俺「ですね」
ゼロ「ここに書くことないって言ってたな。よし、だったら俺のカッコよさと今までの戦いを事細かに話して――――」
俺「はい、本編どうぞ」
『「・・・・・・なんだ、この状況・・・』」
薄暗い廃工場の中、ようやくたどり着いた陸とゼロの眼前には、困っているダダと身体から煙を上げながら倒れている謎の男がいた。
ダダはともかく、倒れている方は一体・・・。見た感じ陸と年齢は同じくらいだろうか、容姿もこれといった特徴はなく、どこにでもいそうな男である。
そんな謎の存在がボロボロになって倒れ、その真ん前でダダがオロオロとしている。
状況が全く飲み込めない二人の目に映ったのは、ダダが抱えている三つのカプセル。
その中には先ほど捕まった梨子だけでなく、千歌と曜までいた。しかも三人とも気を失っている。
「千歌達に何しやがった!」
明らかな敵意を滲ませた陸がダダに向かって吠えるが、ダダは全く意に介す様子もなく、構えた銃と倒れた男を交互に見返している。そもそも陸の事に気付いていない様だ。
「やーやー久々じゃないか、ゼロくーん。あと、仙道陸君だっけ」
先に陸の存在に気付いたのは倒れている謎の男だった。しかもその男、陸の名前を呼んだだけでなく、何と陸に向かってゼロ君と言って来た。
なんとこの男、ゼロが陸と一体化していることを知っているようだった。
「久々に会っておいて悪いんだけど、助けてくれない? ボク見ての通りこんなだからさー」
『誰と話して・・・‥、あっ、ウルトラマンゼロ‼』
男のおかげでようやく陸の存在に気付いたダダが陸に向かって銃口を向けてくる。普通に陸をウルトラマンゼロと言ってくるあたり、もう既に敵さんには陸とゼロの事はバレているのだろう。となると、陸とゼロの事を知っていたこの男もダダの仲間なのだろうか。とてもそんな雰囲気には見えないが。
『喰らえッ!』
『おっと』
ダダが光弾を放つが、瞬時に陸と人格を入れ替えたゼロがそれを片手で防ぐ。どうやら入れかわると耐久力も変わるらしい。もし陸のままあんなもの受けたら一発で気を失うだろう。
『俺に勝とうだなんて・・・・・・、二万年早いぜ‼』
一瞬でゼロがダダとの距離を詰め、ダダの大きい顔面に掌底を叩き込んだ。
『ぐおっ・・・・・・』
『まだまだぁ!』
右ストレート、踵落とし、左フック、頭突き、回し蹴り、右ストレート(二回目)、飛び膝蹴りと、流れるように攻撃を繰り出すゼロに、ダダはなす術もない。
『デェェェェェヤァァァァァァァ‼』
『ガビッ・・・!』
ダダの三つの顔面を蹴り飛ばした後、トドメにゼロが放った右ストレート(三回目)がダダの鳩尾を捉え、派手にダダが吹っ飛んでいく。
吹っ飛んだ先に積まれてあった廃材に突っ込み、その下敷きになったダダはがくりと地面に頭を落とした。
(え・・・? こんなんで終わったの?)
『ああ、ダダは武器がなければ最弱の部類だからな。やろうと思えば地球人でも勝てる。さて、あとは・・・』
ダダを倒したゼロは三人が閉じ込められたカプセルを回収することなく、黒焦げになって地を舐めている男の頭を掴んだ。
『おいお前。一体何モンだ。何で俺と陸の事を知っている? さっきの奴の仲間って訳じゃなさそうだが・・・、正体教えてもらおうか』
ドスを利かせた声で男を睨みつけるゼロの姿は不良そのもので、ホントにこいつは正義の味方なのだろうかと疑ってしまう。
しかし男は全く怯む様子もなく、むしろ笑顔でゼロと顔を突き合わせている。
「やあゼロ君。さっきも言ったけど久しぶりだね?」
どうやらこの男、陸というよりはゼロに面識があるようで。
『・・・・・・誰だお前・・・』
しかしゼロには覚えがないようで。
「えー! 酷いじゃないかゼロ君。親友の顔を忘れるなんてー!」
『俺に親友がいるかどうかは置いておいて・・・・・・、その顔はマジで見覚えがねぇな』
「ん? あ、ごめんごめん。人間態の姿じゃ見覚え無くて当然か。こっちに戻らないとね」
そう言うと男は青い魔人のような姿に変化した。どことなくウルトラマンを思わせるヒロイックな外見で、つり上がった赤い目が特徴だ。ウルトラマンで言うカラータイマーにあたる部分の切られたような傷がある。
その姿にはゼロも見覚えがあったようで。
『オウガか・・・』
『せーかい! さっすがボクの親友!』
『いや、別にお前と親友になった覚えはない・・・・・・』
喜んだと思ったら今度はわざとらしくがびーんと声に出して落ち込んだ。何なんだこいつは。
(おいゼロ・・・。お前の知り合いなのか?)
