ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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学校めんどい、受験勉強めんどい、友人関係が最もめんどい。

マイナスな事ばっか言ってすみませんね、本編どうぞ。


十四話 グループの名は?

 

 

「それが衣装か?」

 

「うん。後で細かい調整とかしないといけないから、早めに作らないとね」

 

 現在高海家。どうやって人を集めるかのアイデアが全く浮かんでこない為、息抜きも兼ねてライブの準備をしている最中だった。

 と言ってもやはり陸に出来ることは何もなく、ただそれを見つめている事しかできないのだが。

 トイレに行っている梨子も今さっきまでライブの曲の制作に追われているみたいだった。

 

(仕方ない。何もすることがないから俺達でどうやって人を集めるか考えよう)

 

〈単純にお前らの知り合いを呼ぶってのじゃダメなのか?〉

 

(それじゃ全然人数が足りん。もっと、知り合い以外の人を集める方法・・・)

 

〈やっぱウルティメイトフォースゼロを呼ぶしか・・・〉

 

(それは辞めろと言っただろ)

 

 頑なに自分の仲間を押してくるゼロ。そもそも来てくれるのだろうか。まあ、来られても困るのだが。

 

〈だったら何か多くの人に知ってもらえるような広告活動をしたらどうだ? 張り紙とかビラ配りとか〉

 

(ビラ配りか・・・、悪くないな。ここはともかく、沼津の方に行けばある程度の人はいるだろうし。・・・でも何でそんな事知ってるんだ?)

 

〈前にサラリーマンと一体化してたからな。ビジネスとやらは任せろ〉

 

(お、おう・・・・・・)

 

 興味のない話は聞かないとか言っていたのはどこに行ったのやら。

 

「・・・・・・おかしい・・・、完璧な作戦だったのに・・・」

 

 一人消えていた千歌が返ってきた。心なしか不機嫌である。先程姉である美渡の会社の人をライブに誘えないかの交渉をしに行ったらしいのだが、顔を見るにダメだったらしい。

 

「おまけに千歌には無理だーとか言われるし・・・・・・、おでこにこんなの書かれるし・・・」

 

 前髪を上げた千歌の額には、バカチカと黒ペンで書かれていた。

 

「まあ、ダメもとで行ったんだし文句言うな。ホレ、ウェットティッシュ」

 

「ありがと・・・」

 

 ふてくされ気味に陸からウェットティッシュを受け取る千歌。ここである事に気が付いたらしい。

 

「あれ? そういえば梨子ちゃんは?」

 

「さっきトイレに旅立って行った」

 

「そういえば遅いね。何かあったのかな?」

 

「あ、いた」

 

 探しに行こうとした千歌が襖を開けると、襖に足、手すりに手をかけてアーチみたいな恰好をしている梨子がいた。その下にはしいたけもいる。

 プルプル震えているのは体勢がきついからかしいたけが怖いからかは分からないが、多分どっちもだろう。

 

「何やってんの? 新種の遊び?」

 

「そういう訳じゃ・・・‥、なぁ!?」

 

 ついに力尽きたらしい梨子がしいたけの上に落下した。しいたけは特に騒ぐ様子もないが、梨子は青い顔になって瞬時に陸の背中に隠れた。

 

「おい。大丈夫か桜内?」

 

「な、何とか・・・」

 

 犬が苦手なのは知っていたが、これは相当なものらしい。

 

「そうだ。ライブの集客の話だけど、沼津の方でビラ配りなんかどうだ? あそこなら人も多いだろうし」

 

「そっか、その手があったね! 陸天才!」

 

「ふっ・・・、まあな」

 

〈お前いちいち俺の手柄奪うの辞めろよ〉

 

 そんなこと言われてもウルトラマンゼロが提案してくれましたという訳にもいかないし、仕方あるまい。

 

「それじゃ早速チラシ作り始めますか! 衣装の方も一区切りついたしね!」

 

「「おー!」」

 

 陸は掛け声にいつもなら絶対に入ってくる奴がいない事に気付いた。

 

「千歌? どうかしたか?」

 

 不思議に思った陸が千歌の顔を覗くと、千歌は額に手を当てながら悲し気に俯いた。

 

