Aqours5thも1週間前となったので更新しますた
ラブライブ9周年で色々な発表がありましたね。個人的にはSaint SnowのPV付き1stシングルが嬉しすぎます
そして虹ちゃんの1stライブに加え、まさかのμ’sも交えた3グループの合同ライブ!
……ま、自分どっちも大学受験とセンター試験で行けませんけど(泣)
長くなりましたが本編どうぞ、第三部開幕だぜぃ!!
百二十四話 決壊
状況が飲み込めなかった。
今目の前で起きている事が、自分が耳にした曜の言葉が本当に現実なのか。
「よ・・・・・・曜・・・?」
聞き間違いでなければ、彼女はその口で陸の事を「嫌い」だと言った。
今まで見た事もない、冷たい顔で。
「・・・・・・冗談・・・だよな? お前昨日と言ってる事正反対・・・・・・」
「・・・ほんとに何言ってんの?」
純然な疑念の他に、嫌悪や蔑視の渦巻く瞳が向けられる。
それを見てしまえば、曜は今ふざけているとかいう訳ではなく、本心でそう言っている事くらいすぐに分かった。
「とにかく、関わらないでよね。陸といるとこ見られたくないから」
そう吐き捨て、足早に陸から離れていく曜。
呆然と眺めるその背中に、ほんの昨日まで隣にいたはずの彼女は見る影もない。
まるで、別人にでもなってしまったかのように。
「・・・なんだってんだよアイツ・・・」
『単純にフラれた・・・・・・って訳でもなさそうだな・・・』
何か曜が怒るような事をした・・・という記憶はない。
となると、昨日の告白を見ていた第三者が曜に干渉し、何か手を加えた可能性が高い。
『・・・とりあえず先回りだ。アイツが他の皆に接触する前に状況を共有しておいた方がいい』
「・・・分かった」
ゼロの提案に従い、自転車に跨っては全力でペダルを踏む。
(・・・・・・曜・・・)
いつも背中に感じている温かさがないだけで、毎朝通る道も全く別物に思える。
そんな一抹の寂しさも乗せ、自転車は疾風のような速度で通学路を駆け抜けるのだった。
「梨子‼」
普段は三十分ほど掛かる道を十分で走り切り、十千万旅館前に到着。
そこでバス停に向かう紫檀色の長髪が目に入り、陸は焦るままにその名前を呼んだ。
「・・・・・・」
だが当の梨子は一瞬こちらを見たのみで、まるで無視でもするかのように返事をする事も、歩く足を止める事もしなかった。
「っ・・・・・・おい! 聞こえてんだろ⁉」
曜と似たような反応にますます焦燥感は募り、少し声を荒げてすぐそばにまで詰め寄る。
そこでようやく焦点を陸に合わせた彼女が口にした言葉は―――、
「・・・近寄らないで」
無機質な声音に身体が硬直する。
重ねた彼女の瞳もやはり敵意の籠った、昨日までとはまるで違ったものとなっていた。
「・・・・・・どうなってんだよ・・・おい・・・!」
梨子の乗り込んだバスが見えなくなってから、震える声を零す。
何かタチの悪い冗談だろうか。悪い夢でも見ているのだろうか。そんな事ばかりが頭の中を駆け巡る。
分からない事だらけだが、何か水面下でヤバい事が進行している。それだけは理解出来た。
「・・・他の皆なら何か―――」
「無駄だよ」
とにかく他のAqoursメンバーの所へ向かおうとした陸を制止する一声。
「誰の所へ行っても変わらない。曜ちゃんや梨子ちゃんと同じ反応が返ってくるだけさ」
「・・・オウガ・・・?」
音もなく現れ、儚くも抱いていた陸の希望を打ち砕くようにそう言い放ったのはカドー星人オウガ。
彼までも自分を敵視しているような事はなく微かな安堵を覚えるが・・・それ以上に疑問も覚えた。
『・・・お前、何が起きてるのか知ってるのか』