状況についていけない陸が少しでも情報を得ようとゼロに問いかける。
『・・・あー、えーっと、俺のストーカーみたいなもんだ。行く先々に現れやがるゴキブリみてーな奴』
(ウルトラマンにもストーカーってつくのか・・・・・・)
『ちょっと、ゴキブリなんて酷いじゃないか? ボクら友達だろ?』
(って言ってるけど?)
『仮にこんなのが友達なら死んでもいい・・・・・・』
えらく疲弊した声音のゼロ。過去に一体何があったのやら。
「とにかく、君が来て彼女たちも助かったみたいだし、そろそろおさらばしようかな。時間は稼いだんだから感謝してくれよ?」
オウガと呼ばれたそいつは再び人間の姿に戻ると、影に溶け込むようにして消えていった。
(なんだったんだアイツ)
『オウガっつー、知り合いというか顔見知りというか・・・・・・、二百年位前に会った時からずっと俺に絡んでくるよく分かんねー奴でよ。まあ、悪い奴ではないんだが・・・、とにかくめんどくさいんだわ』
そりゃ、二百年も付きまとわれたら誰だって気が滅入るだろう。
『前クライシスインパクトが起きた宇宙に行った時から付き纏われなくなったんだが、まさかこの宇宙にいたとはな。一体何が目的で・・・・・・』
ゼロは気付いていない様だが、陸は見てしまった。オウガの両手から下げてあった紙袋に入った、大量のアニメグッズを。
恐らくだが、あれが目的でこの地球に来ていたのだろう。
(別の星から見た地球ってどうなってんだ・・・・・・)
『あ? どうかしたか?』
(いや、何でもない。さっさと行くぞ)
ゼロから主導権を奪い返した陸は、三人の入ったカプセルを拾い上げた。三人とも気を失ったままなので、先程の陸達の会話は聞かれていないだろう。
「しかし体を小さくするって、宇宙人の科学技術はどうなってんだよ・・・」
〈別に普通だろ。細胞を縮小すりゃあいいだけだしな。俺だってできるぞ〉
「チート野郎のウルトラマンには聞いてない。それよりこれ元に戻るんだろうな」
〈安心しろ。カプセルから出せば元のサイズに戻る。ここで解放すると運ぶのが大変だから一度千歌の家に戻ってそこで出してやろう〉
「だな―――」
ゼロの提案に乗って高海家に戻ろうとすると、地震のような地響きが陸達を襲った。半端に解体工事の進んだこの建物は大きく揺れ、今にも崩れてしまいそうである。
『どこだぁ! ウルトラマンゼロォォォォォォォ!』
怒号と共に、再度地面が大きく揺れる。
外に出て確認してみると、さっきゼロが倒したナックル星人が巨大化して地団駄を踏んでいた。
〈あの野郎。もう復活しやがったのか?〉
「おいどうすんだ。アイツ如何にも怒り心頭って感じだけど。行かねーと何しだすか分かんねーそ」
〈つーかやられて逆切れするって子供かあのヤロー。とりあえず、一旦こいつらを安全な場所に―――〉
ゼロがそう提案した瞬間、ナックル星人が近くにあった民家を蹴り飛ばした。
『出て来いウルトラマンゼロ! 早く来ないと分かっているな!』
幸いあの民家は空き家になっていた為怪我人はいないだろうが、その内ナックル星人が人のいる建物を蹴り飛ばすのも時間の問題だろう。
「そんな時間ないみたいだな」
脂汗を垂らしながら陸が呟くと、目の前にウルトラゼロアイが出現した。
〈・・・仕方ねぇ、行くぞ〉
「ああ、でもちょっと待ってくれ・・・・・・」
ウルトラゼロアイを手に取ると陸は一旦それをポケットにしまい、抱えていたカプセルから三人を解放した。
曜と梨子に目立った怪我はないようだが、千歌は制服も汚れ、膝も傷だらけだった。
「・・・・・・何があったんだか」
〈気になるとこだが全部後だ。さっさとアイツをぶっ飛ばすぞ〉
「当然」
近くの木陰に三人を寝かせると、陸はウルトラゼロアイを装着した。
「〈デェヤァ‼〉」
『ウルトラゼロキック‼』
『あがっ‼』
変身と共にナックル星人に炎を纏った剛脚をかましたゼロ。立て続けに拳にも炎を纏い、ナックル星人の首にチョップを叩き込む。
『ビックバンゼロ‼』
『がはッ! 熱っ、熱ッ!』
胸部の毛に炎が燃え移り、必死にそれを消そうとするナックル星人を今度は回し蹴りで吹っ飛ばす。
『ッ・・・・・・、やりたい放題やりやがって・・・、おいゼロ。貴様俺の仲間、バンデロの事は覚えているか?』
よろよろと起き上がり、ようやく胸の炎の消火を終えたらしいナックル星人がゼロを指さした。
『バンデロ? ああ、あの戦争商人か。テメェ、バンデロの仲間なのか?』
ゼロの問いに、ナックル星人はこくりと首肯した。
『俺はアイツと商人タッグを組んでいる最中に奴を失った、聞いてみればお前がやったらしいじゃないか』