「これ、油性だった・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで翌日。陸達四人はチラシ配りの為に沼津に来ていた。

 ここなら駅前で人も多いし、学校帰りの学生もいる。チラシ配りには最適という訳だ。

 

「東京ほどじゃないけど、やっぱり都会ねー」

 

「そろそろ部活終わりの人たちが来るよ!」

 

「よーし、気合入れよー」

 

 千歌が先陣を切って通りかかった女子高生二人に近寄っていく。

 

「あの! お願いしまーす!」

 

 元気な声で呼びかけたはいいが、二人は聞く耳を持たずに通り過ぎて言ってしまった。

 

「・・・意外と・・・、難しい?」

 

「砂漠かよ。いつからここは東京になったんだ?」

 

「・・・東京もそこまでじゃないよ? 多少は興味持ってくれるよ?」

 

「こういうのは気持ちとタイミングだよ! 見てて!」

 

 そう言った曜は手頃な相手を見つけたのか、パタパタと目標に駆け寄っていく。

 曜が目を付けたのは、千歌の相手と同じような女子高生二人だった。

 

「ライブのお知らせでーす! よろしくお願いしまーす!」

 

「ライブ?」

 

「ライブって、あなたが歌うの?」

 

「そうであります! ぜひ来てください!」

 

「日曜日かー・・・、行ってみる?」

 

「良いんじゃない?」

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

 流れる様な動きで、あっという間にお客を確保してしまった。妙にこなれているが、経験があったりするのだろうか。

 

「すごい・・・」

 

「ああ、何だあの恐ろしいまでにスムーズな流れは。さっき後千歌のくだりが嘘みてーだ」

 

「よーし、私も!」

 

 そう言った千歌が今度は壁ドンをしてチラシを配りだしたことは見なかったことにして、今度は梨子の番だ。

 

「よ・・・、よーし」

 

 意気込んで飛び出した梨子の目の前。梨子にぶつかりかけて身構えた、マスクにサングラスにコートと言う、先日のダダより怪しい人物。

 

「えっと・・・、その・・・」

 

「な・・・、何よ・・・」

 

(女子?)

 

〈安心しろ、怪しい気配は感じないから地球人で間違いない〉

 

 怪しすぎて咄嗟に身構えてしまったが、彼女は地球人らしい。

 

「あの、よろしくお願いします!」

 

「・・・・・・」

 

 しばらくの沈黙の後、その少女は梨子からチラシをふんだくって走り去って行った。

 

「やった・・・」

 

「おう、お疲れさん」

 

 梨子は今ので自信がついたらしい。

 受け取ってもらえないのは千歌だけで、曜と梨子はその後もスムーズにチラシを配っていった。

 

〈そういえばお前は配らないのか?〉

 

(浦女は女子校だぞ。男の俺が配ったら不審者扱い間違いなしだわ)

 

〈お前何の役にも立ってねぇじゃん〉

 

(学校の連中に声かけます)

 

〈来る保証ねぇだろ〉

 

(甘いなゼロ。ウチは男子校だぞ? 常々女に飢えてるあいつ等が女子校でのライブと言う女子と関わるまたとないチャンス見逃す訳ないだろ)

 

〈お前・・・、たまに黒くなるよな・・・〉

 

 千歌達の為にやった事なのに、黒いとは心外な。

 

「あれっ? 花丸ちゃーん! ルビィちゃーん!」

 

 しばらくたった後、ようやくチラシが減り始めた千歌が通りかかった少女二人に近づいていった。

 

「ずら?」

 

「ピギュ?」

 

(ん・・・・・・?)

