ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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予想以上の情報量をギャラファイにぶち込まれて混乱してます作者です


百六十三話 陰謀の片鱗

 

『ほぉ…中々いいセンスしてんなここの店長』

 

「何見てそう言ってんのお前」

 

 珍妙な服が並ぶ店内で目眩を覚える。

 こっちの世界に飛ばされてきたイサミ達の実家であるアパレルショップらしいが何なんだろうかこのラインナップは。そんでもってなんでコイツはちょっと気に入ってるのだろうか。

 

『そうか……理亞が……』

 

「なんか、色々空回りしてるって感じらしいぞ」

 

 聖良達が卒業旅行に戻り、千歌達Aqoursもイタリア行きの準備をすべく一度解散した後。

 一応伝えておいた方がいいと思い今はイサミ達と共にいるエックスに理亞のことを話しに来た次第だ。

 

『ちょっと会ってやったらどうだ? お前ならなんかアドバイスできるかもだろ』

 

『そうしてやりたいのは山々だが……今は状況が状況だ。異変の理由を解明するのが優先になる』

 

 一応イサミの装置でこの地球を覆うように次元の歪みが発生しているところまでは突き止めたらしいが、まだそれがどこから発生しているのかはわからないらしい。

 それにこの事件の首謀者だという者の行方も未だ不明なまま。確かに油断は出来ない。

 

『だがまあ、全てが終わったら顔だけでも見に行くとするかな』

 

「そうしてやってくれ」

 

 この異変を解決する理由がまた一つ増えた。

 皆迷い足搔きながらも前に進もうとしているんだ。どこの誰とも知らない奴の陰謀に邪魔されてたまるか。

 

『それで、本当にそれだけを伝えに来たのか?』

 

「ああ、それがな――――」

 

 

「大変です―――――ッ!!」

 

 

 千歌達の三年生捜索に付き合おうと思う……という声は更に大きな声量を伴って飛び出してきたアサヒに掻き消されることとなる。

 

『なんだ!? どうした!?』

 

「これ見てくれよこれ!」

 

 続けて姿を見せたイサミが持つタブレット端末に映し出されたニュース映像。

 外国のものと思しきそれが報道するのは―――イタリアに怪獣とウルトラマンが出現したというものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ッ―――――!』

 

 長い歴史を持つイタリアの人々でも、こんな光景を目の当たりにするのは初めてだろう。

 そんな地に初めて君臨した獣―――月の輪怪獣クレッセントを迎え撃つ形で巨人までもが降臨し、今にも爆発しそうなほどの緊張感を漂わせている。

 

『シュワァッ!』

 

 先に仕掛けたのは巨人―――ウルトラマンロッソだった。

 まだ戦火が降りかかるかもしれない場所から人々が避難し切っていないことを認識したか、自らが盾となる形でクレッセントに突撃してゆく。

 

「あれも、ウルトラマンなんだよね…?」

 

「少し今までの方々と違う感じはしますが、恐らくは……」

 

「じゃあ陸の知り合いなのかな……?」

 

 突然の状況に困惑しながらも始まったロッソとクレッセントの戦いを見守る三人。

 あのウルトラマンは何なのか。陸との繋がりはあるのか。そもそも何故ここにいるのか。避難中にも関わらずそんな疑問が脳裏を駆け巡る。

 

『ハアァッ!』

 

 赤い熱線を跳躍で回避すると、そのまま飛び蹴りの形でクレッセントに衝突。黒い巨体が轟音を上げて地面へと倒れ込む。

 

「Quello è Ultraman?」

 

 人々の視線が集まる中、起き上がり様にまた熱線が伸びる。

 今度は回避動作を取らなかったロッソは手の中に火球が生成され、さながら野球のピッチャーの如きフォームで連投されたそれらが熱線を押し返し奴へと迫る。

 

『ッ―――!!』

 

『…!』

 

 火球を打ち返すように振るわれたクレッセントの尾が地面を叩き付け、その振動でミラノの街並みが一部崩れてゆく。

 日本と違い伝統的なレンガ造りの建物が多いこの場所で強い揺れは厳禁だが、巨大な体躯を持つウルトラマンと怪獣が戦えばそれは避けられないもの。

 

 それはロッソも悟ったのか、一度クレッセントと距離を取っては胸の輝きを中心に琥珀の光を全身に漲らせる。

 

『グランドコーティング!』

 

