東方欲望録   作:アンダーソンキャッスル

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33話 お嬢様の異変と郷に入らばとスキマ妖怪

「ふふん、参ったかしら? 参ったわね? 参ったと言え〜!」

 

「「ま、参りました…」」

 

 レミリアに弾幕ごっこを挑まれた結果。ボコボコにされた翔とアリス。

 煙に塗れた二人は降伏を宣言した。

 

「よろしいそれじゃ、お休みなさい。また明日ね翔」

「……ここまで派手にかましておいて、ノコノコ帰る気ですか」

 

 パタパタと羽根を広げるレミリア。

 

「何よ? 何か不満なわけ?」

「貴女が心配でこっちはどれだけ探し回ったと思ってるんです!?」

「…はぁ〜あ、だから良いって言ったのになぁ。ま、忠誠は再確認できたのは良き事か」

 

 レミリアがアリスに指を指す。

 

「貴女も悪かったわね、今日はもう寝て宴会でまた会いましょう?」

「ああ、そう……ねぇもうぶっちゃけるけど今回の異変の犯人って貴女?」

 

 チッチッチと鳴らしながら口元で指を振る。

 

「違うわよ、まぁ私は大体分かったけどね」

「え? 異変って……妖気がどうのって話?」

 

 ええ、と肯定するレミリア。

 

「面白い異変だったし、折角なら私がメインで出っ張っちゃおうと思ってね。さ、ほら帰るわよ」

「あ、ええさ、さようならアリスさん!」

「何が何だか……宴会では詳しく聞かせてよね〜〜!!」

 

 そう言って地上へ降下していくアリス。

 

 

 

 

 

「しっかしまぁ咲夜も心配性よねぇ、大丈夫だってあれだけ言ったのに」

「あの、咲夜さんばっかり褒めてますけど俺だって心配はしてたんですからね?」

「ウソツキ。私なら大抵の事どうにかするって思ってるでしょう?」

 

 ええまぁ。と頷いた。

 

「私の最高の従者もそれぐらい太々しくしてくれてたら嬉しいんだけど…」

「まぁ主人が一人で行動するなんて意識して当然じゃないですか? たとえ相手が貴女でもね」

「そんなもんかなぁ……」

 

 長い無駄話をしていたら紅魔館が見えてきた。

 

「え? こっち? あの俺今日は帰る気だったんですけど」

「いいからいいから。ほら今日も泊まっていきなさいよ」

「いや今日は帰るって慧音さんに」

「手刀」

「あふん」

 

 

 

 客人の間のベットで翔は泥酔した。

 

「ぐー……ぐー……」

 

「よしっ、私も寝るか!」

 

 ダイナミックにベッドに入り、眠りについたレミリア。

 

 そして朝も更け──────。

 

「そろそろ、か…」

 

 これ以上話すことは無いと言うかのように空を飛ぶレミリア。

 

「ふむ……確かにレミリアさんここ数日変だな…」

 

 どうやら朝っぱらからどこかへ出かけたようだ。しかもまた一人で。

 絶対何かがあると確信した。

 付いていくか。

 

「面白そうな異変だしな。滅多にないだろレミリアさんと協力して闘うなんてさ」

 

 

 

「めっずらしい事もあるものねぇ貴女が一人でここに来てしかも宴会の準備なんて…」

「ふふふ、偶にはね。所で霊夢?」

 

 ん? とレミリアを振り返る霊夢。

 

「今まで、宴会を誰が牛耳っていたのか分かる?」

「今までは…魔理沙かな?」

 

 ふふ、と笑うレミリア。

 

「そんな奴なら良かったわ。あなたももっと巫女としての感覚を研ぎ澄ましてみてもいいんじゃないかしら」

 

 その言葉を放った時、確かに博麗神社の空気が一変したのを感じた。

 

 

「────あらあら」

 

 後ろから聞こえるその声は。

 

「霊夢にそんな無理言っちゃ駄目よ」

「…紫…!」

 

 突然の来訪に驚く霊夢と驚いたような反応をとるレミリア。

 

「あれ、宴会に呼んでもいない奴が出てきた」

「あなたが何を企んでいるのか分からないけど」

 

 企んでいる? とレミリアは言い直し、笑う。

 

「私は企んでいる奴を探し出そうとしているのよ」

「ふふふ。今回の宴会は私が仕切ろうかしら」

「その方が何企んでるんだか判らないでしょ?」

 

