東方欲望録   作:アンダーソンキャッスル

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32話 夜明けの人間と夜の王と主導権

「……妖夢?」

「そうよ! この妖霧の濃さもそうだし、なんでこの異変を放っておくの?」

 

妖夢じゃなくて妖霧ね。そもそも異変については全く分からないし。

 

「何がそんなおかしいんです?」

「宴会よ」

 

ん〜。と長考する。

 

「たしかに最近多いかも? でもそれが?」

「……何も知らないのね…いいわ、霊夢に直接聞きに行くから!」

 

パッと宙を駆けて消えた。

 

「お〜便利そうだなぁ……あ」

 

もしかしてレミリアさんも霊夢の所に行ったんじゃないか?

 

 

 

 

「一日日付を間違えて来るなんて、寝ぼけてたのかしら? まこんな時間だし無理ないわね」

「丑三つ時でも巫女は眠らない」

 

分かりやすく霊夢は怒りの顔になった。

 

「あのねぇ…アンタが私を起こしたんであって…私は寝たいわよ。要件は何なの?」

「ちょっと先を急いでるから、今日は簡単にやられてくれない?」

 

「急いでるなら無視して行ってくれればいいのに!」

 

呆れた。そう、呟くと同時に弾幕を放つ二人。

 

 

──魔法の森を跳び跳ねていると。

 

「ん? 魔理沙?」

「う? あーよう、柊。こんな時間に何やってんだ?」

「ちょっと用があってね、そっちは? なんでそんなボロボロなんだ?」

 

いくら魔理沙といえど、こんな深夜にボロボロの服で外寝していては不審がるというもの。

 

「レミリアが急に来てさ、いきなり弾幕ごっこ仕掛けて来やがったんだ」

「お! まじか…予想と外れたな…」

 

霊夢の所じゃなく魔理沙の所に来たらしい。

 

「予想?」

「あーいや忘れてくれ。んで理由はなんて?」

「知らん。私を舐めるとこういう目に合うとか明日の…いや今日か、今日の宴会は私が主役だって言ったっきりでさ…何か心当たりあるか?」

 

魔理沙の叙述やアリスさんの言葉を含めて考えてみるけれど、あんまり確信はないな。せいぜい妖霧について探し回ってるとしか思えない。

 

「でもなぁ……なーんかしっくり来ないんだよなぁ…それより、ほら魔理沙」

「ああ、サンキュー」

 

手を貸して体を起こす。

 

「しっかり寝とけよー? もうこんな時間だし」

「ああ、お前もな。またフラン達も来るんだろ?」

「うん、そんじゃ俺はこの辺で。ばいばーい」

 

手を振りながら跳躍した。

次は……一応霊夢の所に行ってみるか。

 

 

 

──博麗神社に行く途中道には極端に妖怪が少なかった。

 

(ま、面倒じゃなくていいけど…)

 

一応神社に来たはいいけど。こんな時間に起こすのもあれだな。やっぱ帰ろう、と思ったのも束の間。

 

「ん? ありゃ?」

 

それは杞憂だった。魔理沙と似たように霊夢も境内でボロボロになって倒れていた。

 

「あ〜…アンタらほんと迷惑。次は柊なの? いいわ、こうなったらとことんやってやる! もっかいレミリア呼びなさい!!」

 

俺の姿に気づくとすぐ立ち上がり見え見えの怒りをぶつけてくる。

 

「ちょ、ちょっとストップ! レミリアさんがなんだって!?」

 

なんと博麗神社にも来ていたらしい。

 

「知らないわよ! こんな時間に押しかけて来て、全く、迷惑にも程があるわ」

 

ケホッと口から煙を吐く霊夢。

 

「訳あってレミリアさんを追ってるんだけどさ。なんでレミリアさんが外に出てるか理由は聞いてないか?」

「明日の宴会で主役を張りたいらしいわ。別にそんなんで攻撃しなくたっていいじゃない……こんな時間に…」

 

よっぽど迷惑だったのか、ずっと愚痴愚痴と文句を垂れている。が、理由は魔理沙の時と一緒か。

 

「宴会で主役を…ねぇ」

「なんか知らないの? いいなさいよ、ほら」

「いやいや俺も知りたいから! 分かったら言うよ……ほらもう寝なよ布団は敷いといてやるからさ」

 

ようやく愚痴を止め、大人しく神社に戻る意思を見せる霊夢。

 

 

今までのレミリアさんの行動をまとめて考える。

まず、一人で用事を済ませに行ったこと。そして魔理沙霊夢に弾幕ごっこを挑み主役は自分と宣言した。

 

これが意味するものは……。

 

「……分かるかあ!!」

 

そもそもレミリアさん自体気分屋な所あるから可能性を上げてはキリがない。

今回はアリスさんの言っていた妖霧と関連性があると仮定しよう。

 

「妖気とレミリアさんの行動の関連性かぁ…」

 

そういえば昨日不審そうに宴会について聞いて来たな。

となると、何か妖気が悪い要素なのか?

