ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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曜ちゃぁぁぁぁんっ‼
誕生日おめでとうございまぁぁぁぁぁぁすっ‼(渡辺曜押し、魂の咆哮)


十七話 策謀の十字架

 

 

 

 早朝の内浦に響く、戦うゼロの声。

 

『デェヤァ!』

 

 その日は早朝から怪獣が出現し、いつも静かなはずの内浦の朝は脅かされた。

 

「ったく、朝っぱらから何だってんだ」

 

『へっ、おかげで早起き出来たじゃねーか。良かったな』

 

「正確にはお前に叩き起こされたんだけどな」

 

『怪獣の鳴き声や地響きが聞こえても起きないお前が悪い。オォォウラァッ‼』

 

 ゼロがその怪獣、剛力怪獣アロンをフルパワーで投げ飛ばし、海に叩き込まれたアロンが派手に水飛沫を上げる。

 

『こいつ地味に力強ぇな・・・・・・。エメリウムスラッシュッ‼』

 

 ゼロの額のビームランプから放たれた光線がアロンの首元から縦一直線に焼き切る。

 

『――――――――ッ‼』

 

 アロンが爆散し、再び静寂が舞い戻った町を見て、ゼロは消えていった。

 

『ふっ・・・、それがあなたの今の力ですか。ウルトラマンゼロ・・・』

 

 アロンを差し向けた宇宙人が、今の戦いを分析していた事も知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「体験入部?」」

 

「うん! 二人ともどうかな~?」

 

 場所は移り浦の星女学院。

 登校した千歌達が真っ先にやって来たのは、花丸とルビィがいる一年生の教室だった。

 

「いきなり入部ってのもどうかと思ったからさ、体験入部でスクールアイドルの事知ってもらって、その後に入部してもらおうかと」

 

「いや千歌ちゃん、もうそれ入部決定しちゃってるじゃん。体験入部する意味ないじゃん」

 

「まあ、とにかく! 如何かなお二人さん!」

 

 ずいっと顔を近づけた千歌に花丸は若干引き気味になり、ルビィに至っては錯乱してしまっている。

 

「い、一応考えておきます・・・」

 

 ルビィの代わりに花丸が答えると、「じゃあよろしくねー」と言って千歌達は教室から出て行った。

 

「どうするの? ルビィちゃん・・・? スクールアイドル。ホントはやりたいんでしょ?」

 

「うゅ・・・、でもお姉ちゃんが・・・」

 

 とあることから姉であるダイヤを気遣い、素直になれないでいるルビィに花丸は仕方ないと息をつき、

 

「まるは・・・、ちょっとやってみたいかなぁ・・・・・・」

 

「えぇっ?!」

 

 花丸が口にした言葉に、ルビィが目を剥いて驚く。花丸は昨日千歌にやってみたいかと言われた時、自分には無理だと言っていたのに、それが一体何があってスクールアイドルをやりたいと言い出したのか。その事を不思議に思ったルビィは首を傾げる。

 

「何でいきなり?」

 

「あの時ライブを見て・・・、ああ、いいなぁって・・・。変?」

 

「変じゃない! 全然変じゃない! むしろ花丸ちゃんがスクールアイドルに興味を持ってくれてルビィ嬉しいよ!」

 

(いきなり元気になったずら・・・)

 

 一瞬だけ苦笑いを浮かべた花丸は、今度はルビィの手を握った。ルビィの手は興奮しているのかとても熱い。

 

「でも、まる一人じゃ不安だから、ルビィちゃんも一緒にやってくれないかな? やってみたいんでしょ?」

 

「・・・・・・そうだけど・・・、お姉ちゃん嫌がると思うし・・・」

 

「だから先輩達も体験入部って事にしてくれたんだよ。だから、ね?」

 

 ルビィはしばらく考え込んで、スクールアイドル部に体験入部したことを姉に知られて怒られる恐怖と、ずっと憧れてたスクールアイドルの体験が出来る高揚感を秤にかけた。

 その結果。

 

「・・・・・・花丸ちゃんと一緒なら・・・」

 