「ああ・・・・・・悔しいけど、まんまとやられたよ」
ゼロに問われ、いつになく深刻味を滲ませてオウガはそう答える。
「警戒して然るべきだったんだ。・・・ベリアル復活のための時間的余裕があまり残されていない今の状況で奴等が動かないはずがない」
「? どういう・・・」
「こんなことが出来るのはダークネスファイブには一人しかいない。・・・メフィラス星人のスライだけだ」
『――――――ご名答』
「「『ッ・・・!」」』
不意に耳朶に触れたこの場にいる誰のものでもない声に、今度は何だと警戒心を強める。
声のした方、つまり陸達の上空を見上げればそこには白い甲冑を着こんだ宇宙人―――メフィラス星人魔導のスライの姿があった。
『ふふふ・・・・・・私の仕掛けたゲームは楽しんで頂けているようですね』
「・・・史上最高のクソゲーだよスライ。いくら何でも趣味が悪いんじゃない?」
『そうですか・・・・・・ですが、どんなゲームでもクリアしない事にはエンディングは訪れませんよ。・・・でしょう? 仙道陸』
オウガをスルーして陸を捉えたスライの双眸から伝わる隠す気もない悪意を跳ね返すように、陸も睨みを利かせて対抗する。
「お前何しやがった・・・!」
曜も梨子も普通じゃなかった。
もしオウガの言葉の通りスライが彼女達に何か手を出し、歪めたのならば。そう考えるだけで沸々と怒りが湧き出てくる。
『簡単な事ですよ。私が彼女達の・・・いや、この地球に住まう者達の記憶を塗り替えた―――――ウルトラマンゼロは人類の敵だ・・・と』
『・・・・・・何だと・・・?』
淡々と告げられた奴の所業に戦慄する。
ゼロが人類の敵。となると、先程曜達が向けてきた嫌悪の正体は―――、
『特にその正体を知るAqoursの皆さんには、貴方達に対する一際強い憎悪を植え付けてあります・・・・・・無事彼女達を正気に戻せたならば私の負けを認めましょう』
「馬鹿言ってんじゃねぇ・・・・・・さっさと戻せよ!」
音速で薙いだゼロランスが奴の身体を掻っ捌くものの、立体映像で映し出されたそれが損傷したところでスライ本人には何のダメージもない。
『・・・・・・ラブライブの決勝戦・・・でしたか? それまでにクリアできる事を祈ってますよ・・・・・・では』
「ふざけんな・・・・・・ふざけんなッ‼」
スライの影が消え失せ、陸の怒号だけが孤独に響く。
何が目的でこんな事に及んだのかは分からない。だがまるで物を扱うかのように気持ちを踏み躙り、記憶や感情を操作する奴の行為を許せるわけがなかった。
地球人は・・・Aqoursの皆はスライの都合の良い道具じゃない。
「早く・・・早くなんとかしねぇと・・・!」
「落ち着けよ。・・・焦りに突き動かされたところでどうにもならないさ」
「じゃあこのまま大人しくしてろってか⁉」
腹立たしくて、それでもどうしたらよいのか分からなくて、ほとんど八つ当たりに近い叫びをオウガに浴びせてしまう。
「とにかく今は頭を冷やしなよ・・・・・・今の君じゃ、何も変えられやない」
そんな陸に対してそう言い残し、自らもまた焦りが払拭し切れていないといった顔で影となってゆくオウガ。
その身体が完全に消えていった後、残された陸が肩を落とす。
「・・・・・・どうしろってんだよ・・・」
ただ一人世界から孤立した少年の掠れた声が、誰の耳に届くでもなく虚空に霧散していった。
私は何もない真っ暗な空間を走っていた。
『いい加減認めろ。無自覚の内に募らせ、燻らせていた己の感情を』
いや、逃げていた。という方がいいかもしれない
影も、姿もないけれど、それでも確かに存在している誰かの声から、必死で。
『俺には分かる・・・貴様の中で激しく、醜く燃え上がる嫉妬の炎が・・・』