 あいも変わらず、このスキマ野郎は何を考えているか分かりゃしないわ。

 

「ま、いいわそれしゃ大人しく…」

「あら、最初からおとなしいってば〜」

 

 

 言ってろ! と言うかのように弾幕を放ったレミリア。

 

「ここでやんな!!」

 

 霊夢の悲痛な叫びは、届かなかった。

 

 

 

 

 

「…! 弾幕の光……ったく、本当陽気な人だよ……!」

 

 森の中からでも視認できる弾幕は、間違いなく俺が負けた弾幕の 使いそのものだった。

 

「……俺もちょっとハイになっちゃおっかな〜〜……!」

 

 昨日の今日で少し深夜テンションになっている翔。

 タカキリバになって一気に博麗神社に近づく。

 

 

 

 

「あ〜どんだけやったかなぁ」

 

 図に乗ってる人間、身の程知らずの人斬り侍、と…全く揃いも揃って無礼にも程がある。

 流石の私もイライラして来ちゃったし、何より面倒臭くなってきた。

 

「そろそろ負けよっかなぁ…」

「あー? まさかこんなガキが犯人なのか? こんなのに勝っても自慢にすらならないぜ」

「前言撤回。 あんたには負けん!」

「本気でかかってきてくれないと面白くないんでな」

 

 また一人ここに来ちゃったか。

 にしてもいきなり私に喧嘩を売り込むとはいい度胸だ。

 

「よく私のこと分かったね」

「珍しい奴がお前を調査してたからな」

 

 今回の人間は既にボロボロだった。

 

「ま。それでも人間風情が私のところまでキチッと突き止めたのはすごいすごい。褒めてやるよ」

「あー? ふざけてるのか?」

「ふふ、あんたには負けんよ」

 

 

 

 

「さぁ、観念なさい、誰が裏で暗躍してるのよ」

「まぁいいわ。あまり気分は乗らないけど…貴女がそんなに会いたいなら」

 

 神社に続く階段で、普段より少し真面目なレミリアさんと、紫さんを見つけた。

 

「…紫さん!?」

「あら、どうするのレミリア? 彼にも言っちゃう?」

「言っちゃわない、さっ、場所も分かってるならさっさと送ってよ」

「はぁ〜〜い、楽しんで」

 

 手をかざした場所に現れたスキマに軽々入るレミリア。

 

「あの〜紫さん? レミリアさんは何をやってるんです?」

「ん〜? 聞きたい?」

「聞きたい」

 

 瞬間、紫の背後に多くのスキマが現れる。

 

「それじゃ遊びましょうか」

「出たよ、ま当然か」

 

 郷に入れば…の下りは2回目だけれどまぁその郷を作った張本人だしなぁ。

 

「知りたきゃ勝てってか!」

「うふふ、ノリが良くて大いに結構。サービスしちゃうわよ」

 

 階段を踏み台にして一気に跳躍する。

 

「あらあら、格闘戦は私の好みではないわ」

 

 そう言いながら翔の拳を全ていなす。

 

「ああもう、当たらん!」

「えいっ」

 

 紫の回し蹴りを防ぎ後ろに仰け反る。

 

「ああ〜強…」

「それじゃ、こっちの番ね」

 

 今度は展開されたスキマから一斉に弾幕が放たれる。

 

 バッタレッグで後ろに跳ねながら避けていく。

 

「あら、遠距離でそれはオススメしないわ。空中じゃガラ空きだもの」

 

 空にいる翔目掛けて放った弾幕。

 しかしカマキリの力を引き出して弾幕を切り裂いた。

 

「へへっ! 誰がガラ空きだって?」

「あら? これはどうかしら?」

 

 今度は全方位からスキマが展開する。

 

「貴方は落ちる間にこれら全てを対処出来るかしら?」

「ちょ、ちょっとまってみて…!」

 

 断末魔をあげて諦めの意思を見せる翔。その声は弾幕同士の破裂音で遮られた。

 

「……あれ?」

「……あら」

「対処、出来たみたいね」

 

 階段をゆっくりと上がる。

 

「あ、アリスさん…!」

「面白くなってきたじゃない、いいわ二体一でやりましょうよ」

 

 落下する翔の両肩を自立型人形達が抑える。

 

「あいつが異変の犯人だったって訳ね? いいわ、やってやりましょう!」

「え? いいや違うし何か誤解してますよ!」

 

 扇子で隠した奥で、紫は笑っていた。

 

 

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