ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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いやぁ……毎週濃いですなアニガサキ……


百六十話 六人

 

 

「曜ちゃんの?」

 

「従姉妹?」

 

「渡辺月です! よーろしくー!」

 

 目を丸くする五人の前で敬礼して見せるのは渡辺月。

 彼女と連絡を取った曜曰く、従姉妹なのだとか。言われてみれば似てない気もしなくもなかった。

 

「ごめんね月ちゃん。急に呼んじゃって」

 

「ううん。ボクもりっくんと会うつもりだったし、多分曜ちゃんも聞きたいことは同じでしょ?」

 

「……てことは」

 

「あの学校の生徒ってこと?」

 

 問いかける千歌に月が頷く。

 暗めの服装に映えるその笑みは、ふとした瞬間に男の子と見紛うほどにボーイッシュに見えた。

 

「うん。実は入学前に曜ちゃんとりっくんも誘ったんだけど、曜ちゃんは千歌ちゃんと一緒の学校がいいって」

 

「そ、そうだったかなぁ……」

 

「そうだったよ? りっくんも、曜ちゃんがいないならって別な学校に行っちゃったし」

 

「へー」

 

「入学前からイチャついてたのねアンタ達」

 

「なんか皆最近冷たくない!?」

 

 後輩から弄られる曜を見て微笑ましそうに笑う月。

 流れるようにその様子を眺め、その内の一人で視線を縫い留める。

 

「あ! 君が梨子ちゃんだね! いつも曜ちゃんから聞いてるよ、尊敬してるって!」

 

「そ、そんな大袈裟な……」

 

 といいつつまんざらでもない様子の梨子からまた一人、一人と嬉々としてその目を向けてゆく。

 状況から察するに曜から自分達の話は聞いていたようだし、実際に会ったことで少々舞い上がっているのだろうか。

 

「千歌ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃん。曜ちゃん本当にAqoursのことが好きみたいで、会うたびに皆のこと話してるんだよ」

 

「……あの、月ちゃん」

 

「いつも思うんだー。もうAqoursは曜ちゃんの一部なんだなぁって」

 

「…その、そろそろ本当に恥ずかしいというか……」

 

「とりあえず先輩がいつもストッパーしてるのはわかったずら」

 

 ちなみに、とある一件で月も陸がウルトラマンゼロと一体化していることは知っているそうな。

 いつの間に知ったのかは定かではないが、変に気を張らなくてもいいのはこちらとしても気が楽だ。

 

「そういえば、りっくん遅いね」

 

「そう言えばそうだね……もう怪獣倒してから結構経ってるけど」

 

 先程沼津港の沿岸に怪獣が出現したことはもうニュース等で全国に知れ渡っていることだろう。

 怪獣自体は上陸する前にゼロともう一人の巨人によって倒されたため被害は出ておらず、そのおかげで千歌達も普通に街を出歩けている訳なのだが……もうそれは一時間ほど前の話。

 

 元々陸は月と会う約束をしていたらしいし、そろそろ顔を見せてもいい頃だと思うのだが……、

 

 

 

 

「……って、あれ!」

 

 携帯も応答がないので探しに行こうと腰を上げたその瞬間、意外とあっさり彼は見つかった。

 だが誰一人として声を掛けようとすらせず、ただただ唖然として陸と、その隣にいる少女に交互に視線を向ける。

 

「ちょっ…ちょ……何アレ、ていうかあの子誰!?」

 

「この辺じゃ見ない制服だけど……」

 

「何ずら? ひょっとして彼女とかそういうのずら!?」

 

「いやでも陸くんには曜ちゃんが……」

 

「って、わぁぁ、曜ちゃんの目から光がぁ!?」

 

 混乱と動揺が沸き起こった。

 陸の方はいつも通りのつっけんどんな態度だが、少女の方がやたら親し気に接しているため余計に気になってしまう。

 

「いや、でもりっくんに限ってそんなこと……」

 

「あ、どこか行くみたい……」

 

