ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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どうも皆さんお久しぶり。一週間小説書けないだけで軽く禁断症状起こしてたがじゃまるです。

どうやら回遊魚が常に泳いでいないと死ぬように、自分も定期的に創作欲を発散しないとどうにかなっちゃう病気みたいですわ。

そんな俺が一応一週間前に書き上げておいた百三話。どうぞ。


百三話 追憶の星空

 

 

 

『おいコラテメェ! 馬鹿なことしてないで止まりやがれ‼』

 

 夜空を照らした閃光の中からゼロが飛び出し、その巨体を灯りの消えた町に向かって進行させていたオビコを取り押さえる。

 

『――――――ッ!』

 

『うおぉぉ⁉』

 

 笛の音のような声と一緒に火炎が放射され、ゼロを炙る。

 こうも接近していると回避しづらいが、かといって距離を取り、町に向かわせる訳にも行かないので奴の前に立ち塞がる事は止めない。

 

「今のお前がやってる事はただの八つ当たりなんだぞ! 元々神様だってんなら、やっていい事と悪いことぐらいの分別ぐらいつけやがれ!」

 

『うるさい! うるさいうるさい‼』

 

 忘れる事の出来ないかつての村に縋るオビコは、陸の説得も聞かずに駄々をこねるようにゼロへの攻撃を浴びせかける。

 

『お前達に何が分かる! 失う悲しみが! 居場所がなくなる恐ろしさが‼』

 

 現実に対する怒りと悲しみが、吐き出された炎となって襲いかかってくる。

 

『ぐっ・・・! ちったぁ落ち着けこの野郎‼』

 

 感情の火を受け切ったゼロが地面を蹴り飛ばして跳躍し、ルナミラクルゼロへと姿を変えた。

 

『フルムーンウェーブ』

 

 落ち着いた声音に乗って突き出された掌から伸びた泡のような光が、優しくオビコを包み込んでいく。

 ゼロも、陸も、Aqoursメンバーも、誰もオビコを倒そうとは思っていない。だからこそ今はこうして落ち着かせるようとしているのだが―――、

 

『――――――ッ‼』

 

『何ッ⁉』

 

 光の中から突き出てきた拳が腹部を捉える。

 感情の抑制作用のあるこの光線を受けても、高ぶったオビコの感情を抑えることは出来なかったのだ。

 

『正しい事をしているだなんて思ってはいない! だが、こうでもしていないとやっていられないんだ‼』

 

 押し寄せる猛攻をゼロディフェンダーで凌ぐ。

 その攻撃の一つ一つからはオビコが今日の暴挙に至るまでに募った感情が秘められており、威力こそないが気持ちで押されていく。

 

『こんの・・・分からず屋が‼』

 

 爆炎が吹き荒ぶ。

 激昂を上げたストロングコロナゼロが、闇夜に光る鎧ごと夜鳴き妖怪の巨体を派手に殴り飛ばした。

 

『お前はただワガママを言っているだけだ! そんなモンからは何も生まれねーんだよ‼』

 

 当たり散らしに破壊活動をしたところで、その後に残るのは虚しさだけ。

 その事を伝えようとしても、聞く耳を持たないオビコは起き上がり様に火炎を吹く。

 

『ガルネイトバスタァァァァァァァ‼』

 

 だがそれは一瞬にして掻き消され、逆にゼロの放った爆炎が頬を翳めて駆け抜けた。

 踏んでいる場数の数が天と地ほどの差がある。戦闘力では圧倒的にゼロの方が上だ。

 

『――――ッ!』

 

 その事を理解しつつもオビコは止まらない。ブレーキの壊れた暴走列車のように、その身一つでゼロへと突進を仕掛けた。

 

『ちいっ・・・!』

 

 奴の心情を慮うゼロは積極的には攻撃を加えない。

 それを知ってか知らずか、どちらにしろ止まらないであろうオビコはそんなゼロへ攻撃を加え続ける。

 

