インフィニットストラトス 光の英雄、闇の英雄   作:kue

48 / 51
第四十六話

真夏の戦いが終結したとき、一夏は両手に剣を持って

マドカからの攻撃を避けていた。

アームから放たれる鞭のような細い線はビルを真っ二つに切断し、

コンクリートの地面に亀裂を走らせながら一夏を切り裂こうと襲いかかってくる。

一夏は二本の剣で防ぎながらも避けきれない物は上空へ上がるなどして避けていく。

「はぁ!」

一夏がシロバットが装備された剣を横に振るうと赤色のエネルギーが斬撃と

なってマドカへと向かう。

しかし、細い線が斬撃を切り刻むと斬撃は霧となって消滅した。

この戦いが始まった直後にアームを切り裂いてその数を減らしたのは良いものの

その数は未だに五本は超えており、アームを切り裂こうと近づけば細い線の

餌食に、遠距離から狙えば全てのアームに装備された重火器により、

一気に狙われるために中々実行に移すことができずにいた。

「兄さん。もう諦めて私と一緒に行こう。兄さんでもこのISには勝てないよ」

「マドカ。勝てないって勝手に決め付けるな!」

一夏は黒い刀を戻し、銃をコールして握りしめて引き金を引くがアームから

伸びている細い線により弾丸が全て切り裂かれ、さらに数本が拳銃に直撃して

斜めに切り裂かれた。

「ちっ!」

一夏はすぐさま拳銃を捨てて黒い刀をコールして握りしめて斬りかかるも

アームに現れたコールされた刀によって防がれた。

が、それと同時にもう片方の剣を叩きつけようとするも別のアームが

一夏めがけて振り下ろされ、その場所から離れて距離を取った。

(……全てのアームを同時には動かせないのか……試すか)

一夏は傍にあった車を持ち上げてマドカに投げつけると複数のアームが

同時に動かされ、車が小さく切り刻まれた。

その時、一夏は切り刻まれた個数を確認するとその数は四。

車は四つの瓦礫とかして地面に落ちた。

(同時に動かせるのは全部で四つのアームか。本当は同時に動かせるのは

五本だったんだろうが二本は俺が斬ったからな……四本のアームが動いている時に

動いていない腕を落とすしかなさそうだな)

一夏は黒い刀ではない方の刀を横に振り、赤色のエネルギーで出来た斬撃を

放つと四本のアームが動きだした。

そのタイミングを狙って瞬時加速を発動し、動いていないアームへと

一気に近づいてアームを一本、切断した。

「甘いよ、兄さん」

「っっ!」

マドカのそんな声が聞こえた瞬間、背中で何かが爆発し、その衝撃で

一夏は地面に顔から激突した。

「今、兄さんは動かせるアームは四本だと思ったでしょ? 確かに

“動かせる”のは四本だけ。でも、“使える腕”は八本だよ」

「いいや……五本だ」

「っ!」

一夏が言い終わると同時に右半身に付いてあった二本のアームがガシャン!

と音をたてて地面に落ちた。

一夏は背中で爆発が起きる前にシロバットの剣で右半身に残っていた

アームを切断しないギリギリの威力で切りさき、マドカが使用することで

腕が切断されるようにしていた。

「俺が破壊できる腕は多くて二本。だから、お前の動きで壊れる

ようにさせてもらった。まだまだ、甘いな。マドカ」

「…………流石兄さんだ!」

怒鳴り散らすと思っていた一夏は満面の笑みを浮かべている

マドカの様子に驚きを隠せないでいた。

「やっぱり、兄さんは織斑なんか目じゃないくらいに凄いよ!

兄さんと戦えて私は嬉しいよ!」

一夏は満面の笑みを浮かべてそう言うマドカを見ている限り、

ただ一人の女のことしか思えないでいた。

「マドカ。もう戦いは」

「それとこれは別」

一気に冷めた声を発したマドカは全てのアームにマシンガンをセットして一気に

引き金を引くとコンクリの地面に次々に小さな穴が開いていく。

「ちっ!」

一夏は舌打ちしつつもその場から離れた。

上空に飛びあがった一夏を追いかけるようにアームを動かしていくマドカ。

一夏は空を縦横無尽に飛び回りながら反撃の機会を窺っているときにアームの一本が

一瞬だけ淡い輝きを放ったことに気づいた。

一夏は再び、その箇所を見てみるが輝きは見当たらず気のせいだとしようとしたときに

再び別のアームから淡い輝きが一瞬だけ見えた。

「え?」

「マドカ!」

その瞬間! 突然、マドカがコクピットから吐き出された!

