ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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数週間ほど前からWi-Fiがイカれて思うように更新できません(泣)


百三十四話 衝撃は終わらない

 

 

 

 声を出す事も、身体を動かす事も叶わない。重く圧し掛かる暗闇だけが延々と広がる空間に一人沈む。

 

『・・・そんな奴はもういない』

 

 闇の奥から声が聞こえる。自分の声だった。

 

『・・・久しぶりだな。逢いたかったぜェ・・・・・・』

 

 自分の声であって自分の声でないそれが闇の中で反響する。それでも何もすることはできず、動くのことのない身体が闇の底へと沈んでゆく。

 

『お前も俺に会えて嬉しいだろ・・・・・・・・・ゼロ』

 

(・・・なんか・・・・・・眠いや・・・・・・)

 

 思考すらも覚束なくなってゆき、意識までもが暗闇へと消えてゆく。

 一瞬、赤黒い双眸が瞬いたと思った次の瞬間には、押し潰されるように自分の全ては黒く染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈・・・・・・ベリアル・・・・・・ッ!〉

 

 何が起こったのか理解出来なかった。いや、理解したくなかったのだろう。

 最後に残った幼馴染が、最悪の存在と成り果ててしまった事を。

 

『・・・多少予定とは違うが・・・・・・まあいい』

 

 ベリアル。

 ウルトラマンベリアル。

 

 光の国で唯一の犯罪者であり、かつて何度も宇宙を恐怖に陥れた最強最悪の闇のウルトラマン。

 

 そんな存在が今目の前にいるのだ。

 ちっぽけな地球の少女・・・・・・それもよりにもよって、千歌の身体を我が物として。

 

〈お前・・・・・・どうして千歌に・・・!?〉

 

『どうもこうもない・・・・・・俺はずっとコイツの中にいた』

 

〈なに・・・?〉

 

『気付いていなかったのですか・・・? 一度だけあったでしょう。陛下と高海千歌が接触する機会が』

 

 陸やゼロはおろか、ダークネスファイブの面々でさえ直接ベリアルと相見える事はなかった。

 そんな中千歌だけがベリアルに触れる事など―――、

 

〈ッ・・・! 永久追放空間・・・!〉

 

 いや、一つだけあった。

 ラブライブ夏季大会地方予選決勝のあの日、突如ダークネスファイブの襲撃を受けたあの時だ。

 

 スライによってAqours九人が放り込まれた永久追放空間。あの目的はベリアルの魂の回収までの時間稼ぎではなく、ベリアルの魂を千歌に宿らせる事だった・・・という事になる。

 

『貴方達は高海千歌が近くにいれば陛下のお力が暴走しないのをネクサスの力と思っていたようですが・・・・・・実際は彼女の中にいる陛下が力を吸収していたからです』

 

 陸の力が膨らめば膨らむ程ベリアルに注がれる闇も増大していたと続けるスライに自分達までもが利用され、結局ずっと奴の手の上で踊らされていただけだったと悟る。

 催眠や殺戮で味方や親しい人を奪ったのも、陸に植え付けたベリアルの力を増大させるためだった。そうすることでより多くの力がベリアルに吸収させていたのだ。

 

『彼女の身体を支配下にさえ置ければ後は単純な話です。サイドアースでウルトラマンキングの力を吸収した時と同様、伏井出ケイから奪ったストルム器官でノアの光を反転させていくだけ・・・・・・ここまで光を蘇らせてくれた事には感謝しないといけませんね』

 

 Aqoursの歩みも、皆の努力や想いも、これまでの全てはベリアルを復活させるための茶番に過ぎなかった・・・スライの笑いはそう語る。

 

『・・・・・・だが、まだ足りねぇな・・・』

 

 絶望を更なる絶望で塗り潰すように千歌の身体を介してベリアルが動く。

 おもむろにライザーを手に取ったかと思えば、瘴気を纏って浮かび上がった二本の黒いカプセルをリード。

 

 

《フュージョンライズ!》

 

 

《ファイブキング》

 

《ゾグ 第二形態》

 

《ウルトラマンベリアル》

 

 

 ライザーによってカプセルのエネルギーが解放され、具象化した二体の怪獣が咆哮を上げる。

 直後に吸い上げられたそれらは千歌の身体を膨れ上がらせ、紅が瞬くと共に爆発した。

 

 

《キメラべロス!》

 

 