『失うことを知らないお前等に分かるか! いつ消えゆくのかも分からぬ希望に縋る者の矜持など‼』

 

 

「――――――分かるわ‼」

 

 

 唐突に割り込んだ第三者の声がオビコを制止させる。

 その方を見やれば、ずっとオビコに自身に近しいものを感じていた鞠莉が悲し気に黒い妖怪を見上げている。

 

「聞いて。私達にも、守りたい場所があったの。そこにいる皆がそこが大好きで、ずっと残していきたいって、そう思ってた!」

 

 そうして始まった鞠莉の語らいに、オビコは初めて耳を傾けた。

 何度だって言うが、きっとオビコも彼女にシンパシーを抱いていただろうから。

 だから、今こうすることが出来るのは鞠莉しかいない。

 

「でもね、私達はその場所を守れなかった。何度も何度も足掻いて、精一杯努力したのに・・・・・」

 

『・・・・・・鞠莉・・・』

 

「・・・・・・守りたかった場所・・・」

 

 鞠莉が言っている守りたかった場所というのは、もしかしなくても浦の星女学院だろう。

 悲し気にその事を語る彼女の姿からは、彼女なりの自責や呵責が感じ取れた。

 

「・・・一度は何もかも投げ出そうかとも考えたわ。もう頑張る意味もないって、投げやりになってた。でもね、それでも支えてくれた、勇気をくれた仲間がいたから、私は今もこうして前を向けてる」

 

 ヒカルやショウ。浦の星女学院の皆などの支えてくれる仲間がいた鞠莉、孤独に苦しみ続けたオビコ。二人の決定的な違いはこれだ。

 支えられる心強さを知っているから、鞠莉は自らその支えになろうとしている。

 

「だから。きっとあなたも前を向ける。立ち上がれるから――――――」

 

『・・・・・・・・・』

 

 鞠莉の弁の途中ですっとオビコは立ち上がり、身体をゼロの方に向けた。

 

『ッ―――――――‼』

 

 そして、再度町目掛けて突進を再開したのだ。

 

『チッ・・・!』

 

 両腕を盾に防御姿勢を取りつつも、絶対に反撃はしないゼロ。

 八つ当たりするいじけた子供のような攻撃をするオビコの目からは、現実から目を背けきれずに流した涙が零れ落ちていく。

 感情のやり場がなくて、何もかもがぐちゃぐちゃになっているのだろう。

 

「町を壊しても駄目なの・・・・・・もう村は・・・・・・戻ってこないの‼」

 

『ッ・・・・・・!』

 

 鞠莉の悲痛な叫びを受け、ハッキリと現実を突き付けられたオビコは遂に腕を振り上げたまま固まってしまう。

 

『・・・・・・』

 

 ゆっくりと頭を上げ、通常形態に戻ったゼロの背後にある町を改めて見つめる。

 無言のまま、じっくりと、これまでの時間を噛み締めるように町を見るその瞳からは、真実を悟ったような色が伺えた。

 

『・・・・・・そうか・・・・・・』

 

 幾分も落ち着いた声で、遂に諦めたのか掲げていた拳を下し、

 

『ッ・・・・・・! ッ―――――――‼』

 

 低い唸り声をあげ、口元に溢れんばかりの炎を溜め込みだしたのだ。

 

『ぐっ・・・! エメリウムスラッシュ‼』

 

 そして、反射的にゼロが光線を放ったのを確認してから、口に溜まった炎を掻き消し、

 

『ッ⁉』

 

「なぁっ・・・⁉」

 

 エメリウムスラッシュを、自身の胸元に直撃させた。

 

『ッ・・・・・・・・・』

 

『お・・・オイ!』

 

 盛大に火花を散らして真後ろに倒れ込んだオビコを抱き上げるゼロ。

 多彩な能力があるオビコとは言え、数多くの敵を葬ってきたゼロの光線を受けて無事で済むわけがない。

 

『お前・・・・・・わざと・・・・・・』

 

