俺ガイル原作だと俺たち、などの~たちという複数を表す場合など漢字でも書けるがひらがなにしているというところがかなりあります。原作沿いなのでこれまではそちらに合わせていましたが、最近、主人公視点なので少し変えていこうと思い、漢字にあえてしている部分があります。
これは主人公がワナビであるが故に、漢字を多用する人種であるという考えからであり、見落としではないのでご容赦ください。
それと、UAがまさかの三万を超えました! これも、ひとえにみなさまのご愛顧のおかげです! 心より感謝します!!
それでは、どうぞ。
本館に荷物を置くと、今度は「集いの広場」たらいうところに行かされた。そこで待っていたのは100人近い小学生の群れだった。
みな小学六年生なのだろうが、体格にもばらつきがかなりあり、雑然としていた。制服姿の高校生やスーツ姿のサラリーマンであれば大量にいても統一性を見出すことができるのでカオスさはない。だが、みながおもいおもいの服装をしているの服装をしている小学生の手段はそのカラフルさも相まってかなり混沌としていた。
それより何より、ほぼ全員が同時にに喋っているからやかましいことこの上ない。
きゃいきゃいすっげーうっせぇ。その騒々しさに僕たちは圧倒されてしまった。
高校生ともなると、小学生の集団を間近に見ることなんてほとんどない。そのパワフルさに驚かされる。まあ、実際のところパワフルでもなんでもなく、ただやかましいだけなんだよな。
周囲を見ると、由比ヶ浜先輩はどん引きしていて、雪ノ下先輩はちょっと顔が青ざめていた。ちなみにここは、ばっちり耳栓をつけているのでそのうるささをそこまで感じてはいない。まあ、僕もここも、このうるささだけでいくつもトラウマ出てきて、最悪、発作起こすからな。
生徒たちの真ん中に――ああ、小学校は児童だっけか。児童たちの真ん中に教師が突っ立ってるのに、何も始まる気配がない。ただうで時計をじっと見つめていた。
ふむ……多分これ、数分が経過する頃には児童も気付いて静まるんだろうが、それまでの光景を見ている側としては心地いいものではない。というか、マジで嫌な光景だ。
故に、かつて、僕がやってほしいと思っていたことをそのまんまやってやることにした。
ここの肩を叩く。ここは耳栓を外すことなく、僕に無言で用件を尋ねてくる。なんか、耳栓をつけても音は普通に聞こえるらしいので、ここに聞こえるような声で言えば、きっと小学生の耳にも届くだろう。信じて、僕はいつも通りやる。
「いやな、小学生ってこんなにうるさいんだなぁって。まあ、小六だし、先生を舐めてくる年だろうけどさ。こいつら、学校を休憩場だと思ってるんだぜ。ほんと、うるさくて殺意湧く。こっちすっげぇ待ってるのにそれがわからねぇんだよなぁ」
一色のときにやったような手段だ。白々しいというか、皮肉じみているというか、ぶっちゃけやり方は最悪だ。が、この状況、小学生に注意するのは難しいのだ。教師としては、これで小学生に「静かになるまで○分かかりました」とか皮肉を言って、自分達で静かになるよう教える手はずなのだから。
だが、そんなのは無駄だ。ダメな奴は変わらない。弱者が弱者で、強者になれないのと同じだ。
だから、別に注意してないですよ、という体をとらないといけない。ほんとめんどくさいことこの上ないが、一応、僕だって高校生だ。……ち、チビだとしても! それでも、効果はあるはずなのだ。
平塚先生や小学校の教師がほんの少しだけムッとする。けれど、マジな話、こっちの方が空気は締まる。郊外に出たとき、教師に怒られるよりも町の知らない人に怒られたほうが堪えたので、これは確実だ。
静かになった小学生たちには、これからの予定が発表された。
一日目最初の行事はオリエンテーリングだそうだ。ウォークラリーとも言うかもしれない。あの、班行動になるあれだ。
みんな「林間学校のしおり」を開いて説明を聞いている。
そのしろいの表紙にはアニメ調のイラストが描かれていた。なんか、ここが生徒会とかの発行物の絵を描いていたのを思い出す。多分実行委員の中では書ける人がいないんで、実行委員と親しかった人が頼まれたのだろう。生徒会でもそうだったし。
「では最後に、みなさんのお手伝いをしてくれるお兄さんお姉さんを紹介します。まずは挨拶をしましょう。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
あの、卒業式とかに言わされるような間延びした言い方だ。「心に残った」「しゅうがくりょこおー」みたいな。あれ、なんでそれを卒業式で言っていいかアンケートとらないんだろうな。僕が修学旅行(まあ、小学校じゃ林間学校だったけど)にトラウマ持ちすぎて発作起こしてたらどうしてたんだか。
小学生たちの好奇の視線が一斉に注がれる。……僕に。まぁ、そりゃそうだよねぇ。小六って年上を舐めてるもんねぇ……。
ここは部長である雪ノ下先輩かリア充グループの中心である葉山先輩が行くべきなのだが、もう教師の視線までこっちに集中してるんで、僕が言わないとダメなパターンみたいだ。速水、助けてくんないかなぁ……うわ、あいつサムズアップしてやがる。絶対許さない。
仕方ないので、ここには離れてもらって、一歩前に出る。
「あー、『みんなが静かになるまで三分かかりました』とか言われると白けるんで、そういうのなしでいったほうがいいですよ。ま、そんくらいっすね。なんかすっごい明るい人と僕みたいに暗い人で差がある僕たちですが、頑張るんでよろしくです」