 その体色を黄土に変えたロッソが連続して弾丸状にしたエネルギーを投擲。

 それらは一発たりとも外れることはなくクレッセントに命中すると、奴の下半身を泥で覆い動きを封じる。

 

『グラビティホールド!』

 

 早急に脅威を取り除くためか間髪なく次の一手が繰り出される。

手のひらが地面に打ち付けられた瞬間、重力が逆転したかのように拘束されたクレッセントの身体が宙に浮かび上がった。

 

『オォォ……!』

 

 頭部の二本角に掲げられた手の中に長短の二刀流剣が握られる。

 二振りの刀身に集約してゆく青白いエネルギーが臨界点まで到達すると、その力を開放するように両の刃を振り抜いた。

 

『ゼロツインスライサーッ!!』

 

 解き放たれた光の双刃が宙を疾走し、クレッセントの身体を両断。

 直後に起きた爆発の巻き起こす突風が街を吹き付けるも、最低限の損傷を齎すのみで元あった静けさを舞い戻らせた。

 

「Wow! Ultraman sconfigge facilmente i mostri!」

 

「Che potere incredibile!」

 

 束の間の静けさは途端に上がった人々の歓声に掻き消されるが、ロッソはそれらに応えるとはまた別の意図があるかのようにこちらを向く。

 

「……?」

 

 ふと一瞬、視線が重なったような感覚がする。

 その刹那の後にロッソの身体は光の粒子と化してゆき、沈静化してゆく人々の熱と共に消えていった。

 

「今、こっち見てたよね?」

 

「き、気のせいではないのですか……?」

 

 一応鞠莉達はこの世界でウルトラマンと交流がある数少ない人間ではあるが、それと何か関係があるのか。

 ともかく状況が状況だ。あまりこちらから連絡をするようなことはしたくないのだが、陸達には早めにこのことを伝えておいた方が―――、

 

「え……?」

 

 迷っていたその時、ふと鞠莉のポケットの中で携帯電話が鳴る。

 もしやと思い一瞬冷や汗をかくも、メールの送り主を見て安堵―――とはいかなかった。

 

「鞠莉……?」

 

「どうかしましたの…?」

 

 後輩から送られてきた文面の中に含まれていた内容。

 それは今この状況においては、新たな波乱を巻き起こす予感を孕んだものだった。

 

「…ちかっち達が、こっちに来るって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デエェェヤッ!』

 

『よいしょッ――!』

 

 大空に描かれる光の筋と一体の巨大な鳥。

 宇宙大怪獣ベムスター……あらゆるものを丸呑みにし兼ねない厄介な怪獣を追い、二体のウルトラマンは空を駆けた。

 

『ねえちょっと? この地球はこんなに怪獣が頻出すんの?』

 

『怪獣自体は生息してるが……この頃出現してるのはどいつも地球にはいない種ばかりだ。恐らくコイツ等を呼び出してる奴がいる』

 

「呑気に話してねーでさっさとぶっ飛ばすぞ!」

 

 いざイタリアへ向かおうと千歌達の乗る便が離陸したそのタイミングを見計らったように出現したのがこのベムスター。

 

 ゼロの言う通り何者かが召喚したものなのか、はたまた偶然地球に飛来し飛行機の積んでいる燃料を狙っているのかは定かではないが……どちらにせ彼女達や乗客の命が危ないのに変わりはない。

 

『しっかし速いねあの怪獣……撃ち落とした方がいいや』

 

 一本角に紺碧の海が如し蒼い装甲を持つウルトラマンブルは、先日イタリアに出現したというロッソとは対を成す存在のようにも思えた。

 その様はまさしく兄弟ウルトラマンと言ったところだろうか。

 

『アクアストリュームッ!』

 

 L字に組んだ両の腕から水流のような光線が伸びる。

 だがゼロの牽制により飛行機から離れたその瞬間を狙った的確な一撃は、一片のエネルギーも余すことなく旋回したベムスターの腹に吸収されてしまう。

 

『ベムスターの腹の口は形を問わずあらゆるものを吸収する。迂闊な攻撃はかえって奴を強くするだけだ』

 

『そりゃわかってるけど……』

 

 今のブルの攻撃は正しいと言えば正しいのだ。

 捕食のためか飛行機スレスレの位置を飛ぶベムスターに対し不用意に攻撃すれば機体もろとも撃ち落としかねない。

 

 今のように飛行機から引き離した一瞬の隙を狙って光線を打ち込むのがベストだが、奴の性質上その手も通用しないのだ。

 

