ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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台風のせいでロストワールドのチケット代払いに行けなかった作者が通ります!!!!!


百四十九話 反撃の光

 

 

 

 声が聞こえた。

 果てしのない闇の中、確かに、その過去を垣間見えるような響きで。

 

—————絶対的な力を持った者が全てを支配すれば、宇宙は平和になる

 

 彼なりの正義が。

 

—————超えてやる…! 俺を見下したアイツ等を……!

 

 それが故に起きた悲しみが、抱いた怒りが。

 

—————ウルトラ戦士の心なんてのは、何万年も前に捨てたよ

 

—————俺は完全復活を遂げた……光の国への復讐の時だ!

 

 もう戻れなくなるまで、歪んでしまったその心が。

 全部、全部、その心を通して伝わってくる。

 

 ベリアルだって、始めから歪んでいた訳じゃない。些細なズレが誰にも理解されることのないまま膨れ上がった、闇の塊。それがベリアルなんだ。

 

「……リクさん、俺は…」

 

 かつてジードも、朝倉リクも、同じものを見て、感じたのだろうか。

 だったら、同じベリアルに生み出された者として何が出来るのか。闇の中で、深く自問を繰り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 地獄の様相を呈しながらも静けさを保っていたその場所は、一瞬にして本物の地獄へと変わった。

 無数の怪獣が揺らす大地。絶えることなく上がる咆哮。これを地獄と呼ばずしてどう呼ぶのか。

 

「ぁ、ぅ……」

 

「曜…しっかり……!」

 

 身体が言うことを聞かない。

 ベリアルが怪獣達を召還してどれほど時間が経ったのか。少なくとも、自分達がこうやって地を舐めるまでにはそう時間は掛かってないのは確かだ。

 

『もう全滅か……? 張り合いがねぇな』

 

 怖い、怖い。刹那に生まれた感情がどんどん膨れ上がってゆく。

 ダメージ以上に、恐怖で身体が動かない。救いたい想いも渇望もまだ燃えているのに、それすらも覆ってしまうほどの恐怖心が圧し掛かってくる。

 

『クッ…ソ……!』

 

 危機を知らせるカラータイマーの点滅も加速する一方。ゼロも、メビウスも、ヒカリも、もはやその力も底を尽きかけようとしていた。

 

『ゼロ……お前は最後の楽しみだ。まだ殺さん。だがこの子娘どもは……』

 

「かッ…、ぁ……!!」

 

「果南ちゃ……!」

 

 腹を襲った衝撃に意識を手放しかける。

 その殺意が本気であることはもはや語るまでもなかった。

 

『地球人の分際でこの俺の前に立ったことだけは褒めてやる……だが、それもここで終わりだ。死ね』

 

 ギガバトルナイザーに稲妻が集中してゆく。

 直後に振り下ろされたそれが唸りを上げ、ヒカリもろとも成す術もない果南を貫こうとし———、

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヌウッ……!?』

 

 音もなく飛んできた光刃にベリアルの動きが止まる。

その一瞬、危機を逃れたヒカリは即座にギガバトルナイザーの射程距離から外れる。

 

『シィヤッ!』

 

『ウオォォ……ッ!?』

 

 続けて銀色の光芒が伸び、今度こそベリアルに炸裂する。

 その軌跡を追った先で地面に降り立ったのは白銀の巨人。異質な気配を放ちつつも、その者もまたウルトラマンであることはすぐに理解できた。

 

『ネクサス…!』

 

 ゼロが口にしたその名には聞き覚えがあった。

 陸の真実を聞いた際、あのオウガとかいう宇宙人が口にしていた、千歌の中にいるというウルトラマン。

 

 それが今こうして自分達の前に現れているということは……、

 

「千歌……?」

 

 彼女の名を呟く果南の先で、ネクサスはベリアルへと迫る。

 残像すらも生む速度で一気に奴へと肉薄すると、その勢いのままに拳を打ち出す。

 

『ノアか……今の貴様に何が出来る!』

 

