ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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Aqours4thで公開された劇場版新PVへの反応一覧

4thDay1時「イエェェェェェイ!(テンション上がり過ぎてて何も考えてない)」

4thDay2終演後「・・・・・・(Wアンコールでガチ泣きしたため頭真っ白)」

数日後に改めて見た時「・・・え? 鞠莉さん結婚すんの・・・?」


どうしようそのネタもうやった。
もしかしたら劇場版編のタイトルが『復活のM(無水)』になるかもしれません。



百十六話 あと何回

 

 

 

『エックス。そいつ等の事任せるぜ』

 

『ああ、了解した』

 

 人目につかない山林の中。

 陸とゼロは、これからこの地球、ないしは宇宙から離れる三体の巨人を見上げていた。

 

『悪いなゼロ・・・。俺等が不甲斐ねぇばっかりに』

 

『エックス。貴方にも迷惑を掛けます・・・』

 

『気にするな。一度とはいえ、共に戦った仲間だろう?』

 

 対グロッケン&デスローグ戦でグレンとミラーナイトが負った傷は深い。なので一度ウルティメイトフォースゼロの秘密基地であるマイティベースで傷を癒す必要がある。

 エックスはマイティベースまでの同行兼、光の国への報告だ。

 

『俺が行けりゃベストだったんだが・・・・・、生憎今ここを離れる訳にはいかないからな』

 

『分かっているさ。彼女達の事、頼んだぞ』

 

『ああ、恩に着る。大地。今回は迷惑かけたな』

 

「ほんとだよ。・・・まあでもいいもの見れたし、ブラックキングのスパークドールズも戻ってきたから良しとするよ。陸君、ありがとね」

 

「ああいや、なんか成り行きで持ってただけ何で、気にしないでください」

 

 ほとんど存在を忘れつつあったブラックキングのスパークドールズ。

 春にナックル星人から奪い返したものだったが、無事あるべきところに戻れて何よりである。完全に忘れ去られる前に。

 

『では・・・そろそろ行くとするか。陸、聖良と理亞によろしく言っておいてくれ』

 

「りょーかい。大地さん。今回はほんっとうにウチの馬鹿が迷惑かけました」

 

『オイ。馬鹿って何だよ』

 

「いいよいいよ。もう気にしてないから」

 

『それに今に始まった事じゃないしな』

 

『毎回一言多いんだよお前は!』

 

 何かする訳でもなく、三人の巨人と一人の少年が談笑している。傍から見ればかなり不思議な光景だろう。

 

『じゃーな陸』

 

『離れた場所からですが応援していると、千歌達に伝えておいてください』

 

『問題ねぇ。アイツ等ならブラックホールを吹き荒らしてくれるぜ!』

 

「伝えとく。お前等もお大事にな」

 

『ここで見た彼女達の成長を、私は一生忘れる事はないだろう。いい経験をさせてもらった。・・・・・また会おう』

 

 その言葉を最後に、エックス、グレン、ミラーナイトの三人は夜空へと飛び立っていった。

 

『・・・行ったな』

 

「・・・・・・だな。また家が静かになる」

 

 文句こそ垂れていたが、基本家で一人だった陸にとってグレンやミラーナイトが同じ屋根の下にいるというのも新鮮で、悪くはなかった。

 なんだかんだ言って、少し寂しくなるなという気持ちは確かにあるのだ。

 

「・・・・・・まー、なんつーか・・・・・・」

 

 ごーん、ごーんと、遠方にある寺の鐘が鳴らす音色が耳朶に触れる。

 

「・・・・・・こんな形で年越しすんのは初めてだわ」

 

 

 ――――――新年、明けましておめでとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・やはり慣れんな・・・』

 

 ダークネスファイブの母船。

 自分達の会合場所である広間の中で、空席となった二カ所を一瞥した極悪のヴィラニアスは、呆れとも哀愁とも感じ取れるような溜息をついた。

 

『おや・・・、珍しいですね。貴方が仲間の死を悼むとは・・・・・・』

 

『馬鹿を言うな。ただ部屋が広く感じただけだ』

 

『それを寂しがっているというのではないのか・・・?』

 

 会話こそ可能だが、ムードメーカーのグロッケンが欠けているというのはやはり調子が狂わない気がしないでもない一同。

 会話すら不能なデスローグでさえ、今では可愛げがあったかのように感じる。

 