 

「今の所何も起きちゃないし…」

 

むしろレミリアさんが二人をぶっ飛ばしてしまっている。

 

「…はぁ、怒られるかもだけど…帰ろ」

 

弁当も完食してしまったし、疲れたから紅魔館に帰った。

 

「何帰って来てるのよ」

「いやぁ、だって掴み所がないんだよ」

 

何を思っての行動なのか検討もつかない。残念。

 

「あるじゃない、まだ調べる所」

「え?」

 

どこですか? と尋ねると。

 

「冥界」

「なんで?」

「妖夢と妖霧、ほら似てるでしょ? ゴー」

 

パッと、外に出ていた。いや出されていた。

 

「あんまりだろぉ!? 咲夜さぁぁぁあん! 俺も寝たいよ!」

 

いくらドアを開けても門の外に逆戻りするので諦めて冥界へと行く事にした。

 

 

「貴女が犯人ね」

「あれー? もう見つかっちゃった〜?」

「いいや私しか気づいてない筈よ。柊はまだお嬢様の居場所も勘づいていないし…」

 

ナイフをこっちに向けるなよ。行儀が悪いなぁ。

 

「貴女は誰?」

「私はよーく知ってるよ! 貴女の事…」

「私は貴女の事よく知らないわ」

「ふーん……だからそんなやる気で漲ってるんだ。たかが人間が鬼に勝てるとでも?」

「は? 鬼?」

 

 

「泣かしてやる!」

 

 

 

 

 

 

途中、道草を食いながらゆっくりと向かっていると。

 

「……アリスさん?」

 

アリス・マーガトロイドが明らかにこちらに近づく意思を持って歩いて来ている。

 

「……なぜまだ、この辺りをふらついているの?」

「え? いやそれは用事で……アリスさんは? 結局妖霧の原因究明は出来ましたか?」

 

「ええ、出来たわ」

「そうですか、それはよかったですね」

 

随分と距離を置いているアリスさんの元へ向かう。

 

「犯人は、誰でしたか?」

「貴方よ、わたしには分かる」

 

人形達から無数の弾幕が飛び交う。

 

「やっぱりな!」

 

横に大きく跳び跳ねて躱した。

すると、アリスは追撃を辞めてこちらに尋ね返す。

 

「やっぱり? もう隠すのも辞めたのね」

「違う違う! 明らかにこっちに敵意向けてたじゃんってこと!」

 

こちらのアンサーには聞く耳持たず。弾幕を再び打ち始めた。

 

「いいわ、一発懲らしめたら分かるでしょ!」

「なんで幻想郷の人はこんな人ばっかりなんだ…?」

 

事後確認が多すぎるだろ!

主にレミリアさんとかさ!

 

「あ〜〜〜もう仕方ないか! 郷に入れば郷に従えだ!」

「覚悟してもらうからね!」

 

 

 

「るんらるら〜ん」

 

鼻歌を歌いながら冥界を出たレミリアは地上の光に気づく。

 

「…弾幕ごっこ? こんな朝っぱらから騒々しい不届き者には挨拶しとかなきゃね」

 

面白さ求めて、すぐにその場へ向かうレミリア。

だが持ち前の視力で気づいた。

 

「……柊? と…人形遣いじゃない。珍しい組み合わせね何やってるのかしら」

 

仰々しく風をはためかせて注目を浴びさせる。

 

「アテンションぷりーず!」

 

「「レミリア(さん)!?」」

 

「ふっふっふっ。いかにも。そんな二人はこんな朝早くから何をやっているのかね」

 

レミリアも朝からおかしなテンションになってしまっている。

 

「今妖霧の犯人を取っちめてるのよ!」

「だから違うんだけどなぁ〜」

 

「むむむ? 君は何を言ってるんだい?」

 

理解不能だ。と笑うレミリア。

 

「そこの人間が妖力で幻想郷を覆うことも、ましてやする度胸もないだろうに」

「いや、でもこいつが関わってることには間違いないわ! 魔理沙もボロボロになってたし! きっとコイツがやったのを黙って…」

「魔理沙を倒したのは私だけどな。あと霊夢も」

 

え? とアリスは口を開いた。

 

「何故君がそういう思考に辿り着いたのかは甚だ疑問だが丁度いい。君ら二人も私が弱らせておいてあげよう」

 

「ちょっと! いきなりどういうことよ!? 目的ぐらい言いなさい!」

「貴女を倒す事が目的だ!」

「もう、訳分かんないわよ!!」

 

急な事態に混乱するアリス。

 

「レミリアさんはこういう人だしなぁ。仕方ないよ」

 

もう達観し戦闘態勢に入る柊。

 

「行くぞ若人!」

 

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