ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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どうしてウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツが一瞬で覚えられて、世界史の単語がいつまで経っても覚えられないのが不思議でならない。
日本史なら二、三回書き取りすれば覚えられるんですけどね。不思議。カタカナに弱いのかもしれない。

本編どうぞ。


百二話 変わりゆくもの

 

 

 

「・・・どうだったんすか? 無水の奴」

 

「・・・命に別状はないみたいだけど・・・・・・、衰弱しきってるみたいね」

 

 翌日の昼下がり。

 他のAqoursメンバーが部室に戻って行った練習終わりの浦の星女学院の屋上で、難しい顔を突き合わせる陸と鞠莉。

 

『・・・結局、オビコは何がしてぇんだよ』

 

 陸達が把握してる範囲内でオビコの行動を纏めると、人間を謎の黒い塊と共に攫い、すぐに返していることぐらい。

 攫われた人間が何をされたかは不明だ。ただ、皆一様に衰弱しきってしまっているという。

 

「・・・・・・ねえりくっち。昨日オビコにこの村が好きかって聞かれて、私それに答えたでしょ?」

 

「・・・はい」

 

「・・・花丸から聞いた言い伝えに習えば、呼びかけに答えたんだから襲われるはず。・・・でも、あの時オビコは何もしてこなかった」

 

 確かにそこは気になっていたところだ。

 鞠莉の答えを受けた時、オビコはどこか悲しげだった彼女に同情するかのような態度を見せた。

 あの時までのふざけた態度など、元からなかったかのように。

 

「・・・何と言うか、単純に嫌がらせとか、恐怖を与えたいとか、そんな理由じゃない気がするの」

 

「・・・・・・と言うと?」

 

「・・・何と言うかね。あの時見たオビコ・・・・・・すっごく寂しそうだった」

 

「寂しい?」

 

 なんというか、妖怪らしくない気がする。

 だが逆にあの時オビコが引き下がったのは、鞠莉の抱えていた哀惜に、自身の感情を重ねたから、と取ることも出来る。

 

「でも、だとしたら何に?」

 

「分からない。・・・・・・けど、調べてみたら何か分かるかも。・・・なんか放っておけないし」

 

 シンパシーを感じたのはオビコだけでなく、鞠莉もまたそう。

 似たような感情を抱く者同士、もしかしたら分かり合えるのかもしれない。そんな淡い期待が陸の中で生まれた。

 

「・・・そっすね。あれでも元神様みたいだし。倒しちまうのも忍びな―――」

 

「陸先輩! 鞠莉ちゃん!」

 

 同意したところで突如介入した第三者の声に遮られる。

 首を声の方に向けて確認してみれば、そこにいたのは先程部室に向かって行ったはずの花丸だった。

 

「・・・どうしたの?」

 

 何やら慌てた様子の彼女を不思議に思ったのか、鞠莉が寄せる。

 

「・・・オビコが・・・」

 

「・・・え?」

 

 荒い呼吸交じりに、今まさに自分達の話題に出ていた存在の名前が挙がる。

 

 

「・・・・・・オビコが、町に出たずら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひょほほ・・・・・・♪」

 

「ぐっ・・・・・・!」

 

 浦女から飛び出して早数時間。

 花丸の報せ通りオビコは内浦の町中に出現し、陸達とハチャメチャな鬼ごっこを繰り広げていた。

 

「じゃあの~♪」

 

「あっ! おい待て!」

 

 陸が走る速度を上げるも、オビコはひらひらと手を振りながら民家の作った影の中に消えていってしまう。

 

「・・・くそ・・・! またか・・・」

 

 神出鬼没に出現する奴を見つけ出すのは至難の業。

 それに加え、例え見つけ出しても闇から闇へ移動する能力によってすぐに逃げられてしまうのだ。

 日は徐々に傾き始めている。いつまでこの果てしない鬼ごっこを続ければいいのだろうか。

 

『マジで何が目的なんだアイツは・・・・・・』

 

