ちなみにその後ダークネスヒールズも行ってまいりました。まさしくダークネスな内容でした(語彙力)
これら双方の会場でバキシムの人形を持った変態を見かけた方、それ俺です。
『地球に向かいたい?』
『ああ、仙道陸の件だが、直接この目で見て調べたくてな。そちらもタロウから聞いているだろう?』
光の国。
宇宙警備隊本部のある建物の一角で向き合うゾフィーとヒカリ。そしてそれを少し離れた場所で眺めているのはメビウスだ。
『・・・ベリアルの力の件か・・・。タロウやオーブからの情報だけでは足りないのか?』
『そういう訳ではないんだが・・・・・・、俺はこの目で見るのが一番だと判断した。それと科学者としての勘だ』
『そうか・・・・・・』
しばし何かを考察するような素振りを見せた後、ゾフィーは首を縦に振った。
『分かった。科学の事は専門家に任せよう。大隊長には私の方から報告しておく』
『感謝する』
『メビウス。君もついて行ってやれ』
『は・・・はい!』
宇宙警備隊隊長からの命に、メビウスは若干声を上擦らせる。
なにせここにいるのは二万歳を超えているゾフィーとヒカリ。六千八百歳のメビウスとしては肩身が狭いのだ。
〈それにしても・・・・・・地球か・・・〉
地球には思い入れが深い。
初めての任務を受けて飛来し、時に悲しみ、時に挫け、最高の仲間達と絆を紡いだ。
これから向かう地球は自分を成長させてくれた地球とはまた別だが、それでも身が引き締まるのを感じる。
〈今の君はちゃんと、仲間の顔が見えているかい? ・・・・・・ゼロ〉
かつてとある事件が起こったプラズマスパークタワーを見上げながら。メビウスは数少ない後輩であるゼロの過去を思い浮かべるのであった。
「はあ⁉ ちょ・・・・・・ウルトラマンってどういう事⁉」
エックスの自己紹介とカミングアウトに、普段の物静かさなど塵ほども消え去った理亞が多いに錯乱する。
『そんなに驚く事もないだろう? さほど珍しい存在でもあるまいし』
「どういう判断基準よ・・・」
善子にツッコまれ首を捻る。
『? なにかおかしいことでも言ったか?』
言った通り宇宙全体から見ればウルトラマンの名は知れている。
こっちの世界にもゼロというウルトラマンが飛来しているのだし、何より聖良が全く動じていなかったので妹である理亞も大丈夫かと思ったのだが・・・・・・どうやらエックスの見当違いだったらしい。
『あー・・・どうやら混乱させてしまったようだな。すまない』
自分に少しでも非があるならまず謝罪。宇宙のバランスを保つウルトラマンがこんな事でいざこざを起こしていては顔が立たない。
とりあえず今は彼女が落ち着くまで待ち、その後に事情を説明するとしよう。
―――数分後。
『で、そろそろいいか?』
「う・・・・・・うん・・・・・・」
ルビィと花丸の協力もあって理亞の混乱も一旦は収まったので、気を取り直して話をするとする。
『改めて自己紹介するが、私はウルトラマンエックス。とある事情で今は彼女達と共に行動している』
「・・・は、はぁ・・・」
目を丸くして携帯端末を凝視する理亞というのも、これまでとはまた違った印象を抱かせる。
物静かで刺々しい雰囲気に隠れがちだが、彼女だって普通の女の子なのだ。
「・・・・・・事情って、何・・・?」
『ゼロは君も知っているだろう? そのゼロがAqoursがこっちにいる間は付いてやって欲しいと頼んできたんだ。ゼロには借りが多くてな、断るに断れなかった』
まあ、エックスとしてもこっちで得るものはあったので無駄だったというつもりはないが。
「・・・頼まれたって・・・・・・あなた達、ウルトラマンとどんな関係なの?」
『ゼロが陸と一体化s――――――』
「ちょっと色々あったのよ!」
そこも説明を入れようとしたところを善子に遮られ、そういえばAqours以外でゼロと陸の関係を知っているのは聖良だけだった事をようやく思い出すエックス。
これならばエックスを見た時の反応が聖良と理亞で違かったことも頷ける。これまでウルトラマンに触れた事が無かったのだから驚いて当り前だ。
『んっんん! 詳しくは大っぴらには言えないんだ。すまない』
「・・・まあ、別にいいけど・・・・・・」
なら今陸とゼロの事を話すのはマズいだろうと判断して、この場では誤魔化しておく。理亞自身も納得はしてないがある程度察してはくれたのでまあいいだろう。
『とりあえず、私の事は内緒にしてくれると助かる。聖良の方はもう知っているから話しても問題ないぞ』
「姉様・・・そんな様子は全然感じなかったけど・・・・・・」
『彼女は肝が太そうだからな』
何が起きても気品を崩さずに対処できそうな、そんなオーラを感じた。差し詰め無敵キャラとでも称したところか。
『それで話は戻すが、君の抱えているそのオブジェは雪の結晶なのか?』