 ベリアルは軽々とそれを防いだ上で弾き返して見せると、召喚した怪獣達を操りネクサスへと進行させる。

 途端に幾重もの火炎や光弾がネクサスを飲み込み、轟音と共に爆ぜた。

 

『オオォォ……!』

 

 かに見えたが、爆炎すら寄せ付けないほどの光が轟音の中心地で瞬く。

 水面に生じた波紋のような光はネクサスへと注がれ、やがてその肉体に赤い輝きを宿す。

 

『ほぉ……』

 

 劣弱の鎖を砕き、内なる己を信ずる煌めき。

 深紅のネクサス———ジュネッス。デュナミストの心に呼応しネクサスが発現するという力の一つだ。

 

『シュウアァ!』

 

 高速で空中を舞うネクサスの両腕から射出される三日月形の刃が次々と怪獣を射抜いてゆく。

 雨のように降り注ぐそれらはやがて怪獣のみならずベリアルにも襲い掛かり、連続して爆音が上がった。

 

「すごい…」

 

 ゼロやヒカリ達が劣っている訳ではないが、その戦い方はまるで違う。

 スピーディーでその動きにも無駄がない。それは千歌とネクサス、二人の心が重なっている何よりの現れにも見えた。

 

『小癪な……だが!』

 

 ベリアルの指示で怪獣達の攻撃に訪れる変化。

 波のようにリズムよく押し寄せてゆく火球の群れはまるでネクサスの動きを誘導しているようにも思える。

 

 そして———、

 

『『『ッッ——————!!!』』』

 

『グアアァァァ……ッ!』

 

 遂に光弾の一つがネクサスを捉えた。

 一度当たればその後も二発、三発。次々と命中する攻撃にネクサスの高度が下がる。

 

『ヘエェェヤッ!』

 

 早々にカタを付ける気か、ギガバトルナイザーによって描かれた軌跡が鎌状の光線———ベリアルデスサイズとなって一直線に疾走。その軌道線上にいた怪獣を数体巻き込みながら迫る。

 

『ォォォ……!』

 

 素早く着地すると、流れるように両腕を下方で交差させるネクサス。

 徐々に広げられてゆく両前腕に雷が集束してゆき、ゼロのそれと同様にL字に組まれた瞬間、絶大なエネルギーが吹き荒ぶ。

 

『ジィィィヤッ!』

 

 オーバーレイ・シュトローム。

 スペースビーストと呼ばれる怪物すらも一撃で消滅させるという、ネクサスの必殺技。

 

『チィィッ……!』

 

 自身の光弾が一瞬のうちに消滅させられたのを見るや否や、雷撃を纏わせたギガバトルナイザーを振るい光線の進路を曲げるベリアル。

 着弾した怪獣達が消滅していくのを気にも留めず、むしろ更なる興奮を生んだかのように高笑いした。

 

『これが貴様の力か……絆の戦士!』

 

 遂に興味が勝ったか、群がらせていた怪獣達を下げると自らの身で突撃を開始する。

 それに応えるよう、ネクサスもまたベリアルへと駆けた。

 

『ハアァァ……!』

 

 その中で、またも光の波紋をその身に浴びたネクサスが変化してゆく。

 

 自身の光を走り抜き、未来へ羽ばたく群青の翼。

蒼きネクサス———ジュネッスブルー。

 

『シィィヤ!』

 

『ヌウァァァッ!』

 

 右腕から伸びた光の短剣がギガバトルナイザーと衝突し、ギリギリと音を鳴らす。

 蒼いネクサスの力はまだわからないが、少なくとも、パワーにおいてはベリアルが勝っているようだった。

 

『オォォラッ!』

 

 競り勝ったベリアルがネクサスを押し飛ばす。

 続きその得物の先端から鞭状の雷撃を伸ばし敵を打ち付けんとするが、それは何かにヒットすることなく地面を砕くこととなる。

 

『甘い!』

 

 ジュネッスよりも数段早い速度でネクサスはベリアルの背後へと周る。

 だが見切られていたか、武器を持たぬ方の腕から放たれた黒閃がその頭部を撃ち抜かんと奔った。

 