「と、とりあえず追えぇー!」

 

 少女の隣にいる陸は仕方がないと言った様子の顔をしているものの、特別抵抗する素振りはない。

 会話までは聞き取れないが、その様子から察するに何かを探しているように見えた。

 

「妹さんかなにかずら?」

 

「いや、陸ちゃん一人っ子だったはずだけど……」

 

「そもそも生まれ的に兄妹は……」

 

「それは禁句よ善子ちゃん」

 

 妄想と推察を独り歩きさせつつ、物陰に隠れながら陸を付ける。

 だが流石に気配までは消せていないのか、時折こちらを振り向く彼の視線を掻い潜らんと咄嗟の対応を繰り返す。

 

「って、わあぁぁ!?」

 

 何度かそうしているうちに体勢や立ち位置はどんどん厳しくなってゆき。

 ふとバランスを崩したその瞬間、ドミノの如く全員仲良く前へと倒れ―――、

 

「……何してんのお前等」

 

 恐らく初めから付けられていたことに気付いていたであろう陸に半目を向けられる始末となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遡ること一時間前。

 

『ちょ、ちょ……誰ですかあなた!?』

 

『それぁこっちのセリフだ。お前、光の国のウルトラマンじゃないな。どこのモンだ』

 

「なんだその極道みたいなノリ……」

 

 突如出現した宇宙戦闘獣コッヴを迎え撃つべく出撃した陸とゼロ。

 そんな自分達と共に現れたのがこの女性型のウルトラ戦士……言うなればウルトラウーマンだろうか。

 

「えっと、どこのどなたかは存じませんが……どうしてここに?」

 

『どうもこうも、ここは私達の街ですよ?』

 

『はぁ?』

 

 これまで地球に飛来してきたウルトラ戦士達のようになにか事情があってここにいるのかと思ったが、その返答はまさかのもの。

 だがこんなウルトラ戦士は見たことがないし、何よりこの一年戦い続けているゼロを知らないのがおかしい。

 

「…もしかして」

 

 そう言えばと、つい先程感じた不可解な出来事を思い出す。

 あの街の一部だけ別の場所に変わったかのような感覚。もし、彼女がそれに関係あるとするなら……、

 

「すみません。この街の名前、言えます?」

 

『え…? 綾香市、ですよね?』

 

『……どこだそりゃ』

 

 その返答にやはり、と確信する。

 

「ここは静岡県沼津市……俺達の街っすよ」

 

『えぇ!? そんなはずは……』

 

 そう言って街を見回す彼女だが、やがて陸の言葉が真実だと理解したのか、混乱した様子で肩を落とす。

 どうやら何らかの要因でこっちの世界に来てしまったらしい。それも自覚なしに。

 

『とりあえずこの話は後だ。まずはアイツを片付ける……俺はウルトラマンゼロ。お前は?』

 

『…グリージョ……、ウルトラウーマン、グリージョです』

 

『そうか……行くぞグリージョ!』

 

 少し話している間に上陸寸前まで迫っていたコッヴにゼロが飛び蹴りの姿勢で衝突。

 反撃に両腕の巨大な鎌を振り下ろしてくるも、難なく躱しては再びその身体を蹴り上げる。

 

『なんだかわかりませんが私も……てやぁぁっ!』

 

 まだ少し混乱している様子のグリージョだったが、ゼロの姿を見てやるべきことを悟ったか、奮起するようにその瞳に火を宿す。

 その闘志をぶつけるように両腕を十字に組むと、発生した光線を一直線に照射し―――、

 

『いっっ…でぇぇぇぇッッ!!??』

 

 ゼロの背中を直撃する。

 

『何しやがんだテメェ! 敵はあっちだろ!』

 

『はわわ……ごめんなさい! い、今回復します!』

 

 激昂するゼロに気圧されながらも光を一点に集中させ、エネルギーの凝縮した球を生成するグリージョ。

 だが慌てていたからか軌道が逸れたその球は放物線を描くとそのままゼロを通り越し―――、

 