 後者が勝り、ルビィが首を縦に振る。

 それを見て花丸はにっこり笑うと、

 

「じゃあ、放課後先輩達の所いこっか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホントッ!?」

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

 放課後、すっかり片付いたスクールアイドル部部室。

 花丸とルビィが今朝提案した体験入部をしてみたいと、部室にやって来たのだ。

 

「やった・・・、うぅ・・・やった!」

 

 喜びをかみしめた千歌が飛び上がり、ぴょんぴょんと部室中を駆け回る。

 

「これでラブライブ優勝だよ! レジェンドだよ!」

 

「待って千歌ちゃん。今朝も行ったけど体験だから」

 

「いいんだよー。ここで興味をもってもらえれば!」

 

 二人を、正確にはルビィを体験入部に勧誘した本来の理由も忘れたらしい千歌の興奮はまだ冷めやらぬようで。

 

「どうせならもうこのまま入部してくれてもいいんだよー?」

 

 こんな事すら言う始末である。

 

「それは・・・・・・、じっくり考えてから・・・・・・」

 

「何でー?」

 

呆れ気味に、曜は千歌にも説明するようにルビィに言った。

 

「生徒会長・・・、ダイヤさんの事でしょ?」

 

 曜の問いにルビィは頷き、

 

「はい・・・、だからここに来たことはお姉ちゃんには内緒で・・・・・・。え?」

 

 ルビィの言っている事を全く聞いていなかった千歌は、既にAqoursのポスターに花丸とルビィの名前を付け足していた。

 

「できたっ!」

 

「千歌ちゃん。人の話はちゃんと聞こうね?」

 

 千歌が呆れ気味の梨子に突っ込まれるのを見て、このままじゃ埒が明かないと思った曜は、こっそり陸の携帯番号をコールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いつもこの階段を上ってるんですか・・・?」

 

「ル、ルビィ死んじゃうかも・・・。無理だよぉ・・・・・・」

 

「大丈夫だよー。途中休憩も挟むからー」

 

 学校で一通りの練習メニューをこなした五人は、仕上げの階段ダッシュの為、淡島神社に来ていた。

 現在淡島神社の階段のあまりの長さに、花丸とルビィが絶望しているところである。

 

「・・・で、何で二人を体験入部に誘ったんだ?」

 

 曜に呼び出された陸が、花丸とルビィに聞こえない様に曜に耳打ちする。

 

「ほら、昨日ルビィちゃんが火を噴き出したのって、前の梨子ちゃんのと同じでしょ? 梨子ちゃんって、アレが原因で宇宙人に狙われてたと思うんだ」

 

「ほぉ・・・・・・」

 

 まさかそれがウルトラマンの力を宿したリトルスターで、それを所持していると怪獣を呼び寄せたりするという事には気づいていないだろうが。

 

「で、それが何で二人を部活に勧誘する事に繋がるんだ?」

 

「いやほら、単純に大勢でいれば宇宙人も簡単に手出しできないかなーって・・・、千歌ちゃんが・・・」

 

 曜はそう言った後、花丸とルビィに淡島神社の階段ダッシュの辛さを語る千歌を一瞥した。

 

「でも、多分千歌ちゃんはその事忘れてると思う」

 

「ハナから期待してないから安心しろ」

 

 大人数で行動することで宇宙人に襲われる可能性を低くする。きっと千歌達なりに後輩を気遣って考えた策なのだろうが、陸とゼロには都合が悪いし、逆にリトルスター目当ての宇宙人には好都合だ。

 大人数と言えど、所詮は女子五人。優れた科学技術や特殊能力を持っている宇宙人からしたら脅威でも何でもない。

 仮に五人とも捕まり、人質にでも利用されたらもう手の打ちようがない。

 

〈とりあえず、今この場はお前も練習に参加しろ。全員から目を離すなよ〉

 

(ちゃっかりとんでもない注文してくるが・・・、実際それしかないよな)

 

