ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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あけましておめでとうございます!深夜から新年一発目投稿です!

あぁ…今年から受験生か……。
多分めっちゃ更新ペース落ちると思いますがご了承願います。

本編どうぞ。



百十九話 地獄惑星からの挑戦

 

 

 

「昨日は悪かった」

 

 閉校祭当日。

 既に生徒と外部の客で賑わい始めた浦女に着くや否や陸は花丸の元へ赴き、頭を下げた。

 

「大丈夫ずらよ。昨日も言ったけど、気にしてないから・・・」

 

 そう言う花丸の首元には微かだが昨日の痕が残ってしまっている。

 懐いてくれている後輩にこんな傷を作ってしまったのだと思うと、許して貰っているとは言え、罪悪感は禁じ得ない。

 

「今日はせっかくの閉校祭だよ? そんな暗い顔してないでいっぱい回るずら~♪」

 

「お、おい・・・」

 

 そんな陸の心境を悟ったのか、明るく振舞っては腕を引いて出店の方へ進んでいく花丸。

 彼女も胸に引っ掛かっているものが色々あるだろうに、それでもこちらの特殊な事情を悟って何も言って来ず、むしろ励まそうとしてくれている。改めて花丸の優しさに触れた気がした。

 

「まずどこから行くずら? たこ焼きとかりんご飴とか焼きみかんとか、鞠莉ちゃんの新作シャイ煮もあるみたいずら!」

 

『全部食い物じゃねーか・・・・・・』

 

「・・・ああもう、奢ってやるから好きに回れ」

 

「いいの? まるは出店全部制覇する気概でいるよ?」

 

「好きにしろ。先輩風びゅーびゅーに吹かせたい気分なんだよ」

 

 だが、何度も裏切るようで花丸には悪いが、陸はまだ純粋にこの祭りを楽しんでいない・・・・・・いや、楽しんではいけない。

 今日この場所でダークネスファイブが一人、地獄のジャタールがゲームとやらで挑んでくる。

 

「じゃあシャイ煮から行くずらー!」

 

 花丸だけじゃない。ここにいる皆、想いの形は違えど、この閉校祭を楽しんでいる。

 だからこそ、それを壊しかねないジャタールの卑劣なゲームに打ち勝たなくてはいけないのだ。

 

 無邪気な後輩に腕を引かれながら、陸は決意を固めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな様子を上空から眺める影が一つ。

 

「・・・・・プレイヤーは揃った」

 

 ヒッポリト星人―――地獄のジャタール。

 その瞳に映しているのは仙道陸でもウルトラマンゼロでもなく、彼等と関わりの深い一人の少女。

 

「・・・惰弱な地球人が何を選択するか・・・・・・見物だな」

 

 ステルス迷彩を施した宇宙船が浦の星女学院の真上で制止し、校舎を囲うようにエネルギーを放出していく。

 

「ヒョホホ・・・・・・ゲームのスタートだ・・・・・・!」

 

 朧げに揺れたジャタールの影が虚空に消える。

 閉校祭の開催は―――、その直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「? どうかしたずら?」

 

「いや・・・・・・ホント食うよなお前・・・、まあ別にいいんだけどさ・・・」

 

 小言を口にしながら軽くなった財布をポケットにしまう。

 現在、完全に冗談で言ったものかと思っていた花丸の全店制覇というのが現実になりつつあり、戦慄しているところである。胃袋にブラックホールでも隠し持っているのだろうかこの子娘は。

 

「・・・・・・ていうか、陸ちゃんずっと花丸ちゃんと一緒に回ってたの?」

 

 現在来ているのは千歌達のクラス。このクラスは喫茶店をやっていたらしく、教室内には和風テイストのウエイトレス姿の生徒がチラホラ見受けられる。

 

「・・・・・・そうだけど・・・、何か問題でも?」

 

 千歌とてその例外ではなく、周りと同じウエイトレス姿で接客に来てくれたはいいのだが・・・何故か花丸と一緒にいる事を目撃されてからというもの、ずっと目を細めたままだ。

 

「えーっとまぁ・・・別にそういう訳じゃないんだけど・・・・・・」

 

 口籠られても陸にどうしろというのだろうか。それともそんなに伝えにくいことなのか。

 どちらにしろ煮え切らない千歌を見かねたのか、後ろから助け船が飛んできた。

 