 こんな事をしているのは何か訳があるのだろうと奴を追い続けているのだが、まずその尻尾を掴むことが出来ないので何も始まらない。

 

「梨子。他はどうだって?」

 

「・・・こっちと同じみたい。見つけても、すぐ逃げられちゃうって」

 

 今陸とAqoursメンバーは三手に分かれてオビコを探していた。

 千歌、曜、ルビィの三人にグレンファイヤーを加えた一陣。ダイヤ、果南、花丸、ミラーナイトの二陣。そして陸、鞠莉、梨子、善子の三陣だ。

 

「・・・つーか、俺が個人的にやってる事だから別に梨子達が手伝う義理はないぞ? あぶねーかもしれないのに」

 

「ううん。陸君はいつも私達の力になってくれてるし、こんな時くらい手伝わせてよ」

 

 そう言って梨子は一片の曇りもなく微笑んでくれる。

 人外の力を持つグレン達に比べれば彼女達の力など微々たるものだろうが、それでもやはりそう言ってもらえるのは嬉しい。

 

「ほらそこー。いい感じの雰囲気になってないで行くよー」

 

「早くしないと日が暮れるわよ」

 

 からかうような鞠莉と、妙にむすっとした善子の声で、再びオビコの追跡を再開する。

 

「それにしても、変だね」

 

「・・・ですね」

 

 花丸やダイヤの話によると、オビコは闇に生きる存在故に明るい光に弱いらしい。

 そんなオビコが、苦手とする明るい時間帯でまで活動しているのはやはり引っ掛かる。

 

「何か伝えたい事でもあるのかな?」

 

「・・・だとしたら何を・・・」

 

 人間を攫っては返し、町中に出現して人々を混乱させている。

 現時点では、内浦の人間に自身に対する恐怖感を植え付けようとしてるとしか思えない。

 

「案外、目立ちたいだけだったりしてね」

 

「お前じゃねーんだから」

 

「どーいう意味よ!」

 

 突っかかってくる善子を抑えながら、陸は思考を巡らせる。

 何故内浦という狭い地域にのみ限定して出現するのか、何故襲った人々をすぐに返すのか。・・・どうして古くからこの地域に伝わる妖怪が、今になって行動を起こしたのか。

 これらから何かを導き出せるはずなのだ。

 

「・・・もしかして・・・」

 

 ふと、鞠莉が何かを弾き出したかのように顔を上げた。

 

「何か分かったの?」

 

 問いかけてきた梨子に対し、こくりと頷く。

 

「・・・・・・まだ概算に過ぎないけど、多分合ってる。一回、皆で集まろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後。鞠莉の言葉に従い、昨日無水が倒れていたお寺に全員集合。

 

「それで? 何が分かったんですの?」

 

「・・・うん。実は、今までオビコに襲われた人の事、ちょっと調べてみたんだ」

 

「調べたって・・・・・・え? 一体どうやって・・・・・・」

 

「それは・・・・・・知らない方がいいと思う」

 

 当人も触れて欲しくなさそうなので小原家の闇は置いておき、本題に移る。

 

「・・・オビコが襲った人達、建設業だったり観光業だったり、皆何かしら開発に関わってる人達だったの」

 

 そういえば無水はリゾート開発グループのオーナだった。クズさと下衆さに照点が行き過ぎて完全に忘れていたが。

 

「でも、なんでそんな人たちがここに?」

 

「・・・ほら、ここ最近観光客が減ってるし、役所の観光課もちょっと焦ってるのよ」

 

「あぁ~・・・。そういえばうちも昔と比べてお客さん減ってるって愚痴ってたな~・・・・・・」

 

 うんうんと頷く千歌。

 過疎化が進むここ内浦では、観光客や住民の減少が年々問題になっている。

 浦女の廃校も、一概にはそれと関係がないとは言い切れないのだ。

 

「・・・それがオビコと何の関係が?」

 