 

 なんとなくその声に聞き覚えがあり、千歌の方に行って話かけている少女二人の顔を見る。

 その人物は、

 

「あぁっ‼」

 

「ずらぁっ!?」

 

「ピギィッ!?」

 

 陸は二人の、二人は陸の顔を見て、共に声を上げた。

 陸は思わぬ再開に目を見開き、二人は信じられないものを見るようにして陸を見ている。

 

「何々? これはまた陸ちゃんの知り合いパターンなの?」

 

 首を傾げる千歌に。

 

「知り合いと言うかなんというか・・・」

 

「よかった。無事だったんですね・・・」

 

「うゆ、うゆ・・・」

 

 方や燃える様な赤髪をツインテールに束ね、驚きに翡翠色の瞳を見開く少女、もう一方は肩辺りまで伸ばした栗色の髪と琥珀色の瞳が揺れる少女。

 この少女二人、前のベロクロン騒動の時に陸が身を挺して助けた少女達で、その事が陸が命を失うきっかけと、ゼロと出会うきっかけになった。

 訳の分からなそうにぽかんと陸を見る千歌と、駆け寄ってきた曜と梨子にこの二人との出会いの日に何があったかを教えた。

 すると、

 

「えええぇぇぇぇぇぇっ!? 陸ちゃんあの時そんな事になってたのっ!?」

 

「病院に搬送って・・・、何で言ってくれなかったのっ‼」

 

 案の定千歌と曜は顔を真っ青にしながら陸の胸倉を掴んできた。あまりにも大声で騒ぐもんだから、周りの注目も浴びている。

 

「だって言ったらお前等・・・・・・、ゴメン」

 

 言い返そうとしたが、ベロクロン騒動の日の様に二人の瞳が潤んでいるのを見て、流石に罪悪感を感じざるを得なかった。

 素直に謝って、次の言葉を紡ぐ。

 

「心配かけたくなかったんだよ・・・」

 

「「言わなきゃ余計に心配するよっ‼」」

 

 陸の言葉を跳ね除けて声を荒げる二人に、今度こそ何も言えなくなってしまう陸。

 静寂が場を支配して、空気が重苦しくなる。

 

「あ・・・、あの・・・・・・」

 

 それを切り裂いたのは、か細く震える小さな声だった。声の主は確か千歌にルビィちゃんとか言われていた子だ。

 

「その人は・・・、その・・・、ルビィと花丸ちゃんの事を助けてくれたんです・・・・・・。だから・・・、あんまり責めないで上げて欲しいです・・・」

 

 必死に千歌と曜をなだめようとするルビィに、花丸も首振って同調した。

 

「まるもルビィちゃんも、その人が助けてくれなかったら今ここにいませんし、許してあげてください。心配させたくなかったって事で」

 

 優しく微笑む花丸と、何故か瞳を潤ませるルビィを見て、千歌と曜も陸の胸倉から手を離した。

 

「・・・・・・いいのか?」

 

「・・・ルビィちゃん達の事、助けてくれてたみたいだしね・・・・・・」

 

「でも、今度また何か隠し事したら許さないからね」

 

「‥・・・・・・・・・・・・ホントにゴメン」

 

 実際まだゼロと言う爆弾を抱えているが、こればっかりは二人の為に言わない方がいい。知る事で、二人にどんな危険が降りかかるか分からないから。

 

〈悪いな、陸・・・〉

 

(気にすんな。ゼロがいなきゃ俺も死んでた)

 

 もちろん隠すことに罪悪感はあるし、打ち明けることで陸も少しは楽になれるのかもしれない。

 けど、

 そんなもの、自分が守りたいと願ったものに比べれば小さな事だ。

 自分のエゴで、大事なものまで危険に晒す訳にはいかない。

 これは、自分とゼロの戦いなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いしまーす!」

 

 三十分後。

 曜と千歌がビラ配りを手伝えば許してくれるとの事だったので、恥と外聞をかなぐり捨てた陸は元気溌剌でビラを配っていた。なお心は死んでいる模様。

 案の定周囲からは何で女子校のライブ宣伝を男子がやっているんだという目で見られたが、気にしたら負けだ。

 

〈しかし、よく許してもらえたな〉

 

(ホントに、二人にゃ感謝しないとな)

 

 ちなみにルビィは先日会ったダイヤの妹らしい。通りでダイヤの目を見た時に既視感があった訳だ。

 花丸とルビィはあの後帰ってしまったが、千歌がビラを配り終わるまで帰らないと言うので陸達は引き続きビラ配り実行中だ。

 ふと、ここで肩を叩かれた気がした。

 振り向いてみると、

 

「うわっ!」

 

「やーやー陸君とゼロ君。こないだはどうも」

 

