でも高校と塾の授業中は眠れる不思議・・・・・・。
『・・・・・・ホッカイドー? どこなんだよそりゃ』
『地球・・・・・・日本のとある地域の呼び名ですよ』
宇宙船の中で向き合うメフィラス星人魔導のスライと、グローザ星系人氷結のグロッケン。
『ふーん・・・・・・。で? そこに行って何すりゃいいんだ?』
『ええ。実は久方ぶりにあるものの反応が観測されましてね。ゼロの手に渡る前に保持者を見つけ出し・・・・・・あとは言わずとも分かるでしょう?』
その答えは捕獲、最悪の場合は抹殺。過去それを所持する自分達が何度も試みた事だ。
『北海道は寒冷な地帯です。貴方に持ってこいな舞台ではありませんか?』
『ケケ・・・・・・なるほどなァ・・・』
ようやく自身の出番が来たと分かった途端に剣呑な光を紅い双眸に宿す。
『んじゃ、ちょっくらデスローグの奴でも連れて行ってくるとするかな・・・・・・』
両腕に備わった鋭利な刃を鈍色に煌かせるグロッケンの姿からは、見る者全てを凍てつかせる絶対零度の冷気が溢れ出ていた。
同じ頃。北海道の函館にて。
「「「「「「「「「ウルトラマンエックス?」」」」」」」」」
千歌の携帯端末に視線を集中させ、声を揃えるAqours一行。
『ああ。言った通り、ゼロに頼まれてここに来た』
携帯の中からこちらに声を向けてくる謎の存在―――ウルトラマンエックス。
スピーカー越し故に電子的なエコーが掛かった低い声と、サイバー感を醸すシルエット。
今まで目にしてきた他の戦士達と差異はあるが、その姿は紛れもなくウルトラマンだった。
『君達がこっちにいる間は私が傍にいる・・・・・・事になっているらしい。ゼロによるとな。といっても、私もさっき聞いたばかりでよく分からないんだが・・・・・・まあ、よろしく頼む』
「は・・・、はぁ・・・」
どうやらよく分からないまま押し付けられたクチらしい。
まあ、出発前にゼロも助っ人をよこすとは言っていたし、信頼しても大丈夫だろう。
『とりあえず、君達と共に居る間はこのデバイスの中に居させてもらおう』
「・・・ていうか、どうやって入ってるの? それ・・・」
エックスの声はスピーカー、姿は電子画面に表示されている。どこかから電話してきているという訳でもなさそうなので、言葉の通り形態の中に入っているのだろう。一体どういう仕組みなんだか。
『ん? ああ、私は身体をデータ化する事が出来るんだ。デバイス同士が接続されているなら、こうして・・・・・・』
そう言うと、突然千歌の携帯からエックスの姿が消える。
「え? あれ?」
『こっちだ』
次に声がしたのは梨子のポケット。その中にある彼女の携帯端末だ。
取り出してみると、やはり画面にはエックスの姿が映し出されていた。
『とまあこの通り、デバイス同士を移動することも出来る』
「おぉ~・・・」
「未来ずら~・・・」
「いや・・・それはちょっと違くない?」
何はともあれ、エックスの摩訶不思議な能力によってすぐにAqoursと馴染むことが出来たようだ。
その後も未知のウルトラマン相手に問答を繰り返しながら、千歌達は目的地へと向かって行ったのであった。
携帯のデータを読み込んだエックスのナビゲートで無事目的地に辿り着いた一行。
「うわぁ・・・! やっと着いたぁ!」
「凄い人だね・・・」
流石は空前絶後の任期を誇るラブライブだ。
地方の予選とは言え、多くの人で溢れかえっている。
「あ、Saint Snowさんだ」
「さっすが優勝候補だね」
『・・・・・・あー、おい千歌。さっきから言ってるそのスクールアイドルとかラブライブとやらは一体何なんだ?』
巨大な看板モニターに映し出されたライバルチームに反応する千歌と梨子。そしていまいち現在の状況が分かっていないエックス。
ちなみに視界が内臓カメラに限られている為、携帯を手で持っていないと周りが見えないらしい。
「陸ちゃんとゼロちゃんから聞いてないの?」
『いいやなにも。それに私達の世界にもそんな文化はなかったからな』
「へー・・・、そんな世界あるんだ・・・」
『この世界特有の文化だと思うぞ。・・・まあ、とりあえず教えてくれ。気になる』
「ああうう。スクールアイドルっていうのはね――――――」
先程散々質問攻めされたので、今度はエックスが質問する番らしい。
千歌達としてもスクールアイドルの素晴らしさが伝わるなら渋る必要もないだろうと、持てる表現力の全てを尽くして解説する。
『ふむ、なるほど。大体理解した』