『・・・・・・彼等を失っても、我々のやることは変わりません。全てはベリアル陛下御復活のため、ここで止まる訳にはいかないのです。・・・・・・己の身が滅びようとも・・・』

 

『ふぅむ・・・』

 

『ああ、分かっている』

 

 スライの言葉に頷いたヴィラニアスは、一層引き締まった表情でここにはいない自分達の帝王の姿を思い浮かべた。

 

『・・・・・・・・・一度は志半ばで果てた身だ。二度目の生こそ、吾輩の命を全うしてくれる・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

「陸―。それこっち持ってきてー」

 

「これか? よいしょっと・・・」

 

 少し埃臭い倉庫の中で、ボンベやらのダイビング道具を整理する陸と果南。

 どうして新年早々こんな事をやっているかというと訳があるのだ。

 

「ごめんね? こんな面倒事押し付けて。年末思ったより時間なくてさ」

 

「いいよ。どうせ親父達帰って来ねーし」

 

 果南の家はダイビングショップ。冬はダイビング自体がシーズンオフなため、やることはこのような備品の点検のみ。

 ただ今日は果南の両親が用事で家を空けているらしく、一人でやるのも寂しかったらしいのでこうして陸が呼ばれた訳だ。

 

「今日練習何時からだっけ?」

 

「お昼くらいに学校集合じゃなかったっけ? それまでには終わらせないとね」

 

 家族の団欒を考えて午前中は空けているが、正月とてAqoursの練習は行われる。

 ラブライブ優勝に向けて一日も努力を欠かす訳にはいかないのだ。

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

 そんな訳で作業する事小一時間。大方の仕事も終わり、最後の酸素ボンベを定位置に戻した陸が一息つく。

 

「おつかれー・・・って、もうこんな時間か・・・。着替えてくるから、ちょっと私の部屋で待ってて」

 

 倉庫の外からひょこりと顔を覗かせた果南がそう言い、頷いて返す陸。

 

「あーうん。分かった」

 

 手についた埃を払った後に倉庫に別れを告げ、慣れた仕草で果南の部屋に向かって行った。

 

〈お前の親、こんな時にも帰って来ねーんだな〉

 

 数千年の間親の事もろくに知らないで生きてきたゼロがこんな事を聞くのもなんだが、純粋に疑問に思ったので問いかけてみる。

 まあ、理由はそれ以外にもあるのだが。

 

「まーな。日本にいる方が珍しいくらいだし、俺もここ数年まともに顔見た記憶がねーよ」

 

〈・・・・・・そうか・・・〉

 

 ふと嫌な感覚が脳裏を過った。

 いくら何でも、陸の両親に関する情報が、滅多に帰って来れない事を抜きにしても少なすぎる。

 家には写真一枚として置いていないし、物心つく前から陸と一緒にいたはずの曜でさえ両親の顔を見た事が無いという。

 

〈・・・・・・それに〉

 

 疑問はまだ尽きない。

 去年の夏。まだ六人だった頃のAqoursがダークネスファイブに連れ去られたと知り、奴等の母船へ乗り込んだ際の事。

 そこで奴等が見せつけてきた、スカルゴモラに怯える幼き日の陸の映像。

 

〈・・・何故アイツ等は、俺と出会う前の陸の映像を持っていた・・・・・・?〉

 

 ゼロと一体化しているという以外で、ダークネスファイブと陸に接点はないはずだ。

 スカルゴモラの様子を記録していた際に偶然映り込み、これまた偶然ピンポイントで陸の映像だけが残っていたとは考えにくい。

 

―――――オウガがそいつに陛下の力を植え付けたのにはもっと別の訳があるんだぜェ・・・。

 

 それに加え、函館でグロッケンが残していった言葉。

 陸がベリアルの力を手にする事も、まるで計算の上だったというのだろうか。

 

〈・・・・・・まさか、ずっと陸を・・・? だが何故・・・・・・〉

 

「・・・ん?」

 

 どんどん嫌な方向に進んでいくゼロの思考を遮ったのは、いつの間にか果南の部屋に辿り着いていた陸が漏らした声だった。

 それに反応し、ゼロも陸の視線の先に意識を向けると、そこには―――、

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・インストラクターの・・・、資格履修・・・?」

 

