山風の日記   作:fire-cat

42 / 63
二番煎じ……


12月24日~12月30日

12月24日(月)

 今日はクリスマス・イヴです。提督、自分のことが嫌いになることってありましたか? 今、私は猛烈な自己嫌悪の日々を送っています。

 提督(脩一さん)、貴方にも責任があるんですよ。奥さんだった私のこと放ったらかしにして、突然いなくなっちゃうんですから……。どうしよう……。サンタさん、こんな私の願いでも叶えてくれないかな……。

 

12月25日(火)

 今日はクリスマスです。少し前は大正天皇祭で「昭和」への改元の日でした。

 ここのところアトリエにも顔を出さず、部屋でウダウダする日々を過ごしてます。ちょっと絵を描く気分にもなれないし、本を読んでても頭に入らないし……。

 ただ妙にお腹がすいて、なにか口にしてないとイライラしちゃうんです……。食べ過ぎて太っちゃうことはないから、艦娘で良かったなって思うのはこういう時です。

 鎮守府でもクリスマスパーティーがありました。戦前程の賑やかさはないけど、皆でプレゼント交換とかしてそれなりに賑やかでした……。提督、貴方の鎮守府でのパーティーを思い出しちゃいました。あの頃は楽しかったなぁ……。

 そう言えば、12月4日に響ちゃんに教えられて生けた桜桃の枝に花が咲きました。響ちゃんに見せたら、願いが叶うよって。本当にそうなったらいいですね。

 

12月26日(水)

 遠征中にボケっとしていたらイ級から一撃を受けて中破しちゃって、ものすごく怒られてしまいました。嫌になっちゃいます。提督、私ってどうしてこんなに鈍くさいんでしょうね。でも……いっそのことあのまま轟沈した方が楽だったかもしれません。そしたら、私の思い通りになったかも……。

 

12月27日(木)

 提督、私……。今日、執務室の前を通りかかった時に見ちゃったんです、提督(パパ)が加賀さんに指輪を渡しているのを。加賀さんが頬をうっすら染めて頷いてとても幸せそうでした。

 加賀さんが提督(パパ)と結婚することは喜ばしいんですけど、何でしょう、あの時加賀さんがとられちゃうような寂しさを感じて……。私に気づいた提督(パパ)が呼んでいた気がするんですけどそのまま部屋まで駆け足で帰っちゃいました。

 

12月28日(金)

 今日は官公庁御用納めなので、鎮守府も半ドンです。提督(パパ)から大事なことを告げられました。提督(パパ)提督(脩一さん)、貴方との関係です。提督(脩一さん)提督(パパ)が小学校からの先輩と後輩であった事、秋雲ちゃんからここに来た理由を聞いて提督(脩一さん)が結婚していた山風と確信した事とか。そして、提督(パパ)が私に養子縁組(仮)をして欲しいって。少し混乱してそのまま逃げだしちゃいましたけど。

 提督、貴方がMIAになってからもう1年半……。

 

12月29日(土)

 一晩寝ないでゆっくり考えました。私、この鎮守府にお世話になって9ヵ月もの間、なんにも自分の本当に考えてることや悩んでることを提督(パパ)に話してこなかった。それは提督(パパ)を本当の提督だって思うことができなかったから。でも、それは大きな間違いだったんだってことを。一緒に過ごしてきたかけがえのない時間を、私は、ただムダに送ってしまったんですね。提督(脩一さん)、私は大バカ者です。

 

12月30日(日)

 提督(脩一さん)、貴方の後輩の提督(パパ)と養子縁組(仮)を結びます。

 こんなに自分勝手で我儘な私のことを、しっかりと考えてくれていた、提督(パパ)と。

 どうして今までわからなかったんでしょう。私、ひとりぼっちじゃなかったんですね。悩みや悲しみを相談できる人が、こんなに近くにいてくれたんだ……。そしてこれからは提督(パパ)を提督ではなくパパと呼びます。加賀さんの事もママって……。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。