聞いていると頭がおかしくなりそうだった。
私が私で無くなってしまいそうな感覚が怖くてたまらなくて、とにかく必死で走った。
『妬ましいだろう? 憎いだろう? 仙道陸に群がり、貴様から奴を奪おうとするあの女共が』
「いや・・・・・・いやぁ・・・・・!」
不覚にも浮かんでしまった皆の顔を振り払い、そんな事ないと私自身に言い聞かせる。
『貴様は俺と同じだ。輝く者を妬み、それに及ばない自分を憎み・・・・・・その結果誰もかれもが離れていった。貴様も、すぐにそうなる』
「や―――あうっ・・・!」
竦んだ足がもつれて転んでしまう。
更に強い危機感を覚えて咄嗟に振り返ると、いつの間にか形を成していた黒い何かが私を飲み込もうとでもしているかのように影を広げていた。
『呼び覚ませ・・・・・・お前の深奥に秘めた闇を・・・・・・!』
「ひっ・・・!」
黒の中に浮かぶ、紅く、釣り上がった目が迫ってくる。
その瞬間だった。
「え・・・?」
目の前にぼんやりと光が燈る。
純白の羽のような光は次第にその輝きを増してゆき、やがては短剣のようなアイテムの形を成した。
「うあぁっ⁉」
導かれるようにして私がそれを掴むと光が更にその強さを増し、立ち昇った白銀の閃光が闇を切り裂く。
「っ・・・・・・!」
眩しくも温かいそれに包まれた、ほんの一瞬。
光の向こうに、銀色の巨人の姿が見えて――――――・・・・・・
「っ・・・! っ・・・!」
額にびっしょりと脂汗を浮かばせ。千歌は目覚めた身体を起き上がらせる。
「・・・はぁ・・・」
まただ。またこの夢だ。
二学期に入って以降、時々こんな夢を見るようになったが、やはり何度見ても慣れない。
しかもここ最近は夢に見る頻度が増えているから困りものだ。
「・・・・・・ん? これ・・・」
自分の手に何かが握られている事に気が付き、視線を落とす。
翡翠色の発行体や赤のラインが走る短剣が鞘に収まったような形をしたアイテムらしき物体・・・・・・夢で千歌が手にしたものと全く同じだ。
「・・・なんでこれが・・・・・・って、ええぇっ⁉」
抱いた疑問が時計という第三者によってもたらされた衝撃に打ち消される。
針が示す時刻は八時二十分。普段ならもう学校にいる時間・・・つまり完全に遅刻である。
「もおおぉ! なんで美渡姉も志満姉も起こしてくれないの⁉」
とりあえず謎のアイテムはスクールバッグの中に放り込み、急いでベッドから飛び降りる。
そして高速で着替えを済ますや否や自室を飛び出し、朝の挨拶も無しに学校へ向かって駆け出した。
「行ってきまぁ―――すっ‼」
急いでロクに周りを確認していなかったが故に、この時の千歌はまだ気が付いていなかった。
すれ違った人々、家族ですらも、自身に向ける視線が普段とは異質だったことに。
「せーっふ!」
家から全力疾走で学校まで辿り着いた千歌が教室に滑り込む。
どうしてか今日はものすごく身体の調子がいい。遅刻確定だと思っていた時間に間に合っただけでなく、ここまで走ってきたというのに疲れを感じない。
「あはは・・・寝坊しちゃったー・・・。おはよー曜ちゃん」
隣の席に座る曜を見て、昨日図らずも目撃してしまったある光景が想起されるも、それを振り払っていつものように挨拶。したところではたと足を止める。
「あれ・・・? 私の机は・・・?」
二年生に進学してからずっとこの教室にあったものが、何故か今日は忽然と姿を消していた。
閉校祭で机を別の教室に移動させてそのまま置いて来てしまったのだろうか。その事を曜に聞こうと顔を上げ、新たに気が付く。
何故か自分に向けられているクラス中の視線。その様子が、どうにもおかしい。