 果南の机の上で積み上げられていた本を手に取り、見出しの文字を口にする陸。

 

「・・・この本、全部資格関連のやつだな・・・」

 

 ダイビング趣味で購入したものかとも思ったが、それにしては冊数が多い。

 表紙からペラペラとめくっていくと、線や付箋で印がされているページがいくつか見受けられた。

 それらのページに決まって記されているのは、ダイビングのインストラクターの資格について。

 

「・・・・・・」

 

 そして、海外での資格研修について。

 どのページでも、海外で資格を取得する方法などにチェックなどが施されている。

 

「お待たせ―」

 

「・・・あ、ねーちゃ・・・・・・・・・・・・え?」

 

 着替えを終えて部屋に入ってきた果南にその事について問おうとした陸だが、彼女の恰好を見た瞬間に言葉が出なくなる。

 そんな陸の反応が期待通りだったのか、満足そうに笑みを作った果南は、普段は滅多に着ないであろうその衣服の袖を翻しながら言い放った。

 

「さ、練習いくよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・いやいや、おかしいだろ・・・・・・」

 

 浦女に集合したAqoursメンバーの恰好を見て、思わずそう口にするというか、ツッコまざるを得ない陸。

 

「なに? 似合わない?」

 

「・・・・・・そういう事ではないけど・・・・・・」

 

 陸以外の皆が身を包んでいるのは振袖。

 似合わないという事はないし、むしろ皆似合い過ぎてて怖いくらいなのだが・・・、何と言うか、こう、直接的に言うならば場違いだ。揃いも揃って元日からいきなり正月ボケだろうか。

 

「・・・つかゼロ、お前さっきから静かだな・・・・・・」

 

『っ・・・! あ、いや・・・まあ、ちょっとな・・・・・・』

 

 普段ならこういう時真っ先に意見するはずのゼロが、今回は珍しく無言だ。

 疑問に対する返答もどこかぎこちなく、怪しい。

 

「なんか考え事か?」

 

『・・・・・・そんなところだ』

 

 やはりどこか臭うのだが、その言葉に嘘は感じられなかったのでこれ以上は言及しないことにする。

 

「ダイヤさん達まだかな?」

 

「Oh! Uターンしてきたみたいデース!」

 

 皆から少し離れた場所にいた鞠莉がそう声を上げた直後、黒塗りのお高そうな車が浦女の校門前に停車する。

 

「お待たせ―!」

 

 後部座席に隣接したドアの窓が開き、姿を現したのは恐らくこの車の手配主であろう黒澤姉妹と―――、

 

「皆さん。明けましておめでとうございます」

 

「げ! ホントに来た!」

 

「悪い?」

 

 何とSaint Snowの二人。鹿角聖良と鹿角理亞だった。

 年末に聞かされた練習の助っ人をしてくれるという話はほとんど冗談だと思っていたのだが、まさか本当に北海道からはるばる来てくれるとは。

 

「・・・・・・ていうか、その恰好・・・」

 

 再開の余韻もここまで。練習前に晴れ着姿でいるAqoursメンバーを見た理亞にジト目でツッコまれ、聖良には目を丸くされている。

 

「それじゃあ皆さん!」

 

 そんな二人の視線も気にせず、横並びに整列した九人は、千歌の音頭の後に声を揃えた。

 

 

 

「「「「「「「「「明けましておめでとうございます!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「うぅ・・・」」」

 

 振袖を理亞に引き剥がされ、いつも通りの練習着にコスチュームチェンジした九人が校庭でフルフルと震える。

 

「アンタ達やる気あんの?」

 

「いいぞもっと言ってやれ」

 

 ちなみに鹿角姉妹は薄手のジャージ姿だというのに震えることなくピンピンしている。流石は道産子と言ったところだろうか。

 

「いい学校ですね。私達と同じ、丘の上なんですね」

 

 校庭から浦の星女学院全体と、ここから一望できる景色を見渡した聖良がそう口にする。

 陸は一人だけ函館観光をしていないので詳しくは分からないが、あの二人の学校も丘の上に設立されているのだとか。

 

「うん。海も見えるし!」

 

「でも、無くなっちゃうんだけどね」

 

「「えっ・・・・・・?」」

 