 そこにいたのは先日ダダにやられていたオウガとかいう男だった。

 相も変わらずキーホルダーを腰から下げ、軽い口調で笑いかけてくる。

 

『どうもこうもねぇよ。何しに来やがった』

 

 できれば関わりたくない陸が自主的に引っ込み、代わりにゼロが不機嫌気味に返す。

 

「いやー、ついさっき可愛い女の子がこの辺でビラ配りしてるって聞いてねー。ついつい来ちゃった♡」

 

『来ちゃった♡ じゃねーよ。そもそも何でテメーが地球にいんだ』

 

「おろ? 気付いてなかったのかい? まーそうか、君戦い以外にはとことん疎いからねー。陸君は分かってるんだろ?」

 

(げ・・・)

 

 陸に話題が降られた。仕方なくゼロと人格を入れ替える。

 

「・・・アニメとか漫画とか、いわゆるオタク文化が目的だろ・・・・・・」

 

「せーかい。ほらー、地球の娯楽は宇宙でも随一のクオリティの高さを誇っているじゃないか。それでついつい興味がわいてね」

 

「宇宙人て、そんな理由で不法入国してくんのか・・・・・・?」

 

「侵略目的で飛来されるよりはよっぽどマシだろ? むしろ母星が宇宙に誇れるものを持っている事に誇りを持ちたまえ。それより、可愛い女の子たちが配っているというビラ、否聖骸布はどこに」

 

「ん」

 

 陸はオウガにビラを差し出した。

 

「え? 女の子だったのかい? お世辞にも可愛いとは言えないなー」

 

 ごす!

 

「・・・・・・痛いじゃないか」

 

「殴ったからな」

 

 ちょっとイラついたので一発かましてやった。宇宙人に掛ける慈悲などない。

 オウガは差し出されたビラを陸に持たせたまま見始める。

 

「ほうほうスクールアイドル・・・。今巷で人気の奴か・・・」

 

 どうやらオウガはスクールアイドルの事を知っているらしい。地球文化が目的で来てるんだし、知ってておかしくはないが。

 

「で、君が踊るのかい?」

 

「もう一発行くか?」

 

「冗談さ。だからその拳を収めよう? 何でも暴力で解決するのは良くないよ? ゼロ君みたいになっちゃうよ?」

 

『何だとゴラ』

 

「ゼロ君も落ち着いて、仮にもウルトラ戦士が私怨で暴力振るうのはどうかと思うよ?」

 

(疲れる奴だな・・・・・・)

 

 流石、ゼロに面倒な奴と言わしめるだけの事はある。

 

「それで、このイラストの女の子達はどこだい?」

 

「あっち」

 

 陸は沼津駅のホームの方を指さした。そこにはビラを配る三人の少女が。

 

「あれ? この前の子達じゃないか。となると、差し詰め君はマネージャーってとこかな?」

 

「よく分かったな」

 

「まあ、アイドル育成系のゲームじゃお約束だからね。その内マネージャーとの間に芽生える禁断の関係・・・・・・、あ、これR18のやつだ。とにかく、陸君。今後の彼女達との発展に期待してるよ」

 

 なんて言ってサムズアップするオウガ。

 

「ゼロ。こいつ何言ってんの?」

 

〈知らん〉

 

 何を言っているかは分からないが、オウガが地球文化にどっぷりはまってるって事は分かった。

 

「ところでこのビラ。グループ名が書いてないけど、これは当日に大発表! みたいなサプライズがあるって事かい?」

 

「・・・・・・グループ、名?」

 

「え・・・・・・、まさか考えてなかったなんて言うんじゃないだろうね? グループ名はまず最初のアタックなんだよ? いくら顔や曲がよかろうと、グループ名が駄ネーミングだったらまず見向きもしてくれないんだよ? なのにまだ決めてなかったって言うのかい? それでもラブライブを目指すスクールアイドルなのかい?」

 

「顔が近い! 離れろ!」

 

 途端に目の色を変えて弁舌を振るうオウガに若干引きつつ押しのける。と言うかこいつスクールアイドルに詳しすぎる。

 

「とにかく。名前はさっさと決めておいた方がいいよ? 中には名前だけで判断する人もいるんだから」

 

