1つ! 翔が仮面ライダーの存在する風都へと移転した!
2つ! グリードドーパントへと変化する叶と闘った!
3つ!翔太郎と翔は覚悟を再確認した!
「晴れてきたな」
「あー準備は出来たかぁ? 柊」
腕に時計を填めてドアを開く柊。
「はい、俺は大丈夫です、いよいよですね」
「ああ……嬢ちゃんはどうだ? 大丈夫そうか?」
顔に手を当てて柊に小声で尋ねる。
「俺に出来る事は手を伸ばす事だけですから。早苗の願いを叶える為に動く。それだけです」
「……だな」
フィリップも頷く。そして後ろから三人が飛び出てくる。
「よーっし! まっかせなさい!」
「本当にいいんだな?」
早苗は、汗を払い、大きく頷く。
「私の願いだから、私が逃げちゃ話にならない……なにより私自身が逃げたくないから!」
後ろから肩を乗せている亜樹子も大きく頷いている。
「まぁ……安心していいぜ、依頼人は俺達が必ず守る」
「もしもの事なんて考えなくていい、君は僕達が全力で守るからね」
二人が柊に目配せする。自分も僕達に入れられている事に喜びを感じている。
「……でも、本当にいますかね?」
「絶対にいるさ。前も言ったろ、大切な奴らとの絆はそうそう切れたもんじゃねぇからな」
「絆……ね」
「人の感情ほど他者が理解するのに難しいものもないさ」
二人がバイクに乗って構える。
「あ、おい柊! お前バイクは乗れるか?」
「……ふっ」
実はこういう日を夢見て免許を取っていた柊。元の世界では使うことの無いまま終わったが。
「よっしゃ! 行くぜ!」
「あ、あの……」
まだ待ってほしい、と一歩前に出る早苗。
「がんばって……死なないで下さい…お願いします」
それを聞いた亜樹子は花が咲いたように笑い、柊太郎達はそれを聞いて微笑んだ。
「任せときな」
そして、三人はバイクで動き出した。
鳴海探偵事務所から、歩いてそう遠くない場所に設置してある工場。この中に叶はいる。
「どうしてここが分かったんだい?」
「叶の娘さんがまだ叶と共に生活していた時、叶とここでよく一緒に遊んでいたらしい」
「それがどうして叶がいる事と繋がるんだい?」
口に手を当てるフィリップ。
「……忘れられねぇのさ、かけがえないたった一人の娘を」
三人が接近したのに気づいたか、マスカレイドドーパントが続々と現れる。
「きましたね」
「ああ、ビンゴだったみたいだな」
「柊、僕の身体を頼んでもいいかな」
フィリップが柊に身体を頼もうとした時、後ろから大型特殊装甲車リボルギャリーに乗ってきた亜樹子が言う。
「私! 私に任せてよ!」
「おい亜樹子ォ! こんな近くにまで来んなって! 遠くにいろっつっただろ!?」
「バカァ! 早苗ちゃんが見える所にいた方がいいでしょ!? あいつらをケチョンケチョンにするのも大切だけど一番は依頼者を守る事が大事なんだからね!?」
右手を空に向ける翔太郎。
「はぁ……危なくなったらすぐそれで逃げろよ。紫さん頼んだぜ」
「はーい、大丈夫よ、任せて頂戴。今はリボルギャリー…だったかしら? あれの中にいるわ。いざって時には早苗だけでも逃すから」
手をフリフリと振る紫。
「よし…いくぜフィリップ!」
「ああ」
──《CYCLONE》!
──《JOKER》!
「「変身!!」」
──《CYCLONE》! ──《JOKER》!