『…そうだ。いっそアイツの興味を飛行機から別のものに移すのはどう?』

 

「そうか……飛行機の燃料以上のエネルギーを餌にしてやれば……!」

 

 防御のためもあったのだろうが、現に奴はブルの光線に食いついた。

 試してみる価値はあるだろう。

 

『そんじゃ……やりますか!』

 

 両腕を掲げたブルの頭上に高密度にエネルギーが込められた水の球が生成され、それは瞬く間に膨れ上がってゆく。

 そこから更にゼロのウルティメイトブレスから射出された光と融合したそのエネルギー量は、ベムスターの御眼鏡に適うまでに至る。

 

『よっしゃ食いついた!』

 

 一直線に飛来してくるベムスターに水球をスローイングし、食事のため腹の口を広げたその瞬間を狙う。

 ゼロとブル。両者共に一振りの剣を手に取ると、猛烈な速度で肉薄しては奴を中心点に交錯する。

 

『ッッ―――――!!??』

 

『いよっし!』

 

 ゼロツインソードとルーブスラッガーによる一撃が奴の腹を切り裂き、一時的とはいえ光線諸々を含めた捕食行為を封じる。

 それにより本能的に危機を察したのか、目の色を変えたベムスターは一目散に逃げようと踵を返した。

 

『ッ…! 待て!』

 

『ていうかなんだアレはっやッ!?』

 

 飛行機を捕食しようとしていた時とは違う、全身に炎を纏ったベムスターの飛行速度はこれまでとは比べ物にならなかった。

 あれが奴の最高時速なのか、みるみるうちにその姿が遠く小さくなってゆく。

 

『一応追うぞ。地上で暴れ始めたら厄介だ』

 

『あいよ!』

 

 瞬間、両者の身体に別の色が走る。

 蒼零の雷グランナイトゼロに、紫電の疾風ブルウインド。巻き起こった突風がベムスターと衝突し薙ぎ払う。

 

『ブリンカーフラッシュッ!』

 

 煌めくルーブスラッガーの刀身。

 地上へ退散しようとする奴の体躯に複数の風の刃が突き刺さり、その風圧で纏っていた炎が掻き消える。

 

『リキデイトシュート!』

 

『ストームシューティングッ!』

 

 その瞬間を逃さなかった二人の光線がベムスターを打ち抜く。

 冷気と突風の奔流に奴の肉体は砕け、遅れて起こった爆発が遥か高い空の上で響いた。

 

『中々やるじゃねーか』

 

『そっちもね』

 

 突き出してきたブルの握り拳にこちらも応える。

 上下に一回ずつ互いの拳を重ねた後、交わされたロータッチが小気味のよい音を鳴らした。

 

『にしても、随分と遠くまで来ちゃったね。もう多分ヨーロッパの辺りだよここ』

 

『…少し妙だな』

 

『…何が?』

 

『ベムスターのことだ。出現したこと自体そうだが、まるで俺達をここまで引き付けてるみてーだった』

 

 言われてみればそうだ。

 本来宇宙生物であるベムスターは逃げるなら真っ先に宇宙空間へ向かうはずだが、今回は不自然にも地上へ向かおうとした。

 

 余程の飢餓状態だったことも考えられるが、ブルの光線を吸収していたことからそれも考えにくい。となれば―――、

 

『やっぱり誰かが操ってた個体ってこと?』

 

『操られてたにしては本能に忠実だった。恐らくだがある目的地に辿り着くよう刷り込みを―――ッ!?』

 

 ˝物理的に˝空気が変わったのを察知し、途端に身構えるゼロとブル。

 だがその瞬間には頭上に展開されていた魔方陣は起動しており、放出された青黒い雷撃が両者の身体を打った。

 

 

 

 

 

『……残念だが、パーティーの主賓は君達じゃないんだ』

 

 魔方陣の奥に広がる空間から漏れ出る声。

 落下してゆく二体の巨人を見下ろしながら、仮面の悪魔の嘲笑が闇に溶けていった。

 




進むペースの遅さを嘆いたばかりなのに劇場版の話を進めない暴挙に出る男
一応考えた上ではありますが展開の無理矢理感も否めませんな()

それはともかくウルトラマンR/Bからウルトラマンロッソの参戦だルブー(語ry)
着々とメンツが揃っていく中、今回の敵キャラも軽く顔見せです。まあバレてるでしょうが

それでは次回で~
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