20180321 改訂
彼らはモニターを見て、眉をゆがめている。
何か悪いことでもあったのだろうか。とても心配になってくる。
「志摩くん、指紋を取っただけなんですが貴方であると思ったほうが妥当ですかね。何とですね……一致していたんですよ」
指紋というのが一致する確率というのは、とんでもなく低いのに、それが一致したというのだ。
「戸籍や住民票とかそういうのはこちらが勝手にやっておきますが、最低限名前だけ決めておきましょう。何か成りたい名前とかありますかね?」
戸籍とか住民票が大事だと聞いたことがある。
日本の国民であるという証拠になるそういうような物が無いと、あらゆる生活の保護が受けれなくなる。だから、非常にありがたい。
といっても、名前とかは特に希望はないのだが、あまり変化がありすぎると少し嫌な気もする。
「わざわざありがとうございます。名前とかは変な名前で無ければいいです」
「ふむ、わかりました。じゃあ、稲沢さん、何か案とかありますかね?」
あ、稲沢さんに聞くのね。
まあ、それはそれで良かったのかもしれない。
とは言ってもまぁ、どんな名前になるのだろうか。
というか、なんでこんなにも対応できているのだろうか……。
戻りたいという気持ちがそれほどない。いや、内心ワクワクすらしていることに気づいた。
「えーっと、私はこのままでも良いと思いますよ?」
「……そ、それじゃあ夢が無いんじゃないか……?」
何故名前を変えないことが夢がないことになるんだ……。
だが、名前を変えなくても良いのかもしれない。
「じゃ、じゃあ"夢"でどうだい!?」
「熊野さん、それでは適当すぎますよ。やっぱり名前は変えなくてもいいと思いますが?」
「じゃ、じゃあ志摩くんに聞いてみよう!」
勿論、そのままの方が自分は良い。
「それだったら、変えない、で……」
変えなくてもいいのなら、変える必要は全く無いと思う。
というか、そもそもあまり人と会わないから変えても一々覚えなおすのが面倒なだけだろう。
「え、えー……。けど、志摩くん、今後どうしていくとかは決めてますかね?」
全く決まっていない。多分、何もしないと思う。
こんな俺を雇ってくれるところなんて無い。
「決まってないのならまた学校に行ったら良いと思いますよ」
「と、いうと……?」
「志摩くん、最近のことに対して全く関心を示してないですよね? だから、勉強のためにもJKと触れ合うのは大切なんじゃないのかと……」
「私もそれには賛成です。志摩さん、貴方、頭固すぎですよ? 一旦学校に通って頭をほぐしてきたらどうですか?」
こんなにも言われるなら学校に通うのもいいかもしれない。
家にいるくらいしかないんだったら、学校に通うべきだと思った。
「了解です。でも、入学の手続きとかは……?」
「大丈夫です。そこ辺りもサポートしますのでね。高校で大丈夫ですよね」
高校か、何十年前とかに行っていた。だが、ガラっと変わっているんだろうな。
世界は変わりすぎたのだ。
俺は、世界が変わりすぎるのは嫌だったのだがなぁ……。
「あれ……でも受験とか大丈夫かなぁ……。いや、大丈夫なはず!」
実際、そこは大切だ。俺らが15歳位だったときは、受験をして、合格した者のみが入学できた。
そして、その受験日が3月上旬だったような気がする。
今日はもう3月21日だ。
これ、入学できるのか……?
「熊野さん、志摩さん、ご存じないかもしれませんが、最近では受験というものは無くなって、機械によって入っても良い人材かを見極めてるんですよ」
「「本当!?」」
まさか、ここまで時代が変わっているとは思わなかった。
まあ、よくよく考えれば今の世の中において頭の良さはあまり関係ないのかもしれない。
「志摩くん、また連絡を入れるから、取り敢えず家で待っておいておくれ」
「わかりました」
そう返事をし、今日は帰ろうとしたのだが、しつこいようだが靴がぶかぶかなせいでとても歩きにくい。
通販サイトで買うことを決心したのだが、ここから家までは最低限歩かなければならない。
「今日はありがとうございました」
と、最後に挨拶などをし、病院を出た。
高校の受験が行われる時期は、地域によって違います。
私の住んでる地域、バレちゃう!?