「よいしょ!」
「亜樹子さん達に近づくマスカレイドドーパント達は俺が相手するんで、安心してくださいね」
「うん! お願いね柊くん!」
柊はこの目に生変身を焼き付けた、とばかりにマジマジと翔太郎、フィリップを見つめた。
「さぁ…お前等の罪を数えろ!!」
そして着実に敵をなぎ倒していくダブル。
「すげぇ…」
自分が戦闘というものを経験して初めて気付く事もある。彼らは一つの身体で闘っているのに、全然隙がないということに柊は気づいた。普通呼吸が合わずに態勢を崩したりするものなのにそういう所作が一つもないのだ。
「わっ!……」
「──はっ!」
柊がマスカレイドドーパントに蹴りをかます。一応生身でもそこそこやれてる事に感動している。
「へぇ流石、生身でも結構やるじゃねぇか! よっと!」
全てのマスカレイドドーパントを倒し、手を叩くダブル。
「こりゃ任せても問題ねぇな」
「すまない、しばらく抱えててくれるかい? アキちゃん」
「うん!」
「 それじゃ行きましょうか、叶の元へ…!」
「だな。さっさと決着着けて馬鹿な真似する前に止めねぇと 」
「勿論最善の注意を払ってね」
全員で中に入る。けれどすぐ前方に叶の前の障害が。
「お前はボムドーパントの……」
ボムドーパントになっていた男、叶の部下だが様子がおかしい。フラフラと身体を揺らしながら虚ろな目でこちらを覗いて来る。
「明らかに様子が普通じゃない。ど、どうしますか?」
「とりあえず取り押さえるか?」
「あ、ぁあぁ……ここで、消えた」
──《COCKROACH》!
「げぇ……まだ持ってんのかよ……」
「いや待て翔太郎……闇雲に近づくのは危険だ」
「お、れれ、消えろ、、俺」
既に彼は正気を失い、身体の左半分だけがドーパント化している。
「メモリの力に囚われているようだ急いでメモリブレイクをしなければ彼の身が危ない!」
「威力は最小限に落とす! 一気に決めるぜフィリップ!」
「了解だ翔太郎」
──《JOKER》!
──《MAXIMUM DRIVE》!
「ジョーカーエクストリーム!!」
空中で身体を分離し時間差ライダーキックをぶつけた。
「……んん?」
「硬いな、だがこれ以上は彼自身にダメージが……」
ピンピンしているが、彼はその場で苦しみ出した。
「うぅ、苦し、苦し、……お、お、お」
「ま、待ってください二人とも! 様子がおかしい…」
「ああん? それは分かってるさ、だから攻撃力の高い…」
「し、にた、た、消えた、い…」
「…!!」
その様子には見覚え、というか心当たりが柊にはある。
「まさか……ヤミーを…?」
「ああん? 何か心当たりあんのか?」
その予感は当たっていた。
彼の身体からヤミーが飛び出てきた。
「やっぱり……!! もう攻撃しないで!!」
「フィリップ、こいつ何者だ!!」
「検索が完了した。セルメダルを注入された物が欲望を物質化させて生み出す物らしいが、これは」
本人までおかしくなっている。柊には予想がついた。
「叶は、グリードのメモリを使ってた…おかしな話じゃない…! しかもメダルを入れられた人が動くのは…ネコ科のヤミー…だけど…こんな状態になってるのは多分叶がおかしくさせたんだと思うけど…」
「はぁ……はぁ……ぁ、ぅぅ」
彼はもう動けないほど消耗しきっている。
メモリを体から落として倒れ込んだ。
そしてヤミーは立ち上がり、身体を変形させる。翼を生やし、象の様に図太い脚で
それは、合成ヤミーと呼ばれるタイプのヤミーだった。
「こいつ…!」
「ま、さか。……私まで…利用されてい、たとは……な」
合成ヤミーはダブルに飛びかかった。けれど空中でメダルの塊へと戻って地面に落ちていった。
「次から次へと何する気だ?」
「ヤミーは産んだ人が死んだら……死ぬんです。それで、きっと」
手を払って視線を逸らすダブル。
「叶は……まだここにいるはず…急いで探しましょう!」
「正解だ」
暗い工場の奥から、火球が飛んで来る。
それは柊へと向かったが。
──《ACCEL》!
「変……身ッ!」
──《ACCEL》!