「ちーか! そろそろ交代の時間だよね? 少し校内見て来なよ!」

 

 声の主はむつ。千歌とは比較的親密な方のクラスメイトで、陸も夏に知り合っている。

 そのせいなのか、彼女の言動は割と陸の前でも遠慮がない。

 

「恋ってのは度胸だよ! 恐れずぶちかましてこいやぁ‼」

 

「わー! そーいうのじゃないからぁ‼」

 

 何のやり取りか陸にはサッパリだが、周りの連中は理解が出来たのか、くすくすと笑う者だったり妙な視線を陸と千歌に注ぐ者もいる。

 

「もう! 皆して私の事からかって~・・・・・・! 行こう陸ちゃん!」

 

 発生した謎の空気が嫌だったのか、少し頬に赤みを差しながら衣装を脱ぎ去り、陸の手を取って教室から出ていこうとする千歌。

 

「仙道君も頑張ってね~」

 

「何をだよ」

 

 むつの冷やかしに適当に返しつつ、特に抵抗する気もないので千歌と二人妙に居心地の悪くなった教室から脱出する。

 ちなみに花丸はそろそろ孤独な善子の手伝いがあるそうなのでたった今離脱した。ここからは千歌と二人だ。

 

「とりあえず適当に回ってみよっか」

 

「・・・だな」

 

 一応くるっと校内は一周したが、花丸が食べ物にしか興味を示さない為、展示やゲーム等は全てスルーしている。

 千歌ならそちらを選ぶだろうし、少なくともまた同じ店に行くという事はないだろう。

 

『おい千歌。曜と梨子は一緒じゃねーのか?』

 

「曜ちゃんは別の教室で果南ちゃんと出し物。梨子ちゃんは仕事終わったらどこか行っちゃった」

 

「ふーん・・・」

 

 皆それぞれ閉校祭を楽しんでいるようで何よりである。

 それほどまだこの学校でやり残した事があるという事なのだろうか。

 

「・・・・・・どうかした?」

 

「・・・あ?」

 

 不意に、千歌が顔を覗き込んできた。

 

「・・・どうかしたって・・・、なにが?」

 

「なんか陸ちゃん・・・・・・楽しくなさそう」

 

 不安気な視線が刺さり、その瞳には確信に近い何かの色が映っている。

 流石は幼馴染。ジャタールの事で警戒心を張り巡らしている事を薄々感じ取ったらしい。

 

「・・・また何かあったの?」

 

 そしてやはりその問いが飛んでくる。全部一人で抱え込んで崩れた過去があるため、余計に心配されているのだろう

 その優しさは素直に嬉しいものだ。

 

「別に何も・・・どうした急に?」

 

 だがそれでも、今起こっている事を伝える訳にはいかない。

 危険が及ぶかもしれないとかそんな仮定の話じゃない。今回に関しては本当に危険が及ぶからだ。

 

―――――ゲームの事を他の者に伝えた場合は・・・そやつのブロンズ像が完成するものと思え

 

 昨夜、去り際にジャタールが残していった言葉。

 ブロンズ像を好きに操れる奴が相手では、誰かをブロンズ化された時点で勝負は負け。

 奴等の標的である千歌とて例外ではない。むしろ殺してからネクサスの光を摘出する事など平気でやってきそうな連中だ。

 だからこそ、話す訳にはいかない。

 

『・・・・・・賢明な判断だな』

 

「『ッ⁉」』

 

 探してこそいたが、聞きたくはなかった声が研ぎ澄ませていた聴覚に響く。

 

〈・・・・・・ブロンズ野郎・・・!〉

 

 周りの人間が反応していないのを見る限り、これは陸のみに向けられたテレパシーのようなもの。

 隣にいる千歌に勘付かれないよう注意し、陸は警戒心の糸を更に張りつめさせた。

 

(・・・どこだ・・・)

 

 周囲に巡らせる視線に映り込む赤と青の影。

 それがこちらを挑発するように手招きするジャタールだと分かると、自然に床を蹴り飛ばしていた。

 

「え・・・? 陸ちゃん⁉」

 

「悪い・・・! 埋め合わせはする‼」

 

 この閉校祭は絶対に壊させやしない。

 戸惑う千歌の声を背に、陸は人混みの中を縫うように駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わざわざご苦労だったな』