「肝に銘じておく・・・・・・」

 

 もはやこいつがマネージャーやった方がいいんじゃないだろうか。

 

「まあ、ライブ自体は行くよ。皆可愛いしね。それじゃあね陸君。ゼロ君」

 

「おい、ビラ受け取り忘れてるぞ」

 

 再び陸が差し出したビラを、オウガは受け取らずに制した。二、三歩駅のホームに向かって歩いた後、再び陸を見て。

 

「ボク、可愛い女の子からそれもらいたいから、あっち行ってくるね」

 

 ビラ配りをする千歌達を指さし、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ん・・・?〉

 

(どうしたゼロ?)

 

〈いや、向こうに何か人の気配が・・・、気のせいか?〉

 

(海だし、一人くらい人がいても不思議じゃないだろ。それよりも、だ)

 

 陸は練習着に着替えた三人に目を向けた。

 

「緊急事態です。グループ名が決まっていないという事が判明してしまいました」

 

「まさかまだ決めていなかったなんて・・・・・・」

 

「梨子ちゃんだって忘れてたじゃーん」

 

 駅前にてビラを配り、オウガにグループ名を指摘された日の夕方。

 練習がてら陸達は、オウガの質問だったグループ名について話し合う事になった。

 

(てか、何で忘れてたんだろう俺。一番暇だったくせに)

 

〈自覚が足りないな〉

 

(面目ない・・・)

 

 ゼロにも言われてぐうの音も出ない。

 

「とにかく早く決めないとね?」

 

「だな、当日グループ名はありませーんとか言う訳にもいかんし」

 

「だよねー・・・。どうせなら学校の名前とか入ってる方がいいんじゃない? 浦の星スクールガールズとか」

 

「まんまじゃない!」

 

「じゃー梨子ちゃん決めてよ」

 

「そうだよ! 東京での最先端の言葉を!」

 

「ひでぇ。丸投げかよ」

 

「後で陸ちゃんにも聞くからね」

 

「えー・・・・・・」

 

「ええ・・・と、じゃあ、三人とも海で知り合ったんだし、スリーマーメイドとか・・・あはは」

 

「「いっちにーさんし、いっちにーさんし」」

 

「ちょっと!」

 

〈悪魔かこいつ等〉

 

 梨子のネーミングが不満だったのか、いいね! とも、駄目! とも言わずに千歌も曜も準備体操を始めてしまった。

 

「曜ちゃんは何かない?」

 

「んー。そーだなー・・・」

 

 曜はランニングしながら少し考えて、

 

「制服少女隊! どう?」

 

「無いね」

 

「無いわね」

 

「無いな」

 

〈無いな〉

 

「えぇっ!? ・・・あとなんか三人以外の誰かにも否定された気がする・・・・・・」

 

 鋭いなこいつ。

 

「陸ちゃんはー?」

 

(ゼロ。なんかない?)

 

〈いきなり俺か・・・、そうだな。やっぱウル―――〉

 

(ウルティメイトフォースゼロ以外で頼む)

 

〈・・・そんなにダメか? これ〉

 

(スクールアイドルにそんな厳つそうな名前つけるな)

 

 仲間思いなのはいい事だが、だからと言って何でもなんでもウルティメイトフォースゼロにするのは辞めて欲しい。

 

〈他だと・・・、宇宙警備隊〉

 

(だから厳ついんだよ)

 

〈地球防衛軍〉

 

(まずその辺から離れようか)

 

〈テラー・ザ・ベリアル〉

 

(だからと言ってテロリストになるんじゃねぇ!)

