空中で激しく武器をぶつけあう二人。
スコールは真夏に雪羅のカノンモードを使わせない為なのか先ほどから真夏の
攻撃を避けるたびにビルを背にしていた。
「攻撃しないんだったらこっちから行くわよ!」
スコールは手元にロケットランチャーをコールして、それを真夏に向けて
引き金を引くと発射口からプラズマが放出されて真夏へと向かうが真夏が
上空へ上がったことにより、それはビルに着弾して大爆発を上げた。
「あ~あ。今のビルにまだ人がいたら貴方、犯罪者ね」
「……普通に考えてこの辺りにはもう人はいないさ……今までは
それを確認しながら戦っていたからね……もう、躊躇することはない」
真夏が手をスコールに突きだすと彼女は再びビルを背にするが真夏は
戸惑うことなく、雪羅のカノンを放ってスコールに直撃させた。
「本気できなよ。僕はもう躊躇はないよ」
スコールは瓦礫を退かせ、宙に浮いている真夏を睨みつけながら肩を
二度三度回す。
「ぅっ!」
突然、スコールの姿が真夏の視界から消え、反射的に雪片弐型を目の前に
持ってくると凄まじい衝撃が全身に広がった。
真夏はそれを感じ、すぐさま気づいた。
こいつはただ単に自分の実力を抑えていただけではなくて、ISの機能さえも
大幅に抑え込んで、今まで戦っていたのだと。
真夏は一度、距離を取ろうとするが腕を掴まれてそのまま引っ張られ、
顔面に強い衝撃を受けて、そのまま地面に投げつけられた。
すぐさま真夏は起き上がろうとするが先ほどのプラズマが放たれる音が聞こえ、
起き上がらずに横に転がるとさっきまで真夏がいた場所に着弾し、
大爆発を上げた。
「どう? 今ので実力の差が分かったかしら」
「まぁ、十分に……なんで、それほどの実力がありながら
ファントムタスクなんていう、テロリスト集団にいるんですか?」
「ん~。一言でいえばISを兵器に使ってもいいってう魅力があるから」
真夏はその一言に内心、驚いていた。
これほどの強さを持っているならばモンドグロッソに出場しても
ヴァルキリーの地位は手に入れられるにもかかわらず、それを蹴ってまで
ISを兵器として扱いたいのかと。
ISという存在により女性の地位が飛躍的に上昇した現代で、モンドグロッソに
出場すること自体が絶賛もの。ヴァルキリーやブリュンヒルデなどの地位を
手に入れればそれこそ、多方面からの引き抜きが多い。
それらの魅力を捨ててまでスコールは兵器としてのISに
魅入られているということ。
「まあ、若い頃は私もヴァルキリーの地位はとれるとか言われていたけど
正直そんなの興味、無いのよね。ISなんて兵器として使ってこそなんぼの存在。
あんな幼稚園児がするチャンバラみたいなのに私は興味ないわ」
「チャンバラねえ……それは聞き逃せないな」
真夏はそう言って、雪片弐型をスコールに向けた。
「モンドグロッソはチャンバラごっこじゃない……テロの方が
やる意味も、価値もないと僕は思うけど」
「テロじゃないわ……世界を新しく改築するのよ」
そう言い、スコールが手元に呼び出したロケットランチャーを真夏に向け、
引き金を引いてプラズマ砲を打ち出すと同時に真夏が放った雪羅の
カノンがぶつかり合い、正面から衝突して大爆発を上げた。
その頃、一夏はマドカと対峙していた。
既に周囲の建物は倒壊し、瓦礫の山がそこらじゅうに転がっていた。
「マドカ……もう止めろ」
「やめないよ。この世界を兄さんと私が住みやすくするために掃除を
しているんだよ。兄さんだって掃除をして欲しいんでしょ? あんな奴らに
洗脳されていてもきっと、そう思っているんでしょ?」
そう言い、マドカは一本のアームの指から細いレーザーを放出してビルを