一夏は慌ててマドカを拾い上げ、上空へ上がると先ほどまでマドカが

操縦していたISの全体から少しだけ眩しいと感じるほどのまばゆい光が

放たれ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マドカ、お前何をした」

「な、何もしていないよ。ほ、本当だよ!」

今にも泣きそうな顔をしているマドカの表情とコクピットから吐き出された際の

彼女の顔を見た限り、一夏はとても彼女が嘘をついているとは思えずにいた。

つまり、あのISは無人機とかしている可能性が高い……一夏はそんな

答えにたどり着いていた。

一度、あのISと戦闘を行なった際にも暴走を起こしており、

今不可解なことを起こしている今も暴走の一種と考えられた。

「マドカ、お前のISはあるか」

「う、うん」

そう言い、マドカはサイレント・ゼフィルスを展開し、一夏の腕の中から

出て、彼の隣に立って下で変化を起こしているISを見た。

『……ガ……ガガガガッ……ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!』

突然、二人にチャンネルが開かれそこからノイズにも似た音が二人の

耳をつんざく勢いで吐き出されていく。

それに従って下のISにも変化が訪れ始めていた。

先ほどまで五本の腕が全て粉々に砕け散ると同時にその破片が一か所に集中し、

再構成が行われ、その傍らでさらにボディの輝きは増していく。

「兄さん! あれ」

マドカが指をさした場所を見ると大きな瓦礫が何かに引き寄せられるようにコロコロと

転がり、鉄の塊である車が宙に浮かびあがって輝いているISのボディを

目指して飛んで行っていた。

『モッド……モッド! モッドモッドモッドモッドモッドモッド!』

「うぁ!」

突然、奴に吸い込まれるように風が吹き荒れると同時に何処から飛んできたかも

分からないようなダンプカーやらバイクなどがISのボディに付着すると同時に

光の粒子と化してボディへと組み込まれていく。

そして、ただでさえ人間サイズのISよりも何倍も大きかったサイズが

さらに大きくなっていき、マドカと一夏の二人を容易に隠すような大きな

影が出来上がった。

『wンオfアbリt-…………タイタン!』

―――――――――ウオオォォォォォォォォォォォォォォ!

「くっ!」

ISから咆哮が放たれ、爆風が一夏たちに襲いかかり、電柱を容易にへし折り、

高層ビルの側面にいくつものヒビが入っていく。

「タイタン……周囲の物質を取り込んで巨大化させるとかか?

あまり、現実的じゃない能力だな」

最強のIS――――――タイタンの側面に先ほどまで一つの球体だったものが

二本の巨大で極太の腕に変化して、装着された。

二度三度、拳を握ったり閉じたりするとタイタンはその大きな腕を

後ろに引き、そして―――――――――。

「下がるぞ!」

一気に振り下ろした!

「うおぁ!」

「くっ!」

振り下ろされた巨人の腕はコンクリートの道路に巨大な穴をあけるとともに

地震に強い設計になっているであろう高層ビルでさえ、グワングワンと大きく

揺れるほど揺れを周囲に引き起こした。

「マドカ。お前はこの世界を変えると言ったな。それはいいことだ。

だがな……他人を傷つけるようなことをして何になる。この世界を

変えたければ自分が変われ。そこから始めないと周囲の人も、世界は変わらないぞ」

「……兄さん」

「お前が俺を欲するのなら俺はお前の傍にいよう。

ずっとだ……お前は俺の…………家族の一人だ」

「…………」

「家族として過ごす前に……最後の仕上げだ。こいつを倒すぞ」

「うん!」

マドカと一夏。

二人の兄妹は己の武器を手に握りしめ、最後の戦いを―――――そして

家族としての最初の戦いを始めた。




もうすぐで完結だぁぁぁぁ! もうすぐで学校だぁぁぁ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。