『けっ、仲間の仇討ちってか・・・・・・、元戦争商人と聞いたら見逃す訳にはいかなくなったな』
『ほざけ、消えるのは貴様だウルトラマンゼロ』
そう言ったナックル星人は、胸元から何かを取り出した。
『それはっ・・・・・・』
人間の手のひらサイズの、小さな怪獣の人形。あれで一体何をしようというのだろうか。
『はっ!』
ナックル星人がその人形を宙に放り投げ、いつの間にか手に持っていた銃でそれを撃った。銃からは黒い稲妻のような光が発射され、その人形に吸収されていく。
『何でテメェがダークサンダーエナジーを・・・・・・、どこで手に入れた!』
『バンデロがやられた後、貴様への復讐に使えないかとわざわざ時空移動して入手してきていたのだよ。Xioはブラックサンダーエナジーのサンプルを持っていたからな。ついでに、このスパークドールズもな』
『エックスと大地のヤロォ・・・・・・、ちゃんと管理しておけよ!』
(何言ってんだこいつ等・・・)
完全に陸が蚊帳の外になっている中、ダークサンダーエナジーとやらを浴びたその人形が光を放ち始めた。
『さあ現れよ。ブラックキング‼』
ナックル星人が声を張り上げると共に光が止み、先程までいなかった怪獣がゼロの目の前に現れた。
『グルガゥゥゥゥゥ!』
全身が黒く、鋭い金色の牙と爪、頭部にある同じく金色の角が特徴で、何というか怪獣らしい怪獣だった。
『ゼロ。貴様には覚えがあるはずだ。かつてバンデロと共に貴様、そしてウルトラマンエックスと戦ったこいつがなぁ!』
『っ! あの時と同じ個体か・・・。そういやエックスは怪獣をスパークドールズに封印する力があるんだったな・・・。だがグリーザを倒す時にそいつはエックスと大地に力を貸した。今更テメェなんかに――――』
『馬鹿め! 何のためにダークサンダーエナジーを浴びせたと思っている? 凶暴化させるために決まっているだろう! さあ行けブラックキング! バンデロの敵討ちだ!』
『グルガゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‼』
ナックル星人の指示で、ブラックキングが咆哮をまき散らしながらゼロに向かって突進を始めた。
『凶暴化しててもそっちの言う事は聞くのな・・・・・・。デェヤァ!』
ゼロはファイティングポーズを取った後、ブラックキングにもウルトラゼロキックで突っ込む、が、
『ガァァァァァッ!』
『ッ! うおっ』
ブラックキングの強靭な腕に阻まれ、逆に吹き飛ばされてしまう。
『がはッ!』
吹き飛ばされて地面を転がるゼロに、今度はブラックキングが吐いた炎が襲いかかる。
「あっちっ! ゼロ、大丈夫か?」
『まだこの程度問題じゃねぇ・・・・・・、行くぞ!』
ゼロツインソードを構え、ゼロがブラックキングの懐まで肉薄する。その勢いのままブラックキングの腹部を切りかかるが、大した効果は見られない。
『クソッ、かてぇ・・・』
「来るぞ!」
振るわれた剛腕をかわし、今度は足元に切りかかると、ようやくブラックキングがバランスを崩して転倒した。
ブラックキングの巨体に掴みかかり、力任せに遠くへと投げ飛ばす。
『決めるぜ‼ ワイドゼロ―――』
『誰か忘れていないかな?』
ナックル星人が光線を打ち込もうとしたゼロの横腹を、さっきのお返しだと言わんばかりに蹴り飛ばす。
『ごあっ・・・』
ブラックキングに意識が向いていたゼロはまともに受け身も取れずに吹き飛ばされる。起き上がろうとすると、ブラックキングの吐いた追撃の業火がゼロの背中を燃やした。
『があああああぁぁぁぁ‼』
「ぐ・・・、あ・・・。背中が焼ける・・・」
ゼロが受けたダメージは一体化している陸にも伝わる。ゼロ程酷いダメージは受けないが、あんな炎を喰らえば火傷ぐらいするのだ。
『こいつぁ・・・、ちょっとやべぇかもな・・・・・・』
柄にもなく弱気な事を吐くゼロ。まだゼロと共に戦うのは二回目の陸でも、この状況が劣勢なのはわかる。
『ああクソッ、何で弱体化しちまったんだ俺はぁぁぁぁ‼』
言ったところで解決するはずもない文句をぼやきながら、ゼロは二体の敵に突っ込んでいった。
俺「ナックル星人と言えば、帰ってきたウルトラマンで郷さんの心のよりどころだった坂田兄妹をひき殺したので有名ですよね」
ゼロ「ホントにな。一体何人の子供にトラウマ植え付けた事か」
俺「ダダもその見た目で一部の人にトラウマ植え付けましたからね」
ゼロ「分かってるなら何故そんな宇宙人しか出さない・・・」
どっちもウルトラシリーズによく出てくるから。