「ねえねえ織斑君」
「ん? どうかした?」
真夏は休憩時間中に廊下に出て早速親しくなった生徒と話していた。
彼女は3組所属の美坂八尋、ちなみにクラス代表である。
「四組にさ織斑君に似た子がいるんだけどどういう関係?」
「四組に? なんて名前?」
「確か神門君だったかな」
「知らないな~。見に行こうかな」
「あ、噂をすれば」
八尋が指をさした方向を向くとそこには簪とともに
楽しそうに喋りながら廊下を歩いている二人の姿があった。
「そうなんだ……あ」
「ん? ……」
簪が急に止まったかと思うと目の前にもう一人の男子生徒が立っていた。
「やあ。君が神門君?」
「……行こう一夏」
「え? ちょ!」
簪は真夏の顔を見るや否や一夏の手を取って急いで
教室にまで避難するように早歩きで入っていった。
「どうしたんだろ」
「さあ? ね、似てたでしょ」
「あ、うん。まあ」
(確かに似てた……でも、どこか他人の感じがしない)
真夏は若干不審に思いながらもチャイムが鳴ったので
思考を停止させて教室まで戻っていった。
そして日は経っていきクラス代表を決める模擬戦当日。
真夏は箒とともにビットで待っていたのだが一向に
専用機が真夏のもとに届いていなかった。
「遅いね、専用機」
「私に言うな」
すると奥から慌てたようにダッシュで走りながら山田先生が
真夏の所にまでやってきた。
「織斑君織斑君! 専用機が来ましたよ!」
「織斑、この後四組の代表も決める試合がある。
悪いが調整云々かんぬんは試合中にやれ」
「了解」
「これが織斑君の専用機である白式です!」
そう言い真夏は目の前にまるで主人を待つかのように
鎮座して待機している純白のIS、白式に乗り込んだ。
『どうだ織斑』
チャンネルを通じて千冬の声が真夏に届いてきた。
「ばっちりです。特に異常はなし」
『分かった。行って来い』
「了解……箒、勝ってくる」
「勝ってこい!」
真夏は箒にそう言うとビットからフィールドへと出て行った。
「あら、逃げずに来ましたのね」
「悪いけど君みたいな奴には負けないんでね。勝たせてもらうよ」
真夏の言ったことが気に入らないのかセシリアは額に青筋を立てた。
「! ……貴方が泣いて謝るようであれば許そうと
思っていましたがその必要はありませんわね」
すると白式からセシリアが武装のセーフティーを解除したという情報が流れてきた。
「後悔しなさい!」
セシリアがスターライトMKⅢの引き金を引き青色の閃光を
一発放つが真夏はそれを早めに動き回避すると距離を取るように
フィールドを縦横無尽に動き出した。
セシリアは初撃でビビらせようと思っていたのか少し驚いていたが
すぐに照準を合わせ連続で狙い撃ち始めた。
「踊りなさい! わたくしとブルーティアーズが奏でるワルツで!」
「悪いけど踊る気はない」
真夏は撃たれてくる閃光を若干早いめに回避しながら時間を稼いでいた。
(まだ白式は第一次形態移行すら終わってないから反応が鈍い。
馴らしながら時間を稼いでいこうか、それよりも武装は)
真夏が収納されている武装を確認するべく、画面に出すと
とそこには名称がないひと振りの近接用ブレードが
映し出され、真夏は迷わずそれをコールした。
「遠距離タイプであるわたくしに近距離など愚の骨頂!!」
(今だ!)