「まだ気になってたのアンタ⁉」
「しかもこのタイミングで・・・、マイペースすぎるずら・・・・・・」
そんな事を言われても気になるものは気になるのだから仕方ない。
答えを求めて端末の中から理亞を見上げると、彼女は物憂げな眼をして語りを始めた。
「・・・そう。昔、姉様と雪の日に、一緒に探したの。二人でスクールアイドルになるって決めた。あの瞬間から、雪の結晶を・・・・・・Saint Snowのシンボルにしようって・・・」
理亞の瞳に苦渋が滲む。
鹿角姉妹にとってはその日に見た雪の結晶を、二人の絆を形として残したものがSaint Snowなのかもしれない。
「・・・それなのに・・・・・・最後のラブライブだったのに・・・・・・」
自分達の原点を思い返した事で自身の失敗がフラッシュバックしたのか、後悔に震える声音が部屋の中に広がる。
聞いたのは失敗だったかとエックスが思ったその時、
「綺麗だね」
それを振り払ったのは、ルビィの零したその言葉だった。
「当たり前でしょ! 姉様が見つけてきたんだから! ほら、あなたの姉より上でしょう?」
「っ・・・! そんな事ないもん! お姉ちゃんはルビィに似合う服すぐ見つけてくれるもん!」
「そんなの姉様だったらもっ――――――と可愛いの見つけてくれる!」
「そんなの―――!」
『まだ続いてたんだなその論争・・・・・・』
第二次姉自慢大会の勃発に呆れた溜息をつくエックス。
だが第一次の様子を知らない花丸と善子は、意外そうな顔をして理亞と口論を繰り広げるルビィを見やっていた。
「こんな強気なルビィちゃん・・・・・・」
「始めて見た・・・!」
エックスとは違いルビィの事を良く知る二人でも驚くほどムキになるルビィ。
やはり彼女はダイヤ―――大好きなもののことになると普段とは違う顔を覗かせる。
「ほんと、姉の事になるとムキになるんだから・・・」
「それは・・・・・・お互い様だよ」
「そうかも」
言い合った後でも微笑み合うことが出来るのは、互いに互いの心中を知っているから。
微かながらも、そこには確かな絆が芽生えつつあった。
「皆さん・・・・・・本当に戻らなくてよかったんですか?」
ノックの音と一緒にドアが開かれ、理亞と同じく店の制服に身を包んだ聖良がそう訪ねてくる。
「あ、はい」
「他のメンバーに頼まれて、どうしてもこっちでやっておかなきゃならないことがあるずら!」
「ああ、そうですか」
花丸の誤魔化しの後、善子が一歩前に踏み出し、綺麗に腰を九十度曲げて頭を下げる。
「こちらこそ、急に押しかけてきてしまって・・・・・・すみません」
「いえいえ。うちは全然大丈夫なんですけど。では・・・・・・ご飯が出来たら呼びますね」
年下相手にも関わらず丁寧に一礼してから聖良は去っていく。
その後の室内を支配していたのは、豹変した善子に向ける好奇と畏怖の感情だった。
「・・・・・・何とか誤魔化せたわね・・・」
「善子ちゃんが・・・・・・」
「ちゃんと会話してる・・・・・・?」
『・・・・・・そんなにひどいのか日頃・・・』
まあでも確かに、函館で見た彼女しか知らないエックスでも変な奴だとは思わされたぐらいだし、普段はもっと堕天しているのだろう。
「ヨハネ! アンタ達に任せておけないから仕方なくよ! 仕方なく! ・・・・・・堕天使はちゃんと世に溶け込む術を知ってるのだ!」
そんな彼女でも、堕天使の皮を剥げば十分現実的。名前の通り善い子なのだ。
「皆意外な一面があるずら」
「隠し持っている魔導力と言ってもらいたい!」
年相応の反応を見せる理亞。強気なルビィ。常識的な善子。
確かに第一印象からは考えにくい一面だろう。
「でも、そうかも!」
『ん?』
不意に二人の言葉を肯定するように声を上げたルビィに皆の瞳が向けられる。
「ルビィ最近思うの。お姉ちゃんや上級生から見れば頼りないかも知れないけど、隠された力が沢山あるのかもしれないって!」
『・・・・・・隠された力か・・・』
パッと脳裏にとある青年の顔が浮かぶ。
彼も最初はなんだか頼りない印象だったが、エックスと共に戦いを重ねるうちに成長していった。その成長はゼロやギンガなどの先輩戦士にも認められているほどだ。
戦いの形こそ違えど、芯の部分には通ずるものがあるだろう。
『・・・うむ。誰の中にもある、可能性の蕾なんだろうな。君にもきっと咲かせられる』
「じゃ、決まりずら!」
今度は花丸が何か閃いたように挙手。
『何がだ?』
問いかけるエックスに、彼女はピースサインを作って答えた。
「歌のテーマずら」
一方内浦。
一年生ズがいなくとも練習をサボる訳には行かないのでいるメンバーのみで練習。考えてみれば二年生と三年生だけの組み合わせというのも珍しい。
「まだ帰って来ないの?」
「さっきエックスから連絡があったんですよ。もうしばらく残るって」
