「喰らえ!」
シャルが両手に持ったマシンガンから凄まじい数の弾丸をスコールめがけて
放つと同時に簪の山嵐も同時に放たれる。
さらにスコールの背後からは真夏の雪羅のカノン、セシリアのビットから
放たれたレーザー、鈴の衝撃砲、ラウラのレールカノンから放たれたものが
一斉に向かってくるが突然、スコールの持っていた長刀の刀身がグニャリと
曲がったかと思えば、鞭のようにそれを振り回して向かってくる全ての
ものを叩き落とした。
「数が多ければ当たると思っているのならそんな考えはやめた方が良いわよ」
そう言いながらスコールは手を後ろに回し、そこにシールドを展開すると
爆煙の中から現われた楯無と真夏、そして箒の武器がシールドに直撃した。
「残念だけどこの中でそう思っている子はいないんじゃないかしら」
スコールが三人に攻撃を仕掛けようと腕を上げた時、不意にその腕が
空中で動きを止めた。
小さなため息をつきながらスコールは後ろを振り向くとAICを
発動しているラウラが立っていた。
「悪いがここまでだ。お前を捕獲する」
「……一つ言っておいてあげる。AICは一対一は反則的に強い。
そして実弾なども止められる……でも、エネルギー武装なんかは
脆いのよね。こんな感じで」
直後、スコールの纏っているISの全体にカシュッ! という音が
聞こえたかと思うとそこからエネルギーで生成された刃が
出現し、ラウラの発動していたAICを切り裂くと右腕に全体に
出現しているエネルギー刃で切り裂いた。
「ぐぅ!」
「ラウラ!」
切り裂かれたラウラは危険と感じたのか瞬時加速を発動して、一気に
スコールから距離を取り、他の専用機持ちたちもスコールを警戒して
一気に距離を取った。
目の前にいるスコールの全身にエネルギーで生成された刃が生えている。
「それが貴方のISの能力ですか」
「まさか。この子はセカンドシフトすらしていないのよ。これは
人の手で生み出された兵器。名を
ISのエネルギーを使わない。別枠に用意されたエネルギーを消費して使用する。
威力は中々の者よ。そこのドイツのISのエネルギーはもう二割くらいじゃないかしら」
真夏はチラッとラウラの表情を見るとバツが悪そうな顔をしているのが見え、
スコールが言っていることが真実だと気づいた。
その時、楯無からプライベートチャンネルが開かれた。
『真夏君。あれ、どうする』
『むやみに近づけばラウラのように一気にエネルギーを削られますしね。
それに零楽白夜を使ってもあれだけ全身の刃を一気に消し去ることは
出来ませんし……対策としては遠距離からの攻撃か背中に刃がないので
背後からの攻撃か』
『そうね……じゃ、行くわよ!』
楯無との話が終わった直後に真夏は雪羅のカノンをスコールへ放つが
右腕の刃でカノンが切り裂かれた。
簪やシャルが連射でスコールに放っても回転してエネルギー刃で全ての
実弾を切り裂かれた。
それを見た楯無は槍を持ち、スコールに突き刺そうとするが
右腕と左腕の刃に阻まれてしまい、直撃には至らなかった。
「良いの? こんな近くに寄っちゃって」
「これでも生徒会長よ。避けてみせるわ」
楯無はどうにかしてスコールの意識を自分に向けさせ、背後に回っている
真夏へ意識が向かない様にする。
「そうそう。なんで、私が背中に刃を出さないか教えてあげる」
「え?」
スコールが話し始めた時点で真夏は瞬時加速を発動しており、止まることができなかった。
「威力があり過ぎるからよ」
直後、スコールの背中に二つの排出口のようなものができたかと思うと
そこから巨大なエネルギーの刃が一瞬で生成されると同時にその長さを一気に
のばして真夏に直撃した。
「真夏君!」
「よそ見はダメよ」
楯無の意識が真夏に行ったときにスコールは右腕を斜めに振り上げて
楯無のISを斜めに切り裂いた。
「あら」
しかし、切り裂かれた楯無が突然水と化して一つのクリスタルを残して消えると
同時に大量の水がスコールにかかった。
「爆発よ」
楯無がそう言って指をパチンと鳴らした瞬間、スコールの全身が
次々に爆発を起こし、周囲にいる真夏達にも熱風が襲いかかった。
だが、それで倒せるとも思っていない全員は一気に爆煙の中にいる
スコールめがけて己の武器を叩きこんでいく。
弾丸、ミサイル、レーザーなどが叩きこまれていき連続した爆音が
辺りに響き渡る。
「どう?」
「さあ、今はまだわかりませんよ」
真夏の近くに降り立った楯無は目の前で黒煙を上げている場所を見つめた。
次の瞬間! 突然、目の前からすさまじい爆風が真夏達に襲いかかり、
黒煙を掻き消すとそこから光輝く二対の翼を生やし、さらにISの
装甲の全てが光輝いているスコールが現れた。
その姿を見た真夏が感じたのはまるで“天使”……それだった。
「まぁ、中々やるじゃない。でも、小さな子供のお遊びはここまで。
この姿に私がなった瞬間から……貴方達に勝利はない」