呆然とし、好奇や怪訝を含んだ少なくともこれまで千歌に向けてきた事はない。そんな視線だ。
「・・・どうしたの皆・・・、そんな目して・・・」
席がない事に加えて更なる違和感を覚え、不安のままに千歌もまた皆を見返す。
そしてその不安は、思いもよらぬ言葉によって的中する事となってしまう。
「・・・えっと・・・・・・誰・・・?」
「へ・・・・・・?」
腑抜けた声と共に、身体が硬直する。
しかもその言葉の主は、ずっと一緒にいた幼馴染であるはずの曜だった。
「え、ちょ・・・・・・あはは・・・・・・曜ちゃん冗談キツイなぁ・・・」
たははと笑いかけるも、曜は首を傾げるだけ。
他のクラスメイトも曜と同調するように不可解そうな目をするばかりだ。
「ねえ梨子ちゃん。これ何の嫌がらせ⁉」
曜たちでは埒が明かず、同じAqoursの仲間である梨子に助けを求める。
だが他の皆と反応は変わらず、彼女もまた千歌を知らないような素振りで苦笑いをした。
「その・・・・・・転校生か何かかな?」
「ッ・・・!」
いい加減頭に血が上った。
いくら友人でも、悪ふざけの度が過ぎている。
「もう! 何で曜ちゃんも梨子ちゃんもこんなことするの⁉ 一緒にスクールアイドルやってきたじゃん!」
地団駄と共に怒声を散らし、頭にきているんだという事を態度で示す。
「・・・スクールアイドルって・・・・・・何?」
それを目の当たりにしてもなお変わらない態度に、もう許せなくなるくらいの怒りが湧き上がってくるのを感じた。
「いい加減にしてよ‼ Aqoursだよ‼ 私も曜ちゃんも梨子ちゃんも、一緒に輝こうねって頑張ってきたじゃん‼」
千歌としては、皆これでこのタチの悪いイジメのような行為を止め、いつも通りに接してくれると思っていたのだ。
だがそんな理想は、次の瞬間に曜と梨子の口から紡がれた言葉によって打ち砕かれる事になる。
「あくあ・・・?」
「・・・ごめん、何かの勘違いじゃないかな?」
これだけ訴えても変わらぬ様子を見て、千歌はようやくただ事ではないと理解した。
悪戯でも悪意でもなんでもなく、彼女達は本気でそう言っているのだ。
千歌の事も、Aqoursの事も・・・・・・本当に覚えていない。
「・・・・・・なんで・・・・・・」
途端に今の今まで憤怒だった感情が悲しみに成り代わり、強張っていた身体から力が抜ける。
「・・・そうだ!」
千歌の鞄の中にある歌詞ノートやスマホには、これまでのAqoursの活動や一緒に過ごした日々の思い出が残っているはずだ。これを見せれば何か変わるかもしれない。
そう思い開いた鞄の中からは・・・今朝の夢で見た眩い光が溢れ出していた。
「・・・これって・・・」
光を放っていたのは、今朝起きた時に何故か千歌が握っていた謎の短剣。
そして夢の中同様、導かれるようにしてそれを掴むと―――、
「うえぇっ⁉」
視界が白一色に染まる。
それが短剣―――エボルトラスターによるものだと理解した時には、既に千歌の姿は教室から消えていた。
「う・・・」
視界を覆っていた閃光が止んだのを感じ取り、恐る恐る目を開く。
「ここって・・・」
今自分が経っている場所には強い見覚えがあった。
埃っぽく、誰が置いていったんだか分からない荷物がそこら中に置いてある暗い部屋。町がない。
共に笑い、騒ぎ、時に喧嘩もした・・・スクールアイドル部の部室だ。
「・・・・・・どうなってるの⁉」
ほんの昨日までここはAqoursの皆がいる部室だったはずなのに。今は春に千歌達が清掃をする前の物置場の姿に戻ってしまっている。
―――――あくあ・・・?
―――――・・・ごめん、何かの勘違いじゃないかな?