「「はあぁぁ~・・・・・・」」
駄菓子屋のベンチに腰掛けながら深い深い溜息をついた二人。妹のことが心配でならないダイヤと、いい加減帰らないと上司からのお咎めがとんでもないことになってしまう大地だ。
「まさか、本当に新たにグループを結成して・・・・・・⁉」
「流石にないだろ・・・」
それは帰りの飛行機の中で誕生したらしいルビィ達がAqoursを抜けて理亞と新しいグループを組もうとしているかもという益体のない妄想。
何でもこれで一悶着(ダイヤのみ)あったらしいが・・・・・・なんなんだか。
「思いつきそうなのはあの堕天使ね!」
何故だか忌々し気にここにはいない善子を睨む梨子。そもそも人付き合いがあまり得意ではないあの三人がそんなこと考えるはずもないだろうに。
「大丈夫」
ひょこりとみかんを手に持ったままの千歌が駄菓子屋の中から顔を出す。
「大丈夫だよ」
陸はエックス伝いでルビィ達に協力を要請されているので彼女達のやらんとしている事を知っているが、千歌はまだ聞かされていないので知っているはずがない。
「千歌ちゃん。この前何か知ってる感じだったけど」
「何か聞いてるの?」
「聞いた訳じゃないよ・・・・・・ただ、自分達だけで、何かやろうとしてるんじゃないかな?」
自身の髪と同じ色に染まった空を見上げて千歌はそう零す。
結論から言うと彼女の言っている事は大体当たっている。忘れられがちだが彼女も姉が二人いる立派な妹。同じ妹として、ルビィ達や理亞の意図を悟っているのかもしれない。
「頑張るって決めたら・・・・・・」
「次、負ないんだって・・・・・・」
「これでこう・・・・・・どう?」
「こうして・・・・・・」
「だったら・・・」
「んじゃあ・・・・・・」
その夜。
もうとっぷりと夜も更け、普段なら寝静まっている時間帯になっても、ルビィと理亞はライブで披露する曲の作詞を続けていた。
『・・・頑張っているな、二人共』
「・・・ええ。あんな楽しそうにしている理亞は久しぶりです。何を頑張っているのかは知りませんが」
その様子を部屋の外から見守る聖良と、彼女の携帯端末に入ったエックス。
既に睡魔の前に屈した善子と花丸は撃沈しているが、共に姉への想いを秘めた二人の妹は今だ眠る気配を見せない。
そして―――、
「「やったあぁぁぁぁ――――――ッ!!!」」
嬉々とした二人の歓声が聞こえ、聖良は一層微笑ましそうに笑みを浮かべた。
彼女達が自分達にプレゼントする曲を作っていようなどは思っても見ていないだろうが、それでも妹である理亞がルビィと共に喜びを分かち合っている事が何よりも嬉しいようだ。
「・・・そういえば、エックスさんは二人に混ざらなくていいんですか? 理亞に正体は打ち明けたのでしょう?」
『ああいやまあ・・・・・・変に私が入るのもどうかと思ってだな・・・・・はは・・・』
実はこれ真っ赤な嘘である。本当はロクに曲の事も知らない奴が口を出すなと言われ追い出されただけだ。
『君は声を掛けなくていいのか?』
変に勘繰りされてエックスがボロを出し、二人の計画が聖良にバレてしまうというのは避けなくてはならない。
話題を逸らそうとひり出した問いを受けると、聖良はどこか悲し気な瞳で自分の妹を見やった。
「・・・・・・私も・・・・・・邪魔したら悪いかなって・・・・・・」
喜びとは別の何かに震えた声音が静かに廊下の中に消えていく。
『・・・・・・聖良―――』
「・・・私も、そろそろ部屋に向かいましょうか。もう夜も遅いですし」
敏感にそれを感じ取ったエックスが何かを言い切るより早く、聖良は笑いあう理亞とルビィから視線を外して自室へと向かった。
――――彼女の胸に光るものが宿ったことには、まだ誰も気が付いてはいなかった。
『・・・・・・あん・・・?』
極寒の世界と化した夜の函館に潜伏していた氷結のグロッケンが低く唸る。
リトルスターを発現した少女の特定は完了し、あとは隙を見て母船へ連れ去るだけだった。
だが、研ぎ澄まされた鋭敏な感覚はまた別の力が発芽しようとしている事を教えてくれる。
『・・・この感じ・・・リトルスター保持者は一人じゃねぇな・・・・・・』
辺りの気温が更に下がり、凍り付いた大気中の水分が雪の結晶となって吹き荒れる。
『ケケ・・・・・・、面白そうじゃねぇかよォ・・・・・・ヒャハハハハハハハハハハハハ‼』
視界すら定まらない猛吹雪の中、グロッケンは鮮血のように紅い双眸を夜闇の中に煌かせた。
軽くネタバレしますが、メビウスとヒカリが地球に向かいますけど参戦はもうちょっと先です。十一話の話の後を予定しております。
そして何やら聖良お姉さまにも輝くものが・・・・・・?
グロッケンも殺る気全開Day!Day!Day!みたいですし、決戦の時は近い・・・。
それでは次回で! もしかしたら更新遅れるかもです。