その瞬間、二対の翼がスコールの目の前で交差したかと思えば交点から
今まで聞いたことがないような音が吐き出されていき、巨大なエネルギーの
塊が作られていく。
「そ、そんなものをこんなところでやられたら」
「まあ、確実に半径何キロとかは消えるんじゃない?」
軽くスコールがそう言った瞬間、さらにエネルギーの塊は大きさを増していく。
「これであなた達はお終い。この世界は汚れた部分が淘汰され、新しく、
そして素晴らしい世界が作られる。ファントムタスクが
頂点に立つという素晴らしい世界がね」
しかし、真夏はあることに気づいた。
あれほどの塊を生成しているとなると別枠で用意されているエネルギーを
優に超えているはずだと。つまり、あれを凌ぐことができれば自分たちにも
勝利は舞いこんでくるのではないかと。
「……みんな。あれは僕がやる」
「無茶だ! あれほどの大きさのエネルギーを消失させるだけの
エネルギーは白式にはないだろ!」
「箒の言うとおりだよ……でも、限界まで消せばこの中の誰かが
生き残れる。そうすれば……あいつを倒せる」
真夏は雪片弐型を握り締めて目の前の巨大なエネルギーの塊を見上げた。
「今まで迷惑をかけてごめんね。それとありがとう…………みんなのおかげで
僕は普通の人間になることができた……本当にありがとう」
真夏が一歩、前に出た時それと同時に他の全員も同じように真夏の
隣に立った。
「確かに真夏には失望した時期もあった……だが、今のお前は
私の……いや、私達の友だ。この戦場で友を犠牲になんて絶対にさせない」
「……ラウラ」
「生徒会長が年下の子に犠牲になられちゃ面子がないでしょ」
「会長……」
「まっくーん!」
突然、後ろから声が聞こえ振り返ってみるとそこには千冬と束がいた。
「これ使って!」
束が投げた物を受け取ってそれを見ると刺し口が改良されているUSBメモリだった。
それを見た真夏は何も考えずに雪片弐型の持ち手の底の部分にUSBを
軽く当てると真夏の目の前に情報の内容が表示された。
「消えなさい!」
スコールが真夏達の視界を潰すほどの巨大なエネルギーの塊を投げた瞬間、
ラウラとシャルが飛びだし、ラウラがAICを最高範囲まで広げて発動し、
シャルは防御パッケージを使ってシールドを何枚も展開した。
「真夏!」
真夏はすぐさまダウンロード作業を開始し、USBに入っていた
データをインストールしていく。
USBの中にあった情報は雪平弐型にある能力を一時的に
付加させることができる物だった。
「まだか真夏!」
「もう少し……できた!」
すると雪片弐型の刃が光輝き始め、その長さを徐々に長くしていき、
通常の長さの十倍以上の長さにまで伸びたところで真夏はシャルと
ラウラに離れるように伝え、目の前の巨大な塊に特攻していった!
「でやぁぁぁぁぁぁ!」
付加させた能力―――――それは刃の長さをほぼ無制限に伸ばすことだった。
真夏はワンオフアビリティーを発動した状態で刃を伸ばし続けると塊を
二つに切り裂きながらスコールへと向かっていく!
既にスコールのISの輝きは消えうせていた。
だが、一瞬の勝利感も束の間。エネルギーに耐えられていないのか徐々に
剣の刃にビシビシっ! といくつものヒビが入っていく。
エネルギーの塊が真っ二つに切られるのか、それとも刃が砕け散る方が
早いのかは誰がどう見ても明らかだった。
「残念ながら貴方達の負けよ!」
「まだ、奥の手はある!」
そう言い、真夏は白式の装甲の腕に装着してあったリコーダーのような
形をした武装を取り外し、電源をONにさせて白式のエネルギーを限界まで
消費させてエネルギーの鞭を生み出すとひびが入っている刃を補強するかのように
エネルギーの鞭を巻いた。
鞭と光の刃が融合し、一本の細い線になったかと思えば先ほどの倍以上の
速度でエネルギーの塊の中を通っていき、ついに!
「どらあぁぁぁぁぁぁぁ!」
真夏が気合いの声を上げながら力任せに上に切り上げるとエネルギーの塊が
真っ二つに切断された!
それと同時に真夏は白式の最後のエネルギーを消費して瞬時加速を
発動してスコールのもとへと突っ込んでいく!
「せいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
真夏が力の限り剣を振り下ろすとISの装甲が真っ二つに切り刻まれ、
今の一撃でエネルギーが尽きたのか徐々にスコールのISの装甲が
光に包まれ始めた。
あり得ないといった表情を浮かべながら目を瞑ったスコールを真夏は
抱えて地面に着地した。
既に彼女の意識はなくなっているのか腕がダランと垂れていた。
直後、バキィィィン! という音を上げて雪片弐型の刃が砕け散り、
持ち手を残した状態になってしまった。
真夏は“束に修理してもらわないと”と考えながらも向こうのほうを見た。
(後は……兄さんだけだよ)
雷ヤベェ~。二週間とちょっとで夏休みが去っちまうよ~。