「せいや!」
「な!」
セシリアが引き金を引こうとした瞬間に真夏はブレードを
彼女に向って投げるとセシリアは驚き体制を崩してブレードをかわした。
「なんて人……いない!」
「目の前の敵に目を奪われ過ぎ」
「な! うし」
「遅い!」
「きゃぁぁぁ!」
真夏はセシリアがブレードに気を取られている隙に瞬時加速を使い
ブレードが投げられた方向に先回りしキャッチするとそのままブレードで
ブルーティアーズの装甲を斬りつけた。
「ひえぇ~確か織斑君はISを動かすのは三回目くらいでしたよね」
山田麻耶は色々と機器を操作しながらも目の前のモニターに
映し出されている戦いの様子を見ながら少し、みっともない声を出していた。
「ああ、試験会場で動かしたのと山田君とのテストと今だな」
「それにしては代表候補生を圧倒していますよ」
目の前のモニターではセシリアは間合いに入られ真夏の得意な
近距離の間合いに入っており何度抜け出そうとしてもなかなか離れられなかった。
「まあ、あいつは天才といわれている奴だ。学習能力は
常人のそれとは比べ物にならんだろうな」
「やっぱり凄いんですね~」
「あれだけ威勢がいいのも27分前の事。
所詮、井の中の蛙大海、知らずだね」
「くぅ! 言わせおけば! ティアーズ!」
セシリアは悔しそうに歯ぎしりをしながら
そう叫ぶと背中に配置されていたビットが稼働しはじめ
真夏をあらゆる角度から射撃し始めた。
(むむ! 多角方向攻撃(オールレンジ)か。これじゃあ初見殺しもいいところだ)
しかし、真夏は掠りながらも直撃を避けながら分析を始めていた。
(このビットを使っている間は他動作は不可能、それに
偏向射撃(フレキシブル)も出来ないみたいだね)
「さあ、フィナーレですわ!」
セシリアは真夏の最も隙のある個所から射撃を行い
直撃を確信していたが、真夏はブレードを使いレーザーを
反射させると別の位置にいたビットに直撃させ破壊した。
「な」
「ぶっつけ本番だけど計算通りだ」
「まぐれですわ!」
「もう一回してみるかい?」
「くっ!」
セシリアは先程の反射で破壊されるのを恐れているのか
ビットの動きを止めた。
(今だ!)
その瞬間、真夏はもう一度イグニッションブーストを使い
セシリアにまっすぐ近づきブレードで斬ろうとするとセシリアが微笑を浮かべた。
「ビットは四基ではありませんわ!」
「まだあったのか!」
セシリアは唯一の実弾兵器であるミサイルを搭載した残りのビットを使い
ミサイルを真夏に直撃させた。
「真夏!」
「馬鹿め、驕り過ぎだ。機体に救われるとはひよっこだな」
千冬の言っていることが理解できないのか箒は不思議な表情を
浮かべたがそれはモニターを見ることで一瞬にして解決した。
「そうかい、ようやく終わったんだね。これで白式は僕専用だ」
爆煙が晴れるとそこにはミサイルを直撃したにも拘らず
ノーダメージの真夏がいた。
「ま、まさか貴方! 初期設定で戦っていましたの!?」
「まあね、届いたのがさっきだし。でも、これでようやく力が手に入った」
真夏は白式の装甲を撫でるように触れると微笑を浮かべた。
「これで僕は最強になろう。僕の存在をこの世に刻みつけるために!」
真夏の感情の高ぶりに反応するかのように先程まで普通のブレードだった
ものがいきなりひびが入り砕けたと思うと再構成が始まり一本の白いブレードに変わった。
「雪片弐型、そして」
『単一仕様能力(ワンオフアビリティー)、零落白夜』
画面にその文字が横一列に表示された。
「この能力で!」
「これでも喰らいなさい!」
セシリアは残っているビットを使い一斉に射撃をしていくが
真夏はそれを先程と同じようにブレードで反射させて残りも
破壊すると瞬時加速を使い一気に近づいた。
「なぁ!」
「これが僕の力だ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!」
真夏は零落白夜をセシリアにブレードが接触した瞬間に
発動させごっそりとエネルギーを奪い去り勝負を決めた。
『試合終了、両者引き分け』
「たいそうな事を言っておいて引き分けか」
控室に戻った真夏は千冬の目の前で正座していた。
「すみません。すっかりエネルギーが少ないことを忘れていました」
あの後、真夏はビットに戻ると千冬に睨まれ本能的に正座をしていた。
「まあ良い。山田君、次の準備は」
「整っています」
「そうか、ついでだ。お前たちも見ていけ」
こんにちわ