 真紅の翼が雄々しく、それでいて恐ろしく広がる。

 ベリアルをそのまま怪獣化させたかのような怪物はその体躯に似合わない程の速度で宙を駆け、ゼロダークネスを襲った。

 

『ヘアァァァッ!!』

 

 ウルトラマンのそれよりも肥大化した腕から伸びる爪が腹を掻っ捌く。

 これまでの敵とは比較のしようがない程の膂力に傷を開かれるどころか軽々と吹き飛ばされ、二度上下を逆転させた巨人が地面に叩きつけられる。

 

『フゥゥウアアアアァァァッッ!!』

 

 辛うじてベリアルの形を保つ頭部に熱が集約。開かれた口より放出された獄炎が焼け爛れる痛みを伴ってゼロダークネスを飲み込む。

 元よりエネルギーが底をつきかけていた状態での被弾は致命傷に等しく、一度の攻撃も許される事のないままゼロダークネスが膝をついた。

 

『フハハハ・・・! これで完成する・・・!』

 

 なおもキメラべロスは進撃を止めず、抵抗も虚しく掴み上げられてしまう。

 更に眼前でベリアルとしてのカラータイマーが煌いたと思った直後、その光に吸い上げられるかのような脱力感が最後に残った気力さえも掻き消してゆく。

 

〈コイツは・・・・・・ジードの時と同じ・・・ッ!?〉

 

 陸ごとその体内に宿る自身の力を吸収しようとしているのを悟るが、もはや踏ん張りも利かず徐々にゼロから引き剥がされる。

 やがてゼロダークネスの状態も解除され、ベリアルに飲み込まれるヴィジョンがハッキリと脳裏を過った。

 

 

 

『セアアァァァァッッ!』

 

『ジイィィィヤッッ!』

 

 

 

 

『グオオオォォ・・・・・・ッ!?』

 

 しかし。

 不意を突く形で天から降り注いだ赤と青の光線がキメラべロスを直撃。発生した爆発の余波が奴とゼロを引き離す。

 

『ぬうぅぅッ・・・・・・、誰だッ!?』

 

 光線の発生源、キメラべロスが怒声を散らした真上から舞い降りる二体の巨人。

 

 方や若さの中に無限の雄志を秘めたような赤い巨人。

 

 方や騎士を連想させる堅牢な佇まいの群青の巨人。

 

〈アンタ等は・・・!〉

 

 彼等もまたウルトラマンであることは明白であり、面識があるようなゼロが確かな驚きを持ってその名を口にする。

 

〈メビウス・・・・・・それにヒカリ・・・〉

 

『間に合った・・・・・・とは言えないけど、最悪の事態は防げたのかな・・・』

 

『すまないゼロ。この星を覆うように結界が発生していてな・・・・・・突破するのに時間が掛かった』

 

『結界・・・・・・そんなものは・・・・・・?』

 

 静かに語る青い巨人―――ウルトラマンヒカリの言葉に首を捻ったのはスライだった。

 そしてすぐにその答えを見つけたのか―――、

 

『貴方ですか・・・・・・』

 

 ここにはいない何者かへの溜息。

 それが霧散するのを待つことなく、ヒカリは赤い巨人―――ウルトラマンメビウスと共に最悪の敵へと視線を向けた。

 

『ベリアル・・・!』

 

『まさか蘇っていたとはな・・・・・・』

 

『ほぅ・・・・・・誰かと思えば。あの時のひよっ子とスターマークの研究者か。そんな状態で何しようってんだ』

 

 ベリアルの指摘通り、既にメビウスとヒカリのカラータイマーは点滅を始めている。恐らく件の結界を突破した際の消耗が激しかったのだろう。

 

『・・・陛下。ここは退きましょう』

 

 だが乗り気の帝王に対し、スライが提案したのは撤退だった。

 当然ベリアルの刺すような視線が向けられるが、スライは取り乱す事なく続けた。

 

『貴方様の御力を疑っている訳ではありません。ですが相手が相手です。復活なされたとはいえ、まだ不完全な状態で彼等を相手取るのはリスクが大きいかと』

 

『ぬぅ・・・・・・』

 

 論理性ではスライが勝るか、折れるようにベリアルが唸る。

 

『・・・仕方ねぇ。お前の働きに免じてそうしてやる』

 

『ご理解感謝致します』

 

『ッ・・・! 待て―――ッ!?』

 

