じぇねれーしょんせくしゃるぎゃっぷ   作:sugarstar

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 何と前後編構成です。
 ということでぶった切りました。


第四話 初日③ 前編

 太陽は暖かいのだが、背筋は酷く冷たい。

 このような安心のできない状況下で外を歩くというのは、経験したことがない。

 自然と早足になる。だが、靴が大きさで歩きにくいためか、早足になるとすぐに躓いてしまう。なのに、早足になってしまう。

 頭では冷静になろうとしても、体は自然と焦ってしまうものなんだと思った。

 色々なことなどを考えながら歩いていた。

 主に、女の子になってしまったことへの不安とか、そういうようなことだ。

 そして、そんなことを考えている内に、いつの間にか病院の前に居た。

 熊野さんは分かってくれるのかもしれないが、その他の人は、女の子が明らかに男の服を着た変人だと見られるじゃないかと思う。だが、ここで怖がって家に戻ったら、ここまで来た意味が無くなる。

 不安を抱えながらも、中に入ることにした。

 病院の自動ドアが開いて、速やかに中に入った。

 

 今、思ったことがある。家を出る前に、熊野さんに先に連絡しておくべきだったのじゃないのか。

 だが、ここまで来てしまったものは仕方が無い。受付の女性の稲沢(いなざわ)さんに話を取り付けることにした。

 

「すみ……すみません……」

 

 一瞬、自分の声に驚いた。

 というか、初めて今の自分のこれを聞いたのではないか?

 可愛い声だとは思うのだが、今はそんなことどうでもいい。

 可愛さを感じるよりも先に、この案件の方が重要で、何としても早く解決しなければならないことだと思っている。

 

「はい、何でしょうか」

 

 そういえば、あの保険証でいいのだろうか……?

 取り敢えず、俺の保険証を差し出すが、どう見られてしまうのか……。

 

「ぇーっと……ぉれ、です……、分かってください……」

 

 稲沢さんは俺のことを適当な悪戯かと思っているような様子だ。

 これは、ちゃんと対応してくれるのだろうか?

 ただ単に、不安であった。

 

「いたずらは良くないですよ」

 

 やはり、いたずらと見られたようだった……。

 どうすれば、信じてもらえるだろうか……?

 

「本当……です……。信じて、ください。何を答えれば、信じてくれますか……?」

 

 だが、こうとしか言えなかった。

 全くの別の外見に変わってしまうとかいう経験をしたことなど無かったし、これでどうにか良い方向に行ってくれることを願うしかなかった。

 

「わかりました。そこまで言うのなら話は聞いてあげましょう」

 

 良かった。どうやら、話は聞いてくれるようだ。

 それだけでも有難い。これで今のこの女の子が志摩陽月であると証明されるなら、何だって答える。

 

「では質問です。貴方が中学生の時、好きだった女の子は?」

 

「えっ?」

 

 思わず、声が出てしまった。

 中学生の時は、恥ずかしくて告白もできなかった。

 まさか、こんな質問されるとは思わなかったのだ。

 だが、これで答えるのを躊躇ってしまったら、やっぱり悪戯だったのかと思われてしまうかもしれない。

 だから、正直に答えるしかなかった。

 

「……――――さんだよ」

 

「へー、そうなんですか、貴方にしては似合わない女性ですね、志摩さん?」

 

 ……は? 答えを知らないのにこの質問をしたのか……?

 というか、やっぱり答えたら、凄く恥ずかしかった。

 だが、この人。もう俺が志摩陽月であると信じているかのようだ。

 さらに、まるで弱みを握られたかのような感じも覚えた……。

 というか、最初から信じていたのか……?

 

「まあ、こんなもんでいいですよ。今の貴方の姿を見たときから貴方が志摩さんであるとはわかっていましたので」

 

 ……わかっていたのかよ!

 俺はまんまとハメられた、ってわけか。

 でも、何故今の女の子の姿を見て、俺だったわかったのか?

 

「それは、ね、内緒ですよ。それでは、幾つかの簡単な検査をしますのでこちらへどうぞ」

 

 しれっと心を読まれた……。

 取り敢えず、稲沢さんの後ろをついて奥に行く。

 靴がぶかぶかであることを忘れていて少し躓きかけたが、転ぶことはなく済んだ。

 早く靴は変えないといけないなと、熟(つくづく)思った。

 

「ではここに手を置いてください」

 

 その通りに何かの機械に手を置く。すると、ピーという検査が終わったような音がする。

 実際に終わったようで、稲沢さんにもう退けても大丈夫だと言われる。

 そして、少し待っていると、ドアが開いた。そこには、熊野さんが居た。

 

「稲沢さん、彼女が志摩くんかもしれないということですね」

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