『ッッッ―――――!!!』

 

 ゼロの攻撃によってふらついていたコッヴに命中する。

 ほんのりと光ったその巨体からは今しがた出来た傷も消え、猛々しく咆哮を上げる姿はむしろ前より活性化したようにも思えた。

 

『怪獣回復させてどうすんだッ!』

 

『ひえぇぇ……ごめんなさいぃ……!』

 

『もういい、俺一人で片づける!』

 

 苛立ちつつもグリージョを庇うように前へ立つと、頭部のスラッガーを融合させ一本の大剣を生む。

 そして風のような速度で大地を蹴ると、軌跡を描きながら光を纏ったゼロツインソードを振り抜く。

 

『プラズマスパークフラッシュッ!』

 

 迸った一閃が胴を両断する。

 真っ二つに叩き切られたコッヴは擦れた咆哮を最後に真後ろへ倒れ込み、爆発と共に派手な水飛沫を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――つー訳だよ」

 

 猛烈な圧と共に取り囲ってくる少女達にこうなるまでに至った経緯を説明。

 何をどう思っていたのかは知らないが、とにかく誤解が解けたのならそれでいい。

 

「じゃあ、今の人がさっきのウルトラマンってこと?」

 

『正確にはウルトラウーマン……だがな』

 

 ゼロの声に合わせ視線を送ると、後方にあるアパレルショップの中から手を振ってくる少女に軽く会釈する。

 陸の予想通り、やはり景観そのものが変わったこの町の一角。その中央に位置するあの店が彼女の実家らしい。

 

「…湊アサヒさん。多分ガイさん達みたいな、別の時空のウルトラ戦士だ」

 

「それがどうしてここにいるのよ」

 

「さあな……それ含め今アサヒさんと調べてたとこだ」

 

 なんとなく見えてはいるが、彼女達には敢えて濁す。

 グループとして新たな問題に直面している今だ。余計な心配はさせたくない。

 

「…それより、お前等月と会ってたんだな。だったら手っ取り早い」

 

 待ち合わせをすっぽかしたような形になってしまったのは申し訳なく思っていたが、その結果千歌達とも顔を合わせていたなら結果オーライだ。

 どのみち彼女等にも伝えるつもりでいたことだ。直接月の口から語られるならそれに越したことはない。

 

「なあ月。今回の分校の件のこと、なんか知ってないか」

 

「あー……」

 

 陸が問うと、月は気まずそうに首を垂れる。

 静真の生徒がどの程度このことを知り得ているかはわからないが、思った通り生徒会長である彼女の耳には届いているらしい。

 

「そうそう、どうしてこんなことに」

 

「…そうだね。元々りっくんには伝えるつもりだったし、皆にも知ってもらっていた方がいいよね」

 

 そして月は語った。

 

 静真高等学校は昔から部活動が盛んであり、いくつかの部活は全国大会に出場するほど。

 そんな中に他校の生徒が入り、部にだらけた空気や対立を齎すことを一部の父兄が危惧し、今回の形に至ったらしい。

 

 要するに他校との統合が生む変化を警戒してのことだ。

 

「…なんでそういう話になるのよ」

 

「だよね。ボク達生徒も、先生達も心配ないって説得したんだけど……部活がダメになったらどうなるんだとか、責任取れるのかとか、そういうのばっかりで」

 

 無力感や責任感故か、肩を落とす月。

 月が統合する学校の生徒のために動いていてくれたことは知っているし、それは近くでその働きを見ていた陸が保証する。

 

 けれどそんな彼女、ましてや他の生徒や教職員の訴えですらも父兄を抑え込めなかったらしい。

 

「そんなこと言い始めたら、何もできないと思うけど」

 

 強豪校故の伝統や矜持……そういうものなのだろうか。

 少なくとも今自分達が歓迎はおろか煙たがられていることはよくわかった。

 