フラッシュバックする、始まりからずっと一緒に頑張ってきた二人の、何も知らないような表情と言葉。
信じたくない。そんな気持ちを抱きながらスマホを取り出し、全国のスクールアイドルが登録されたサイトでAqoursのページを開こうと試みる。
「っ・・・・・・⁉」
だが表示されたのは無情にも、『No Found』の文字。
「・・・嘘・・・、なん・・・で・・・・・・」
それはAqoursがこの世に存在していないという事実を克明かつ残酷に語る、確固たる証拠だった。
「・・・は・・・はは・・・・・・」
〈・・・陸・・・〉
もう乾いた笑いしか出てこない。
あの後、オウガの忠告にも耳を貸さず、焦りのままに各Aqoursメンバーの前へと赴いた。
だがそれはスライの言葉が真実だったという事を陸に突き付けただけで。
花丸も、善子も、ルビィも、ダイヤも、鞠莉も・・・・・・果南でさえも、まるで親の仇でも見るかのような嫌悪を向けてくるばかりだった。
「・・・・・・解けないのか? アイツの催眠・・・」
〈・・・アイツの種族、メフィラス星人の超能力は俺達ウルトラ戦士以上に強力だ。しかもラッキョウ野郎はメフィラスの中でも頭一つ抜けている・・・・・・悪いが・・・〉
ハッキリとは言い切らなかったものの、ゼロの力だけで打ち破るのは厳しい事を示唆している事は分かった。
〈ゲーム・・・と言っていたからには、恐らく俺がウルトラサインで救援を要請するのも無しだろうな。俺達で何とかするしかねぇ・・・〉
「何とかって・・・それこそどうするんだよ・・・・・・」
Aqoursの皆だけでなく、世間までもがウルトラマンゼロを敵だと刷り込まれてしまっている以上、Saint Snowの二人など他の人間に協力を求める事も不可能。
どう考えても、この四面楚歌の状況を打破できる方法が思い浮かばない。
〈・・・とりあえずは無事な者同士で情報を共有しておいた方がいいな。オウガが無事だったんなら、多分ルイズの奴も催眠の影響は受けていない。まずはアイツに接触しておこう〉
「・・・ん」
異星人に対抗するならこちらも異星人と協力する、という事なのだろう。
ルイズは元々ダークネスファイブ側に付いていた者だし、陸達よりあちらの都合に詳しい。加えてAqoursのファンともなれば協力してくれることは間違いないだろう。
そう思いルイズの潜むアパートの方角へ踵を返したその時、視界に入ってみかん髪の少女に意識を引き寄せられる。
〈・・・・・・どうしたんだアイツ・・・〉
いつも笑顔で明るさを振りまいていたはずの彼女だが、どうにも様子がおかしい。
俯き、とぼとぼと重い足取りで歩を進め、纏っている雰囲気は見るからに暗い。
「・・・・・・」
きっと彼女もスライの催眠下にある。顔を合わせたところで飛んでくるのは他のAqoursメンバーと同じ様な罵詈雑言だろう。
だが、これも幼馴染であるが故か。
もしかしたら彼女なら・・・・・・そんな思いが芽生えた刹那、引き寄せられるようにしてその名を口にしていた。
「・・・・・・・・・千歌・・・」
「っ・・・・・・!」
求めていた声が、耳朶に触れる。
顔を上げれば、そこには・・・、
「・・・ぁ・・・!」
誰もAqoursを、そして自分を覚えていなかった。
親しかった学友、共に歩んできた仲間、そして家族でさえも、誰一人として。
まるで元から自分がこの世界に存在していなかったかのように。
そんな絶望の暗雲に光を差したのは、他の誰でもない、自分にとって特別だった˝彼˝の声。
「りく・・・ちゃ・・・」
顔を上げれば、彼もまた自分と同じくらいに驚いたような顔でこちらを見ていた。
けれど、今はそんな事は気にならないくらいに嬉しくて。
「うおぁっ⁉」
衝動的に身体は動き、千歌は陸の胸の中へと飛び込んでいた。
「ひぐっ・・・・・・! あぁう・・・!」
二の腕で強く彼の身体を抱きしめ、顔を押し付けて嗚咽を漏らす。
陸自身も尻餅をついた状態で困惑つつも、その中に確かな喜びを映しているのは分かった。
「千歌・・・・・・お前・・・・・・」
「うぅ・・・っ・・・、ぅ・・・ああぁぁぁぁぁぁ・・・っ!」
つい今朝までモヤモヤしていた曜が彼に気持ちを伝えた件。そんな事は本当にどうでもいい。
今は陸の胸の中でただただ、声と涙が枯れるまで泣き続けた。
と、いう訳でこちらのカオスが第三部の開幕となります。我ながらとんでもねぇことしちゃったなぁと。
世界中の敵となった陸とゼロ、皆の記憶から消えた千歌、存在しなくなったAqours、遂に千歌の手に渡ったエボルトラスター
皆さんの反応が知りたいので今回ばかりは露骨に感想お待ちしてます!!
5thはまたバキシム君持ってるので見かけたら「変なのいるな」とでも思ってください。声掛けてくれたら喜びます
それではまたその内に!