切断しようとするが一夏から放たれたレーザーによってアームから伸びている
線が切れた。
「俺は洗脳なんかされていない。記憶がある頃はこの世界を
恨んでいたかもしれない……でも、記憶をなくした今は違う。
俺はこの世界を……この世界を受け入れている。何も全ての人間が
俺を拒絶する奴ばかりじゃない。楯無様達のように受け入れてくれる人もいる。
マドカ。なんでお前はそこまで俺に拘るんだ」
「……だって、兄さんは私が認めた唯一の家族だもん」
満面の笑みを浮かべてそう言うマドカの表情を見た一夏はようやく気付いた。
何もマドカは洗脳されているわけではない……ただ単に兄の自分を
自分のもとへ引き寄せたいだけだと。
ただ、引き寄せたいがためにこれほどまでの被害を作り出しことは
看過できないことだった。
「わかった……これからは一緒に暮らそう。マドカ、俺とお前だけでだ。
そこに織斑千冬も織斑真夏も入らせない……だから、もう止めるんだ。
これ以上、被害を大きくさせてもなにも意味がないだろ」
「……私はね、許せないんだよ。兄さんは覚えていないけど
兄さんは世界から虐げられてきた。織斑は天才だ……そんなレッテルで
見られて兄さんはひどい生活をしていたんだ。私はそんな世界を許せない!
兄さんを虐げるような世界は一度、潰した方が良い!」
そう言い、マドカは全てのアームにロケットランチャーを装備させて一気に
引き金を引いて、躊躇なく周囲の建物や地面を破壊していく。
「ほら、見て兄さん! 綺麗になって」
そこまで言いかけた時、マドカの目の前に纏っているISのアームが
二本ほど、視界に入って地面に落ちた。
目の前には黒い刀と刀身にコウモリの姿を形どったものが刃を
口でくわえる形で取り付けられている刀を持っている一夏がいた。
「悪いな、マドカ。ちょいとばかり……お仕置きタイムだ」
一夏は二本の刀をマドカ本人に叩きつけようとするが九本のアームが
それぞれ一本づつ刀を持ち、交差させて一夏の攻撃を防いだ。
「兄さん。少しばかり、お説教をしてあげるよ」
二本の刀と九本の刀がぶつかり合い、周囲に転がっている瓦礫の山が
コロコロと転がっていった。
「ハァ……ハァ」
肩で息をしている真夏に対してスコールは若干、息を乱れさせながらも
余裕の表情を浮かべていた。
エネルギー量でいえば真夏が若干、優勢なのだが戦闘の状況でいえば
真夏が圧倒的に劣勢だった。
「意外と粘るわね。十代でそこまでの実力があれば将来は安泰ね。
もしかしたらブリュンヒルデ……男だからオーディンかしら?」
「悪いけど……僕はモンドグロッソに……出る気はないよ」
「そう……まあ、ここで貴方は死ぬけどね」
そう言い、スコールが真夏に向けていた重火器の引き金を引こうとした瞬間!
彼女の目の前に青いレーザーが降り注ぐとともに鉛の雨が降り注いだ。
突然のことに驚いている真夏だったが目の前に降り立った者たちの姿を見て
さらに驚いた。
「あらあら、お仲間さんの登場かしら?」
「……みんな」
真夏の前に降り立った者――――――それは真夏の学友たちだった。
箒、セシリア、ラウラ、シャル、そして簪と楯無。
真夏は立ち上がった。
「みんな……僕と一緒に戦ってくれる?」
真夏がそう言うと全員は何も言わずに頷き、それぞれの武装を手に持って
戦闘態勢を取った。
「一人でダメなら大勢……哀れね。自分の弱さを認めているってことでしょ?」
「そうだね。僕は弱いよ……そのことを気付かせてくれた皆と一緒に
闘うことを僕は哀れだなんて思わない。むしろ光栄に思うよ……僕は
皆と一緒に歩いていく。さあ、行こう! みんな!」
真夏の掛け声と同時に全員がスコールに斬りかかっていく!
ふぃ~。