「つまりなんだ。その父兄が気にしてんのは、俺等よそモンが部活なりなんなりでちゃんとやってけるかってことか?」

 

「うん……だから、実績もある部活もあるって証明できればいいんだよ」

 

 実績や結果。

 これまでも散々Aqoursを苦しめてきたその壁は、またもその道に立ちはだかるらしい。

 

「証明するって言っても……」

 

「…そんな部活……」

 

 ただでさえ生徒数が少なく、掛け持ちをする部員がいたことで何とか成り立っていたような浦の星の部活動がそんな実績を残すことは殆ど不可能だった。

 勿論陸の学校にもそんなものはなかったし、状況は八方塞がりと言ってもよかった。

 

 ただ一つの突破口を除いては。

 

「あるでしょ、一つだけ」

 

「全国大会で優勝した部活が」

 

「……あ」

 

 ふと気付くように顔を上げる。

 全国大会への出場に、そこでの優勝。つい先日、彼女達はそんな快挙を成し遂げたはずだ。

 

「私達スクールアイドル部が新しい学校の他の部活にも負けないくらい真面目に本気で活動していて、人を感動させてるんだってわかってもらえればいいんじゃない?」

 

「それ……それいい!」

 

 立ち上がった千歌に釣られるように、皆の瞳にも光が灯ってゆく。

 そうだ。これまでとやることは変わらない。いつだってただがむしゃらに前へ走り続けるだけだ。

 

「それで? ライブでもやるつもり?」

 

「それもいいけど、実は来週、丁度いいイベントがあるんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――続いて、弓道部の発表となります』

 

 暗い講堂の中、視界の声に続き灯った明かりが壇上を照らす。

 紹介通り実演を始めた静真高校弓道部の裏で、舞台袖の千歌達は不安げな顔で身を寄せ合っていた。

 

「緊張する……」

 

「こんな大きいところだったずらね」

 

「な、なに言ってるのよ。ラブライブ決勝の会場の方が何百倍も大きかったで……ヒッ!?」

 

 確かに大きい講堂だが善子の言う通り、会場の規模だけで言うならばアキバドームの足元にも及びやしない。

 

 けど、何かが違う。

 あの場所やこれまでライブを披露してきた場所にあったものがここにはない。皆それを肌で感じ取っているのだ。

 

「それに、あの時は皆いたし……」

 

 そして最も大きな違いとして目の前に現れているのは、その人数。

 卒業してしまった姉を含む三人の姿を求めるように呟かれたルビィの声に、増大した不安は伝染してゆく。

 

「いるよ。今も」

 

 そんな気持ちを鼓舞するように千歌は言う。

 皆、それはわかっていることなのだ。離れていてもずっと、心は繋がっている。

 

 そう頭では言い聞かせても、心が追い付かない……そんな様子。

 

 実際、当事者ではない陸ですら、六人とはこんなに少ないのかと思ってしまう。

 

「曜ちゃん達の番だよ。特別に少しだけ時間貰えたから、頑張って」

 

 裏口から顔を見せた月も応援の言葉をかける。

 急だったのにも関わずこんな機会を設けてくれた彼女に対し微笑みかけると、千歌は改めて今いる六人の顔を見て言った。

 

「ゼロからイチへ。イチからその先へ……Aqours―――」

 

――――サンシャイン…!

 

 静寂の中、自らも胸の奥の不安を押し殺すように。

 小さく円陣を組んだ彼女達は、消えない危うさを背負ったまま、そのステージへと立った。

 

 




と言う訳でウルトラマンR/Bからウルトラウーマングリージョの参戦だルブー(語呂悪)
まあハッピーな彼女が出たってことはあとはご察しください()

一応ゼロライブは劇場版R/Bの後ギャラファイの前の時間軸で書いていたのでこの時空においてはゼロと湊兄弟に面識はないです
何故正史と分岐させたかは追々明らかになると思います

てかこのペースで書いてたら一体何話掛かるんでしょうか……
それでは次回で
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