 尋常ではない長さの階段を駆け上ると言っても、ゼロと一体化している陸にとっては全く苦じゃない。

 曜と共に談笑していた四人の元に駆け寄ると、六人で目の前にある長い階段を見据えた。

 既に震えだしている花丸とルビィは、後で自分が補助してあげよう。そう決心しながら、

 

「じゃあ、μ‘s目指してー、よーい・・・、ドンッ!」

 

 千歌の合図で、六人一斉にスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おぉ・・・、ルビィちゃん頑張るな・・・)

 

 階段を上り始めて数分。

 陸はルビィの想像以上の粘りに感心していた。ゼロの力を借りてほぼ疲れ知らずに陸にしっかりついてこれているのは、一概にスクールアイドルへの想いだけではなく、負けず嫌いなところがあったりするからなのだろうか。

 それに対しもう一方。

 陸は最後尾を走っている栗色の髪の少女の隣に付いた。

 

「・・・・・・国木田・・・、大丈夫か?」

 

「・・・ら・・・、らいじょうぶじゅら・・・・・・」

 

 なんて言っているが全く持って大丈夫そうに見えない花丸。

 恐らく地である方言を隠す余裕もなく、倒れそうで倒れないその姿はとても心臓に悪い。

 

「・・・・・・ま、まるの事はもういいずら・・・、仙道さんは先に・・・。ルビィちゃんに‥‥、ついて行ってあげてください・・・」

 

 戦争で瀕死の重傷を負った兵士の様な面構えで懇願してくる花丸。当然だがそんな状態の人間を置いていける訳がない。

 何よりここで一人にするのは花丸が危険だ。いつ宇宙人がルビィを狙ってくるかも分からないのに。ルビィと最も親しい花丸は、人質として最も狙われやすいと言っても過言ではない。

 

「・・・・・・置いていけるわけないだろ。学校は違うけど、君が後輩だって事に変わりはないんだから」

 

「でも・・・、ルビィちゃんは・・・」

 

「ちょっとは先輩風吹かせろよ。・・・・・・セクハラ扱いしないでね?」

 

 陸はそう言うと花丸の背後に回り、その背中を押しながら走り始めた。

 

「先輩に・・・、悪いずら・・・。まるはいいから・・・」

 

「だいじょーぶ。俺体力はスゲーあるから。いいから前見ろ。四人に置いて行かれるぞ」

 

 頑として譲らない陸を見て、花丸は諦めたように前を向いた。

 

〈おい陸。もっと強く背中を押せ。先頭のあいつ等にもいつ刺客が差し向けられるか分からないんだそ〉

 

(ああっ、馬鹿! お前のそういう発言は・・・・・・)

 

「ピギャァァァァァァ‼」

 

 前方から、恐らくルビィのものと思われる悲鳴が聞こえた。

 

(ほら言わんこっちゃない!)

 

 やはりゼロはフラグを建てる才能があるらしい。建設して速攻回収するというおまけ付きで。

 

〈何っ・・・。とにかく行くぞ!〉

 

「仙道さん・・・、ルビィちゃんが・・・」

 

「ああ、ちょっと行ってくる‼」

 

 駆け出して行った陸を見て花丸はその手に携帯電話を握り、とある人物に電話を掛けた後、陸の後を追わずに階段を下り始めた。

 

「・・・・・・おらの仕事はここまでずら。後はルビィちゃん次第だよ・・・」

 

 今ルビィの身に何が起ころうとしているかも知らずに、花丸はその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オォウラァ‼』

 

 身体の主導権を切り替えたゼロが、ルビィに迫る宇宙人の頭部を一蹴した。

 

『ぐぉッ!』

 

 今まさにルビィに触れようとしていたその宇宙人は、蹴り飛ばされて地面を転がっていく。

 

「陸ちゃん!」

 

『お前等は下がってろ!』

 

 ゼロが強めに一喝すると、四人とも身をビクンと震わせて後退した。

 

『いてて・・・、やってくれましたね・・・・・・』

 

 頭部をさすりながら起き上がったその宇宙人は、鳥の様な外見をしていた。

 オウムの様な頭部に、鳥のそれを思わせる嘴と両腕の鉤爪。ミカンのヘタの様な模様をした目。

 

『ガッツ星人か・・・』

 

(強いのか?)