 曜の言葉を聞き、驚いたように目を見開く聖良と理亞。

 

「何? 教えてなかったのか?」

 

「うん・・・、教えるような事でもないし・・・・・・」

 

 まあ確かにそんな簡単に扱っていい事象ではないだろうし、教えて変に気を使わせてしまうのも忍びないので、千歌の判断は間違ってはいない。

 

「今年の春、統廃合になるの。だから・・・・・・ここは三月でThe End」

 

 ほんの少し儚げな雰囲気を纏いながら、鞠莉が廃校の件を知らない二人に説明を入れる。

 

「そうなの・・・⁉」

 

「でも、ラブライブで集まって、生徒が集まれば・・・・・・」

 

「・・・・・・ですよね。私達も、ずっとそう思ってきたんですけど・・・・・・」

 

 もう割り切ったかのような表情を作りつつも、哀愁交じりの視線をグラウンドに向けるAqours一同。

 

「・・・そうだったんですか・・・」

 

「あ、でもね! 学校の皆が言ってくれたんだ! ラブライブで優勝して、この学校の名前を残してきて欲しいって!」

 

「浦の星女学院のスクールアイドルが、ラブライブで優勝したって。そんな学校がここにあったんだって」

 

 何かを掴めなかったからこそ発露した新たな夢。何かを諦めざるを得なかったからこそ見つけ出せた、皆の望み。

 現実からの妥協だと言われるかもしれないが、それでも彼女達にとっては、自分達の心を照らしてくれる光だから。

 

「・・・最高の仲間じゃないですか! 素敵です!」

 

 感銘を受け、目を輝かせてはそう言う聖良。

 初対面時の彼女からは仲間なんて言葉が出て来るなどとは想像しにくいが・・・、本人に言ったら怒られそうなので黙っておく。

 

「だったら、遠慮しないよ」

 

 理亞も考えている事は同じなのか、引き締めた表情を向けてくる。

 

「・・・マジ?」

 

「マジ」

 

「マジずら?」

 

「マジずら」

 

「マジですか・・・?」

 

「だからマジだって言ってるでしょ!」

 

「仲いいなお前等」

 

 一年生四人は函館の一件ですっかり打ち解けたようで何よりである。

 ともあれ、ラブライブ決勝を目前に控えたこの時期に実力のあるSaint Snowの協力が得られるのは心強い。

 

「・・・こうして時って、進んでいくんだね」

 

 不意に鞠莉の零した呟きが耳朶に触れる。

 どこか寂し気な響きを含んだその声は、ただただ静かに、閑散としたグラウンドに溶けていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふやぅぅ~・・・・・・」

 

「お正月ですからね。皆さん」

 

 いざ練習に突入したはいいが、あまりの体たらくに聖良に呆れ気味の溜息をつかれてしまう。

 

「どういう事ですの・・・・・・?」

 

「だいぶ身体が鈍ってるって事よ」

 

 先程の振袖姿での集合で薄々察してはいたが、やはり皆心のみならず身体まで正月モードのままだったらしい。

 体力お化けの果南を除き、Aqoursメンバーは総じて突然の運動に息を切らしていた。

 

「身体を、一度起こさないとダメですね。校門まで坂道ダッシュして、校舎を三周してきてくれませんか?」

 

「「「ええぇっ⁉」」」

 

「さっき言ったよ、遠慮しないって」

 

「気張れー」

 

 一人蚊帳の外から殆ど感情の籠っていない応援を飛ばす陸。

 ちなみに陸も一緒に走ってはいるが、例え身体が鈍っていようとゼロがいるので全く問題はない。

 

「はい! スタートです!」

 

 聖良の掛け声で皆渋々腰を上げ、浦女へと続く道を駆け上がり始める。

 

「これ、やりがいあるよね♪」

 

 重い足取りで坂を登るメンバーの中、やはり一人だけピンピンしている果南が先頭を取り、瞬く間に後続との距離を開いていく。

 

「・・・・・・」

 

 遅れて少女達の後ろを走っていた陸が、目を細めてそんな彼女の背中を見据える。

 

(・・・・・・海外研修・・・)

 

 誰にも相談していなかったという事はそれなりの事情があるのかもしれないが、このままでは蟠っているものが晴れない。やはり聞いておくべきだろう。

 

