「という事で四組のクラス代表は更識ちゃんに決まったよ~いえぇ~」
「ちょ! ちょっと待って下さい! わ、私はあの時負けたんですが」
代表決定戦も無事終了した翌日のSHR中に、
簪はアリシアの言ったことに不服を覚え抗議を始めた。
まあ、それは無理もなく実際にあの時の模擬戦で勝ったのは簪ではなく
一夏であり本来なら勝者である一夏がクラス代表をするもの、しかし…
「それはわたくしが辞退したからです」
「い、一夏!」
「簪お嬢様なら絶対にできます。もしお困りならわたくしも
お手伝いいたします。皆さんも反論はありませんよね?」
『はーーーい!』
一夏がそう尋ねると全員が元気よく手を上げて返事した。
「てことで簪ちゃん、一年間よろしっくね~」
「そ、そんな~」
一方その頃、一組でも似たようなことが起こっていた。
「という事で一組の代表は織斑真夏君に決定しました~」
『いえーーー!』
「あ、あの~山田先生」
「はいなんですか?」
真夏は少し疑問に思い麻耶に質問を始めた。
「確かに前の模擬戦は引き分けでしたけど僕は
辞退したんですが……」
「それはわたくしも辞退して貴方を推薦したからですわ!」
急にセシリアが腰の横に手を当てて上機嫌に立ち上がって
大きな声で話し始めた。
「セシリア」
「あ、えっと前の事は申し訳ありませんでしたわ。
真夏さんの言うとおりわたくしがイギリスの品を落としていましたわ。
その、本当に申し訳ありませんでした!」
セシリアが頭を下げて真夏に謝っている光景に以前の
性格とは違う事に周りの生徒は呆気にとられていた。
「いいよ、分かってくれたならそれで」
「はい! それでですね、これから真夏さんに放課後で
一緒に特訓を致しません事?」
何故かセシリアは顔を少し赤くして体をくねくねしながら
真夏に恥ずかしそうに尋ねていた。
『あ、こいつ堕ちたな』
教室にいた女子生徒の心の声が一致した瞬間でもあった。
「ふんふん、結局一夏が勝ったんだけど簪ちゃんに譲ったと」
「ええ、まあ何事も経験です」
一夏は放課後になったので楯無達のいる生徒会室にきて
主人である楯無のお世話をしていた。
「……本心は?」
「……わたくしが光にあたる立場になることは認められません。
自分は光の決して当たらない暗い立場があっています」
「……まだあの事を?」
「……」
一夏はそう楯無に言われると苦虫を噛み潰したような表情をした。
「いい? あの事は仕方がなかったの。貴方の所為じゃないわ」
「それでも自分は目の前にいながら助けられなかった」
「という事で~織斑君代表就任おめでとー!」
『カンパーーイ!』
一夏が生徒会室にいる頃、
食堂では盛大に真夏の就任おめでとうパーティーが行われていた。
そこには何故か一組以外の生徒もいたが楽しければそれでいいという
感覚があったのか誰も咎めることはなかった。
「はいはーい! 新聞部でーす! 今話題の織斑君に取材に来ました~
ちなみに私は新聞部副部長の黛 薫子でーす。これ名刺ね」
大量にいる生徒達を押しのけて二年生の女子生徒が真夏の前に来た。
「あ、どうも」
薫子は真夏に名刺を渡すと早速ボイスレコーダーをズズっと
真夏に近づけ取材を開始した。
「じゃあまずはクラス代表になってどう?」
「まあ、これから頑張っていきます」
「まあこれは捏造するとして、目標とかは?
大会で優勝するとか」
一瞬、真夏はねつ造という単語に引っかかったが
次々に薫子が質問してきたので反論できなかった。
「まあひと先ずは目の前の試合を一つ一つ勝っていくことですかね」
「むぅ、案外細かく行くタイプなのね。ま、良いや。今度はセシリアちゃんだよ」
「ま、まあ私は」
「真夏君に惚れたとしておこう」
「ちょ、ちょっと!」
セシリアは顔を赤くして薫子に詰め寄ろうとするが薫子は
セシリアを華麗にスルーした。
「んじゃ~新聞用の写真撮るからセシリアちゃんと真夏君は並んで~」
「あ、はい。セシリアもだってさ」
「は、はい」
二人は普通に横並びに並ぶが薫子はどうも気に入らない表情をしていた。
「ん~。二人とも、手とかつないでみて。握手するみたいにさ」
「良いですよ、じゃあ、ちょっと触るねセシリア」
「ひゃ、ひゃい!」
セシリアは真夏に手を触れられると顔を赤くして
真夏と握手をした。
「じゃ~行くよ~45の2乗は?」
「2025」
真夏がそう呟いた瞬間に、シャッターが押されフラッシュが一瞬光った。
すると後ろにはいつの間にか全員が写真に映ろうと移動していた。
「み、皆さん!」
「ぶ~セシリアだけ抜け駆けはよくないぞ~」
『そうだそうだ!』
「うぅ~」
真夏たちが楽しくパーティーをしている頃、一夏は一人
アリーナを借りてメモリーを使い鍛錬をしていた。
今頃の時間はほとんど借りる生徒もいないのか一夏の
貸し切りと同じだった。
「はぁ、はぁ、はぁ。もう一度」
一夏は黒い刀を大きくふるうが特に何も起こらずだった。
(おかしい、理論上はこの刀から黒い衝撃波が
放たれる筈なのに。さっきから一度も出ない、それに
単一仕様能力(ワンオフアビリティー)も使えなくなってる)
一夏は放課後、生徒会室での仕事を終えてから何度も
単一仕様能力(ワンオフアビリティー)を使おうとしているのだが
一向に発動する気配は見られなかった。
「もう一回!」
『は~いそこまでだよ~神門っち』
「アリシア先生?」
一夏が刀を振るおうとした途端にチャンネルから担任の
アリシアの声が響いてきた。
『さて問題です。今何時でしょう』
「……時間切れですか」
一夏はアリシアに言われて時計を見てみるとアリーナの使用期限時間
ギリギリの時間帯を示していた。
「まあ私としては~努力している生徒を邪魔するわけ
にはいかないんだけど上がうるさくてね~」
「は、はぁ~で、なんで私は先生の部屋に」
あれから一夏は更衣室で着替え終わり部屋へ帰ろうとすると
アリシアに呼び止められそのままアリシアの部屋にお邪魔していた。
彼女の部屋はゲームやら漫画やら小説やらフィギュアやら私物が大量に置かれていた。
「す、すごい数の娯楽道具ですね」
「まあね~ここに来るに際して古いものは売ったりもしたんだけどね~」
(いやいや、売った後でこの量なら売る前はどれだけあったんですか)
一夏は目の前の膨大な数のマンガや小説やゲームにあっけにとられていた。
「で、さっきは何に悩んでいたのかにゃ~?」
「え?」
アリシアはエロゲーをしながら一夏に問い始めた。
「さっきのちみを見ていると何かに悩んでいるように見えたぞ~」
「まあ……色々と」
「まあちみ達の年頃はそんなのは多いけどさ、そんなに
深く悩みすぎるとドツボにはまって抜け出せなくなっちゃうよ~」
「は、はぁ~」
「まあ教師が言うセリフじゃないけどさ人生なんてものに
パーフェクトなんてものを追求しちゃダメ。ある程度適当にやっておけば
人生は進んでいくものさ~」
「それ本当に教師が言う言葉じゃないですね」
「にゃはは~まあね」
「ありがとうございました」
「いえいえ~また来てね~」
一夏はアリシアに頭を下げると部屋を出ていった。
こんにちわ