 

 宇宙破壊系スクールアイドル、爆☆誕☆! なんて千歌達にやらせる訳にはいかない。ゼロには頼らず自分で考えようと決めた陸だった。

 だがそうは言ってもすぐに浮かぶはずもなく。

 

「海・・・、浦の星・・・、三人・・・。オーシャンスタートライ?」

 

「「「ダサッ」」」

 

「Oh・・・。超ストレート・・・」

 

 バッサリと切り捨てられた陸が砂浜を見ると、

 

「・・・アクア・・・?」

 

「ん? 今なんて?」

 

「いや、それ・・・・・・」

 

 陸が指をさすと、三人ともその方を見た。

 そこには、砂浜に書かれた「Aqours」と言う文字が。

 

「あきゅあ?」

 

「いや、アクアだろ・・・」

 

「アクア・・・水?」

 

「水ね」

 

 水・・・響きとしては悪くないが、一体誰がこんなもの。さっきゼロが感じた気配の持ち主が書いたのだろうか。

 

「水かぁ・・・、なんかよくない? グループ名に!」

 

「でも誰が書いたか分からないのに・・・」

 

「だからいいんだよ! 名前を決めてる時にこの名前に出会った。それってすごく大事な事なんじゃないかな!」

 

「そうだね!」

 

「まあ、このままじゃいつまでたっても決まりそうにないし・・・」

 

 先程までクダクダだった話が締結し始めた。誰だか知らないが書いてくれた人本当にありがとう。

 

「ま、お前らがいいならそれでいいけど。俺達が考えるよりは遥かにマシだろうからな」

 

「じゃあ決定! この出会いに感謝して、今から私たちは・・・」

 

 

 

 

『浦の星女学院スクールアイドル! Aqoursです!』

 

 翌日。

 町内放送にて、内浦の町に三人の元気な声が響いた。

 なおこの後、公認か非公認かの口論で放送時間の大半を使ってしまったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怒涛の準備期間が過ぎて行き、気付けばライブ前日。

 陸達は時間の許す限り、ライブでのパフォーマンスをより良い物にするべく、試行錯誤を重ねていたが・・・。

 

「うわっ! もう九時?」

 

 時計が告げる現実によって、その時間も終わりを迎えた。

 

「もうこんな時間なのね・・・」

 

「流石にもう帰らないとまずいだろ・・・。曜、帰るぞ」

 

「了解であります!」

 

 まだもう少し残るという梨子を千歌の部屋に残し、陸と曜は十千万を後にした。

 

 

 

 

 冷たい夜風を切り裂きながら、陸と曜は帰路を進んでいた。

 

「しっかし、ついに明日か・・・。別に俺が歌う訳でもねーのに緊張してきたわ」

 

「陸がそんなんじゃこの先持たないよ?」

 

「お、もう明日のライブが成功した気でいやがるか」

 

「まあ、ね。明日成功しなきゃ、何も始まらないし・・・」

 

「・・・・・・千歌の為にな」

 

「おっと、それは違うぞ陸君」

 

 曜が腰に手を回してきた。いつもより体が密着して、急激に顔が火照る陸。

 

「私も梨子ちゃんも、別に千歌ちゃんの為にスクールアイドルをやってる訳じゃない。形は違っても、皆自分なりの理由があってスクールアイドルをやってる。だから、今の陸の発言は間違ってるよ」

 

「そっか・・・、ワリ、訂正する」

 

 ここで何で曜がスクールアイドルを始めたのかなどと言う野暮な質問はしない。曜にも曜なりの理由があって今こうして頑張っているのだから。

想いの形は人それぞれだ。それにいちいち口出しする権利は陸にない。

それにその想いが、スクールアイドルを通じてどのような形に変わっていくのかを見たい。だからこそ、明日のライブは絶対に成功させなければならない。

 陸の家につき、先にお隣である曜を見送ってから家に帰ろうと曜の家の前まで行く。

 

「じゃあね陸。おやすみ」

 

「ん。おやすみ」

 

 別に今更交わすような言葉もない、そう思っていたのだが。

 

「陸」

 

 扉が閉まる寸前で止まり、僅かに開いた隙間から曜が顔を覗かせた。

 

「明日。絶対成功させようね」

 

「・・・・・・分かってるよ」

 

 曜が扉を閉めたのを確認すると、陸は一人夜空に手をかざし、

 

「皆の為に・・・・・・、な」

 




俺「ようやっと・・・、ファーストライブに辿りつける・・・」

梨子「考えてみたらまだアニメ三話も消化してないんだよね」

俺「梨子さんのリトルスター絡みで時間かけ過ぎました」

梨子「その割には内容薄っぺらかったよね」

俺「うっさい」




後やっとAqours全員出せました。
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