WeAre MeTuber エナツキ!   作:SAMICO

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今回はちょくちょく出てくる影の実力者菅野さんのお話
優しくも厳しくエナツキを見守るファン第一号


※このお話はフィクションなので現実とは一切関係ありません、


頑張れ縁の下の力持ち!~マネージャー菅野仁美~

それは、何年も昔の話だった。

 

中学生だった菅野仁美は、中学受験をして入学した中高一貫の進学校で勉強漬けの毎日の中、ストレス発散の為に動画投稿サイトMeTubeを何気なく見ていた。

 

そこで、とある新着動画が目に止まったのだ。

それは、小学生の女の子と艦娘が実験をする、という動画だった。

投稿者の名前は『エナツキ』

まだチャンネル登録者もいないこのチャンネルの動画を、面白いと感じた彼女は、一人目(最初)のチャンネル登録者となった。

 

そう。このエナツキの最初の動画との出会いで、彼女の人生は大きく変化することになる。

 

 

それからの仁美の楽しみは、『不定期にアップロードされるエナツキの動画を見ること』になっていた。

恵奈ちゃんに、暁、結衣おねーさん、そして途中から加わった美雪ちゃんに杏子ちゃんに真由ちゃん。

名古屋セントラルタワー完成の生放送や、軍の紹介等、多岐に渡って活動的に動く恵奈と愉快な仲間達を見守るファン『お兄さんお姉さん』の一人になっていた仁美は、引っ込み思案で勉強しか取り柄のなかった自分を、そのエナツキの活動に託すように応援していた。

そして毎日投稿が始まると同時に、仁美の()()はエナツキの動画鑑賞、となっていた。

 

 

やがて高校を卒業した仁美は、一大決心をした。

エナツキも参加した、MUMUの入社試験を受けることにしたのだ。

両親はたいへん驚いたが、進学ではなく、MUMUへの就職を、反対せずに賛同してくれた。

 

そして仁美は、MUMUの入社試験に最終段階まで残って、面接を受けることになった。

当時のMUMUは、()()()()になら門戸を開いていたのだ。

MUMUの蒲田社長の「好きなMetuberは?」

という質問に躊躇することなく、

「エナツキが大好きです」

そう答え、面接官が止めるまで、延々エナツキの魅力について語ってしまった。

社長の苦笑いと、面接官の表情は一生忘れられないくらいに焼き付いた。

その日の夜、ああ、終わったな……大失敗をしてしまった。

ホテルに帰り着くと、泣きながらエナツキの動画を見続けていた……

 

 

翌日、田舎に帰ろうとする彼女に電話が入った。

「もしもし……」

「MUMUの蒲田です。菅野さんを是非弊社に採用したいと考えて、お電話差し上げました」

「えっ!?」

仁美にとっては、信じられない言葉だった。

あんなに()()()()()()しまった自分を採用するなんて……

「貴女のエナツキへの愛情は、十分過ぎるほどに伝わりました。早速ですが、採用書類を受領しに弊社に立ち寄ることは可能ですか?」

「はい!是非!」

 

社長室に呼ばれた仁美は、そこでもエナツキについて社長と盛り上がり、帰りの新幹線に乗り遅れてもう一泊するハプニングを起こしたりして、両親に叱られたのだった。

 

こうして、仁美はMUMUの社員となった。

入社して半年経ったある日、仁美は蒲田社長に呼び出された。

 

「失礼します」

「うん、菅野さん。早速だけど、君に名古屋に行ってもらいたい。『エナツキ』の()()()()()()()()になってもらいたいんだ」

「えっ?」

仁美は一瞬、目の前の社長が何を言っているのか判らなかった。

「常々、エナツキには専属マネージャーを置くべきだ、と考えていてね。まだ恵奈ちゃんや美雪ちゃんは中学生だから。そこで、君しかいないと思ってね」

「是非!お願いします!」

 

こうして仁美は、復興した名古屋に乗り込み、エナツキのサポートをするようになった。

大村恵奈は、エナツキの動画のように元気で明るいいい子だった。

 

 

最初は、()()()()()()()()としていたが、急接近するきっかけは、年に一回行われるようになったMU-FESという、MUMU所属のクリエイター達が一堂に会するファンフェスでの出来事だった。

()()()()()()は大盛り上がりのまま幕を閉じた。

「お疲れ様ー!」

出演者皆で、ハイタッチ等をして大盛り上がりの舞台袖。

「ねー、エナツキも打ち上げ参加しようよ?」

という、他MeTuberのお誘いもあった。

エナツキは、初めて参加するフェスの雰囲気に酔っていて、保護者役の結衣までもが「いいじゃんいいじゃん」という、()()()()()()()になっていた。

仁美も「まあ、いいか」と思いながらTwitterを見てみると、一部のMeTuberが打ち上げ場所を漏らしていたのだ。

大きなカラオケボックスで、()()酒もある。

仁美は大きな危機感を抱いた。

「ダメです。予定通り名古屋に帰りましょう」

「えー!?」

最初に不満を漏らしたのは美雪だった。

暁も不満そうな顔で、恵奈もちょっと不満そうにしていた。

結衣も不満そうな顔をしていたが、結衣は()()なのか、仁美の意図に気づいて、

「オッケー。いつもの鳳翔で打ち上げにしようか?」

そう言って、車回して来る、という話になった。

 

