みあがった。

「はっ……ははは。そうだね……なんで空は青いんだろうか」

「でしょ?」

「ありがとう、坊や。君のおかげで目が覚めた。感謝するよ」

「――――――?」

少年は真夏の言っている事にさっぱり意味が分からないのか首を傾げていた。

するとその時、チャンネルが開かれた。

『真夏! 亡国機業(ファントムタスク)だ! 今すぐ帰って来い!』

「分かった……じゃあね、坊や」

そう言い真夏は急いでIS学園に向かった。

 

 

 

 

 

「ねえ、これで良かったの~?」

「うん、ありがと。はい、これご褒美の飴ちゃん」

「わーい!」

少年はウサミミをつけ、グラサンをかけている女性から小さな飴ちゃんを貰うと

大喜びしてそれを貰い口の中に頬張った。

「まっ君。君は新たなステージに到達したよ」




こんにちわ……マジで、矛盾がないかが心配です。
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