インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

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第三十八話

「へ? 兄さんが自宅の部屋から出てこないんですか?」

自室でゆったりと本を読んでいた真夏のもとに息を荒くした状態の楯無が

入って来て、一夏が自宅の部屋から出てきていないことを告げた。

本来ならIS学園から自宅へ戻るときは許可証なるものが必要なのだが

一夏はそれを貰わずに自宅へと戻ってしまったらしい。

楯無が何度、声をかけても出てこないということなので真夏に救援要請を

したという。

「一夏の義母さん曰くもう、三日以上ご飯も食べていないらしくて」

「そうですか……よし、行きましょう」

真夏は小説をテーブルに置き、楯無の先導のもと、一夏が住んでいるという

自宅へと向かった。

楯無はその間に、家のことなどは一切口外しないようにと真夏に言いながら

一夏の部屋の前に到着した。

「兄さん。僕だよ」

扉をノックしながら真夏が声をかけるが中からは一切、音が聞こえてこずだった。

一足先に来ていた千冬も一夏に声をかけたものの真夏の時と同じ状況だったらしい。

その後も何度も楯無や、簪、本音などが声をかけていくが中からは一切、

音が聞こえてこなかった。

「強行突入よ!」

「良いんですか? 会長」

真夏の言葉に楯無は首を縦に振った。

「よし、じゃあ早速……あれ、開いてる」

真夏がドアノブを回すとドアが開いた。

どうやら真夏達は閉まっていると先入観を抱いた状態で扉の前に立っていたらしい。

「兄さん。入るうわぁ!」

真夏が扉を開けて、中へ入ろうとした瞬間!

天井にぶら下がった大きなハンマーのようなものがタイミングよく真夏に

直撃した。

不意にくらった真夏はそのまま態勢を後ろに崩して、尻もちをついてしまった。

「簪ちゃん! 嘘ちゃん! 本音! 行くわよ!」

楯無の号令のもと、ハンマーを避けつつつ、警戒しながら女子四人組が

入っていくと天井から紐でぶら下げられているポーチがあった。

「…………引っ張ってみようかしら」

楯無が興味本位でひもを軽く引っ張った瞬間!

「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

天井に穴が開いて、そこから大量のゴキブリやら蜂やらの虫が降り注いできた!

三人は叫びをあげながら外へと出ていくが、本音だけ一歩も動かなかった。

「本音? 本音……気絶しちゃってる」

姉の嘘が見ると本音は経ちながら気を失っていたらしい。

「これ、人形ですね……僕が行きます!」

真夏はダッシュで虫(人形)を避けていき、広い部屋の中へ入ると

壁沿いに設置されているベッドにある布団が妙に膨らんでいた。

真夏は考えた。

(これは絶対に僕を欺こうとしている……ベッドと見せかけてタンス……いや、待て。

兄さんは僕が天才だということを知っている……つまり、あのベッドは欺くためではなく、

兄さんが自分の姿をかくしているんだ!)

「ふっふっふ。甘いね、兄さん!」

真夏がそう言いながら膨らんでいる布団をはぎとるとそこにあったのは!

『もう一度、人生やり直してこい』

「……………………」

そう大きく書かれた画用紙があっただけで、ふくらみは作られたものだった。

途端に真夏はさっきの考えを頭の中で動かしていた自分が急に恥ずかしくなって、

動作不全となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一夏はというと―――――。

「はい、一夏。紅茶よ」

「うん……ありがとう」

なんと、両親の部屋にいた。

実は一夏は家に帰宅してすぐに両親に自分が主を傷つけていたことを言い、

両親は今まで黙っていたことを謝罪し、真実を話した。

そして、傷心中の一夏は自分たちの部屋で匿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、一夏捜索隊は精神的に壊滅的なダメージを負いながらも部屋を探すも