『ッ……!?』

 

 その黒閃がネクサスの腕で廻る。

 徐々に浄化され純粋な光となったそれは蒼い拳に乗り、ベリアルへと還される。

 

『デアァッ!』

 

『ぐおおっ……!』

 

 遂にベリアルへ到達した一撃。

 ダメージは微量でも、それは大きな意味を持つ。抗えない絶望じゃないんだ。

 

 一縷の希望が灯るも———それはまたすぐに掻き消えることとなる。

 

『ハアァッ!』

 

『ジュア……ッ!』

 

 カウンターの威力を殺すことに成功するも、青かった胸の輝きが点滅を始めてしまう。

 ここに来るまでの移動に、ベリアルとの戦闘。そして何よりオーバーレイ・シュトロームでのエネルギー消費……やはり負担は大きかったらしい。

 

『やはり、完全には力を発揮できんか』

 

 蘇りかけていた光も大半をベリアルに奪われてしまっていたネクサスもまた満身創痍だったのだろう。

 それでも辛うじて戦えるまでの光を掴んだのは、きっと千歌の決意がそうさせたから。

 

 なのに、自分達が地を這いつくばっていてどうする。

 

「ヒカリ……!」

 

『あぁ…!』

 

 一人で立ち向かってきたんじゃない。

 どんな時だって近くに皆がいて、一緒に向き合って。

 

 向き合うものが変わったって、離れていたって、それは変わらないはず。

 

「千歌…、陸……!」

 

 残された力全てで立ち上がり、目の前に聳える巨大な影へと突き進む。

 弾かれ、薙ぎ払われ、それでも進むことをやめない。やめたくない。

 

 諦めたくないんだ。

 

『デェェェェヤッ!』

 

『ゼ……ロォ……!』

 

 何度目かの突撃かわからなくなったその時、ゼロの叩き込んだ炎の一脚がベリアルの体勢を崩す。

 繋ぐ。また地に落ちたゼロの双眸からは、そんな思念を感じ取った。

 

『行けェッ!!』

 

 ゼロの後押しと声を受け、メビウスと共に両脇からベリアルを抑え込む。

 果南も、曜も、ゼロも、皆も、気持ちは一つ。だから繋ぐんだ。

 

「千歌ちゃん!」

 

「千歌ッ———!」

 

 自分達の信じる、希望(千歌)に。

 

『オォォォ……!』

 

 突き出されたネクサスの右腕に集約していく光。

 やがて解き放たれたそれは不死鳥の如く羽を広げ、金色の光を以ってベリアルへと突き刺さった。

 

『グッ…オオォォ……!』

 

『シィヤァッ!』

 

 全身全霊を込めた光の矢———オーバーアローレイ・シュトロームが作った小さな()()

 その中へと手を差し伸べるようにネクサスもまた自身を光へと変え、友の下へと飛翔した。

 

 

 

 

 

 

「陸ちゃ———んッ!」

 

 光が差した。

 闇そのものが広がるその場所を照らし、あるべき方へと導くような光。

 

「千歌……?」

 

 纏わりつく瘴気が見せていたベリアルの過去の記憶が晴れ、彼女の顔が映る。

 今度こそ陸の手を離すまいとする。光を背に手を伸ばす千歌には、もう迷いなどは感じられなかった。

 

「戻ってきて陸ちゃん! 皆待ってるから!」

 

 手を伸ばしかけ、また下げる。

 戻りたい。そう思っているのは陸も同じだ。けど、ここでその手を掴んでしまえばまた誰かが……、

 

「誰も欠けてないよ……曜ちゃんも、果南ちゃんも、皆、皆待ってる!」

 

 大丈夫。千歌の瞳はそう語る。

 誰も離れてない。皆傍にいる。そう伝えてくるように。

 

「皆そうだよ! 皆、皆が大事なんだよ! だから今も繋がってる……誰も欠けちゃいけないんだよ!」

 