 

『前に親父が世話になったらしい。何でもセブン暗殺計画とか謳いながら親父に直接対決を申し込んだ面白い奴だってよ』

 

(そりゃ面白いな。で? 結果は?)

 

『親父が負けた』

 

(強いんじゃねーか!)

 

『如何にも、未だかつて如何なる戦いにも負けたことのない、無敵のガッツ星人です』

 

(あ、自分で無敵とか言っちゃうんだ)

 

 恐らくだがこいつもアホ系の宇宙人だと察した陸だった。

 

『はっ・・・、テメェなんかが無敵を名乗るのはなぁ・・・、二万年早いぜっ‼』

 

 弾丸が如し速度でゼロがガッツ星人に肉薄し、鳩尾に掌底を叩き込んだ。屈んだところを畳みかける様に頭部に回し蹴りを入れ、ガッツ星人を思いきり吹き飛ばす。

 

『がっ・・・・・・、あっ‥‥』

 

『お前等はさっさと逃げろ! こいつは俺がやる』

 

「陸は?」

 

『俺はいいからさっさと行け! 後輩守るのも先輩の仕事だろ‼』

 

 ゼロの説得を聞き入れて階段を下っていく四人。それを見届けると、ゼロは再びファイティングポーズを取った。

 

『っぁ! 逃がすか!』

 

『させるかよ!』

 

 四人の後を追おうとしたガッツ星人にゼロが掴みかかり、その珍妙な目玉に膝蹴りを入れた。

 

『いだっ! 目ぇ、目ぇ!』

 

 目を押さえて蹲っている隙だらけの姿をゼロは見逃さず、止めの踵落としを叩き込むとガッツ星人は力尽きたように光の粒子となって消えていった。

 

(消えた・・・?)

 

『恐らく、証拠を残さない為に自ら体を消滅させたんだろ。侵略目的の宇宙人がよくやる手だ』

 

 ゼロは四人の降りて行った階段の方を向くと、陸に主導権を戻した。

 

〈とりあえず四人の後を追うぞ。もしかしたら別の刺客がいるかもしれねぇ〉

 

「だからそれがフラグに――――」

 

 陸がそう言った刹那、

 

『グウィンガァァァヴゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

「またかっ・・・、って、この声・・・・・・、え・・・・・・?」

 

〈陸、どうした陸? 怪獣だぞ!〉

 

 怪獣の咆哮を聞いて動かなくなってしまった陸に、ゼロが慌て気味に声を掛ける。

 

「ッ! ・・・スマン・・・」

 

〈どうしたんだ急に?〉

 

「いや・・・・・・、あの鳴き声、六年前の怪獣の声に似てたからよ・・・」

 

 六年前の光景がどうしても脳裏に浮かんでしまう陸は、頬を叩いて自分に喝を入れた。

 

「よし、行くぞ!」

 

〈おうよ!〉

 

 現れた怪獣が六年前のそいつではないと確認してから、ウルトラゼロアイを装着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レッドキングか・・・・・・、俺に差し向けるにはちょっと力不足だな』

 

 変身を終えたゼロが目の前にいる緑色の怪獣、レッドキングを見るとそんな挑発的な事を口にした。

 どことなく先日のブラックキングに似ており、全身を覆う鎧の様な鱗や、太い腕と尻尾を見る限り全く弱そうには見えないが・・・・・・、ゼロにとっては余裕の相手らしい。

 

「っ・・・、ゼロ、あれ」

 

『あぁん?』

 

 陸が指摘した先にゼロが視線を移すと、花丸の名前を呼ぶ千歌達四人の姿が。

 

「国木田・・・。いなくなっちまったのか?」

 

『帰ったか、または・・・・・・、と、これ以上は言わない方がいいな』

 

「気付いてくれてありがたいが・・・、そこまで言ったらもうアウトだ」

 