本人が見つからなかったのでその日は解散した。

IS学園で最近、不祥事続きで行事が中止され続けてきたので専用機限定タッグマッチを

行う予定なので教師の千冬、そして生徒会のメンバーは来れなくなったが

真夏だけは毎日、一夏の自宅に通っていた。

そして、タッグマッチが行われる前日。

「真夏さん。少し、お話しすることがあります」

一夏の義母に呼ばれ、広い庭へと案内された。

「一夏のことなんですが……今は、私たちの部屋にいます」

「…………薄々は気付いていました。部屋を探した日は色々とあって

考えられなかったんですが、日が立った後に冷静になって考えてみれば

すぐに分かったんです。もしかしたらご両親が匿っているんじゃないかって……

仮に本当に家に帰ってきていなかったら警察に届けるくらいのことはするはずなのに

ご両親はかなり落ち着いていました」

「……あの子は」

一夏の義母が話そうとしたときに真夏はクルリと背を向けた。

「理由は聞きません……僕は兄さんが帰ってくるって信じていますから……

それに、僕なんかが兄さんにあんまり関わることだって許されないんです。

兄さんに言っておいてくれませんか? 僕は兄さんに助けられた。

だから今度は僕が兄さんを助けたいんだって」

そう言い、真夏は頭を下げて一夏の自宅から去った。

 

 

 

 

 

 

 

そして、タッグマッチトーナメント当日の日、真夏は開会式の為に

グラウンドにクラスの全員と並んでいた。

あれから何回か、一夏の両親に部屋まで案内されて姿が見えない一夏に

話しかけることは出来たものの一切返答はなかった。

十分ほど続いた開会式も終わりに近づこうとした瞬間!

「わっ!」

突然、上から爆音が聞こえ、上を向いてみると絶対防御の技術が使われているはずの

アリーナの壁に大きな穴が開いており、そこから冷たい何かを感じる黒い塊が

顔を少し、見せていた。

「ゴ、ゴーレム!」

真夏はその姿を見るや否や、すぐさまクラスの専用気持ちと鈴に回線を開き、

声をかけ得ると同時に白式を展開して、いまにもアリーナに入ろうとしている

ゴーレムめがけてセカンドシフトした際に新たに生まれた武装――――雪羅の

カノンモードで荷電粒子砲を放って、アリーナから離したときに近くにいた

二体を掴んで、そのまま使われていない全てのアリーナの入口に

荷電粒子砲をぶちこんで、入口を作った後に向かった。

楯無、簪、箒は真夏のところへと向かい、他の専用機持ち達も同じように

使われていないアリーナへとゴーレムを入れて、戦闘を始めた。

「箒、行くよ!」

「ああ!」

楯無、簪と真夏、箒の二チームに分かれ、それぞれゴーレムの相手を始めた。

「はぁ!」

真夏が全力で振り下ろした雪平弐型を片腕で止めたゴーレムは真夏めがけて

拳を振り下ろそうとするが、背後からイグニッションブーストで勢いをつけた

箒の蹴りによって態勢を崩し、さらにその隙をついてゼロ距離からの荷電粒子砲を

受けて、壁にぶつかるまで吹き飛んだ。

「……ピンピンしているね」

「本当だな」

真夏の言う通り、ゴーレムは全身から煙をシューシューと上げながらも

何事もなかったかのように立ち上がった。

「箒! 気合い入れていくよ!」

「ああ!」

二人は己の得物を握り締めてゴーレムに斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一夏は未だに両親の部屋から抜け出せないでいた。

「一夏。これを見ろ」

一夏の足もとに現れたシロバットの両眼から壁に向かって光が放たれ、

映像が壁に映し出されるとその映像は今まさに学園が危機に瀕している

状況だった。

「これでも行かないのか~?」

「……行かない。俺はもう戦わない……俺が戦えば、また楯無様を傷つける」

「ふぅ」

シロバットは呆れ気味に一つため息をつき、映像を消して一夏の方を向いた。

「一夏。確かにお前は楯無を傷つけたかもしれない……だが、それを理由に

危機に瀕している学園の皆を放っていいのか?」

「傷つけちまったなら誤ればいいんだよ。ここでボーっとしてたら

お前の大好きな楯無が傷つくんだぜ? それに四組のみんなも」

「お前は力を持っている。それは何のための力だ」

一夏はシロバットの言葉を聞き、ふと思った。

今、自分が手にしている力は誰かを護ろうとする力ではないのか……と。

自分は今、大好きな楯無を、簪を、四組の皆を護ることができる

力を手にしているにも拘らず、こんなところでボケっとしていていいのかと。

「…………」

一夏はすっと立ち上がり、二匹を掴んで家を出た。




お待たせしました。ほんと、最近ISの設定とかすっかり忘れていますよ。
だって、白式の武装なんだっけ? でしたからね。
夏休みに入って四日経ったくらいですぐに夜型の生活になりましたよ。
ハッハッハ!
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