語尾を伸ばしたその声は。
「あ、貴方は?」
「俺に質問するな」
「照井! 戻って来てたのか…ナイスタイミングだぜ!」
「今さっきだがな。リボルギャリーを追ってここまで来たがこれはどういう状況だ? 君は?」
照井 竜。そして彼の変身する仮面ライダー アクセルのブレードで斬撃を逸らした。
「俺は夢知月 柊、ええと依頼人の助っ人って感じです。そっちのに答えたんで次は俺の質問も聞いてくれますか?」
「話しは後だ。叶……お前に用があってきた」
コツンコツンと静かな工場に足音が響く。
「やぁ、昨日ぶりだが新たな顔触れがいるな、私は知っているがね照井 竜」
「叶、 自分の仲間を衰弱死する程まで奴隷みたいに働かせて! 何ともねぇのかよ!?」
「何を言っている? 何かあるとした彼だろう」
両手をあげる叶。
「違う! お前は何とも思わないのかよ!?」
柊は怒りを露わにしながら尋ねる。
「勘違いするな。彼は自ら死んだのだ」
「……は?」
「彼は古き部下だよ。良く実験にも付き合ってもらったんだがね。左翔太郎、君に叩きのめされて使い物にならなかった。だから私のメモリの実験台になって貰った」
叶は言う。人を人として見てないから、そんな事が簡単に言えるんだ。
「このグリードメモリ、思った以上に良い性能でね。ヤミーすら作れたんだ。もはやこのメモリに不可能はない!!」
「てめぇがそこまでする理由はもう分かってる」
「なにぃ?」
「娘の為なんだろ」
叶の身体が停止する。図星のようだ。
「貴様ァ……どこからそれを……!」
「財団から既に脱走してる奴がなんで執拗に嬢ちゃんを狙うのか、気になったから調べたんだ。叶 恵。お前の娘だ。あの子の不治の病を治す為にお前は……」
「黙れぇっ!!」
翔太郎の声を叶が遮った。
「お前ら如きに何が分かる!? 同情でもするくらいなら、とっとと治せ!!」
「嬢ちゃん……早苗の力でも治せないものはある」
顔は見えずとも、声で翔太郎が悲しんでいるのが分かる。
「恵の病は早苗でも治せねぇ。本人が治せねぇって思ってるくらいだしな。早苗にだって治せないものはあるさ」
「あ、な……」
「もうこんな事は辞めて罪を償うんだ、叶 望。君の娘さんもこんな事望んではいないのは分かるだろう?」
フィリップが言う。叶は震え出した。
「あの女が最大限の力を使えば、どうなるかまだ分からん以上は試すしかあるまい!」
「ふざけんな! 恵はそんな事で治されたって喜ばねぇぞ!」
「……なに?」
「恵は早苗の友達だ……!」
♢
柊が事務所へ戻った後、翔太郎は再度恵に会っている。
「よっ、一日に何度も悪いな。これ見舞い物だ」
「ありがと、探偵さん。いいよ……どうせ暇だし」
「……なぁ、いきなりで悪いんだが……例えば、例えばだ……」
左手を出して、翔太郎が聞く。
「もし……お前のお父さんがお前の為に裏で動いてて……命を代償に病を治す女の子を見つけて来たって言って帰ってきたら……治したいと思うか?」
「なにそれ、変な例え話。……うーん、治せるなら嬉しいけど……」
黙って恵を見つめる翔太郎。
「そんな優しい子が死んで代わりに病気が治るくらいなら私、このままでいいからその子と友達になりたいわ」
「……そうか」
「それでお父さんも叱るね。自分の娘に何も言わずに勝手に何やってるんだって」
「……!」
右手を、無意識で握りしめる翔太郎。
「ありがとな……また来るぜ」
「約束だよ? 退屈なんだからさ、私」
「ああ……約束だ。それじゃ」
「──その子の名前、なんて言うの?」
「……あ? なんで、お前」
「大体分かるよ、ギャグで言ってるような顔じゃなさそうだったし」
帽子を深く被り、翔太郎はため息をついた。
「……東風谷、早苗」
「──早苗?」
「え?」
「あ、あの子が今どこにいるか知ってるの!? だったら教えて! 今すぐ!」
「ちょっと待て! どうなってんだそんな事一度も……」
翔太郎は断る気でいたが、恵の目尻に溜まる涙を見て、口を開いた。
「……あと1日待ってろ」
♢