『そーかよ。まあいい。さっさとぶっ飛ばせばいいだけの話だ。ハァッ!』

 

 ゼロがレッドキング向かっていくと同時にカラータイマーが青く煌き、ゼロがルナミラクルゼロにタイプチェンジをした。

 

『レボリウムスマッシュッ!』

 

 突き出したゼロの掌から衝撃波が放たれ、レッドキングが凄い勢いで吹き飛んでいく。

 

『大したことないとは言え、あいつの怪力は凄まじい。接近戦は不利だ』

 

 そう言うとゼロはゼロスラッガーを分身させ、自身の周りで回転を始めさせた。それと同時に吹き飛ばされたレッドキングが起き上がった。

 

『ミラクルゼロスラッガー!』

 

『グィンガアァァァァウゥゥゥゥゥゥ!』

 

 それと同時に光の軌跡を描く無数のゼロスラッガーがレッドキングに襲いかかり、レッドキングが溜まらず悲鳴を上げる。

 

『フンッ! ハァ!』

 

 その後もしばらくの間ミラクルゼロスラッガーによってレッドキングを翻弄し続け、レッドキングに疲れが見えてきた辺りでゼロが基本形態に戻った。

 

『ワイドゼロ――――――』

 

『ちょっと待ちなさい・・・』

 

『ッ!? 何・・・?』

 

 レッドキングに止めを刺そうとしたゼロを、聞き覚えのある声が制す。

 その声は周囲を反響しており、どこから発せられた声なのかが分からない。

ただこの声は――――、

 

『ガッツ星人・・・。生きてやがったのか・・・』

 

『当然。私があのような単調な作戦に出るとでも? あなたが相手をしていたのは私の分身です』

 

 分身。どおりで倒した後すぐに消えてしまった訳だ。

 

『テメェ! 一体どこにいやがる! 隠れてねぇで出て来やがれっ!』

 

 ゼロが怒りを露わに吠えるが、ガッツ星人はそれに全く怯む様子もなく続ける。

 

『まあまあ、落ち着きなさいウルトラマンゼロ。お楽しみはこれからですよ?』

 

 ぱちんと指を鳴らしたような音の後、ゼロとレッドキングの間にあるものが出現した。

 そこで陸とゼロの目に移ったのは――――――、

 

『なっ・・・』

 

「・・・国木田・・・・・・」

 

 透明な十字架に拘束された、国木田花丸の姿だった。

 気を失っているのか目を瞑り、首はがくりと項垂れている。

 

「花丸ちゃんっ!?」

 

 それを見てしまったらしいルビィの悲鳴が聞こえる。それと同時に聞こえるのは、ガッツ星人の高笑い。

 

『ふっふ・・・、はははははははははははっ! これこそが侵略と言うもの! こうして小さき命を捕えていれば、貴様も人間共も手が出せなくなる。簡単な事だ』

 

 花丸を拘束した十字架が移動していき、淡島神社の本殿。階段の頂上に突き刺さった。

 

『そしてこうしておけば、リトルスター保持者は自らそこにやってくる』

 

『クソッ・・・、汚ねーぞテメェ‼』

 

『何とでも言うがいい。最終的に勝てばいいのだ』

 

 ガッツ星人の言う通り、四人は花丸を助け出すためにまた階段を上りだしてしまっている。これでは奴の思う壺だ。

 

「ゼロ。先に国木田を!」

 

『分かってるよっ‼』

 

『おっと、あなたの相手はレッドキングですよ?』

 

 突如花丸の隣に現れたガッツ星人が腕から赤黒い光線を放った。それはゼロを通り過ぎてレッドキングに命中し、その瞬間レッドキングが咆哮を轟かせる。

 

『グィンガアァァァァウゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

 光線を浴びたレッドキングの身体が変化していったのだ。

 マグマを連想させるような赤と黒の体色、ただでさえ太かった剛腕は更に肥大化し、指一本一本がこん棒の様になっていた。

 

『貴様が今パワー戦術を使えない事は今朝のアロンを使った調査で分かってる。このEXレッドキングの前にひれ伏すがいい‼』

 

『グウィンガアァァァァウゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

『ぐ・・・、今朝のあれが先兵だったのか・・・』

 

 だが今は過去を悔やんでいる場合ではない、一刻も早くEXレッドキングを倒して花丸を救出し、あの卑怯者を叩きのめさなくては。

 

「ゼロ。行くぞ!」

 

『言われなくてもやってやる‼ おい鳥ヤロー、せいぜいそこで謝罪の言葉でも考えておくんだな!』

 

『ええ、その時を楽しみにしていましょう。・・・今のあなたに出来るのならね』

 

『ほざきやがれ。行くぜェ!』

 

 先手必勝。そう言わんばかりにゼロが拳をEXレッドキングの腹部に叩き込むが、

 

『あっぢっ‼』

 

「何だこれ・・・、ブラックキングの時の数倍熱いぞ‥‥」

 

 熱した鉄にでも触った様な高熱が腕を焼き、思わず腕を抑えるゼロと陸。

 その瞬間にEXレッドキングの殴打がクリーンヒットし、派手に吹き飛ばされてしまう。

 鈍器の様に太いその腕で殴られた衝撃は想像していたよりも大きく、視界が朦朧としてうまく立ち上がれない。

 

『陸・・・・・・、大丈夫か・・・?』

 

「あぁ・・・、何とか・・・」

 

 ゼロが再びルナミラクルにタイプチェンジをし、ミラクルゼロスラッガーで反撃をするが、強化されたEXレッドキングには全く歯が立たない。

 

「装甲が厚過ぎる・・・・・・」

 

 ガッツ星人の言う通り、今のゼロでは圧倒的にパワーが足りない。

 

『グィンガアァァァァウゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

 陸がぼやいたその時、EXレッドキングが両腕を地面に叩きつけた。するとその部分からゼロに向かって大地が裂けて行き、裂けた大地から炎が噴出してゼロに襲いかかる。

 フレイムロードと呼ばれるEXレッドキングの必殺技だ。

 

『がっ・・・・・・、あぁぁぁぁぁぁぁっ‼』

 

 業火に焼かれたゼロがその場で膝を折り、あまりのダメージに通常形態に戻ってしまう。

 

「・・・・・・っ・・・、っ・・・、どんな力してたらそんな攻撃が出来るんだよ・・・、クソッ・・・、滅茶苦茶熱い・・・」

 

 フレイムロードで噴き出た炎の熱量は、EXレッドキングの体温の比ではなかった。

 まるでマグマに包み込まれたかの様な圧倒的豪熱。次にあれを喰らって無事でいる保証はない。

 

『このEXレッドキング、以前戦った個体とは格が違う・・・。力も熱量も、前とは比べ物にならないぞ・・・』

 

 今EXレッドキングを倒すために必要とされているのは、あの鈍器のような剛腕に対抗できるパワー。つまりは筋力。

 ルナミラクルはスピードや超能力が強化される代わりにパワーが落ちる。通常形態のゼロでも、これに対抗できるほどのパワーはない。

 

「・・・・・・どうしたらいいんだよ・・・」

 

『ああ、こりゃちょっとヤバいな・・・』

 

 対抗手段もなければ、花丸が捕らえられている為撤退もできない。

 ただのアホだと思っていたガッツ星人に、ここまでやられるとは。

 

『グィンガアァァァァウゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

 絶望的状況に追いやられた二人の前で、EXレッドキングは更に強く雄叫びを上げた。

 




花丸「おらの扱い、酷くないずらか?」

俺「・・・・・・いや、ガッツ星人だし、十字架やりたいじゃん。ルビィちゃん絡みだし、原作の内容的にもずら丸しかいないかと・・・」

花丸「それに追い詰められ方的に、ルビィちゃんのリトルスターが何なのか大体わかっちゃうずら」

俺「・・・まだ言わないで、一応次回で紅に燃えるつもりでいるから」

花丸「それ別のウルトラマンずら・・・」




それでは次回で、紅に! 燃えるぜ!
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