ふむぅ、やはり僕はアドリブに弱いな。ちょっと言葉がおかしいし。これくらいなら空気ブレイクしてでも、葉山先輩のほうがよかった。ま、林間学校ってのはあくまで授業だ。わちゃわちゃするのは真面目な中で許されるものだし、これくらいの空気でもよかろう。
「お前、よくやるわな……」
「あー、ちょっと嫌なこと思い出しちゃいまして」
「さいで。まあ、程ほどにしろよ。まあ雪ノ下だけはなんかすっごいうんうん頷いてたけど」
だろうなぁ。だって雪ノ下先輩なら「あなたたち、静かにすることもできないの? 騒ぐことしかできないのなら猿のほうがよっぽどましよ」とか言いかねないしな。いや、猿とかは言わないか。ま、罵るのは確実だろう。
「では、オリエンテーリング。スタート!」
教師の掛け声で生徒たちが、五、六人のグループになる。事前に決めてあったのだろう。スムーズに班分けがされていた。おそらく、この林間学校の間、その班で行動することになるのだ。それは、ある意味では地獄から逃げることが難しい、ということを意味する。
たとえば、班の中で孤立し、いじめられたときに困るのだ。少なくとも、自ら状況を脱することはできない。また、教師に言っても「班で仲良くしよう」みたいに言われるのがオチだ。班にいる班長が信頼の置ける人物だ、と教師が妄信しているから。
それに、本気としてとってくれても対応に困る。班での話し合いとなれば林間学校の時間が削られ後々の事後学習なんかで苦労をするだろうし、他の班に途中から入れられたり教師達と行動なんてことになればそれこそ最悪だ。
――が、まあ逃げる手段なんていくらでもあるんだけどな。
そんなことを考えている間に、ここや小町といった総武高生じゃない勢が自己紹介をしていた。よく考えるとここも小町も来てるの、おかしすぎるな。ま、小町は別だとしてもここはエンジェルだしいいだろう。
それよか驚いたんだが、眼鏡の先輩――海老名先輩というらしい――って、腐女子だったんだな。しかも相当の。中学にもいたけど、海老名先輩のがすごい。あと、やっぱり高校でも空気を読まないで空気にあわせるような人、いるんだな。そのことも意外だわ。
そうこうしている間に、平塚先生がきた。今回の仕事の説明がなされる。
「このオリエンテーションでの仕事だが、君たちにお願いするのはゴール地点での昼食の準備だ。生徒たちの弁当と飲み物の配膳を頼む。私は車で先に運んでおくから」
「俺らも車に乗ってけばいいんですか?」
「そんなスペースはないよ。きりきり歩け。ああ、小学生たちより早く到着してくれたまえ」
昼食の準備というのなら、確かに子供たちより先に着いていないとまずい。もう結構な数の生徒達が出発してしまっている。……面倒臭いスタートになった。
× × × ×
暑い……暑すぎる。どうして僕は、こんな日に猫耳パーカーなんて着てきてしまったんだろうか。ほんと、馬鹿すぎる。
あまり小学生は得意ではないので、道中で小学生にあっても僕は声をかけない。それはここや師匠、雪ノ下先輩も同じだった。対照的に葉山先輩やボス猿はボランティアのお兄さん、お姉さんをやっていた。
そんな中、横に折れていく道で、女子五人の小学生グループに出くわした。
これまたとりわけ元気のよい、活発そうな連中だ。女子はそれなりのおしゃれをしていて、会話も見事に年頃の女子感を醸し出している。こういう奴らが簡単に人を馬鹿にして、いじめて、中心的な人物になるんだろうな、中学とかで。
そういう人間としてはまさしく同類のボス猿なんかは憧れの対象なのだろう。かなり積極的に話しかけてきた。
葉山先輩やら由比ヶ浜先輩やら、とにかく派手な人のほうにいくと、必然的に師匠や僕、雪ノ下先輩は残る。驚いたのは、一色がここを庇うように小学生から離れたことだ。一色なら、小学生と戯れてる私可愛いアピールをすると思ったんだが。それだけ、ここが尊い存在だという事か。
話を聞いていると、まず挨拶に始まり、ファッションの話やらスポーツの話やら中学の話やらをしていた。一緒に歩いているうちに話の流れで一緒にここらのチェックポイントを探すことになってしまった……いや、そりゃダメだろ。
「じゃあ、ここのだけ手伝うよ。でも、他のみんなには内緒な?」
葉山先輩が言うと、小学生達は元気よく返事をする。
ふむぅ、さすがにこれはいかんだろ。
「葉山先輩、ちょっとこれはやばくないすか? 一応、授業なんですし。これで一緒に行くのはフェアじゃないですよ」
「別によくない? ってか、あんたいちいちうるさいし」
ったく、葉山先輩に話しかけてんのにどうしてボス猿がしゃしゃってくるんだよ。ほんと、まじうぜぇ。
もういいわ。どうなっても知らん。僕は、のそのそと歩きながら、その班をぼんやりと見る。すると、すぐに気になる点を見つけた。
だいたいの班がきちんと一つにまとまっている、或いは半分ずつ二つに分かれながらも緩やかに連結して一つになっているのだが、その班だけは歪に見えた。
五人班で、一人の女子が二歩ほど遅れて歩いている。
すらりと健康的に伸びた手足、紫がかったストレートの黒髪、他の子達に比べて幾分大人びた印象を受ける。フェミニンな服装も周囲より垢抜けている。有り体に言って十二分に可愛いと呼べる。ここの小学校時代の写真には負けるが、それでも雪ノ下先輩レベルに育つことは容易に想像できる。
その子には見覚えがあった。