フランクな文体の手紙は前話にありますが全く同じ内容です。少し文体が丁寧になったのとフォントが変わっただけです。どちらにしようか絞り切れなかったので両方上げてしまえと。
Dear daddy
パパ、お元気ですか? パパの鎮守府から脩一さんの所に来て1ヶ月が経ちました。私が今いる場所がどこかはすでにご存じかと思いますが、高地という事もありまだまだ雪が融けていないところがあります。流石に雪の回廊はもう終わったんですけど、初めて来たときは雪の壁が迫ってくるようで迫力満点でした。脩一さん達とも一緒に何度か行きましたけど、何度見ても圧倒されてしまいました。
ここの鎮守府は飽くまでも記憶が戻っても怪我が治っていない脩一さんが現役復帰するまでの臨時のものという事で、軍の診療所に隣接した敷地にあるんです。本当は軍の保養所らしいですが、軍医の方のお話では利用者がいないので有効利用だそうです。片流れ屋根の総二階で2階の壁までカラマツの丸太で組まれた本格的なログハウスで薪ストーブと温泉も引かれているんですよ。周囲をカラマツの森に囲まれて裏にある森を少し歩くと湿原が広がって今の季節は高山植物が咲いて朝の散歩や散策が楽しめますし、山の少し上の方に行くと万年雪と氷河があるんです。
それに街から少し離れているので空気がとても澄んでいるんです。空が燃え上がるような夕焼け、そして夜は星がとっても綺麗なの。まさに星降る夜なんです。
こんな風景、皆にも見せたいなぁ。白露姉や秋雲ちゃん達は一日中イーゼル立てていそう。パパも星空は好きですもんね。
脩一さんには開口一番に怒られちゃいました。私の我儘でここに異動して来た事をです。でも、そんな私を見て脩一さん、変わったなって。昔と違って自信を持った目をしているそうです。大人になったなって。そう言って頭を撫でてくれたんですけど、やっぱりというかなんというか傍らに脩一さんが記憶を失っていたころからお世話していた
その娘とは一週間位は色々衝突もしちゃったけど、これは仕方ありませんよね、結婚していたのは私の方が先でしたけど彼女にとっては私の方が後から来たんだし。
でもその娘も絵を描くことが好きだったのでそこで意気投合して、ここ最近は上手くいっていると思います。だから心配しないでくださいね。
そうそう、脩一さんからパパにお礼を言いたいそうです。私が他人に迎合するんじゃなくて自分の意見を主張できるように、それでいて他人にも優しくできるようにまで育ててくれた事について、だとか。私も性格も柔しく剛く成長したなって。少し褒めすぎですよね。そう言えば脩一さん、パパは昔から後輩や部下を育てるのが上手でいつも参考にさせてもらっていたんだと言っていました。
俺の山風を大切に育ててくれてありがとう。そう伝えて欲しいって。
それと、私は元気です。だからパパも心配しないでください。
脩一さんの足も1年ほどリハビリを続ければ現役復帰もできるそうです。その時は改めてパパの鎮守府にお礼に戻ります。まだ暫くはそちらに行けそうにはないけど、また今度会える日を楽しみにしています。それではまた。
追伸
一緒にCDを同封しましたが、脩一さんと私達の画像とママと秋雲ちゃんと姉妹への託があります。ママ達に渡してください。パパは絶対に見ちゃだめですからね。
手紙なので多少畏まった文章です、本当に少しだけ。
こっちでも後書き記入
後書き
山風の日記ですが、ある程度話が塊となっています。
プロローグ的な【と或る艦娘の唄】
※短編集 艦これ短編集――艦娘のごった煮―― の第一話【と或る艦娘の唄(山風)】です。
本編1話から11話までのMIAの夫を追悼する山風。
※ここら辺、読む人をとことん選びました。はい。
本編11話から43話までの何処か影を引きずりながらも皆と一緒に生活していくうちに次第に癒され少しだけ成長(?)していく山風。
本編43話から52話までのパパの娘で幸せな山風。
※1〜11話あたりの雰囲気が好きな人はこれ以降逆に読みづらかったかも。
本編52話から59話の「パパだ~い好き」モードの山風。
59話以降の「やっぱり脩一さんが一番好き。ごめんなさいパパ、私は脩一さんのもとに旅立ちます」な山風
当初から最後はここ(山風の夫、脩一さんがMIAから復活)に落ち着かせる予定だったんですが、途中で脩一さんMIAのままにしておこうかと、少し迷い始めて色々迷走しながら最後はやはり予定通りになりました。
それにしても、2年近く開けるとやはり書きにくかった……。
脩一さんの由来に触れていなかった気がしますのでここで書き込み。山風最後の艦長の浜中脩一大佐から拝借しています。
因みに1年後、脩一さんが現役に復帰して後方の横須賀管区鎮守府南関東連絡事務所配属となります。山風達も一緒に異動です。南関東連絡事務所は名前だけ別の話で出しています。