未だ完全理解には及ばないゼロと違って遥かに話の呑み込みが早くて助かった。掛かった時間ものの数分。
「・・・ていうか、今の千歌ちゃんの説明で分かったの?」
『あんなキラキラとかワクワクだとか擬音だらけの表現で分かる訳ないだろう? ネットに潜り込んで情報を読み取ったんだ』
「割と物言いは容赦ないんだね・・・・・・」
下手な解説で偏差値の低さを露呈した千歌を尻目に、自身の入った端末を看板モニターの方に向けさせるエックス。
『彼女達の情報もあったぞ。Saint Snow 北海道のスクールアイドルで、今大会優勝候補の一角。前回大会でも上位に食い込んだらしいな。すこしパフォーマンスの映像も覗いてみたが見事だった』
「・・・いつの間にそこまで・・・」
あまりの手の周りの速さに驚くと共に、ネットを利用して情報を獲るというところには親近感を覚える。
何と言うか、どことなく人間臭いウルトラマンだ。
「ふっ・・・ならばこの目で、この地の覇者とならんのを確かめてやろうじゃない・・・」
『善子のあれは何なんだ?』
「気にしなくていいよー」
堕天使芸のくだりはスルーし、一行がある人物達のいる場所に向かおうしたその時、背後から声が掛かる。
「あの! ・・・Aqoursの皆さん・・・・・・ですよね?」
「ふぇ・・・?」
振り向いた先にいたのは三人の少女。
学生服に身を包んでいるあたり、彼女達もスクールアイドルなのだろうか。
「えぇーっと・・・、あの・・・あの! 一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
三人の内、カメラを抱えた一人が緊張した面持ちでそう申し入れてくる。
当然の事にしばらく硬直した後、状況を理解した面々に混乱が溢れかえった。
「・・・・・・」
「・・・・・・い? ちょっと皆、お、落ち着こう⁉」
『君が一番落ち着くべきだと思うぞ?』
その後何とか落ち着きを取り戻し、ご所望の写真撮影をしてあげる事に成功する。
「ありがとうございます! 応援してます! 頑張ってください!」
「ありがと~♪ 頑張るよ~」
地元で握手やサインを求められることはざらだが、まさか遠方の地である北海道まで来て共に写真を撮ってくれなどと言われるなど思ってもみなかった。少なくとも以前のAqoursならあり得なかった事だろう。
決勝に進むという事は、それほどまでの事なのだ。
「失礼しまーす・・・・・・Saint Snowのお二人は・・・・・・」
Saint Snowの二人を訪ねるべく、北海道地区予選に参加するスクールアイドルの控室に入る千歌達。
「はい・・・? あっ! お久しぶりです」
出迎えてくれたのは、既にライブ衣装への着替えを済ませていた鹿角聖良だ。その隣では彼女の妹である鹿角理亞が目を閉じたままイヤホンで音楽を聴いている。
「ごめんなさい。本番前に」
「いいえ。今日は楽しんでいって下さいね。・・・・・・皆さんと決勝で戦うのは、まだ先ですから」
「はい。そのつもりです」
前に東京で見せつけて着たような圧倒的な自信に満ちた表情を浮かべる聖良。それほどまでに自分達の力を信じているという証拠だろう。
「お二人共、前回の地区大会は圧倒的な差で勝ちあがってこられたし・・・・・・」
「もしかして、また見せつけようとしてるんじゃないの? 自分達の実力を」
喧嘩腰気味に悪戯っぽく笑う果南が言っているのは、まだAqoursが六人だった頃の話。
東京でのライブイベントに招待された際に、千歌達の心をへし折り、成長させるきっかけとなったあのパフォーマンスの事だ。
「いえいえ。他意はありません。それにもう・・・皆さんは、何があっても動揺しない」
「どういうことですの?」
「Aqoursは、格段にレベルアップしました。今は紛れもない優勝候補ですから」
「優勝候補・・・・・・」
改めて感じる、今の自分達が昇りつめた場所と、そこにいる事の重圧。
忘れていた訳ではないが、ここに来てから何度もそれを再実感させられる。
「あの時は失礼な事を言いました。・・・・・・お詫びします」
席を立った聖良が、棘を感じた初対面の時からは考えられない柔和な態度で頭を下げてくる。
「聖良さん・・・・・・」
『・・・・・・彼女のどこが礼儀に欠く生意気な子娘なんだ? むしろその真逆だと思うのだが・・・』
「・・・・・・え?」
突然梨子の持っていた携帯端末から発せられた声を聞き取り、顔を上げる聖良。