「せんぱ―――ずらぁ⁉」

 

 そう決めたら後は速かった。

 泣きつこうとしてきた花丸には一瞥もくれず、陸は果南に追い付くべくその速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 今日は花丸ちゃん助けなくていいの?」

 

 一足先にゴール地点で待機していると、一人だけぶっちぎりで校舎三周を終わらせた果南が到着する。予想はしていたがやはり一着か。

 

「・・・なあ、姉ちゃん」

 

「ん~?」

 

 陸が恐らく今頃グラウンドでヒーヒー言っているであろう花丸を助けずにここにいるのは訳がある。

 今目の前で水の入ったペットボトルを傾ける彼女にとあることを聞くためだ。

 

「・・・・・・姉ちゃんはさ、卒業した後にどうするとか・・・・・・決めてんの?」

 

 陸が口にしたその問いに反応し、ぴくりと果南の形のいい眉が揺れる。

 

「・・・もしかして、見ちゃった?」

 

 軽い苦笑いに、陸は申し訳なさげに頷いて返す。

 

「・・・・・・ごめん・・・」

 

「いや、どうせ陸にはその内言うつもりだったから別にいいけどね」

 

後頭部を掻いて「見られちゃってたかぁ・・・」と続けながら、どこか照れくさそうにも見える仕草を見せる果南。

そして次に彼女が語った事は―――、

 

「私ね、卒業したら海外でインストラクターの資格、ちゃんと取りたいんだ」

 

 求めてはいたが、心のどこかで拒んでもいた答えが返ってくる。

 

「・・・そっか」

 

 果南の海好きは小さい頃から既知の上だし、それを生業にしたいと思っていたのも勿論知っていた。

 だがそれでもやはり、本人の口から改めて告げられると感じるものも違ってくる。

 

「・・・何? もしかして寂しいの?」

 

「うっせ・・・・・・」

 

 にやけっ面を向けられ、反射的に顔を逸らしてしまう。

 そういえば、「言葉にしないと伝わらない想いもある」だったか、鞠莉とすれ違っていた時の果南に陸が告げた事は。

 過去にそんな事を言ってしまった故か、ここで言葉にしなかったらいつか後悔するかもしれない。そんな気持ちが頭を過って―――、

 

「・・・・・・寂しく思ってなかったら、わざわざ聞きに来るわけねーだろ・・・」

 

 久々に言葉にしたかもしれない、正直かつ純粋な感情。

 素直に口にしてみたものの、やはり付き合いの長い手前慣れない事をやるというのはこっぱずかしい。

 果南にはどう受け取られたのか、少し気になって逸らした視線を戻してみると―――、

 

「・・・・・・う・・・」

 

「いひひ・・・♪」

 

 珍しいものが見れた事に加え、寂しがっている事が知れて嬉しかったらしく、余計に笑みを深められていた。

 

「陸はそういうところあるよね~。どれどれ、お姉ちゃんが慰めてあげよう♪」

 

「だあぁぁ! いちいち抱き付くな!」

 

 いつも通りハグで捕縛され、どこのとは言わないが柔らかい感触を感じる。

 反抗的な態度は見せつつも、やはり心地よく思っている自分もいて。

 

 

 あと何回、こんなやり取りが出来るのか。そんな不安を抱いているのはきっと陸だけではないはずだ。

 

 だがそれでも終わりと別れは、一歩、また一歩と近づきつつあるという事もまた、改めて感じざるを得ないのだった。

 

 




果南大好きだったりツンデレだったり寂しがり屋だったり。陸が一番ヒロインしてませんかねこれ。
てかこの小説陸と果南イチャイチャし過ぎじゃね?もう結婚すればいいのに。


とまあそんな冗談はさておき、今回よりアニメ十話の話です。
作者個人としても十話は結構好きな回でして、やっぱりダイかなまりは尊いんだなぁって。
まあ、ゼロライブではその辺のシーンはほぼカットですが(笑)
そして何やらゼロも陸の不穏な臭いを嗅ぎ取ったみたいで・・・?そろそろ物語も佳境に差し掛かって行きまっせ。

ちな、冒頭でサラッと流しましたがグレンとミラーナイトはここで退場となります。今後の展開的に動かしにくいので。


それでは次回で!

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