「箒! 少しでいいから時間を稼いで!」
「まかせろ!」
真夏はゴーレムを箒に任せ、その間についこの前に完成した新たな武装を
コールし、手にした。
白式の容量はすでにほとんどが零落白夜に使われており、新たな武装を
加えることはできないが、使い捨ての武装ならば使えるという点に着目した結果、
生まれた武器だった。
その形は刀の持ち手だけを持ってきた形だった。
真夏はそれに手をかざすと何もなかった部分から白色の光を放つ変幻自在の
エネルギーで出来た紐が射出された。
「箒! 避けて!」
「うわっ!」
ゴーレムの攻撃を二本の刀で防いでいた箒を避けながら紐のようなものを
鞭を打つように動かすとバチィィ! という火花が散る音に似た音が響き、
ゴーレムの装甲に傷をつけた。
「だぁ!」
真夏がまっすぐに紐を勢い良く伸ばした瞬間、ゴーレムのコアを
貫き、紐が太さを倍増させた。
「この紐ってさ、エネルギーだから爆発できるんだよね」
真夏がそう言いながらピン、と紐をはじいた瞬間、そこから膨大な量の
エネルギーがゴーレムに直で注ぎ込まれて、ゴーレムは流れ込んでくる
エネルギーを処理していくが、膨大な熱に耐えきれなかったのかボディの
あちこちを融解させて、地面に倒れ伏した。
「ハァ……ハァ……かなり、白式のエネルギーを使っちゃった」
目の前に表示されている内容を見ると既に白式のエネルギーは七割以上が
消費されていた。
楯無の方へ向くと、すでにあちらもケリがつきそうになっていたが
箒とともに二人に加勢をしようとした瞬間! 突然、上から二人めがけて
青色の雨が降り注ぎ、二人を遮った。
「くっ! 誰だ貴様!」
箒の声に従い、上へと向くとそこには依然、侵入してきた割には何もしなかった
青色のISを身に纏った女性が浮いていた。
「このISもお前達の仕業か!」
「ふん。織斑の名を語る貴様に話す義理はない。死ね」
相手が放ってきたレーザーを雪羅のシールドモードで防ぐが、エネルギーを
かなり消費した状態のシールドでは完全に威力を殺せず、爆風だけが
真夏に襲いかかった。
「くっ!」
「真夏! 貴様!」
箒はすぐさま、二本の刀を構えて相手に斬りかかろうとするが相手から分離した
ビットの同時射撃の前に防ぐので手一杯になってしまい、近づこうにも
近づけずにいた。
「兄さんのゴミは私が消す」
そう言い、侵入者は手にサバイバルナイフサイズの剣を
握り締め、真夏に斬りかかっていく。
真夏も雪平弐型でその剣をいなしていはいくが相手のナイフが小さいこともあり、
徐々に真夏が防ぐよりも早くに彼の装甲に傷が付いていく。
さらに侵入者はビットからレーザーを照射して、箒を自分に近づかせないようにしていた。
真夏はチラッと楯無の方を向くとそちら側にも侵入者のビットが向かっており、
レーザーとゴーレムの攻撃に手を焼いていた。
「君は一体何なんだ! 君が言う兄さんは誰のことだ!」
「貴様が知る必要はない!」
侵入者が大きく腕を振り上げて、真夏に突き刺そうとした瞬間! 背後から
極太のレーザーが彼女の剣ごと腕を攻撃した。
真夏はレーザーが放たれてきた方を見るとそこには待ちわびた存在がいた。
「はぁ~。兄さんだ!」
さっきの殺気ばかりの雰囲気を一変させ、マドカは一夏の近くに降り立った。
「マドカ、これは君がしたのか」
「ううん。ゴーレムが入っていくのが見えたから一緒に
入ってきただけだよ。兄さん。答えは決まった?」
「あぁ、決まったよ」
そう言い、一夏はクロバットを手に持ち、それをマドカに見せつけた。
「俺は……昔のことも知りたい……でも、過去よりも今を護りたい」
そう言い、一夏はメモリーを展開させて楯無と簪の戦いを邪魔していた
ビットを黒刀で切り裂くと、ゴーレムの腹部の辺りを瞬時加速を発動した
状態で蹴り飛ばし、ゴーレムはマドカの近くに落ちた。
「そう……ちょっと甘えすぎちゃったみたいだね」
そう言い、マドカがパチンと指を鳴らしたとたんに彼女の背中が輝きだし、
いくつかのパーツが宙に浮かぶと音を立てながら合体していき、巨大な
円盤へと変化を遂げた。
「邪魔だ。ゴミが」
そう言うと同時に円盤から青く、細い線がゴーレムのコアを的確に貫いて
機能停止にまで追い込んだ。
「独立支援武装……名をマザー」
巨大な円盤の側面に射出口のようなものが三つほど開くと、そこから
小型の円盤が大量に吐き出されていく。
「うわっ!」
大量の小型の円盤が同時に青く、細い線を吐きだすと先ほどまで一夏達がいた
場所に着弾して、大爆発を起こし、フィールドの大きな穴を開けた。
「簪様!」
「そう言うと思って準備できているよ!」
一夏はワンオフアビリティーを発動させ、簪は山嵐を起動すると
同時に凄まじい数のレーザーとミサイルを放って周囲にあった大量の
小型の円盤を破壊していく。
「シロバット!」
一夏は小型円盤を全滅させたことを確認し、フリータイムを解除し、
シロバットを呼びつけて一本の剣に変形させ、大型の円盤へと駈け出して行く。
『ピロロロロロ』
「はぁ!」
大型の円盤から放たれたレーザーと一夏の剣の衝撃波がぶつかり合い、
二人の視界を潰すように爆煙が発生した。
「シロバット! とどめだ!」
『ウェイクアップ!』
一夏は空高く跳躍し、最頂点で剣の刀身を赤く輝かせて落下する速度を
使いながら猛スピードで落下していく。
「はぁぁぁぁぁ!」
円盤も最大エネルギーのレーザーを放つが赤く輝いている剣にぶつかった瞬間、
エネルギーが消滅し、そのまま真っ二つに切り裂かれた。
一夏が刃をシロバットに戻した瞬間、彼の背後で大爆発が起きた。
「……いない」
一夏は爆発が起きている中、マドカの姿を探すが既に彼女は消えていた。
「兄さん!」
「一夏!」
真夏と楯無の声が聞こえ、一夏はマドカのことは頭の片隅に追いやって
一時の幸せをかみしめた。
「兄さん。きっと、私は貴方の洗脳をといてみせるよ。兄さんはあんな奴らの
洗脳にかかっちゃいけないんだ……待ってて。兄さん」
「ちぇ~。流石にあの剣を使われちゃ無理か~……折角、あいつに真実の
映像を見せたのにな~……ほんと、あいつらはいらないよ。
待っててね。まっ君……もう少しでそっちに行くから……この最強のISでね」
戦いが終わり、事後処理も済んだ晩。
楯無は自分の部屋で後悔の念に駆られていた。
再び一夏はISを使用してしまい、また関係の薄い人物の中から一夏の記憶を
消去された人物がいた。
もう、ほとんどの学園の三年生、二年生の生徒は一夏の記憶がない。
一年生だって記憶があるのは四組と専用機持ちくらいだ。
「ごめんね……一夏」
楯無はいつ、自分が大好きな彼のことを忘れるのかという恐怖に
怯えながら眠りについた。
さあてと! 後は最終章前と最終章で終わりだぞ!
ちなみに八巻の内容は書きません。それでは!