『まあ陸も否定していたから真に受けてはいなかったが――――――』
「ちょ・・・、ちょっとエックスさん⁉」
Aqours以外にも人がいるというのに、ごく当たり前のように喋り出したエックスに慌て出す梨子。
「え・・・、えっと・・・これはですね・・・・・・」
あたふたとエックスの事を誤魔化そうとする千歌。
だが聖良は特に驚く様子もなく、むしろ納得したような表情で梨子の携帯に映るエックスを見据えた。
「あ、もしかしてその方がウルトラマンエックスさん・・・ですか?」
「うぇっ⁉」
まさかの言葉に驚くAqours一行。
そんな彼女たちを尻目に、聖良は次の語を紡いだ。
「仙道さんから話は聞いていましたから。Aqoursと一緒に助っ人のウルトラマンも来るって」
聖良がそういった事で、そういえば彼女は陸がゼロと一体化している事を知っていたと思いだす千歌。
『ああ、君が陸達が言っていた子だったのか。ウルトラマンエックスだ。よろしく頼む』
「はい。こちらこそ」
いつの間にか陸と聖良が連絡を取り合うような間柄になっている事にも驚きだが、初対面のウルトラマン相手にここまで落ち付いている聖良にも驚きだ。
「千歌さん」
エックスにも一礼した後、再度千歌の方を向き、手を差し出してくる聖良。
「次に会う決勝は、Aqoursと一緒に・・・・・・ラブライブの歴史に残る決勝にしましょう!」
今度は遠回しの嫌みでもない、純粋な宣言。
「千歌ちゃん」
「ここは受けて立つところデース」
「・・・・・・うん」
予想していなかった事に一瞬戸惑う千歌だが、曜と鞠莉の声を受けてしっかりと互いの手を握り合った。
「・・・理亞! 理亞も挨拶なさい‼」
振り返って自身の妹にも挨拶を促すが、当人である理亞は目を閉じたまま何の反応も見せない。
「理亞‼」
「ああ、いいんです! ・・・・・・本番前ですから」
険悪な雰囲気になる前に千歌が聖良を制止し、そのまま控え室を後にする事に。
『・・・・・・ん?』
出て行く寸前、ふと目線を流したエックスの視界に入ったのは未だだんまりを決め込んでいる理亞の手。
腿の上で重ねられた二つの手は、微かに震えていた。
「・・・・・・」
その事に気が付いたのはエックスともう一人。
同じ妹として気になっていたのか、先程からずっと理亞の事を見ていたルビィだった。
「わあぁぁぁ・・・! 凄い声援!」
招かれた側のAqoursに用意されていたのは、ステージどころか会場のほとんど全体が見渡せる特等席だった。
スクールアイドル達の登場を今か今かと待つ観客達の持つサイリウムの光が会場全体を彩り、幻想的な光景が目の前に広がっている。
「お客さんもいっぱい」
「観客席から見る事で、ステージ上の自分達がどう見えているか・・・」
「どうすれば楽しんでもらえるのか、凄い勉強になるはずだよ」
「・・・だよね」
いつもステージ上で歌う立場だからこそ、こういった観客席側から見るライブは新鮮だ。
『おい千歌。もうちょっと持ち上げてくれ。ステージが見えない』
「・・・ここ撮影禁止だから・・・これ以上持ち上げたら勘違いされそう・・・・・・」
『なんだとっ⁉』
「Saint Snowさんは?」
何とか出来ないのかと訴えてくるエックスは無視し、梨子の持つプログラム表に目を通そうとするルビィ。
「確か・・・次のはずだけど・・・・・・」
噂をすれば何とやら。言ってるうちに証明が切り替わり、灯された光が背中合わせでステー上に立った二人の少女を照らす。
本大会最有力優勝候補の一角、Saint Snowの登場だ。
「It`s Showtime‼」
Saint Snowのパフォーマンスを初めて生で見る鞠莉も興奮した様子で声を上げる。
激しいギターのビートが会場全体に鳴り響き、これまでに無い程に会場の熱気が湧き上がる。
この時は、まだ誰一人として思っても見ていなかったのだ。
――――――次の瞬間二人に襲いかかった。受け入れ難い、残酷な悲劇を。
【悲報】←二話連続 主人公、まさかの出番なし。おかしい。どうしてこうなった。
まあそれはさておき、ようやくダークネスファイブが単騎で動き始めましたね。当然ながら今回も決戦が待ってますよ。
そして、多くのラブライバーに衝撃を与えたであろうラストシーン。あれが後に多くのライバーを尊死させた伝説を生む切っ掛けとなったのですよ!
こんなもんかなん? なんか話の進みがめっちゃ遅い気がしてならない。
それでは次回で!