 ゼロの腕の中で、オビコは虚ろな瞳で天を仰いだ。

 唯一、昔と変わらぬこの夜空。

 諦めきれずに胸に秘めた想いを、この夜空へと馳せるように。

 オビコは、ゆっくりとその瞳を閉じた。

 

『・・・・・・っ・・・・・・!』

 

 彼の絶命を見取った後、ゼロは自身の能力を駆使してオビコの身体を光の粒子へと変換させていく。

 

『・・・・・・・・・達者でな・・・』

 

 やがて全身が光となったオビコは、蛍のように舞い踊りながら、内浦の夜空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビビり過ぎて気絶した果南を背負いながら、オビコを祀っていた寺のある山を下る。

 

「・・・・・・結局、救ってあげられませんでしたね」

 

「・・・そうだね・・・・・・」

 

 オビコが倒された事に喜ぶ者は誰一人としていなかった。

 鞠莉だけじゃない。学校を守ろうと奮闘したAqoursメンバーもまた、オビコに近しい感情を抱いていたから。

 

『・・・・・・悪い。まさか自害しようとするとは思ってなかった。・・・・・・予測を怠った俺のせいだ』

 

「・・・ゼロちゃんは悪くないよ」

 

「Yes.多分ゼロがやらなくても、オビコはあの道を選んでいたと思うわ」

 

 オビコは当の昔に、失ったものにしか心を添わせて生きていけない者になっていた。

 目を背け続けていた現実を突き付けられた以上、こちらが手を下さずとも自ら命を絶ったであろう。

 

「・・・でも私は、一人のまま死なせるような事にならないで良かったと思ってる。誰にも覚えてもらえずにいなくなっちゃうなんて、そんなの悲しいし」

 

 皆が顔を曇らせる中、一人そう呟く鞠莉。

 

「私ね、思ったの。ひょっとして、オビコが町の人々を怖がらせたのは、自分の事を覚えていて欲しかったからなのかもって・・・・・・」

 

 あの時オビコが鞠莉に言いかけた真実。

 やがて消えゆき、歴史の澱となるやもしれん自分の事を、せめてここに住まう人々の記憶に留めておいて欲しいという願い。

 

「アイツが昔の内浦をずっと覚えていたみたいに・・・・・・ですか?」

 

「うん・・・私達が、学校の名前をずっと憶えていて欲しいって思ったみたいに・・・・・・ね」

 

 そんな言葉を交わす陸達が見上げた夜空には、オビコが愛した暗闇の中に、点々と星々が瞬いているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。練習時間を終えた沼津のスタジオ。

 

「え? アイツ今度はダイヤのとこに来たの?」

 

「ええ。どうやら今度は黒澤家の方に目を付けたらしいですわ」

 

 喜んでいいのか分からないが復活したらしい無水は、元網元の家である黒澤家に縁談を持ち込みに行ったらしい。

 あんな事があったというのによくもまあ。その立ち直りの速さだけは認めなくもないが。

 

「うゅ・・・、いきなり来たからルビィもびっくりしちゃった」

 

「それで? どうしたのよ?」

 

「即刻追い返しました・・・・・と言いたいところですが、生憎全く引き下がろうとしなかったので手を打たせて頂きました」

 

「・・・え? 何したの・・・?」

 

 ちょっと怯えた視線がダイヤに集まる。大方黒澤家の裏の顔を駆使して闇に葬ったとか思っているのだろう。

 

「大したことはしていませんわ。ただ鞠莉さんと陸さんを召喚しただけです」

 

「・・・あの人に対しては効果覿面だね・・・・・・」

 

「りくっちを見た時のアイツの顔・・・・・・今思い出しても笑えてくるわ・・・!」

 

 いきなりダイヤに呼び出されて黒澤家に向かってみれば無水がいたのだ。陸も驚かなかったといったら嘘になる。

 

「それでなんかあの手この手を尽くしてりくっちを潰そうとしてたから―」

 

「少し小原家と黒澤家の力をちらつかせたら尻尾を巻いて逃げていきましたわ」

 