 目くらましか、キメラべロスの放った光線が大地に着弾し濛々と火花を含んだ土煙を上げる。

 視界が晴れた時には既に奴等の姿はなく、かつてない程の敗北感だけがその場に残されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・とにかくゼロ。状況の説明を頼む」

 

 爽やかな印象を抱かせる青年、そして精悍な顔付きの男と顔を突き合わせる。

 この二人はウルトラマンメビウスとウルトラマンヒカリ。栄光のウルトラ兄弟にも名を連ねる光の国の戦士・・・その人間体だ。

 

『・・・状況も何も見ての通りだ。それに―――』

 

 ギンガやビクトリーと共に月面でUキラーザウルスと戦った際に駆け付けたウルトラマンタロウ。そのタロウの命を受け科学者であるヒカリとその相棒メビウスが飛来したのだとか。

 

 なんでも陸を調べに来たとの事だったが、そんなのは今はどうでもよかった。

 

「・・・・・・助けに行かないんですか・・・?」

 

 陸の口にした言葉に三人のウルトラマンの会話が止まる。

 

『・・・落ち着け。今のまま無策で突っこんでも何も出来る訳ねぇだろ』

 

「・・・けど・・・、このままじゃ千歌が・・・・・・」

 

 既にベリアルが復活し、キメラべロスへと変身してから半日以上が経っている。

 ネクサスの加護があるのかもしれないが、なにせあのベリアル。一刻の猶予だって残されてないはずなんだ。

 

「・・・・・・僕達も出来ればそうしたいんだけど、地球を覆う結界に阻まれて奴等の下までいけないんだ」

 

「しかもあのメフィラス星人の口ぶりから察するに犯人は奴等とは別・・・・・・つまり星を丸ごと覆えるような力を持っているか、もしくはそのような能力を持つ怪獣を使役している何者かがこの星にいるという訳だ。どちらにせよ迂闊には動けん」

 

 更にその結界のせいで光の国との交信も断たれ、応援を呼ぶことも出来ないというヒカリ。

 味方は限りなく少なく、敵はより強大に。控えめに言っても最悪な状況だった。

 

「・・・じゃあどうすんだよ・・・! どうすりゃいいんだよ・・・・・・!」

 

 その悲痛な呻きに返す声はなかった。

 ここにいる誰が悪い訳じゃない。けどやり場のない感情が蟠っていく一方で、どうしてもこのまま策が見つかるまで待つというのも耐えられない。

 

 流れ落ちて床を叩いた雫は、その表れなのだろうか。

 

「・・・なるほど・・・なし崩し的にヒカリに付いて来たけど、結果的に来て正解だったみたいだね」

 

 ようやく答えたのはメビウスだった。

 同情や哀惜。確かにそんな感情も含んでいるはずなのに、その瞳はどこか険しげでいて。

 

「君の気持ちは痛いほどわかる・・・・・・けど、その涙で何が出来るんだい?」

 

「え・・・・・・」

 

「・・・君は今、何のために戦ってるの?」

 

 圧すら感じるその言葉。

 それに答えられないでいると、何かを悟ったようにメビウスは息をついた。

 

「・・・・・・それが見つからない限り、前には進めないよ」

 

 構えたメビウスの左腕に宿る炎を模したようなブレス―――メビウスブレス。

 彼はその中心のクリスタルサークルを回転させると、迸った光ごと腕を天へと突き上げた。

 

 

「メビウ――――スッッ!!!」

 

 

 ∞の字を描くように立ち昇った光の柱が巨人の形を生成する。

 やがて出現したウルトラマンメビウスは陸を見下ろし、その心を試すかのように言った。

 

『今の君には足りないものがある。それを見つけるんだ・・・・・・君自身で』

 

 




メビヒカの前に少し解説を
千歌の中にいたベリアル陛下。一章でスライによって永久追放空間に放り込まれた時からずっと彼女の中にいた訳です
少しずつ陸のベリアルの力を吸収して復活した後、性質を反転させるストルム器官でノアの光を闇の力に変換…ジードの時と同じ事が起こっている訳です


そしてお待たせしました。ようやくメビウスとヒカリの参戦です
前回の章でアリゲラと戦って以来なので忘れてた人いますね絶対。うん

キメラべロスに変身なされた陛下に千歌が連れ去られた一方、メビウスは陸に何を伝えようとしているのか…

ちなみにスライが触れた通り二人が遅れた理由である結界を張った犯人はあのボンテージ仮面です('ω')

それでは次回で
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