 

『そう思うんならここまで鬼ごっこさせんじゃねーよこのブサイク野郎』

 

 ジャタールを追って校舎裏の塀を飛び越えた辺りで追いかけっこは終わった。

 人格を表に出したゼロが目端を吊り上げ、閉校祭を壊してしまうやもしれん輩を睨みつけている。

 

『まずはまんまと罠に引っ掛かってくれてありがとうと言おうか・・・』

 

『・・・・・・んだと?』

 

 ブサイク扱いされ、ゼロランスを突き付けられてもジャタールは余裕の表情を崩さない。

 その一切瞳孔の動く様子のない瞳には何を映しているのか、まるで伺えない。

 

『あれを見てみろ』

 

 ノズル状の口を弄ぶのを止めた奴の腕が陸の後方を指す。

 そこにあるのは陸が先程までうろついていた浦の星女学院だが、普段見る光景とは何かが違う。

 

『ヒッポリトカプセル⁉』

 

 宇宙船から伸び、校舎を覆う透明な壁を見て驚愕の声を上げるゼロ。

 

『流石にカプセルの存在は知れ渡っていたか・・・・・まあ、かつて我が同族が猛威を振るったからな』

 

 両腕を広げた語るジャタールに、以前ゼロから聞かされた不穏な単語と、その恐ろしさが脳裏を過る。

 ヒッポリトカプセル。奴等ヒッポリト星人が所有する切り札的アイテムであり、その効果は閉じ込めた対象を一定時間でブロンズ像に変えてしまうという恐ろしいもの。

 

『チッ・・・・・・!』

 

 それが浦女を覆っているということは、学校自体と、そこにいる全員が人質にとられたようなもの。

 とにかく早急に対処しなければ、閉校祭を楽しんでいる皆がブロンズ像になってしまう。

 

『そんなモンすぐに叩き壊してやらぁ‼』

 

 あのヒッポリトカプセルがジャタール自身のものでないならば、あの宇宙船を叩けばカプセルは壊せる。

 ウルティメイトブレスレットから出でたゼロアイを掴み取り、目元に装着しようとした刹那―――、

 

『やらせるか‼』

 

『ッ⁉』

 

 当然横から割って入った巨大な槍が陸の腕を襲い、手の中に握られていたゼロアイを弾き飛ばしてしまう。

 

『ウオオォォオォォォ‼』

 

『マグマ星人・・・・・・! テメェ‼』

 

 間髪入れずに襲い掛かって来たのはサーベル暴君マグマ星人。

 予期せぬ攻撃に気を取られ、校舎の方へ吹っ飛んで行ったゼロアイの行方を見失ってしまった。

 

『都合よくウルトラゼロアイだけすり抜かせやがって・・・・・! この野郎‼』

 

『ぐおぉッ⁉』

 

 ヤケクソ気味に身体を翻し、マグマ星人の鳩尾に鋭いニーキックを叩き込む。

 不意こそ打たれたが正面切って戦えばゼロの敵ではない。追撃の裏拳を脇腹にめり込ませ、その黒い身体を薙ぎ払った。

 

『ブロンズ野郎‼』

 

 変身を封じられた以上はジャタールを叩くしかない。

 

『デエェェェイ――――――だあぁっ⁉』

 

 構え直したゼロランスを手に地面を蹴るが、その直後に硬い感触の何かに激突。

 見れば陸を閉じ込めるように半透明の壁が生成されており、ゼロの力で攻撃を加えても壊れる気配がない。

 

『クソッ・・・! 俺等まで・・・・・』

 

 それがヒッポリトカプセルだということは問うまでもなく理解できる。

 マグマ星人と交戦している隙を突かれてしまった。

 

『おいブロンズ野郎! 俺達にゲームを挑むんじゃなかったのか‼』

 

『ギョポッ・・・! いつから・・・・・・、ゲームのプレイヤーが貴様等だと錯覚していた?』

 

『なに・・・・・・?』

 

 憤慨するゼロに、ジャタールは驚愕の言葉を返してくる。

 

『貴様等はまだブロンズ像にはせん。そうなるかはゲームの結果次第・・・・・・あの娘が何を選ぶかだ』

 

『あの娘・・・・・・? 今度は誰に手を出そうってんだ‼』

 