「・・・・・・俺アンタ等が一番怖い気がするんですけど・・・・・・」

 

 笑顔でとんでもない事を言ってのける二人だ。

 それにしてもこの地域で逆らってはいけない二大巨頭の跡継ぎ娘が揃っているAqoursとは一体何なのだろうか。

 まあ、何だかんだそれで助かった身なので何も言えないが。

 

「これで全部解決ね。パパにもあんまり見合い話を持ち込まないようにしてもらわないと」

 

「・・・またあんなの相手に恋人役やるのは御免ですからね」

 

 無水一人でも胃がキリキリしていたのだ。多分これ以上はストレスで身体が持たない。

 

「りくっち。今回は本当にありがとね」

 

 そんな陸を労うように眩しい笑みを向けてくる鞠莉。まあ、もしかしたらこの笑みが失われていたのかもしれないし、逝ったオビコの愛した内浦すらも危うかったので、無駄だったというつもりはないが。

 

「あっ、そうだ。報酬のこと忘れてた~♪」

 

「え? あ、いや、別にいらないって言った・・・・・・」

 

「遠慮しなくていいよ。金目のものでもないしね」

 

 陸自身本当にお礼の品など受け取るつもりはなかったのだが、これは承諾しないと終わりそうにない雰囲気だ。

 鞠莉もこう言っているし、陸も嬉しくない訳じゃないのでここは素直に受け取っておこう。

 

「それじゃ、目瞑って♪」

 

「・・・? こうっすか?」

 

 言われた通りに瞼を閉じる。

 テレビなどでよく見る感じのやつだが、鞠莉の場合何をしてくるか分からないといった恐怖がある。

 

「・・・あの、鞠莉さん? 一体何を――――――」

 

 少し不安になった陸が恐る恐る訪ねたその時、何かが顔に近づく気配と共に甘い芳香が鼻腔を擽る。

 そして、

 

 

 ――――――頬に柔らかく、温かい感触を覚えた。

 

 

「・・・・・・・・・ほぇ・・・?」

 

 間抜けた声が口から漏れ、無意識に瞼を開ける。

 その瞬間視界に飛び込んだのは驚愕の表情で固まるAqoursメンバーと、その視線が向けられている鞠莉。

 色白の頬に赤みを差した彼女は、少し後退した後その場でくるりとターンし、銃を撃つように伸ばした人差し指をこちらに向け、

 

「ロック・・・・・・オーン!」

 

 架空の銃弾が陸目掛けて撃ち出される。

 

「ふふっ・・・」

 

 もう一度踵を返すと、鞠莉はそのままスタジオの外へと走り去って行く。

 残ったのは突然の事に理解が追い付いていない陸とその他の少女達。

 

「っ・・・! まあぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃ‼」

 

 水を打ったかのように静まり返っていた室内は、赤面しながら鞠莉を追って飛び出して行った果南によって再び騒々しくなる。

 彼女が動いた事によって、皆の硬直が解けてしまったからだ。

 

「え? えぇ⁉」

 

「い、いい今のって・・・・・キ・・・・・」

 

「先輩! 手当たり次第に女の子落とし回すのもいい加減にするずら!」

 

「なんで俺が怒られんのっ⁉」

 

『・・・・・・こりゃあ、またブラックホールが吹き荒れそうだな・・・・・・』

 

 混乱気味の少女達にもみくちゃにされる陸の体内で、ゼロは新たな嵐の予感を感じ取るのだった。

 

 

 

 




うん。やっぱり鞠莉さんはこういう大胆な方が似合う。爆弾娘のマリーさんの投入によって他の子達がどう動くのやら~。

オビコはティガ本編通りにするかどうか悩んだんですけど、多分生かしたところで終盤に56してた自信があった(軽いネタバレ)のでティガに習いました。

次回からは尊さとエモさでドキがムネムネな北海道編に入っていきますよーっと。
まあただ、俺が書く時点で尊さなんて塵に等しくなりますがご了承ください♡


それでは次回で! 新たな物語が、起動する。
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