二度会っている翔太郎は、恵が誰かの命を奪ってまで病を治したくはないと知っている。きっと恵はその事を後悔するだろうという事や、少女と父親の生活を犠牲にした治療なんて望んではいないだろうということも。
「 娘と、女が友達…」
「そうだ! 今も会いたがってる! その願いを……恵の願いを他でもねぇ親が引き裂こうとするんじゃねぇ!」
「そんな事親の私が知らないとでも思っているのか」
「あ?」
わなわなと、叶は震える。
「恵は家にあの娘を連れてきたこともある!だからこそ、財団に知られる前にこうして接近することもできたのだ」
「じゃあ、自分の娘の友達になんで危害を加えられるんだよ」
「東風谷は風都には来ていない。既に別のどこかへと両親共々転勤した。そういうことにすればいい。恵に都合の悪い事は聞かせるつもりはない」
そんなの、冗談じゃない。
「あいつはそれを望んでない、だったら俺は恵の想いを守る! 絶対にお前を止めて恵に謝ってもらう!」
「僕達だって君の娘さんを助ける事に協力を惜しまない……だからもう辞めてくれ!」
二人の声は、叶には届かなかった。
「今更貴様らに付き従ったところで、もはや手遅れだ! 私は近いうち財団Xの刺客達から必ず殺される! すぐにやらねばならんのだ!」
諦めきれない翔太郎にフィリップが語りかける。
「やはりメモリの毒素にやられている。一度倒さなきゃ止められないみたいだ」
「フィリップ……」
「この事態は覚悟していた事だろう。いいかい翔太郎、今の僕達にできる事は大人しくやられる事なんかじゃない、彼の為にも闘ってメモリブレイクすることだ」
「フィリップ、力貸してくれるか」
「勿論、絶対に止めるんだ」
再び戦意を剥き出しにする叶。
「来い! まとめて殺してやる!」
「いいや、絶対に僕の家族は殺させないよ」
「フィリップの言う通りだ、それに他人の命を使ってまでこんな事するなんて絶対に間違ってる!そんな奴はな、俺達が止めるんだ」
「は、ははは……無駄だ、もうすぐ私を追って財団の者達が到着する。もう、すぐだ。お前達はどっちにしろ終わりなんだよ」
「ここには仮面ライダーがいるんだ、必ず止めてみせる!」
「よく言ったぜ、柊」
「っ……夢知月、後ろからマスカレイドドーパントが来ている、奴等は君に頼めるか」
「任せてください! あいつは……三人に任せます!」
ダブルとアクセルが頷く。
「はぁぁぁ……ぁあああ!!」
グリードドーパントの背中から無数の孔雀の羽根が展開される。そのままその羽根はアクセルとダブルに向けられる。
ダブルとアクセルはそれぞれの攻撃でいなす。
避けた速度のまま一気に接近してダブルが叶を殴る。
よろめいた叶にすぐさま蹴りを入れるアクセル、更に続けて拳を二撃間髪入れずにダブルが叩き込む。
「ゴホッゴホッ!!……これならどうだぁっ!!」
グリードドーパントと化した叶の頭部が光る。
「うおっ!?」
「ちぃ! み、見えん!」
アクセルとダブルは視界を失い、そのままタコの足に具現化した腕に叩きつけられる。
だがすぐに起き上がり逆に飛び上がり蹴りを食らわせる。
「こ、こいつら……!」
脚をコンドルの様な鋭い三脚に変化させ回し蹴りを繰り出すが、アクセルは弾きダブルはかわしていく、叶は手数でダブルとアクセルは戦闘経験でカバーする拮抗状態が続く。
そこに、ダブルが反撃の一手を加えた。
「さぁてと、ドンドン行くぜ」
「行くよ、翔太郎!」
──《LUNA》!
──《TRIGGER》!
緩急を付けた変幻自在の弾丸で叶の判断を鈍らせる。その隙にアクセルがブレードで突く。
──《LUNA》!
──《JOKER》!
攻撃を食らわせたアクセルに意識を向かわせた瞬間。ジョーカーの鞭のように伸びた手でグリードドーパントの背中を叩く。
「ぬぉぉぉっっ!!」
──《HEAT》!
──《JOKER》!
今度はダブルに意識を向けたグリードドーパント。グリードドーパントの能力で変化したタコ脚が振りかざされるが、燃え盛る拳で全て薙ぎ払い、拳を炸裂させた。
「うぉらっ!!」
「があっ……」
そしてよろけた隙だらけの背中にアクセルの剣撃が直撃する。
「はぁ!!」
──《HEAT》!
──《TRIGGER》!