帰りの車の中では、文句を言い出す美雪と暁に、黙々と編集している恵奈と険悪な雰囲気だった。

当然打ち上げはなしで、そのまま解散になった。

 

「解任されてもしょうがないか……」

エナツキを守る為とはいえ、嫌われたらマネージャー失格だ。

その日は、あの面接後と同じように泣いて過ごした。

翌朝、一ファンに戻ろうと、辞表を用意して東京に向かおうとした時だった。

ピンポーン

「はーい……」

泣き腫らした酷い顔で出ると、恵奈と美雪と暁が立っていた。

「菅野さんごめんなさい!」

「えっ?」

三人の謝罪に、何が起こったのか判らなかった。

「あのね、MU-FESの打ち上げ会場で、未成年飲酒があって大炎上したの」

暁の言葉に慌てて引っ込むと、机上のスマホを取り上げた。

蒲田社長のLINEが入っていて、名古屋に戻した判断は素晴らしい、とのお褒めの言葉と、

東京では炎上の後始末にてんてこ舞いだ、という連絡が舞い込んで来ていた。

ネットニュースを見ると、一部のMetuberが呼んだ視聴者が紛れ込んで未成年飲酒が行われ、カラオケボックスに迷惑が掛かった、という問題が起きたのだ。

自身の抱いていた危機感が当たっていた、という事実に、仁美は少し顔を青褪めさせた。

「これは……」

はっと我に返ると、再び外に出る。恵奈達を外に待たせている事を思い出したのだ。

「こっちでも確認しました。大変なことになってるみたいですね?」

「不貞腐れてごめんなさい。菅野さんは私達のことを思って言ってくれたのに」

恵奈が申し訳なさそうに謝る。続いて美雪もごめんなさいと謝った。

「それより、この問題を取り上げましょう。動画で」

『はい!』

MeTuberのNHKと呼ばれることになる、「MeTube界や少年少女達へのネット社会での問題提起・注意喚起」動画アップロードのきっかけ、となったのだ。

 

その後仁美は、エナツキハウスが完成した時には、住まないか?と誘われるほどの()()()()()()()を以て、エナツキから接せられることになった。

その頃には仁美も19になっていた。

人数も、四人から夕張や晋太郎・真由が増えて、七人組になっていた。

そして終戦と共に、暁型(特Ⅲ型)が二人増えて10人になっていた。

 

 

仁美の二十歳の誕生日、彼女は仕事をしていた。

下町なうでの出演以来、単独露出が増えた杏子のマネジメントも並行して行っている為、

自分の誕生日すら忘れる多忙な日々を送っていた。

その日も、今度行うロケ地、アスレチック場のロケハンを終え、疲れてエナツキハウスに戻って来た。

すると、()()()いなかった。シーンと静まり返ったエナツキハウス。

「はぁ、疲れたなぁ……」

どっと出た疲労感で自室に入ろうとすると、扉に「お隣で夕飯食べてます」という貼り紙が貼ってあるのに気づいた。

「だからいなかったんだ。せっかくだから、ちょっと顔を出していこう」

と、隣の居酒屋鳳翔に向かった。

 

隣の居酒屋鳳翔金城埠頭本店に『本日貸し切り』と書かれているのを不思議に思いつつ扉を開けると、

真っ先に目に入ったのが、「仁美さんお誕生日おめでとう!」という横断幕と、クラッカーの紙吹雪だった。

「仁美さん、二十歳のお誕生日おめでとう!」

恵奈の言葉に、一瞬呆気に取られて、辺りを見回す。

エナツキメンバーと大村夫妻に、湊さん(社長)以下高梨商事の面々。

「え……あ……」

漸く思い出した。自分の誕生日だった。

「皆、ありがとう……ありがとう」

ボロボロ泣いて座り込む仁美に笑顔を向けながら、お誕生日(主賓)席に連れて行く恵奈と暁。

その日は忘れられない思い出になった。

()()()()()()()を飲んで、ぐでんぐでんになった挙げ句、エナツキファン1号だということまで自ら告白して、エナツキ愛を語り続けちょっぴり恥ずかしい思い出にもなったが……

 

 

「さあ、恵奈さん、皆さん。今日はアスレチックのロケなんで、準備運動は欠かさずに行きましょう」

今日も週末ロケに出かけるエナツキ。その傍には、エナツキのファン第一号にして、危機管理のセンスで()()()()()()()を守る、二十歳のマネージャーの姿があった。

()()()()()()()()()である菅野仁美は、今日もエナツキの為、頑張っているのだ。

 

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