「・・・・・・もしかしたら、オビコはこの町が好きなんじゃないかなって」

 

「・・・はい?」

 

 予想の斜め上を行く彼女の推測に思わず声を出してしまう。

 オビコがこれまでやってきた事を考えれば、むしろ逆だと思っていたのだが。

 

「どうしてそう思ったずら?」

 

「これは私とりくっちしか知らない事だけど、オビコは人を襲う前にこの村が好きかって聞いてくるの」

 

「それが何と関係があるの?」

 

 首を傾けた曜に、ゆっくりと確証を含ませて鞠莉は頷く。

 

「多分ね、オビコはどこかで内浦が開発されるかもって言う噂を聞いちゃって、それでこの町が開発されるのが嫌で、自分が騒ぎを起こしてそれを防ごうとしてるんだと思う」

 

 建築も観光も、ここ内浦の地を変える事に繋がる。

 それに携わっていた人達に加え、極めつけは内浦をリゾートに改造しようとしていた無水。

 確かに陸達よりずっと昔からこの地を知っていて、ここが大好きなオビコならば多少強引な行動に出ても不思議ではないだろう。

 

『・・・なるほど。それなら確かに辻褄が合うな』

 

 オビコが鞠莉に。そして鞠莉がオビコに抱いた親近感の正体はこれだったらしい。

 鞠莉なら浦の星女学院女学院。オビコならこの内浦という自分の愛した場所。

 失うのが怖くて、零れ落ちていくのが怖くて。

 だから、守り抜くために行動を起こした。

 

「・・・・・・なんか、それ聞いちゃうと、ちょっと可哀想に思えてくるね・・・・・・」

 

「・・・でも、こんな手荒な真似に出るこたぁなかったよな」

 

「うん。だからここに皆を呼んだの。オビコの場所を突き止めて、ちゃんと話をするために」

 

 そう言った後、自身の寄りかかっていた石造りの井戸に手を掛ける鞠莉。

 

「オビコの鍋の中に飲み込まれた無水は、ここに倒れてたでしょ? あの鍋の中はこの井戸に繋がってると思うの」

 

 まだよく分かっていなさそうな面々に、続けて説明を加える。

 

「闇から闇へ。鍋の中が井戸に繋がってるって事は・・・・・・」

 

「っ! この井戸も鍋の中に繋がってる・・・!」

 

 つまりこの井戸の中に何かを放り込めば、それはオビコの持つ鍋の中から出てくるという事。

 何か目印になるようなものを放り込めば、オビコの場所が特定できる。

 

『なるほどな・・・・・グレン!』

 

「おうよ! まかせ――――――」

 

「その必要はないぞ」

 

 グレンが井戸の奥目掛けて炎を放出しようとした時、森の闇の中から声が飛んできた。

 

「・・・オビコか?」

 

 だがその声は木々で反響しており、どの位置から発せられたものなのかが分からない。

 

『どこだ! どこにいやがる!』

 

「隠れてねーで出て来やがれ!」

 

 そんなヤンキー二人に答え、オビコが現れた場所は―――、

 

「くひひ・・・・・・♪ ここじゃここ」

 

「「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――っ⁉」」

 

 よりにもよって果南とルビィの背後。しかも二人の方に手を乗せながら。

 

「「あひゅぅ・・・・・・」」

 

「ちょ・・・! 二人共大丈夫ですか⁉」

 

 元々怖がりな上に、状況もあって普段より神経質になっていた二人だ。

 耳を劈く悲鳴を上げた後にふらりと力なく倒れ込み、ギリギリで抱き留めたミラーナイトの腕の中で目を回していた。

 

「お嬢ちゃん、よく分かったのう」

 

 オビコは自身が気絶させた二人には目もくれず、自身の目的を看破した鞠莉を興味深そうに見つめていた。

 

「・・・けど、ちょこーっと違うぞ。ワシ等のやりたかったこととは」

 

「・・・それは何?」

 