 光が一層その輝きを増す。

 眩いそれが示したのは希望なのか。抱く不安を払うように、優しく、されど力強く、陸を照らした。

 

「私はもっと……皆といたい!」

 

 零された、彼女の願い。

 

「「陸ッ———!」」

 

「ッ……!」

 

 それに続くように、光の奥からまた声が聞こえた。

 曜に、果南。それだけじゃない。声としては聞こえなくとも、確かに皆を感じた。

 

「陸ちゃんッ!」

 

 あの時掴めなかった……掴まなかった腕を、今度こそ掴む。

 その瞬間、わかった気がした。

 

(そっか……)

 

 突き放されて、孤独になって、それは誰もが成り得る可能性だ。

 陸も、千歌も、一度それを経験した。けど、それでもこうしてまた誰かの手を掴めているのは、きっと———、

 

(ベリアル……お前は……——————)

 

 

 

 

 

 

 

『がッ…、アアァァァッ……!?』

 

 カラータイマーを中心にベリアルの肉体が輝きだし、直後に解放されるように銀色の巨人が飛び出してくる。

 その掌の中にある影を確認すると、全員に向けヒカリは叫んだ。

 

『撤退だッ!』

 

 一旦の目的は果たした。もうこれ以上勝ち目のない戦いを続ける必要はない。

 その号令に続き、全員、一斉にゼロの開けた空間の穴へと急加速する。

 

『逃がすか……!』

 

 だがベリアルもタダで譲るつもりはない。

 一時的に陸を取り込んだことで復活を果たしたが、彼を完全に吸収することでより強大な力を振るえる。力を求めるベリアルにとって、取り逃す訳には行かないのだろう。

 

 数も余力も圧倒的に向こうの優勢。全速で逃げるも、その魔の手はすぐ背後にまで迫って———、

 

『ストリウム……光線ッ!!』

 

『ヌウゥ……!?』

 

 天より伸びた七色の光。

 自分達を援護するようにベリアルを襲ったその光線には、ゼロ、メビウス、ヒカリ、その全員が誰のものであるかを理解したように顔を上げた。

 

『タロウ教官……何故ここに』

 

 両腕をT字に組んだ姿勢でベリアルと睨み合うのはウルトラマンタロウ。

 そしてそのタロウの背後には、数十人ものウルトラ戦士が。

 

『ベリアルが怪獣墓場に向かったという知らせが宇宙警備隊に入ったんだ。カドー星人……と名乗る宇宙人からだった』

 

 宇宙警備隊。その隊員である戦士達から放たれる光線の雨が怪獣の群れを薙ぎ払ってゆく。

 

『ここは我々に任せて君達は退くんだ!』

 

『恩に着る……行くぞ!』

 

 咆哮に爆音、そしてベリアルの怒号。

 戦いの息吹をその背中で感じ取りつつ、次元の穴へ飛び込んだゼロ達は皆の待つ場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さーて、やれることはやれたかな」

 

 暗くなり始めた空から降りてくる一筋の光を見上げ、カドー星人オウガは誰に聞かせるでもなく一人呟く。

 ウルトラサイン……スライやヤプールからの見様見真似だったが上手くいったようで何よりだ。

 

「こんなのでベリアルがどうにかなるとは思えないけど……それでも希望は繋いだ」

 

 遠く見据えた先でまた一つ輝きが瞬く。

 遂に戻ってきた九人と、もう一人が作る輪。抱き着き、泣きじゃくる幼馴染達にもみくちゃにされる少年を眺めながら、オウガは静かに笑った。

 

「……君達は、どんな未来を描くんだろうね」

 

 

 




2章の終わりからダラダラ引っ張ってきたこの騒動も遂に幕引きです……長かった(ほんとだよ)
宇宙警備隊に(形上は)追い詰められてる陛下ですが、当然このまま終わる訳もなく……

箸休めと言ってはあれですが、次回からは少し息抜き的な話を挟みつつ原作パート、そして陛下との最終決戦に移る予定です

ようやく終わりが見えてきましたゼロライブ
あと少しだけお付き合い下さると幸いです
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