そこに、俺の知っている町は無く、ただ無情に、俺を睨み付けるかのように佇んでいた。
大きい道路が目の前にはあり、そこにはエンジン音が全くしない見たこともない形の車が何台も何台も通っていく。そして、その道路の真上にもモノレールのようなものが通っていた。
白く清潔感のある建物や、機械が剥き出しのビル、歪な形をした高層ビル。多種多様な建物が沢山見える。
そして、他の人の中に歩いている人など全く居なかった。全員、バランスを取って移動するマシンのようなものに乗っているか、変な形の車に乗って移動していた。
皆、変な機械で移動している中、俺だけが歩きだったのだ。
そのような状況下で視線を集めないはずが無かったのだ。
奇異な目でこちらを見つめてくる無数とも言える人々。俺は恐怖を感じた。
さらに、美少女になってしまったせいで、今まで感じたことのなかった厭らしい目で見てくるのだ。
非常に行き辛い世の中になってしまったものだと感じる。
そんな目線にもじっと耐えながら歩いてきて、やっと区役所についた。
場所は同じ位置にあったのだが、区役所の外観が全く違っていたのだ。
とはいえ、無事区役所についた為、入ることにした。
自動ドアの前に立ち、ドアが開いた。中に入ったところで、熊野さんを見つけた。
「ああ、志摩くん、早速で悪いけど、こちらに来てくれ……」
そう言われ熊野さんについて行くと、面談室っぽいところに来た。
「それでは熊野さん、こちらがその志摩陽月さんなんですね? こちらも前例が無いので少し困ってるんですがね……」
ふぅむ、前例がないということは、TSしてしまうことについての研究はなされてないということでもあるのだ。俺としては特に戻る気はない。この姿になってからの方が、景色が色づいたような気さえするからだ。
いつの間にか熊野さんと区役所の人は俺には良く分からないような話をしている。
少し退屈だとも思いながら、ただ只管(ひたすら)待っていた。
「ええ、わかりました、手続きはこちらの方で済ませますので、はい、明日から完全に戸籍が作られますよ」
「ありがとうございます」
「いえいえ、志摩さんも女性になってしまって大変でしょうし、このくらいなら全然大丈夫ですよ、それでは今日はありがとうございました」
そのような会話が最後になって帰ることになった。
区役所の人が、この面談室のような所のドアを開けてどこかに行ってしまった。
ということで、俺らも面談室のような所を出て、外まで行くことにした。
その途中で熊野さんが話しかけてきた。
「ああ、志摩くん、すぐ近くの駐車場に車を停めてあるから、送ってあげようか?」
「おお、それはありがとうございます」
これは素直に嬉しい事である。街中で歩いていたときのあの視線は、本当に怖かった。
だが、車に乗り込めば、だいぶ軽減されると思う。非常に有難いことである。
外に出て、引き続き熊野さんについていって、駐車場へ向かった。
その駐車場には街中で見た、あの変な形をした車が何台も停まっていた。
熊野さんが、この車だ。と言った物も、他と同じように変な形をしていた。
「助手席でも後ろの席でもどちらでもいいけど後ろの席をお勧めするよ」
何故後ろの席の方がお勧めなのかというのは気になることだが、素直にお勧めされた方に乗り込んだ。熊野さんは勿論運転席だ。
そして、少し待っていると急に動き出した。
エンジン音が無いから、今から動き出すのか動き出さないのかがわからなかったのだろう。
とはいえ、車の運転もしないし、あまり車に乗る予定はからどうでもいいのだけれど。
数分間走ると、いつも俺が住んでいる町に戻っていた。
自分の家の前につき車が停まったところで、熊野さんに感謝を言う。
「送ってくれてありがとうございます、それでは、また」
「いやいや、感謝されるほどのことじゃあないよ」
車を降りようとした時、熊野さんに引き止められる。
「ああ、ちょっと待って、これ、服が無いようだったから、受け取ってくれ。あ、変な物は入ってないから……ね?」
と言われ、箱を受け取った。
安心できるものではないが、有難く受け取っておこう。
今着てる服よりはましであって欲しいとは思うけど……な。
「じゃあ志摩くん、また困ったことがあったら連絡でも入れてくれな」
「はい、それでは」
そんな会話をした後、俺は家の中に戻った。
まだここからは完成していないので、一旦ここで更新は止まります。
誤字脱字衍字があったら報告してくれれば有難いです。
他サイトに投稿する予定なのですが、投稿するまでに内容が変更される場合があります。
まあこれは差し詰め仮投稿と言ったところでしょうね。