 対話を望む鞠莉は、彼の想いをきちんと理解しようとそう問いかける。

 

「・・・その必要はないさ。もうワシ等が、そうする必要もなくなったからのう」

 

 だがオビコは、何故か満足気に答える事を否定した。

 

「見てみい。あれを!」

 

 腕を広げてオビコが見下ろしたのは、森が切り開けた場所から見える灯りが消えた内浦の町だった。

 オビコの噂はすっかり広まってしまい、彼を恐れた人々がその怒りに触れないよう、灯りを消して町を暗闇で包んだのだ。

 

「村が・・・・・・戻ってきたんじゃぁ‼」

 

 喜色満面で、陸達にそう笑いかけてくるオビコ。

 

「は・・・・・・?」

 

 当然だが、あれは昔の内浦の村ではない。オビコが見ているのは村に恋い焦がれた彼が見た幻に過ぎない。

 陸達の目には、ただの真っ暗な内浦の町が映るだけだ。

 

「・・・・・・」

 

 オビコの真意を悟ったらしい面々が、痛ましい表情を浮かべて視線を落とす。

 彼の心は、もう存在し得ない昔の村に囚われ続けているのだ。

 別に村を取り戻そうと行動していた訳じゃない。けれど、自身の居場所がいつ開発されるやも分からないこの状況で見たかつての村を彷彿とさせる光景が、そうさせているだけ。

 

「あそこには綺麗な小川が流れていてな―――」

 

「違うわ」

 

 嬉々としながらかつての村の様子を語るオビコを、鞠莉は静かに制した。

 

「・・・あれは・・・もう村じゃないの」

 

 優しさと悲しさの混じった、重い重い声音。

 オビコはまだ前に進めていないのだ。守りたかった学校を失っても、仲間の声で前に進めたAqoursとは違って。

 だから鞠莉は自身が厳しい言葉をぶつけ、オビコを村の呪縛から解き放ってあげようとしているように見えた。

 

「・・・・・」

 

 その言葉を受けたオビコは弁を止め、ゆっくりと鞠莉に視線を戻した。

 

「・・・大丈夫。きっと、あなたも前に進めるから。だから、今は現実を受け止めて・・・・・・」

 

 そっと手を伸ばし、穏やかに語らい、そして微笑む。

 彼女も彼も同じ。思いを馳せた大切なものにいなくなられたものだから。

 だから、自分も立ち直れたから、きっとオビコも立ち直れるよと、鞠莉はそう言っている。

 

「・・・・・・」

 

 オビコの身体が小刻みに震えだす。

 

「あれが・・・あれが昔の村でないのなら・・・・・・!」

 

 その身を闇で包み込み始め、怒りで染まり上がった表情を真っ暗な町に向ける。

 

「村でないのなら・・・・・・! この手で・・・・・・叩き潰してくれる‼」

 

 怒号と共に巨大化したオビコは、もう人間の姿をしないなかった。

 人型であることは変わりないのだが、鎧を纏い、身体はそれこそ妖怪そのものへと変貌していた。

 

『・・・・・・』

 

 村はもうないと言い切った鞠莉を一瞥した後、壊してやると宣言した町目掛けて歩み始めるオビコ。

 

「あんの馬鹿・・・・・・」

 

多少はオビコにも同情はするが、破壊活動に出るならば指を咥えて見ているという訳にもいくまい。

陸はグレンとミラーナイトにAqoursメンバーの事を頼むと、ブレスから取り出したゼロアイを自身の目元に装着した。

 

 

「『シェアァ‼」』

 

 

 




ちょっと今回の話はティガ本編を見てないと分かりにくいかもしれないです。
今はもうない村に寄せる思いが、オビコをこうさせている、って感じですかね。日本語下手でごめんなさい。

あと、ここでお知らせなのですが、自分ちょっと定期テストが迫っていてですね。勉強しないといけないので一週間更新を停止します。いつもこの小説を読んでくださっている方々には申し訳ございません。

それでは次回で!
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