『それを貴様等が知る必要はない。言っておくがそのカプセルは内側からは絶対に壊せんぞ・・・・・・さらばだ』

 

『待ちやがれこの野郎!』

 

 全身全霊の力を込めてカプセルを叩き付けるも、奴の言葉の通り壁にはヒビすら入らない。

 消えていったジャタールの影を見て、陸もゼロも歯嚙みをする事しか出来ないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「皆~! 浦の星アクアリウムへようこそ~!」

 

 装飾により、まるで海の中のように青く染め上がった教室内。

 海底を模したセットの裏からみとシーのマスコットであるうちっちーの着ぐるみを装着した曜が登場し、観客である園児達に手を振る。

 

「元気かな~?」

 

「「「元気―‼」」」

 

「は~い!」

 

「ここは広くて深~い内浦の海!」

 

 別個体の着ぐるみを纏った果南の登場に再度園児達が声を上げる。

 

 これが曜と果南の教室に海を再現しようという計画。同級生の皆が見るには退屈だろうが、園児達を喜ばせるにはピッタリだろう。

 

「よーし、じゃあ皆も――――――」

 

 

――――がしゃあぁぁぁぁん‼

 

 

「「「「わああぁぁぁぁぁッ⁉」」」」

 

 企画もシメに入ろうとしたその時、前触れもなく何かが砕ける音がし、それに驚いた園児達の悲鳴が響く。

 

「なに・・・・・・?」

 

 曜も心臓を飛び上がらせつつ音源の方に視線をずらすと、床に錯乱するガラスの破片と、窓が割れた原因であるらしい代物が目に入る。

 

「あれって・・・・・」

 

 駆け寄って拾い上げたそれは、銀の中に赤と青のラインが走るメガネのような形状をしたアイテム。

 陸とゼロが変身の際に用いている・・・・・・ウルトラゼロアイだ。

 

「なんでそれがここに・・・?」

 

 ゼロアイの存在を認識したらしい果南も、園児達を宥めつつ心配そうに疑問を紡ぐ。

 

「何かあったって事かな・・・?」

 

 思えば今日は陸の姿を見ていない。

 この閉校祭の裏で蠢く陰謀と戦っていたのかもしれないが、その彼の所持品がここに飛んできたという事は間違いなく何かあったという証拠だ。

 

「・・・私ちょっと校舎見てくるよ。曜はこの子達―――」

 

『悪いがプレイヤーは貴様ではない』

 

 不気味な声が反響すると同時に、教室を飛び出そうとした果南を捕らえるように半透明のカプセルが出現した。

 ごちんと派手に額をぶつけた果南に駆け寄ろうとするも、すぐさま感じ取った気配に足が止まる。

 

『ヒョホホ・・・・・・久しいな。渡辺曜』

 

「・・・ぁ・・・」

 

「アンタ・・・!」

 

 続いて出現した宇宙人の姿に曜は思わず身体を震わせ、カプセルに閉じ込められた果南は敵意を込めた視線を突き刺す。

 その暗い赤と青の体色には、トラウマに近しい過去の記憶が呼び起こされた。

 

『よもや忘れたとは抜かすまいな、あの日の事を・・・』

 

 忘れたくても忘れられない、ラブライブ夏大会東海地区予選の日の出来事。

 物言わぬ銅像と化した友人と、徐々に固まっていく自分の身体にただただ怯えた記憶が脳裏を過った。

 

 

『これは私からの挑戦だ。大切な者を秤に掛ける勇気が・・・・・・貴様にあるかな・・・?』

 

 幸せの色に満ちていた閉校祭の雰囲気が、全く別の色に塗り替えられる。

 恐怖と因縁が入り混じる中、地獄のジャタールの微笑が青く照らされた教室内に溶け込んでいった。

 

 

 

 




新年から推し(⁺果南先輩)を虐めようとする男、がじゃまる。

公式から散々な扱い受けてるジャタールさんが活躍してますね~。劇中でヒッポリトカプセルを使う描写はありませんでしたけど、この小説では使える事にします。
さて、ゼロアイを失い、更にカプセルに閉じ込められてしまった陸はどう行動するんでしょうね~?

・・・・・・劇場版公開直前にとんでもねえモン書いたなとは自分でも思いますがね~(笑)

それでは次回で!
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