翼を広げ空へと距離を置こうとするグリードドーパントに向けて、渾身の一撃を放つ。
「逃すかよ、そらっ!!」
まともに超高火力の一撃を受ける叶。
上空で受け身をとることも出来ず、地面に痛々しく落下した。
「す、すげぇ」
「ちょっと!? 柊余所見しないでよ!」
「わっ!? あっぶねぇな!」
ダブルとアクセルの闘いぶりに見惚れ思わず動きを止めた柊。背後からマスカレイドドーパントが不意打ちを狙うが紫がギリギリ伝えてカウンターする。
「紫さんファインプレー!」
「ふふ、これくらいはしなくちゃね」
そして、長年の戦闘経験を得た三人にグリードドーパントは文字通り手も足も出なかった。
「これで終わりだ」
「く、くそ!!うおおっ!!」
捨て身の火炎を柊に放つ。しかしその火炎はエクストリームメモリが防いだ。
「うおっと!! あ、ありがとな」
甲高い声を上げてエクストリームメモリがフィリップの肉体をデータ化し取り込む。
「行くぜ、フィリップ!」
「 ああ! 翔太郎!」
そしてダブルの頭上へ移動し合体する。
「終わりにしよう……!」
──《PRISM》!
──《ACCEL》!
──
「「はぁぁぁ……うぉりゃーーー!!」」
三人の必殺技は、グリードドーパントに直撃し爆発する。
「ぐわぁぁぁぁあああ!!!!」
叶はそのまま地面に落下し、地面に寝転ぶ。
「絶望がお前のゴールだ……」
「終わりだ、叶。お前の巧みは……ここまでだぜ」
「げほっげほっ……ふ、ふざ、ふざけるな! ……誰が貴様らなんかに…!」
「いい加減にしろ、叶。大人しく 罪を償うんだな」
「……私が、負けた?」
「ああ、そうだ」
ククク、ククククと不気味な笑みをこぼす。
「なんだ貴様その笑いは…貴様はこれから罪を償わなきゃいけないんだぞ!」
「照井 竜、勘違いするな」
「なに? ──柊っ!!!」
照井は、柊の前に立って銃撃から庇った。
「ぐ、ぅぅう!」
「照井さんっ!!」
「財団の奴らか。翔太郎、ここは……」
「しつこい奴らだぜ、おい照井大丈夫か!?」
「俺に質問するな!! この程度でやられる程ヤワな仕事はしていない!!」
「お前ら!! 私よりまずはこいつらから始末するべきだぞ!!」
「攻撃最優先目標、仮面ライダーダブル、アクセルを補足。攻撃を再開する」
「よし! やれ!!」
バサッバサッと翼をはためかせ、天井を破壊して逃げる叶。
「あ! おい! 待ちやがれっ!」
「リボルギャリー、紫さん達が危ない!」
「左! フィリップ!! 夢知月を連れて早く行け! 俺がこいつらを全員倒す!!」
ダブルが壁に穴を開けて柊の手を引く。
「照井 竜、本当に……」
大丈夫かい? とでも聞くつもりだったのだろうが。翔太郎がかいつばむ。
「照井にゃ質問は無用だぜフィリップ。照井、頼んだ!!」
事務所へ戻る三人の殿をアクセルが務める。
「心配なのは、お前達を全員捕まえるだけの手錠があるか、それだけだ」
そう言ってアクセルは、財団の群衆へと突っ込んだ。
「にしても、頑固なだけあるな、あれだけやってもまだピンピンしてやがる」
「グリードメモリ。紫さんが危惧していた通り想像以上に危ない代物のようだね」
「柊!スピードを上げるぜ!」
「落とされないようしっかり僕達を掴んでいたまえ」
「はい!!」
翼を展開するが、フラフラと落下してしまう。
そしてそれを発見する紫。
(柊達は…!? やられてしまったの!?)
叶達が戦闘を開始して以降リボルギャリーと共に少し離れた位置に逃げていた紫達は、それが仇となってしまった。落下したグリードドーパントに鉢合わせてしまったのだから。
「はぁ……はぁ、女を、よこせぇえ!!」
「残念ながらアンタみたいな男に渡す子はいないわね」
「紫さん……!」
「逃げなさい早苗、私が時間を稼ぐわ」
「そうか、勝手にするがいい!!」
リボルギャリーから出て、グリードドーパントへと突っ走る紫。飛び蹴りは容易に交わされる。
「雑魚が!」
「きゃっ!!」
回し蹴りで吹き飛ぶ紫。更に追い討ちで火球を右手に溜める。
「「「待て!(待ちやがれ!)」」」
「──! ……くそ……もう来たか!」
「! 紫さん! よくも紫さんを……!」
紫が口から血を出して地面に座っている。どうやら自分達が来るまで抵抗していたようだ。
柊はとっさに時計の、ネコ科のコンボのスイッチを起動した。
「──変身っ!!」