インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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今回のお話でコンピュータに関することが出てきますが
作者はほぼ、知識がないのでおかしいと思った際はご指摘の方をお願いいたします。


第三十七話

何事もなく夏休みは過ぎていき、あっという間に始業式を迎え、

夏服に身を包んだ女子生徒達が二学期に準備されている

授業を一つ一つこなしていく。

あるものは気合を入れ、あるものは何らかの経験をしたのか

一段階精神的に大人に、またある者は過ぎ去った楽園を懐かしんでいた。

だが、一夏はそのどれに当てはまらない……考え事をしていた。

あの日、自らの誕生日の日の晩、織斑マドカと名乗る女性に告げられた

真実か、それとも嘘かも分からない事柄を話され、彼の頭は混乱していた。

確かにあの時、マドカは一夏が暴走して楯無を傷つけた……そのような内容の

話しを一夏にした。

最初は一夏も戯言だと考えていたのだがよくよく考えてみれば

思い当たる節は山ほどあった。

突然、意識がなくなり、目が覚めるとベッドの上ということは何度もあった。

そして、自分の隣には必ず包帯を巻いた楯無がベッドで横たわっていた。

あの時は偶然だと思っていたがあの話を聞いた今の彼はとてもじゃないが

偶然とは思えなかった。

「……俺は」

調べる必要がある――――――そう考えた一夏はある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、別の場所でも話し合いが行われていた……いや、

話し合いというよりも説教に近いものだ。

真夏の部屋にセシリアは呼ばれた。

「セシリア……僕が呼んだ理由はわかってるよね?」

「……真夏さん。私は鍛錬がありますので」

そう言って、部屋から出て行こうとするセシリアの腕を真夏は掴んで、

無理やりベッドに座らせた。

「あのISはイギリスから強奪されたサイレント・ゼフィルス。

イギリスの代表候補生の君が躍起になって取り返そうとするのは分かる……

でも、人の命を危険に曝してまで取り返した君の行動をいったい誰が

賞賛してくれるというの?」

セシリアでは理解し得ない暗い闇では彼女の行動をある程度認める意見は

出されるであろうが、彼女が普段過ごしている表の世界では他人の命を

危険に曝してまでISを取り返したとなれば賛否両論……いや、

批判の方が少し多くなるかもしれない。

「真夏さんだって……私と同じだったではないですか」

痛いところを突かれた。

以前の真夏はほかのことを考えず、夏休み前の臨海学校にて福音と

闘った際、違法に侵入した漁船を無視し、その乗組員を犠牲にしかけた……

その結果、作戦は失敗し、さらに兄である一夏が重傷を負った。

「分かってる。僕が君を説教するのは間違っていることだって分かってる。

でも、僕は放っておけないんだ。僕と同じような行動をして自分の使命を

前面に出して人のことを考えないで行動する……そんな経験をしたから

僕は君に言っているんだ。セシリア。激情に囚われて戦いに挑んでも

勝てない……僕が良い例じゃないか」

そう、セシリアはつい最近、激情に囚われたものが呆気なく勝負に負けた

光景を目の当たりにしていた。

「僕があんな経験をしたからこそ……僕の友達に僕と同じような

愚かな行為をして欲しくないんだ。君はイギリス代表候補生の

セシリア・オルコット。君は僕みたいな愚か者になったらダメなんだよ」

真夏の言い分にセシリアは何も言わず、黙ったままずっと俯いていた。

真夏の経験からの発言に何も言えないでいるのか、それとも今この場では

何も言いたくないのか、それとも放っておいてくれという暗示なのか。

「……セシリア。僕は」

直後、突然真夏の部屋のドアがバン! と開かれ、息を乱した

千冬が姿を現した。

「姉さん?」

「真夏、ちょっと来い」

彼女の雰囲気からただならぬものを感じた真夏は、セシリアの頭にポンと

手を乗せて何度か撫でた後、千冬についていき、部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの姉さん?」

「……真夏。今から話すことは誰にも言うな」

「……分かった」

「今、IS学園がハッキングされている」

真夏は驚くしかなかった。

世界で最も重要なこの機関をハッキングしようとする輩は星の数ほどいよう。

だが、そのたびにこの学園の重厚なシステムによって全てが遮断され、

牢屋の中へとぶち込まれてきた。

「何か機密事項でも」

「いや、違うんだ」

真夏は疑問を抱かざるを得なかった。

この状況にも、そして周りの教員たちがそんなに慌てていないことに。

「今ハッキングを受けているのはアリーナでの出来事を監視、

録画しているカメラのシステムだ」

「……まさか、前のゴーレムとかいう」

真夏の発言に千冬は首を左右に振った。

「いいや。侵入者が入っている個所は個人別トーナメントの

映像が保管されている区画だ」

真夏は画面に表示されている文字の羅列を見て、イスに深く座り、

ポキポキと指の骨を鳴らすと凄まじい速度でキーボードをタッチしていった。

真夏は束の全てを受け継いだ唯一の弟子のような存在……コア以外の

製造法、他にもネットのやり方などもすべて束から教わった。

今ここで下手に普通の教員にやらせるよりも、あの場にいた真夏に

やらせた方が機密事項が漏れだすリスクは格段に減る。

「凄い腕だね。いったいいくつのダミーを……でも、この

織斑真夏には一歩、及ばなかった」

真夏がEnterを押した瞬間、今まで出ていた文字の羅列が一瞬にして

消え去り、元の画面に戻った。

「損害は」

「大丈夫。特に損害は見当たら……」

そこで真夏が止まった。

(おかしい…………まさか)

真夏はある考えにたどり着き、すぐさまIS学園の生徒しか

閲覧できないHPへと飛び、個人別トーナメントのアップされている動画欄

へと飛んだ。

「どうした真夏」

「やられた」

「何がだ」

「侵入者の目的は何も機密データを盗むことじゃなかった……

相手は教員権限で閲覧がロックされている戦闘をロック解除すること。

僕たちは機密の方ばかりに意識が集中して……言うなら大きなハッキングに

集中しすぎて、あまりにも小さすぎるクラッキングを見逃したんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その真夏の言葉通り、クラッキングを使い、教員権限を使って

閲覧がロックされている動画を視聴している存在がいた。

『一夏! 落ち着いて! 私がいるから!』

その映像には自分が使えている主の楯無、簪、そして

一組の箒、シャルロット、ラウラが鮮明に映っており、

それらに銃から極太のレーザーや弾丸を使って攻撃し、刀で斬りかかっている

自分の姿――――――――神門一夏の姿があった。

「う、嘘だ」

一夏は目の前の信じたくない映像に頭を抱えこんだ。

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」

こうして、一夏は真実を知ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界には知らなくても良い真実がある。




おはようございます! あぁ、もうすぐ大学の試験が始まる。
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